<第174通常国会 2010年05月12日 内閣委員会 12号>



○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也でございます。
 きょうは、最初に、公務員総人件費二割削減の関連で、法案について質問をいたします。
 最初に、法案について。
 この改正法案の十八条の四について、この規定を設けた理由についてまずお聞かせください。
    〔委員長退席、小宮山(洋)委員長代理着席〕

○仙谷国務大臣 国家公務員法第十八条の四第一項では、内閣総理大臣は、組織の改廃等により離職を余儀なくされることになる職員に限り再就職支援を行うこととしております。再就職支援に関する事務は民間人材登用・再就職適正化センターに委任して行うこととしているというのは、お読みいただければわかるとおりでございます。
 民間企業におきましては、整理解雇を行う場合には解雇回避義務が努力義務としてあるというのが、いわば確立された判例であるというふうに私も考えております。したがって、公務員職場といいましょうか公務員組織というふうに考えれば、その組織の改廃等による分限免職というふうな事態に立ち至る場合には、これは民間の事業所閉鎖に伴う整理解雇に当たるというふうに考えておりまして、分限免職の回避の努力の一環として再就職支援に関する規定を十八条の四として設けたということでございます。

○塩川委員 七十八条の四号との関係でも、「官制若しくは定員の改廃又は予算の減少により廃職又は過員を生じた場合」、こういう場合について行うわけですけれども、具体的なものを想定しているんじゃないのかということでございます。
 民主党は、国家公務員の二割削減をマニフェストで掲げております。当委員会の答弁におきましても、仙谷大臣は、二割削減というのは、一つは、地方分権推進に伴って事務を地方に移管する、二つは、手当の水準や定員を見直す、三つは、労働基本権付与によって労使交渉で給与水準を決めるというお話をされておられます。
 ということでありますと、例えば、地方への移管に伴う定員の改廃または過員を生じた場合、こういう場合も想定しておられるんではないのか。その点についてお聞かせください。

○仙谷国務大臣 具体的に想定しているわけではありませんけれども、地方への移管の問題は、現在、地域主権戦略会議で、義務づけ、枠づけの撤廃の問題ともども、あるいは補助金の一括交付金化という問題ともども、どの、現在国の出先機関で行っている機能、職務を地方に移管した方がいいのか、これは各省庁のそれぞれの思惑も、意識もいろいろございますので、大変激しいせめぎ合いの中で調整が進められていると聞いておりまして、その結果いかんによりましては、先生が御指摘されたような事態も全くないとは言い切れないだろうなというふうに頭の中でぼんやりと考えておりますが、先生御指摘のとおりの部分も、そういう事態も出来する可能性がないとは言い切れないと思っております。

○塩川委員 全くないとは言えないという点では、極めて重大であります。
 今お話ありましたように、地域主権戦略会議の中で一連の議論をする中で、出先機関の地方移管の話がございます。ですから、受ける側の都道府県の方でもプロジェクトチームをつくっておりまして、そこでの検討が行われているわけであります。
 地域主権戦略会議で、全国知事会の国の出先機関原則廃止プロジェクトチームが、国の出先機関の原則廃止に向けての中間報告をまとめております。そこでは、「国の出先機関の原則廃止を実現するためには、移管事務の受入体制、国から地方への財源移譲、国から地方への人材移管について全国知事会としての考え方を明確にしなければならない。」とあり、「国から地方への人材移管について」では、「人材移管の前提として、まずは国に対して徹底した組織・定員のスリム化を求めること。」とあります。
 全国知事会は、今後、政府の地域主権戦略会議等の議論に本中間報告が反映されるよう積極的に働きかけていくとしておるわけで、そういう点でも、地方移管の受け皿である知事会がリストラを要求している中で、こういった規定が盛り込まれているということは極めて重大だ。
 私は、そういうことを想定し得るようなやり方をつくるこういう規定というのはとるべきではない、このことをぜひ、撤回を求めたいと考えています。大臣、いかがですか。

○仙谷国務大臣 いや、むしろ、だからこそ、この種の規定で再就職あっせんができる、分限免職の回避の努力義務が国なら国にあって、分限免職をするまでに配置転換の可能性はないんだろうかと。
 これを、局あるいは省を超えた配置転換の努力義務、さらには、もし国家公務員法の七十八条四号に書かれているような廃職または過員を生じる場合には、分限免職にならないように再就職をちゃんとあっせんする努力義務というものを書いておかないと、これは職員の側から見られても危なくてしようがないという話になるんじゃないんでしょうか。
 私は、要するに、そういう今度の地方分権、地域主権改革に伴って、抽象的なレベルでは、一般論としては、廃職または過員を生ずるという可能性は、それは一般的にはありますよ。だから、そのときに、職員の地位というか、職員が、切り捨て御免、生首を飛ばされる、そんなことがないようにしなければいけない、こういうふうに考えているのであります。

○塩川委員 実際に、センターの機能を見ても、社保庁の事例のように、十分機能したとは言えないということがあるわけです。具体的なリストラ計画を想定したこういう改正法案の十八条の四のような規定というのは撤回をすべきだということを申し上げます。
 その上で、この委員会でも議論してまいりました、防衛省における再就職規制の問題について質問をいたします。
 この間、自衛隊法の改正案について質問をしてまいりましたが、四月二十八日の公聴会、五人の公述人の方においでいただきました。その皆さんに、防衛省の事務官及び自衛隊の将補以上の幹部以外の自衛隊員、いわゆる若年定年制の隊員の天下りの行為規制について、防衛省の内部の機関が監視することは問題じゃないのか、こういうことを質問いたしました。
 そういう中で、中野公述人は、自衛官の若年者に関しましては、一般の職業紹介とは別に再就職支援を行ってきたという経緯もありますし、そういう意味では再就職の特殊性というのもあると思います、ただ、御指摘のように、アメリカでも産官複合体みたいなものが、ペンタゴンと軍需産業の関連性とか、こういうものがずっと言われていますので、御指摘のように、第三者的な目も入れて行為規制もしていかなきゃいけない、そう思っていますと答えられております。
 また、稲継公述人も、防衛省の中だけで、身内で監視するということには若干の危惧を持っている、このように言って、若年定年隊員だからといってあっせんを省の中で見るということにすると非常に甘い見方になってしまうのではないか、若年定年等隊員についても、やはり第三者機関、防衛省から独立した第三者機関がこれをしっかり監視するような、そういう組織をつくられてはいかがかと述べておられます。
 進藤公述人も、両公述人と同様の主張、防衛省外の中立の機関による審査が必要だと考えていると述べておられます。
 大臣、こういった公述人の声にこそ耳を傾けるべきではないでしょうか。防衛省において、再就職規制を身内の防衛省の監視機関が行う、こういうあり方について、公述人から、見直すべきだ、防衛省外の組織にすべきだ、こういう声が上がっていることについて、大臣はどのように受けとめておられますか。

○仙谷国務大臣 そういう貴重な御意見をちゃんと頭の中に置きながら、若年定年の再就職ということが、ある種、この自衛隊という組織にとっては欠くべからざるものといいましょうか、そういうことになっておるという、その余の公務員の組織、公務員の方々の地位、身分というものとは大きく基本的な考え方を変えなければいけないというようなこともあります。
 今塩川委員がおっしゃいましたように、まさに産軍複合体といいましょうか、業者さんの方も、マーケットが自衛隊・防衛省以外にあるわけではないというようなこともこれある部分も多くて、どうしてもそこでは非常に身内的関係ができてくるということも、今度は他方にそういうこともあるわけでありますので、この監視の問題というのはこれからまだまだある種の試行錯誤を行いながらやっていかなきゃいかぬのだろうな、こういうふうにも思っております。
 現段階におきましては、防衛大臣が実施する再就職の援助を受けた再就職か否か等の見きわめなどを、防衛大臣のもとで、再就職の援助にかかわる部局と密接に連携しながら監視の実施に当たる必要がある。したがって、防衛省に置かれる、法律的には審議会でありますけれども、ここで監視する方がより監視の実効性が確保できるというふうに考えておりまして、現状のような形でどうかお認めをいただきたいと考えております。

○塩川委員 いや、公述人の意見にあるように、そういうあり方ということを見直すことこそ行うべき仕事であろうと思います。
 この行為規制についての監視は、防衛省の中を見ても、六十歳以上定年の部分につきましては、これは再就職等監視委員会の仕事になります。しかし、若年定年等隊員については、防衛省の身内の機関となるわけですけれども、その点でも、四月の二十八日の当委員会で仙谷大臣が、この再就職等監視委員会の機能の話のやりとりのときに、今度つくる委員会と前の委員会との比較をしていましたけれども、新委員会というのはあっせんをしないんだ、旧委員会というのはあっせんを行うんだ、あっせんをしない委員会が監視をしても問題ない、ずぶずぶにはならないんだ、このように述べておられたわけですね。
 しかし、防衛省においては、若年定年制隊員であれ、再就職のあっせんをするのも防衛省であり、監視するのも防衛省ということになると、これはずぶずぶの関係になってしまうのではありませんか。

○仙谷国務大臣 防衛省以外の公務員職場といいましょうか公務員にとっては、再就職のあっせんというのはむしろやってはならないことになっています。
 自衛隊・防衛省の場合には、あっせんをしてでも若返りを絶えず、不断に図っていくということでなければ自衛隊という組織が精強な部隊として、つまり使命感を果たす組織として維持できないのではないか、維持できない、そういう要請のもとに、むしろ若年あっせんということはあり得べしなんだという、前提が百八十度ぐらい違う、ここをひとつ御理解いただきたいと思うんです。

○塩川委員 あっせんをしてでもという場合になりますと、押しつけと癒着にならないようにという点がどこまで本当に機能するのかということが問われてくるわけであります。そういう点でも、独立した第三者機関が行うということがその担保につながると思うわけです。
 その上で、では、独立性の問題だけではなくて、監視機関として想定をしています防衛省の防衛人事審議会の監視のための体制がどうなっているのか、この点について、防衛省から、予算上の措置としてどのような体制の配置を考えているのかについてお答えいただけますか。

○上瀧政府参考人 御質問の審議会でございますが、これは防衛省の人事審議会に分科会として設置するというふうに考えております。
 これは、防衛大臣が任命いたします五名の隊員歴がない学識経験者で構成するというふうに考えておりまして、さらに、その調査を補佐するために、外部の有識者、これは例えば法曹関係の方なんかを念頭に置いておりますが、そういう方を非常勤として二名程度活用する。もちろん、事務局として、我々人教局が事務局になっておりますし、また、これ以外に、必要に応じて我々防衛省の中から必要な要員を調査に充てていくということを現在考えている次第であります。
    〔小宮山(洋)委員長代理退席、委員長着席〕

○塩川委員 今お話ありましたように、体制とすれば、防衛省の事務局はまさに防衛省そのものですから、監視機関としての体制は非常勤職員二名なんですよ。一方で、少なくとも、再就職等監視委員会については、予算上の措置で見ても、事務局十七名に加えて、監察官が常勤一名で、非常勤二十八名です。
 そういう意味でも、この適正化委員会が本当に機能するかどうかも疑問ではありますけれども、防衛省の監視機関そのものも極めてお粗末な体制でありまして、独立性がないだけではなくて、監視の体制もそもそも整っていないんじゃないのか、これで本当に機能するのか、このことがあわせて体制の問題としても問われるんじゃないかと思うんですが、大臣のお考えはいかがですか。

○仙谷国務大臣 さっきから私申し上げているように、これは前提が違うんですが、だからといって、何をやってもいい、要するに、一般の人から見れば、癒着というか、なあなあでやって、若い自衛隊員であろうが何であろうが受け入れるかわりに発注をもらうというふうなことが常態化する、そういうことがあってはならないというのは、塩川先生がおっしゃるとおりであります。
 しかしながら、その若き自衛隊員の再就職ということを絶えず防衛省としては考えて、新陳代謝とでもいいましょうか、そういう代謝機能を隊の中に持たないと、どうもみんなが高齢化していくような防衛組織では困るんだというお気持ちがあるというか、それは事の本質上そうなんでしょうね。そういうところにおいては、今までそういう観点でいろんな不祥事あるいは不祥事的なことも起こってきたんだろうと思うんです。
 だから、そこは今度は、非常に第三者性の高い人々を選任して、調査機能まで持ってなさる、自己規律を高めて行う、こうおっしゃっているわけでありますから、事態の推移、その機能の果たされ方というものをじっくりと見せていただくということにまずはしたいと考えているところであります。

○塩川委員 この間、議論してきましたように、防衛省そのものは、空自の官製談合事件を初めとして一連の不祥事を起こしてきた、その問題について公取から指摘をされた、その回答もまだ行われていない。いわば謹慎中の身でありながらこういう改正を行うというのは、どう考えてもおかしい。こういう部分については少なくとも撤回をすべきだということを申し上げなければいけない。
 大体、こういう案が出てくる背景として、例えば、平成二十一年三月、防衛省人事教育局の文書として……

○田中委員長 塩川君、時間です。

○塩川委員 はい。
 新たな再就職援助に係る防衛省の取組についてというのがありますが、ここに出ている案というのが自民党の国防部会に出された案なんですよ。その案が、基本的に今回の法案とまるで同じなんです。
 防衛省内に身内の監視機関を置くことを含めて出されているわけで、そういう点でも、私は、今回の案が、防衛省の中で出された案をそのまま出してきている、いわば防衛官僚主導のそういう中身となっているという点でも極めて重大だ、この点でも撤回を求めると同時に、防衛大臣の出席も得て一層の審議を行うべきだ、きょうの質疑終局、採決などは決して許されるものではないということを最後に申し上げて、質問を終わります。