<第174通常国会 2010年04月21日 内閣委員会 8号>


○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也でございます。
 きょうは、防衛省・自衛隊の再就職規制に関して質問いたします。
 防衛省・自衛隊はさまざまな不祥事をこの間起こしてまいりました。そこで、最初に法案の中身についての確認なんです。自衛官の将や将補については、今回の法案では、再就職あっせんを禁止する、一般職と同等の措置をしているわけですけれども、その理由は何なのかということについてまず最初に確認をさせていただけますか。

○上瀧政府参考人 お答えいたします。
 まず、自衛隊は、その任務の性格上、精強性を維持するという観点から、大多数の自衛官は、五十歳代半ばで退職する若年定年制と、あと二十歳代で退職する任期制、そういう制度をとっております。
 もう一方、それらの人たちは、そういう……(塩川委員「その辺はよく承知していますから」と呼ぶ)はい、わかりました。
 では、将、将補の問題でありますが、定年年齢が六十歳ということでありまして、六十歳以上の方もおられます。これは一般職の国家公務員と定年年齢は変わりません。したがいまして、その退職管理については一般職の国家公務員と同様の扱いをするということで、一般職と同様の退職管理をしておるところでございます。
 ただ、もちろん、組織の改廃とかやむなく退職をされる方については御承知のように除きまして、退職援助は行わないということになっています。また、その規制の違反については一般職と同様に規制をしているということでございます。

○塩川委員 その点で若年定年隊員とは違うという御説明ですけれども、二〇〇七年の国公法の審議の際に、安倍内閣におきましても、役所が予算と権限を背景にあっせんをすれば押しつけ的な天下りになるということが言われていたわけで、この押しつけ的な天下りをすれば、当然、押しつけられた側は代償を求め、押しつける側は便宜を図るきっかけにもなります。そこに癒着、腐敗が生じることになるわけです。
 そこで、仙谷大臣にお尋ねいたしますが、先日の答弁の中で、この防衛省の問題に関して大臣は、「この間、防衛省で種々問題になっておりますような癒着の関係」と述べておられましたが、ここで言っている種々問題となっている癒着の関係というのは、具体的にはどんなものを指しておられたのかをお尋ねいたします。

○仙谷国務大臣 例えば、先般は一般のあれですか、事務用品か何か、事務機器についての談合があったという報道があったわけであります。あるいは、その他は、この間、防衛庁関係は、官製談合なのか談合なのか、あるいは随意契約なのかわかりませんが、どうも問題点を指摘されることが他の官庁に比して何か多かったような記憶、そして、いわば次官の方が逮捕、起訴されたというようなこともあったんでしょうか。
 そういうことから見て、少々やはり閉鎖的なところでの、もともと閉鎖性がないとお仕事にならない部分があることなのかどうなのかわかりませんが、割とそういう、内輪でいろいろやってしまうという部分がおありになるのかなと思って見ておりまして、先般の発言をした次第であります。

○塩川委員 今大臣の御答弁にありましたように、最近でいえば、航空自衛隊の官製談合事件がございます。また、守屋事務次官関連の防衛装備品調達の汚職事件としての山田洋行の事件もございました。
 そこで、防衛省にお尋ねしますが、この空自の官製談合事件及び守屋元次官が関与した山田洋行の事件におきまして、関与した企業に対し防衛大臣等が承認した若年定年隊員の再就職というのは、およそ過去十年ぐらいで何人ぐらいいたのか、お答えください。

○上瀧政府参考人 お答えします。
 まず、第一補給処の件でございますが、これは、排除命令の対象となった五社につきまして、これまで防衛大臣等の承認を得て十名の隊員が再就職しておりますが、これは全員若年定年隊員であります。
 山田洋行の方でございますが、これまで、同じく防衛大臣の承認を得て再就職した若年定年隊員は三名でございます。

○塩川委員 そういう点では、官製談合事件についてはいわゆる再就職をした人がすべて若年定年隊員ということでございましたし、山田洋行の場合には、将の位の方が一人おられましたけれども、残りの三人の方はやはり若年定年隊員でありました。
 言われているように、役所が予算や権限を背景にして再就職を押しつけるような関係になる、そういった、押しつけられた企業がその見返りを求めることになる、ここに腐敗、癒着が生まれることになる。こういった関係、こういった再就職というのは世間では天下りというふうに受けとめておられるんじゃありませんか。仙谷大臣はどのようにお考えですか。

○仙谷国務大臣 国民から大変厳しい批判、非難のある天下りはそういうものだと認識をしております。

○塩川委員 そういう点で、この間の防衛省・自衛隊の数々の癒着や腐敗事件を見ますと、原則、営利企業への就職は禁止であったにもかかわらず、その原則に穴をあけて防衛省との契約関係を持つ営利企業に天下りを認めてきたところに大もとがあるわけです。
 九八年の調本事件がございました。それをきっかけにして防衛庁の中に置かれました自衛隊員の再就職の在り方に関する検討会、野呂田長官のころのことですけれども、この検討会では、若年定年制隊員の営利企業への再就職について防衛庁長官の承認を必要とするように制度改正を行うよう求める措置を行って、そのときそういう措置を行ったわけです。その理由として、「若年定年制自衛官については、」「在職中に培った専門的知識・能力・経験を活かして防衛庁と契約関係を有する企業等に再就職する者も多くなり、その職務を通じて不正に影響力を行使するとの疑義や可能性を完全には否定することはできない。」と指摘をしております。
 いわば、若年定年制であろうとなかろうと、防衛省の予算を背景として天下りが横行する。このような癒着や腐敗を断ち切るためには営利企業への再就職の禁止という原則を徹底することであり、今回のように事前規制から行為規制への転換では癒着、腐敗は断ち切れないということを言わざるを得ません。その際の法案では、行為規制を前提に監視機能の強化をうたっておるわけです。
 そこで、防衛省の再就職、行為規制に関する監視機関について質問いたしますが、大臣あるいは副大臣でも結構です。
 この再就職等監視・適正化委員会について、独立した公正中立な第三者機関ということを説明しておりますけれども、この再就職等監視・適正化委員会が独立した公正中立な第三者機関と言う場合に、どのような機能、性格を持つことを指しているのかをお答えください。

○大島副大臣 お答えいたします。
 独立職権行使と、国会での五人の委員の同意人事であると考えております。

○塩川委員 仙谷大臣にお尋ねしますが、そういった独立して行為を行うということと、国会の同意を得た内閣総理大臣の任命というところに、独立した公正中立な第三者機関と説明をしているわけですが、このような機能、性格を防衛省の審議会は持っているんですか。いや、法案提出者に聞いているわけですから。

○仙谷国務大臣 法案提出は向こうの方でございますので。この防衛省の関係については必ずしも法案提出者ではございませんけれども。
 それは、そういう意味での独立性は、この審議会は形式的、法律的には持っていないというふうに言わなければならないと思います。

○塩川委員 法案提出者というのは防衛大臣なんですか。

○大島副大臣 恐らく、仙谷大臣としては、防衛省の方の方が明確な答弁ができるかなと思って、防衛省を指してそのような答弁をさせていただいたかと思います。
 今の塩川先生の問いなんですけれども、今回のこちらの再就職等監視・適正化委員会のかかわることについては、若年の退職者については対象とはしていないということを承知させていただいております。

○塩川委員 いずれにせよ、行為規制にかわって、この独立した公正中立な第三者機関がしっかりと見ているよということがいわば担保になっているわけですよね。
 法案全体は仙谷大臣のもとで出されたわけですから、自衛隊法であれ、仙谷大臣の責任のもとで出されている。いや、防衛大臣もお出ましいただいて、この問題についての質疑もぜひしたいと私は思っておりますし、その点についても要望したいと思っておりますけれども。
 楠田大臣政務官もこの審議会は内部の組織と認めているわけで、大臣も同じような認識であります。こういった内部組織でまともな監視ができると仙谷大臣はお考えなんですか。

○仙谷国務大臣 再就職のあっせんを受けてもいい若年定年の隊員の問題と、一般的に再就職あっせんを禁止、しない、してはならないということになっている、防衛省でいえば将、将補の監視の問題というのは、ちょっとレベルが違うかなというふうに考えております。
 おっしゃるような問題を実態に即して考えれば、これは年齢の問題、あるいは将、将補の問題を、改めて防衛省さんに、将、将補にさらに加える部分があるかないかというようなことも含めて、自己規律としてお考えをいただく必要が出てくるかもわからないなと思いながら聞いておりました。

○塩川委員 大臣がおっしゃるその自己規律というのはどういうものを指しておられるんですか。

○仙谷国務大臣 再就職あっせんをすることが許されている隊員と、その再就職あっせんをしていく行き先と、まさにその行き先と防衛省の関係でありますから、そこはまずは、自己規律というか、塩川議員に指摘されるような、あるいは事件になるような、そういう関係をつくってはならない、けじめが必要だ。それはそれ、これはこれという関係で、これは厳正にやっていただかないと世の中の批判を浴びることはもう疑いがないわけですから、何回やったら気が済むんだ、こういう話になると思うんです。それを自己規律だというふうに申し上げているわけです。

○塩川委員 いや、何回やっても直らないから今回みたいな空自の官製談合事件が起こるわけで、それを防衛省任せの監視でいいんですかということを問うているわけであります。
 防衛省について、何かおっしゃることはありますか。

○上瀧政府参考人 まずは、今、行為規制が新しく導入されようとしておりますが、それについて、防衛省の中の委員会、大臣から調査の委任を受けた組織でもって、しかもその委員は自衛隊員の経歴がない者にやらせる。なおかつ、その調査の権限というのは、罰則を伴う、書類提出要求だとか証人の喚問とか極めて厳しい権限を持って、行為規制の違反を見ていこう。そういうことで、我々としては、十分そういう委員会で調査の中立性や公正性は保たれていると思っておりますし、また、そういうふうにしてやっていかなくちゃいけないというふうに思っておるところでございます。

○塩川委員 談合事件について、防衛監察本部、これが公正取引委員会に申告したというのは承知をしているわけです。
 では、公正取引委員会は官製談合として認定をしたわけですけれども、内部でそういった自衛隊員が関与していたということを指摘していたんですか。

○上瀧政府参考人 防衛監察本部が、談合の疑いがあるというふうに認識していただけで、その中で自衛隊員が関与していたかどうかということについては、その段階では明らかでなかったというふうに思っております。

○塩川委員 防衛省内部の監察本部が、要するに、自衛隊員の関与についてこれは追及していないんですよ。だから、内部任せで本当にできるのかということなわけです。
 ですから、公正取引委員会での防衛省に対する要請の中で、「過去の取引実績や防衛省航空自衛隊の退職者の在籍状況等を考慮してあらかじめ調達要求目標を定める」と言っているわけで、こういった問題点をはらんでいる防衛省の内部の機関においてまともに監視機能が働くと言えるのかと改めてお尋ねしたいんですが、仙谷大臣、いかがですか。

○仙谷国務大臣 御承知のように、将、将補については、この再就職等監視委員会が適切に監視機能を果たす、こういうことになっています。
 若年定年者については、どこからどこまでが若年定年なのかという点についての見直しが必要になる可能性もあるということは、先ほど申し上げたとおりでございます。今回の事案を見ておりますと、そのようにしなければ、どうも、この種の規制が手から何とかが漏れるようなことになっている場合もある可能性がありますね、こういうふうに考えているものですから、先ほどから申し上げているわけであります。

○塩川委員 これでは最初から防衛省で監視機能が働かないということを認めているようなもので、まともな体制も確保されないような監視・適正化委員会が機能するかどうかというのが疑問であります。
 防衛省のこの審議会が監視機関として機能する保証というのはないと言わざるを得ないと私は指摘をして、質問を終わります。