<第176臨時国会 2010年10月28日 総務委員会 3号>



○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 人勧の質疑に当たりまして、最初に、女性国家公務員の管理職登用問題についてお聞きいたします。
 人事院の公務員人事管理に関する報告の中で、女性国家公務員の採用、登用の拡大について指摘をしております。男女共同参画社会基本法制定から十一年ですが、現実は、ことし七月の男女共同参画会議の答申でも、男女共同参画が必ずしも十分には進まなかったと反省を述べているのが実態であります。国連女性差別撤廃条約と日本国憲法を生かした男女平等の取り組みを前進させるときであります。
 人事院報告では、国の行政への参画は、男女共同参画社会実現のために政府全体として積極的に取り組むべき重要な課題である、このため、本院策定の女性国家公務員の採用・登用の拡大に関する指針に基づき、各府省は平成二十二年度までの目標を設定した女性職員の採用・登用拡大計画を策定して取り組みを進めているとあります。
 時間の関係があるので、採用についてはきょうは聞かずに、登用に限ってお尋ねしたい。
 そこで、目標の点では、数値目標、スケジュールの方は内閣府の方で示されておりますので、まず内閣府にお尋ねします。
 この登用についての政府としての目標はどうなっているのか、また、府省ごとの数値目標やスケジュールはどのようになっているのか、この点についてお答えください。
    〔委員長退席、福田(昭)委員長代理着席〕

○末松副大臣 お答え申し上げます。
 女性国家公務員の管理職への登用につきましては、平成二十年四月の女性の参画加速プログラムにおきまして、「政府全体として、本省課室長相当職以上に占める女性の割合を、平成二十二年度末に少なくとも五%程度とする」という目標が定められております。
 また、各府省ごとにそれがどういうふうな形で女性職員の採用・登用拡大計画において定められているかというと、大体十五府省がその具体的な数値目標を定めているところでございます。

○塩川委員 今の点についてちょっと確認なんですけれども、末松副大臣は政府全体の目標について、五%程度というのを平成二十二年度とおっしゃったように聞こえたんですが、平成二十二年度末ということですよね。(末松副大臣「ええ、そうです」と呼ぶ)はい。
 そういうことと確認した上で人事院にお尋ねしますが、このいわゆる管理職相当、本省課室長相当職以上に占める女性の割合は政府全体でどのぐらいになっているのかについて教えてください。

○菊地政府参考人 女性国家公務員の登用状況につきましては、採用・登用拡大状況等のフォローアップの実施結果によりますと、本省課長、室長級以上に占める女性の割合について見ますと、平成二十一年一月現在で二・二%になっております。

○塩川委員 二十二年度末に五%程度という目標に対して、二・二%というのが実態であります。この人事院の報告でも、管理職等への登用については女性職員の割合が依然として低いと指摘をしております。ですから、二十二年度末までに五%程度とするのには大分遠いというのが今の状況であります。
 そこで、改めて内閣府にお尋ねいたしますが、先ほど副大臣はお答えにならなかったんですけれども、男女共同参画推進本部決定、平成二十年四月八日の女性の参画加速プログラムで、各府省ごとの数値目標とスケジュールはどのようになっているのかということなんです。ちょっと読み上げますけれども、「各府省において、「女性職員の採用・登用拡大計画」等に、本省課室長相当職以上に占める女性の割合を現在の割合より少なくとも三%程度を基本として増加するという数値目標を設定」する、このように書かれておるわけですね。
 そこでお尋ねなんですが、これは起点が、この時点での現在ですから平成二十年の四月、また終点の方は二十二年度末ですね、数値目標は三%程度を上乗せする、この三点を示しているわけであります。もちろん、起点の方は、実際各省が計画を改定するに当たって平成二十年の七月になったり九月になったりというずれはあるでしょうけれども、いずれにせよ、平成二十年四月以降を起点として、二十二年度末という終点に向けて、三%程度上乗せするという数値目標を設定している府省等は幾つなのかをお尋ねします。

○末松副大臣 先ほどちょっと、そこまで聞かれたかと思いまして答えてしまいました。
 これについては、先ほど申し上げましたように、十五府省がそういった計画を持っております。

○塩川委員 それは、私が言った今の三点を押さえた数というふうに本当に副大臣はお考えですか。

○末松副大臣 大体各府省で、十五府省の中では、三%程度増加させるという目標をほとんどの府省が掲げておりまして、例えば厚生労働省なんかは、最終的には八・三%程度までふやす、こういったことを決めている省もございます。

○塩川委員 例えば、十五の中に防衛省とか入っていますけれども、防衛省の計画というのは、女性の参画加速プログラムにある「三%程度を基本として増加する」を踏まえ、「更に拡大するよう努める。」というだけなんですよ。「更に拡大するよう努める。」というのが防衛省の数値目標なんですよ。そういうことを御存じですか。

○末松副大臣 今委員がおっしゃったように、確かに、本省課室長以上に占める「女性の割合を現在の割合よりも少なくとも三%程度を基本として増加する」を踏まえということでございますが、これを踏まえてやっていくということでございます。そこを目標にしながら拡大するということを言っておりますので、私どもとしては、これも三%増加するということを目標にしているという形で考えております。

○塩川委員 防衛省そのものも具体的な数字というのはないんですよ。さらに頑張ると言っているだけなんですよ、これ。あるいは文科省なども、三%程度増加させることを目標とするとあるんだけれども、起点の方が平成十八年の一月になっているんですよ。平成二十年の四月以降じゃないんですよ。
 ですから、基準のとり方が、その省の都合に合わせて起点を適当にとったり、終点があいまいだったり、三%上乗せということ自身もはっきり書いていない省が大半だということについて、御存じないんですか。

○末松副大臣 私ども、各府省から出てきた数字をもとに判断して十五府省と考えておりまして、みんな、どの府省も三%増加させるということを目標にしているということでございますので、そういった意味で十五府省は、私どもこの数字に入れているわけでございます。

○塩川委員 数値目標を持っていない省もあると聞いていますけれども、それはどこだか御存じでしょうか。

○末松副大臣 国土交通省が未定ということで、報告をされておりません。

○塩川委員 今お話ししましたように、持っていない省もそもそもありますし、私が言ったように、そもそも、閣僚が参加をしている男女共同参画推進本部が決定をした各府省ごとの数値目標とスケジュールについて、この基準に合わせてはっきりとした計画を出している省というのはほとんどないんですよ。私は、そういう立場でもう一回見直してもらわないと困る。
 というのは、国連の女性差別撤廃委員会の勧告でも、数値目標とスケジュールを設定した暫定的特別措置を導入するよう要請するとあり、日本政府に対するフォローアップの対象項目ともなっているわけです。政府の第三次男女共同参画基本計画策定に向けた答申では、「府省ごとに、採用及び管理職の登用について、「二〇二〇年三〇%」に向けた具体的な中間目標を設定するほか、」「女性の登用が進むよう積極的に取り組む(例えば各府省において中間目標達成のための工程表を作成するなど)。」とあるわけです。
 ですから、この答申も踏まえて、政府として、ぜひ管理職の登用について府省ごとの数値目標とスケジュールをきちんと設定した特別措置を行うべきだ、それなしにやはり進まないと考えますが、内閣府のお答えをいただきます。

○末松副大臣 政府としてこれまでも、社会のあらゆる分野において、二〇二〇年までに指導的地位に女性が占める割合が少なくとも三〇%程度という目標を掲げて取り組んできましたが、委員御指摘のように、公務員の分野について女性の参画が十分には進んでいないという現状にはございます。
 また、委員御指摘のとおり、女子差別撤廃委員会からの最終見解において、行政分野を含め女性の参画促進のためのポジティブアクションの実施が勧告され、二年以内の実施状況のフォローアップが求められております。
 このため、第三次男女共同参画基本計画策定に当たっての基本的な考え方について、本年七月に男女共同参画会議から内閣総理大臣へ提出されました答申におきましても、国家公務員の採用及び管理職の登用について、各府省ごとに、二〇二〇年三〇%に向けた二〇一五年までの具体的な中間目標を設定するということの御提言をいただいております。
 政府におきましては、この答申の内容に沿って、第三次男女共同参画基本計画を年内に策定するように検討を進めているところでございますが、女性国家公務員の採用、登用につきましても、各府省ごとに具体的な中間目標を設定したり工程表を作成したりするなどして、実効性のあるものとしますよう検討していきたいと思います。

○塩川委員 みずから決めている男女共同参画推進本部の決定に沿った各府省の数値目標、スケジュールについて、きっちりとした実態を踏まえずに物を言っても進みませんので、今の答弁を本当に具体化をする上での取り組みというのを求めたいということであります。
 女性の働きやすい環境の整備こそ女性の登用拡大につながるわけで、転勤を登用の要件にするべきではない、あるいは育児休業中の代替要員の確保とか、長時間労働の是正などをしっかり行っていくということが必要で、これが結果として男女とも働きやすい職場環境をつくることになる。女性国家公務員の管理職登用の拡大は政府みずからの責任でやることができるわけですから、積極的な改善措置をとるべきだと思います。
 ちょっと時間の関係で、総務省の取り組みもお聞きしたかったんですが、またの機会にしたいと思っております。
 最後に、人事院総裁にお尋ねします。
 人事院の最も重要な役割は、言うまでもなく、公務員の労働基本権制約の代償機能としての役割を果たすことであります。現行の国家公務員法は、公務員の地位の特殊性を理由に公務員の労働基本権を制限しております。その点から、代償措置としての役割を人事院が担っています。だからこそ人事院は政府から独立をし、中立な立場から、国家公務員の身分、任免を含む、賃金や労働時間を定める役割を持っております。
 今、菅内閣は、公務員人件費二割削減を掲げております。これまでも、小泉内閣の時代に骨太方針で総人件費抑制政策が打ち出され、公務員の純減やあるいは総人件費抑制計画が閣議決定をされ、政治的な圧力が強められ、そのもとで人事院の役割が投げ捨てられてきたのではないのか、こういう指摘が行われてきたところであります。政権交代の後で、私も原口大臣にこの点での検証が必要だと提起もし、原口大臣からは、前政権で何が起きていたのか検証したいという答弁もございました。
 人事院は、国家公務員の人件費二割削減に向け、人事院勧告を超えた削減を目指すという菅内閣の言いなりにならずに、独立、中立な立場を堅持しなければならないと考えます。このことについての人事院総裁の見解をお尋ねしたい。

○江利川政府特別補佐人 人事院の機能につきましては、先生の御指摘のとおりだと思います。
 私どもは、労働基本権制約の代償機能として、それから公務員の人事管理の中立公正性の確保、これが大きな任務だと思っておりまして、公務員法によりまして内閣の所轄のもとに置かれる組織でありますが、独立した第三者機関としてその職責を果たしてまいりたいと思っております。

○塩川委員 今回の人事院勧告は、二年連続の大幅な給与引き下げのマイナス勧告でもありますし、五十五歳以上の職員をねらい撃ちにするような引き下げも行われているという点で、政府の総人件費抑制政策に沿ったものと言わざるを得ない、この点も厳しく指摘をして、質問を終わります。