<第174通常国会 2010年05月27日 本会議 32号>



○塩川鉄也君 私は、日本共産党を代表して、近藤昭一総務委員長解任決議案に賛成の討論を行います。(拍手)
 近藤昭一委員長は、二十五日の委員会において、与党の強行方針に唯々諾々と従って、放送法改正案の質疑を終局し、野党の質疑権を封殺して、採決を強行したのであります。委員会の公平公正な運営を尽くすべき委員長の職責を投げ捨てたものであり、委員長解任は当然であります。
 今回の放送法等改正案は、制定以来六十年ぶりの大改正であり、放送の自由にかかわるだけに慎重な審議が求められておりました。野党から修正案が提出をされ、与野党の修正協議が開始をされ、参考人質疑を行って、いよいよ本格的な審議に移ろうとしたやさきに強行採決が行われたのであります。
 二十五日の朝の理事会で、与党は、修正協議打ち切りを一方的に主張し、与党修正案を提出しました。これに対して、野党側は、修正案への質問通告は前日十六時までに行うという理事会合意があることを指摘し、与党修正案に対する質疑時間を後日保証することを求めました。
 近藤委員長は、与党修正案の趣旨説明はさせていただく、その質疑については筆頭間で協議いただきたいと仕切って、委員会を開会したのであります。この経過は、速記録からも明瞭であります。だから、二十五日の最初の質疑者、公明党の西議員と、私塩川は、与党修正案提出者への質疑は留保をして政府質疑を行ったのであります。
 ところが、近藤昭一委員長は、こうしたみずからが仕切った議事さえも貫かず、なし崩し的に与党修正案に対する質疑を開始し、与党の動議に従って強行採決の暴挙に至ったのであります。しかも、緊急上程の決議まで強行し、乱暴きわまりない委員会運営を行ったのであります。断じて容認できません。
 加えて、重大な問題は、本法案の緊急上程を見越して十二時の議院運営委員会を先延ばしにし、何の合理的な理由もなく十三時の本会議を延期するという、まさに前代未聞の珍事まで引き起こしたのであります。
 その背景には、郵政法案と派遣法は何が何でも押し通すという小沢一郎幹事長の指示があったのであります。幹事長の指示が発せられるや否や、それまでの与野党協議や経過を投げ捨てて強行に走る、議会制民主主義を踏みにじって恥じない民主党の姿勢を厳しく糾弾するものであります。
 そもそも、この法案は、放送に対する総務大臣の権限強化を内容とする法案です。
 その第一は、総務大臣が放送番組の編集事業者を直接審査、認定することにし、認定事業者が番組編集準則に違反していると判断すれば、業務停止命令まで可能にしたことであります。
 現行の放送局免許は、電波法に基づく施設免許であります。これは、番組内容に対する行政の直接的な審査、関与を防ぐことで、放送の自由を制度的かつ厳格に保障してきたものであります。この原則を変えることは、番組内容への行政の恣意的な介入を招きかねません。
 第二は、マスメディア集中排除原則の出資上限規制の法定化を口実に、新たに集中排除原則違反に対する免許取り消し権限を総務大臣に与えたことです。
 与党修正案によって、電波監理審議会の権限強化規定を削除したとしても、総務大臣の権限強化法案という本質は、何ら変わるものではありません。
 本法案は、NHK会長の権限強化も盛り込んでいます。国民の代表としてNHKの執行を監督する経営委員会に、監督される側の会長が加わることは、経営委員会の監督機能を弱める一方で、会長への権限集中を一層強めるものとしかなりません。
 こうした重大な内容を持つ本法案を、十分な審議を尽くさず、強行採決をした近藤昭一委員長と与党の責任は重大であり、解任は当然です。
 以上申し述べ、賛成討論を終わります。(拍手)