<第174通常国会 2010年05月11日 総務委員会 15号>



○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也でございます。
 きょうは、地方公務員の非常勤職員の労働条件の改善の問題について何点か質問をしたいと思っています。
 総務省が、昨年の一月に地方公務員の短時間勤務の在り方に関する研究会報告書を公表しております。この報告書に向けて、地方自治体の臨時職員、非常勤職員の実態を調べております。
 最初に数字を確認したいんですけれども、二〇〇八年四月一日時点及び二〇〇五年四月一日時点での地方公務員の常勤職員の定数及び臨時職員、非常勤職員の数がどのようになっているのかをお答えください。

○渡辺副大臣 事実関係でございますので、私の方からお答えさせていただきます。
 常勤の地方公務員の職員数は、平成十七年の四月一日現在でおよそ三百四万二千人、平成二十年四月一日時点でおよそ二百八十九万九千人、これが常勤の公務員数でございます。臨時、非常勤の職員数は、平成十七年四月一日現在でおよそ四十五万六千人、平成二十年の四月一日時点ではおよそ四十九万八千人となっております。これは総務省の調査によるものでございます。

○塩川委員 今お答えいただきましたように、常勤職員はこの三年間で十四万人余り減少している。一方で、非常勤、臨時職員が四万人以上と大きくふえております。自治体の正規職員は、直近データの二〇〇九年四月一日現在では二百八十五万五千百六人となっておりますので、さらに減少し、一九九五年以降、十五年連続で減少しております。言うまでもなく、この間、地方行革大綱や集中改革プランや行革推進法、骨太〇六の方針のように、自公政権下で定員を一律に厳しく削減してきたことが反映をしております。
 一方で、地方自治体の業務が減ったわけではございませんので、そういう意味でも、この定員削減で担えなくなった恒常的、本格的な業務をも広く臨時職員、非常勤職員が担っているという現状がある。
 原口大臣にこの点についてお尋ねしたいんですけれども、現状、この臨時、非常勤職員というのが実態として恒常的、本格的な業務を担うような状況になっているんじゃないのか、その点についての大臣の御認識をお聞かせください。

○原口国務大臣 塩川委員にお答えいたします。
 人間らしい働き方ができる、これが基本だというふうに考えています。
 地方公共団体の業務は多種多様でございまして、臨時、非常勤職員の任用については、各地方公共団体において、その職務の内容と責任に応じて適切に定めていただくべきものでございますが、臨時、非常勤職員については、今委員が御指摘のように、本来、臨時的、補助的な業務に従事することが前提であることから、恒常的な業務に長期にわたって従事することは想定されておりません。ここが非常に地方を今まで締めつけてきた、あるいは地方に向かう財源を、三位一体改革に象徴されるように一方的に削ってきた、そこのしわ寄せが働く現場に押し寄せてきているというような認識を一人たりとも持つような状況であってはならないというふうに考えております。

○塩川委員 重ねてお聞きしたいんですけれども、確かに、自公政権下で厳しく財政的な抑制が行われてきたというのが地方の現場を深刻にしている。
 この総務省の研究会の報告書におきましても、市町村の臨時、非常勤職員数の職種別構成比を見ても、保育士が二三・一%、給食の調理員が九・三%など、実態を見れば、恒常的、本格的な業務についても臨時、非常勤職員が重要な役割を果たしているという実態があります。ですから、研究会の報告書でも、「臨時・非常勤職員の中には、職務の内容や責任の程度において、常勤職員と同様の仕事をしている事例があるとの指摘もある。」こういう指摘はもっともだと思いますが、原口大臣のお考えはいかがですか。

○原口国務大臣 今お話があった、そのような指摘があるということは私たちも聞いておりまして、一刻も早く、人間らしい、しかも一人一人の働く人たちの権利が保障されなければ、良質な公共サービスを国民に対して、あるいは地域の住民に対して保障することもできない。これは御一緒につくらせていただいた公共サービス基本法の十一条に掲げた私たちの理念でございますので、その理念がしっかり貫徹できるように私たちも努力を重ねてまいりたいと考えています。

○塩川委員 大臣がおっしゃったように、やはり働く者の権利が保障されるということが適切に公共サービスを提供する土台となっているということであります。その点で、率直に言って、臨時、非常勤職員の置かれている実態、労働条件というのが決してこういう権利が保障されているような状況となっていないという問題があります。その一つの事例としてお話をしたいのが、地方公務員の臨時、非常勤職員の退職手当の問題でございます。
 まず、現行がどうなっているのかということについて確認でお聞きしたいんですけれども、地方公務員の臨時、非常勤職員の退職手当について、支給は現行どのようになっているのか、臨時、非常勤職員に対して退職手当を支給されないのか、この点について御説明をお願いいたします。

○小川大臣政務官 お答え申し上げます。
 地方公務員の退職手当でございますが、各自治体の条例で定められております。それを前提に、仮に国家公務員と同様の規定、準じた内容を定めている例が多いと思いますが、同様の場合は、国家公務員の非常勤職員の例が適用されるわけでございまして、要件が三つございます。
 一つは、常勤の国家公務員と同様の勤務時間により勤務をしていること。二つには、その勤務時間により勤務した日数が十八日以上ある月が六カ月を超えていること。最後に三つ目ですが、引き続いて六カ月を超えるに至った日以後は常勤の国家公務員と同様の勤務時間により勤務することが予定をされていること。以上三要件が準用されているのではないかというふうに推察をいたしております。

○塩川委員 国家公務員法に準拠しての退職手当、地方公務員の臨時、非常勤職員についても、今お話しいただいたような要件を踏まえて支給が可能ということでありますけれども、そういう場合には六カ月以上の場合も退職手当の支給となると承知をしておりますが、その点はいかがでしょうか。

○小川大臣政務官 三つ目の要件は、今申し上げたとおり、六カ月を超えるに至った日以後、同様の形態で勤務をすればという、いわば仮定の条件になっておりますので、文理上、委員御指摘のようなことはあり得るのではないかというふうに理解をいたします。

○塩川委員 このように一定の要件を満たしていれば、臨時、非常勤職員も退職手当の支給の対象となるわけでありますけれども、率直に言って、現場がどうなっているかというと、必ずしもこういった臨時、非常勤職員の方の権利が保障されていない。
 その点で一点御紹介したいのが、群馬県の渋川市の事例のお話でございます。これは事前に総務省の方にもこの件で該当のペーパーもお渡しをしたところでありますけれども、渋川市採用臨時・嘱託職員給与形態一覧表というのがございまして、これは市の方から議会に提出された資料でございます。
 その中を拝見いたしますと、渋川市の採用臨時・嘱託職員給与形態一覧表におきましては、わざわざ「臨時職員に対しての退職手当は支給しないことから、」云々という記述があるわけであります。「臨時職員に対しての退職手当は支給しないことから、退職手当の支給基準である、「職員について定められている勤務時間以上勤務した日が十八日以上ある月が引き続いて十二月を超えるに至ったもので、その超えるに至った日以後引き続き当該勤務時間により勤務することとされているもの」とならないような勤務形態とする必要がある。」として、「一日の勤務時間が七・七五時間以上で一箇月の勤務日数が十八日以上の月が十二箇月以上継続しないこと。」ということを図入りで説明しているものであります。
 こういったことが現場で行われている。働く者の権利が保障されてこそ公共サービスがしっかりと提供される。そういう点で、このような、一つの事例ではありますけれども、渋川市の臨時、非常勤職員に対して退職手当は支給しないというやり方について、私は率直に言っていかがかと思いますが、大臣としてのお考えをお聞かせいただけないでしょうか。

○原口国務大臣 大臣の立場で個々の自治体がどうかというのは、塩川委員、控えることをお許しいただくとして、一般論でありますけれども、退職手当を支給しないために勤務条件を逆算してつくるということは、法の趣旨からするとやはり反対だと思います。
 なぜならば、先ほどから答弁をしておりますように、働く人たちの権利を保障し、それは退職手当の支給もその中には含まれているわけでございまして、それを、当該市がどうかということはコメントいたしませんけれども、財政上の要件か、あるいは法文を少し別の角度から読んだのかわかりませんけれども、一人一人の権利をしっかりと守るような形で運用が行われるように総務省としてもしっかりと助言をしていきたい、このように考えています。

○塩川委員 ぜひその点での取り組み方をお願いしたいと思っております。
 最後に、非常勤職員の任期のことについてお尋ねをしたいんですけれども、臨時、非常勤職員については、特別職としての非常勤職員、また一般職の非常勤職員、臨時的任用職員となっているわけですけれども、これらの任用期間について地方公務員法はどのように規定しているのかについての御説明をいただけますか。

○渡辺副大臣 お答えいたします。
 臨時的任用職員の任期につきましては、地方公務員法第二十二条において、六月以内、しかし、さらに六月以内で更新可、つまり一年というふうに定められております。非常勤の職員につきましては、明文の規定はございません。その職の性格等を踏まえれば、原則一年以内と考えられているところでございます。

○塩川委員 実態は、任用については実質一年以上継続しているということが行われてございますし、また、研究会報告書を受けての公務員課長の通知におきましても、一般職非常勤職員について法律上明文の規定はないけれども、臨時的、補助的業務に従事するという職務の性格、職務の臨時性、補助性、毎年度の予算で職の設置が措置されるものであることから、原則一年以内である云々というのがありますけれども、この場合でも再任用はあり得るものであるとしているわけであります。そういう点では、特にこの公務員課長通知というのが両面の性格を持っているものですから、これをもって機械的に一年で雇いどめにするようなことがあってはならないと考えております。
 そういう意味でも、この通知をもって機械的な雇いどめの横行などが起こらないように、これは総務省としての通知でありますから、対応方をぜひお願いしたいと思うんですが、その点についてお答えいただけますか。

○原口国務大臣 おっしゃるように、四月二十四日、公務員課長通知ということですけれども、これは、臨時、非常勤職員の任期の終了後、再度同一の職務内容の職に任用されること自体は排除されるものではない、また、雇いどめのトラブルを未然に防止するため、任用時の勤務条件の明示を徹底するというふうにしているところでございまして、委員御指摘のように、逆読みされないようにしっかりと助言をしていきたいというふうに考えています。

○塩川委員 非常勤職員の権利保障のためにしっかりとした対応方をお願いいたしまして、質問を終わります。