<第174通常国会 2010年04月28日 内閣委員会 11号>



○塩川委員 幹部人事の弾力化に関して質問いたします。
 先日、大島副大臣は、適格性審査、幹部候補者名簿の作成に当たって人事院の関与があるのか、人事院が何らか定めるものがあるのかということについては、人事院規則を定めることは想定していないという御答弁でございました。
 それを踏まえてですけれども、実際に幹部候補者名簿から個々の幹部に任用する、任免に当たりまして人事院の関与はどうなのかということですけれども、中立公正性を確保するという観点で、人事院としての任用に当たっての原則的なルールづくりというのを想定しているのか。つまり、人事院規則を定めることを想定しているのか。その点についてまずお聞かせください。

○大島副大臣 先生おっしゃるのは、幹部人事のところで人事院の規則を想定しているかどうかという問いでございますか。これについては、人事院の規則について、決めるかどうかというのは、基本的には決めない方向、想定をしていない方向かなと考えております。

○塩川委員 決めない方向だというお話であります。
 きょうは、人事院総裁、人事院は呼んでおりませんけれども、この間の一連の質疑でも、人事院の方は、実際の幹部の任用に当たっては二つの対応がありますと。一つは任命権者がやる話と、人事院がやる話。
 人事院がやることについては、三十三条との関係で、何らかの中立公正な客観的基準が必要だということを言って、ルールづくりについて検討したいと言っていましたが、それについてはお考えでないという話でございました。
 その点で、もう一つの対応として、任命権者側についての対応の話であります。そういう点でも客観的な基準がどうかということが問われてくるわけですが、幹部の任用に当たりまして、人事の公正性を担保するために、国公法の規定する官職に対する適性を持っているかどうか、そういうのを評価することが必要なわけですけれども、実際にその任用に当たって適性を見る際に、その評価の客観的な基準というのはどのようにお考えなのか、お聞かせいただけますか。

○大島副大臣 お答えをさせていただきます。
 一たん適格性審査を通った後に個々の官職に充てる場合だと思います。
 個々の官職に充てる、その能力を評価して、これは、これまで答弁させていただきました人事評価もあるでしょうし、公募の場合には公募における成績等、専門性等を加味しながら個々の官職に充てていくことになると考えております。

○塩川委員 客観的な基準ということで、これは橘委員が御質問になりまして仙谷大臣もお答えになっていますけれども、何らかの客観的な基準が必要ではありませんかという問いに対し、仙谷大臣からは、人事の公正性を担保するという点で何らかのコードをつくるとか、閣僚の共通の認識とか理解とか、こういうものが必要なんじゃないのかというお話がありましたけれども、それは何らかの客観的な基準を定めるという趣旨なんでしょうか。

○仙谷国務大臣 適格性審査については、当然のことながら、その審査の方法あるいはある種の評価の仕方というものについては、その審査に携わる方々について、そういう基準を示すということになろうかと思います。

○塩川委員 いや、ですから、適格性審査を踏まえて幹部候補者名簿に載りました、そういった方々を任用するに当たりまして、その際に公正性を確保するための客観的な基準というのはお考えなのか。何らかのコード云々ということを前回おっしゃっておられたので、その趣旨でどうかとお尋ねしたわけです。

○仙谷国務大臣 公正性がどうのこうのというのを何か大変疑念を持ってお考えのようでありますが、これは、総理大臣、官房長官と任用権者が協議する、そこの牽制といいましょうか、そこでチェックをしていただくということだと私は考えております。

○塩川委員 いずれも、任命権者も総理大臣も官房長官も政治家ですから。
 この議論の中心というのは、まさに政治家の関与について、その恣意性をどう排除するのか、情実人事、党派的人事にならないようにするためにどうするのかということを議論してきたわけですけれども、実際そのポストに張りつける際に、人事院が基準を定めることは考えておりません、政府側、任命権者の方で何らかの基準を考えるかという点についても、きちんとしたお答えがないということになってくると、これは、実際その任用に当たりまして、ある局長のポストがあって、現局長がいて、部長職の方がいて、公募で入ってきた名簿登載者の方がいて、そういう中から局長にふさわしい方を選ぶということについて、だれがそのポストにふさわしいのかということについては、やはり、政治家の恣意性が入らないで決まるんでしょうか。

○仙谷国務大臣 政治家、政治への官僚の方々の応答性というのを先ほど甘利元大臣は大変強調されておりましたね。そことの関係はどうなるんでしょうか。
 つまり、年功序列ではやらない、あるいは、陰のOB、元次官どもの使嗾による人事であってはならない、しかし、表面的というか、世間向けにはこの人が力があるとして次官、局長になってくる、そこは全く政治家はむしろタッチさせないという前提になってきたのがまずいということで、公務員制度改革基本法ができて、政治への応答性ということが強調をされてきたんじゃないんでしょうか。
 適格性審査に合格するということは標準職務遂行能力はある、あとは、できるだけ党派性、党派的な偏りなどというものは除いて、その時点での政治の担当者、任命権者、それと総理、官房長官の相互のチェックの中で選んでいく、そのことをするために幹部人事の一元管理ということが重要になってきたということなんじゃないんですか。
 それを、結果論としてこれは非常に恣意的だというのであれば、争っていただくしか、不服を申し立てていただくしかないと私は割り切って申し上げたいと存じます。

○塩川委員 最後は争ってもらうしかないということ自身も制度として乱暴なんじゃないかなというのは率直に思いますし、甘利委員は、立場は違いますけれども、お話しになっていた点でなるほどと思ったのは、政治応答性と客観基準というのはなかなか両立させるのは難しいという点について、客観基準についてもそれなりのものを定めないと政治応答性がきちんと……(仙谷国務大臣「そんなこと言っていない」と呼ぶ)いやいや、そういう趣旨ですよ。それは、先ほど階さんと大島さんの答弁が食い違うというのは、そのどちらにウエートを置くかというニュアンスの違いとして甘利委員は受けとめていたわけですから。
 いずれにせよ、客観的に基準が定められなければ最終的には政治家の判断という点で、要は、政治任用という話につながらざるを得ないわけであります。
 そこで、この委員会でも議論になっていました、国家公務員制度改革推進本部事務局の体制の問題について質問をいたします。
 ここで、仙谷大臣が着任をされたときに体制の入れかえが行われたわけですけれども、退職をされた方は何人で、その方たちはどのような官職の方だったのかについて御説明をいただけますか。
○仙谷国務大臣 いわば、発令としては免というふうになっていらっしゃる方は民間から来られたお二人、それからもう一人、退職というふうになっていらっしゃる方が、これがいわば次官級以上の方、あるいは次官それから局長級ということになろうかと思います。
 公務員制度改革本部の、その他の審議官級といいましょうか、審議官、参事官クラスの方々は、昨年の十二月十七日付で、各省庁からの出向でございましたので、これは審議官と参事官ですが、事務局の併任を解除して、それぞれの出身省庁にお戻りをいただいたということであります。
 民間からこちらの方に来ていただいた方については、そのままお願いをして、現在も大変熱心に働いていただいております。

○塩川委員 特に上の方、事務局長さん、それから事務局次長さんがお二人、そういう方で、事務局次長さんのお一人は退職、その他のお二人の方が職を免ずるということであったわけですけれども、このお三方というのは一般職ということで承知をしておりますが、それでよろしいでしょうか。

○仙谷国務大臣 一般職の非常勤がお二人、それから常勤というふうになっていた方がお一人であります。

○塩川委員 幹部職の総入れかえを行ったわけですけれども、その理由は何なのかについてお聞かせください。

○仙谷国務大臣 公務員制度改革を、公務員の労働基本権を付与する方向で構築する、そういう政権交代に伴う方針によりまして、方針が変わったのでお引き取りいただきたいのですが、こう申し上げたら、おやめいただいた、こういうことでございます。

○塩川委員 この間の質疑の中でお答えになっていますけれども、今お話ございましたように、政権交代に伴い方針が変わったのでおやめいただきたいということで引き取っていただきましたということでした。
 そういう点で、身分上は一般職だけれども実質的にはポリティカルアポインティーだと見ていたというふうにおっしゃっておられるわけですけれども、実質的にポリティカルアポインティーだと見ていたというのは、どういう意味なんでしょうか。

○仙谷国務大臣 その時点での、その時点でのというのは渡辺公務員制度改革担当大臣でしょうか、それか甘利大臣でしょうか、そういう方々のある種の御意向によって、わざわざ民間からお二人、事務局長と事務局次長、一人ずつ、それから、既にもう総務省の事務次官をやめられた方をまたまたそこに再張りつけをするということは、やはりその時点での担当大臣あるいは内閣の方針のもとに、こういう方々がいいだろうということで、非常勤という格好で二人任用された。それから、旧来、一度総務次官までなさった方をまたまたそこに持ってきたというのは、やはり、それなりの能力もおありになったと思いますが、それなりの、その時点での内閣の方針に、あるいは担当大臣の方針に割と合う方がいらっしゃっていたんだろう、こういうふうに私は考えましたし、そのとおりだったんじゃないんでしょうか。
 そこで、内閣がかわるというよりも、歴史的な、政権が交代し、そういうことが実現をし、六十年間手がついていなかった公務員制度改革を、労働基本権を付与するという全く前提の違うコンセプトのもとに行うわけでありますから、当然ここは、私が担当になったときに、そういう前提でスムーズに企画立案し、あるいは他省庁との調整ができ、あるいは、ほとんどが出先の方だと思いますけれども、労働組合、職員団体の方ともきちっと折衝ができる、将来的には折衝もできる、こういう体制をつくらなければ新しい公務員制度はつくれない、こういう発想で先ほど申し上げたようなお願いをした、こういうことであります。

○塩川委員 おやめいただいたお三方は一般職であります。当然、しかるべく選考を経て任用された方々であるわけで、そういう点では、その能力、適性を踏まえて任用されたわけですけれども、実際、今お話をお聞きしますと、政権交代に伴い方針が変わったのでというお話ですから、その能力、適性ではなくて政治的な理由で幹部の入れかえ、おやめいただいたということになるわけで、国公法上の任免の原則であります成績主義、能力、適性で選んだ幹部職を政治的な理由で入れかえるということが可能なのか、そのことが問われるんですが、その点いかがですか。

○仙谷国務大臣 公務員制度改革推進本部事務局のような、アドホックなこういう事務局については、そういうことを前提にそもそも任用がされていると私は思っておりますし、そして、政権が交代したときに、そのアドホックな構成の組織を今度はまたアドホックに構成し直すということがなければ、前の内閣、前の政権の、あるいは前の政治の色のついたお仕着せの官僚機構を使って何かできるんでしょうか。そのことの方が問題だと私は思っております。
    〔委員長退席、小宮山(洋)委員長代理着席〕

○塩川委員 確かにこのお三方というのは、御本人たちも、一般職であり国公法の身分保障がかかっているわけだけれども、事実上の政治任用、実質的にポリティカルアポインティーだと思っているから、この辺が潮どきかなというのでおやめいただいたんだと思いますけれども、これは、今度の国公法の改正では、意に反して、転任という形でポストからのいてもらうということもできかねないような中身でありますから。
 私、その点で、では最後に伺いたいのは、今回の国公法成立以後では、幹部職は官邸の承認を受けた幹部職となり、また政権がかわった場合に、その後の政権から見れば、幹部職は全員実質的にポリティカルアポインティーだということに見られることになる。そうなれば、政権がかわるたびに、あるいは政権交代でなくても、同じ与党の中での政権担当者がかわった場合、あるいは大臣がかわったとしても、こういった実質的なポリティカルアポインティーということを理由にして恣意的な人事がまかり通ることになってしまうんじゃないのか、そういうことを強く懸念するわけですが、その点、最後いただいて。

○仙谷国務大臣 それが恣意的であるのか、合理的かつ合目的的であるのかは、それは評価する人によって違うのかもわかりませんけれども、例えば同じ与党の中でも内閣がもしかわるというような事態の中で、政策のプライオリティーのつけ方が違う内閣が出現をすれば、当然そこは、まあ、おやめいただけるというふうな場合は少ないでしょうけれども、この間から言っているように、横異動してもらって、そのポストを、優先順位の高い政策を担当するポストを、総理大臣あるいは官房長官そして担当、任命権者が協議の上そういう人事配置をするということは、当然私はあるのではないか、そのためにこの幹部人事の一元化、一元管理ということはなされるのではないか、そういうふうに考えております。

○塩川委員 一般職であって、本来、人事の公正性を担保するような客観基準が必要なのに、それもない中でのやり方というのはやはり猟官運動にもつながることにもなりかねないということも含めて指摘をして、きょうの質問を終わります。