<第176臨時国会 2010年11月11日 総務委員会 4号>



○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 給与法に関連して質問をいたします。
 片山大臣は、国家公務員総人件費二割削減担当ということであります。マイナス人勧完全実施の今回の給与法案は、この総人件費二割削減の一環ということでもあります。
 人件費二割削減をどのように行うかについて、片山大臣は、単価掛ける人数の問題だとおっしゃっておられて、具体的には、退職金や手当の見直し、また労使交渉を通じた給与の見直しなどとともに、事務事業の見直しや地方出先機関の地方移管などで公務員数の削減を行う、このように述べています。
 きょうは、総人件費二割削減に関連して、国民の生活に大きな影響を与える公務員削減について質問をいたします。
 例えば、障害者の方の自立の支援を行っていく国立障害者更生援護機関の統廃合計画があります。静岡県にあります伊東重度障害者センターや、栃木県の塩原視力障害センターの廃止計画があります。頸椎の損傷者の方が利用する重度障害者センターや、また、人生の途中で視力を失った方たちがあんまやはりやきゅうの資格を身につけて社会に復帰するための養成施設、生活訓練施設である視力障害センターの廃止計画であります。
 最初に厚生労働省にお尋ねをいたしますが、この廃止方針の背景として、二〇一〇年度から五年間で一割以上の定員を削減する、自公政権時代につくられました新定員合理化計画があるのではないかと思いますが、その点について確認をいたします。

○藤村副大臣 お答えいたします。
 塩原視力障害センターそれから伊東重度障害者センターの機能ということを今お尋ねでありまして、これを我々の方は国立障害者リハビリセンター、いわゆるリハセンターに統合する方針ということでございまして、端的に結論を申しますと、平成二十二年度からの定員合理化計画への対応というのも背景の一つではあります。
 ただ、統廃合を行う背景としては、まず、塩原視力障害センターについては利用者が減少していること、それから、塩原、伊東両センターと国立障害者リハビリセンターの利用者の出身地域が重複していること、そして三番目に、統廃合によって医療から就労訓練まで一貫した支援が行えるなど、利用者に対するサービスが充実できることなどでありまして、これらの理由をもって塩原そして伊東を統廃合する、こういうことでございます。
 なお、今後とも、国立施設として対応していくべき新たな課題などに必要な定員については、別途増員要求していく考えでございます。

○塩川委員 廃止について、新定員合理化計画が背景の一つという話がありました。
 厚生労働省内部の通達におきましても、新たな定員合理化計画では最低でも六十九名の合理化、削減を行う必要があり、現在の八施設を現状のまま維持することでは合理化への対応が困難であること、このように述べて、伊東の重度障害者センター、また塩原視力障害センターの廃止ということが打ち出されたわけであります。
 これらの施設については、利用者が減少しているという話がありましたけれども、例えば視力障害センターそのものは、そもそも視覚障害者の方に知られていないという問題がある。ですから、存在を知らずに引きこもっている方も少なくありません。さらに、この利用者減少の背景には、障害者自立支援法による自己負担増の影響なども強く出ているわけですし、伊東重度障害者センターに至っては利用者もふえているわけで、廃止方針に道理はありません。
 そういう点でも、この廃止方針をぜひとも撤回していただきたい。厚生労働省としての答弁を改めて求めます。

○藤村副大臣 お答えいたします。
 昨年の九月にこの廃止通達というもの、今御案内いただきましたのが出ています。それはちょうど政権交代の時期でもありました。昨年九月であります。
 この一年、我々の方の新しい政権においてもさまざま議論をしたのは事実でございます。その結果として、幾つかの経緯はありますが、一番最新のものとしては、先般、十月の二十五日に、現細川大臣のもとで我々政務三役が再度議論をいたしました。その際、統廃合についての合意ということで、この塩原、伊東センターを廃止するということは再度確認をしたところでございますので、今見直す考えがあるかという御質問ですので、それは結果としてはないということでございます。
 なお、今後、現在の利用者が修了するまでしっかりと訓練を行って、不利益が生じないようにするとともに、国立障害者リハセンターへの円滑な引き継ぎに向けて取り組んでまいりたいと考えております。

○塩川委員 それぞれの施設の地元においてはぜひとも存続をという声が広がっておりまして、伊東の重度障害者センターの地元である伊東市議会でも、また塩原の視力障害センターのある那須塩原市議会においても、九月議会において存続を求める、廃止反対の意見書も採択をされているわけです。地域に根差してきた、障害者の自立を支援する、あるいは重度の障害者の方の生活を支援する、こういう国立としての施設の役割が求められている施設が廃止をされるということは許されないと強く申し上げます。
 片山大臣にお尋ねしますが、こういう廃止計画が行われる背景としてこの新定員合理化計画などの公務員削減方針がある、こういう公務員削減方針が障害者の方の自立を阻害するものとなっているのではないのか、大臣としてのお考えをお聞かせください。

○片山国務大臣 先ほど来、公務員の数をもっと減らせという議論が随分あったと思います。やはりそれはそれで必要なことだと思いますから、その政策は進めていかなければなりません。それを各省で、それぞれの分野で検討するということであります。それぞれの各省で、現場で御苦労いただいて、そしてできるだけ必要なところの行政サービスが低下しないようにという前提のもとで御苦労いただいているわけでありまして、その結果はやはり、それぞれの部署ごとの結論というものを尊重しなければならないと私は思います。

○塩川委員 障害者自立支援法が廃止をされて総合的な障害者福祉法を実現しようというときに、この国立障害者更生援護機関の役割も一層重要になっているわけで、しかしながら、この新定員合理化計画があるために廃止に追い込まれようとしているわけです。これらの人件費二割削減の路線によって障害者の自立を阻害するような施設廃止方針は撤回をすべきだと、改めて強く申し上げるものであります。
 また、人件費の二割削減方針というのは、地方における住民サービスの向上の障害となる懸念というのも見ざるを得ません。
 給与法案の閣議決定の際に出しました総務大臣の談話におきましては、「地方公共団体においても行財政改革の取組が進められているところです。各府省においては、地方公共団体に定員の増加を来し、人件費の累増をもたらすような施策を厳に抑制されるようお願いいたします。」と述べております。ですから、地方に対し、定員の増加を来すようなことはやらないでくれと各府省に要請をしているわけです。
 一方で、文部科学省は、来年度の概算要求の中でも、三十年ぶりの四十人学級の見直し、十年ぶりの教職員定数の改善計画の策定の具体化を目指しております。
 文部科学省にお尋ねをいたします。この少人数学級の実現、十年ぶりの教職員定数改善計画策定の理由は何なのか、お答えください。

○笠大臣政務官 今委員がおっしゃったように、来年度から新学習指導要領が本格的に実施をされる、あるいは、今、学校現場も不登校等々さまざまな課題を抱えております。
 こうした中で、一人一人の子供たちの学びを充実させ、あるいは質の高い教育を実現していくためには、何としても少人数学級を推進していきたい、これは恐らく共産党さんのまた公約でもございますし、各党そうした方針を示されております。
 こうした思いから、文部科学省といたしましては、八月二十七日に、三十年ぶりに四十人学級を見直して、三十五人、三十人学級の実現を柱とする新たな教職員の定数改善計画案を策定したところでございます。
 来年度の二十三年度の概算要求においては、計画の初年度分として、小学校の一、二年生でまず三十五人学級を実現する教職員定数の改善を現在盛り込んでいるところでございます。
 国民の皆様方からも、この特別枠の要望に対する多くの、この少人数学級実現へ向けた期待というものも寄せられておりますので、しっかりとその実現へ向けて取り組んでまいりたいというふうに考えております。

○塩川委員 教職員定数の純減が何人となるのか、平成三十年度の時点で約二万人の純増と承知をしておりますが、その点を確認させてください。

○笠大臣政務官 この改善計画の実施に必要となる教職員の定数は、今委員おっしゃったように、八年間でまず五万一千八百人であります。ただ、一方、児童生徒数の減少に伴う教職員定数の減っていく分が三万二千四百人見込まれておりますので、一万九千四百人の純増ということで試算をしております。

○塩川委員 少人数学級は、保護者や学校現場の切実な要求にこたえたものであります。現場からは、もっと早く上乗せをして実現してもらいたいという強い要望も出されているわけであります。
 そこで、片山大臣にお尋ねいたします。
 総務大臣談話では、地方自治体の定員増加を抑制するよう各府省に要請しておりますが、この大臣の談話に基づけば、教職員純増を抑制することになりはしませんか。

○片山国務大臣 談話で申し上げたかった趣旨は、そもそも自治体の定員管理というのは、自治体が責任を持って行うことであります。主体的、それから自主性の原理のもとで行うものであります。減らせ減らせというだけではないわけです。減らすべきところを減らして、ふやすべきところはふやすというのが自主的、主体的な管理であります。
 ところが、なかなかその自主性、主体性を発揮できない面が、決してないわけではない。例えば、私も知事をやっておりましたときに、ある二つの課を統合しようと思いましたら、そして縮減できますので、中央官庁から横やりが入りました。そういうことはやめてくださいということであります。それは自主的にやりますと。一方で、同時並行的に、独自に小中学校を四十人学級から三十人学級にしたりしました。ですから、そういうことが自由にできるようにしてくださいという趣旨なんです。
 一方、今回の教職員の定数の改善につきましては、これは別途、政府で財政当局やら総務省も関与してこの計画について検討を加えることになりますけれども、これが現下の我が国の教育現場において必要だということで国策として決まりますれば、当然それを実施することになります。
 これについては、三分の一が負担金として国費、三分の二は税体系と地方交付税とできちっと財源保障されますので、それはそれとしてやればいいことでありまして、この談話との間に矛盾することはないと考えております。

○塩川委員 減らすべきところを減らして、ふやすべきところはふやしていくという言い方ですと、教員をふやすとしたら、どこか福祉の職員を削れということにもなりかねない、これでは国民の要求にこたえた増員要求を抑え込むことにしかならないという面があります。
 そもそも民主党としては、教職員定数増の要求をマニフェストとしても掲げてきたわけであります。我が党とも一緒に法案まで出して少人数学級を求めてきたわけですから、そういうことであれば、この教職員定数増について、地方の定員増加を抑制するという対象にしていること自身がおかしいんだと思うんですね。
 ですから、大臣がおっしゃったように、国策として決まれば実施することになるという人ごとみたいな話じゃなくて、そもそも、これはやるんだ、だから抑制するという対象に入っていない、そういうことこそ必要なんじゃありませんか。改めて。

○片山国務大臣 先ほど来申しましたように、自治体が独自の分野で自主的、自律的にやる分野に口を差し挟まないでくださいねというのが趣旨なんです。
 一方、教職員の場合は、標準法定数という法律がありまして、これは国民の代表である国会で決めるものであります。そういう中で決まったものは、ちゃんと一方で財源措置もありますから、それは自治体の財政について、全く影響ないとは申しませんけれども、大きな障害を与えるわけではありません。そういうものについてまで否定しているわけではありません。

○塩川委員 といいますのも、もともと文部科学省は、五年前にも教職員の定数増員計画を立てようとしたわけです。しかしながら、地方にも公務員削減を押しつける行革推進法によって断念に追い込まれたというのが過去の経緯であります。同じことを繰り返すことは許されないわけで、国が地方行革を押しつけてきた反省こそ求められているのに、この地方行革を前提としたような職員の純増を抑制するようなことは認められないということを申し上げておくものであります。
 最後に、今回の給与法案は、二年連続のマイナス人勧を実施するものであり、また五十五歳を超える職員に対して大幅な引き下げを行うという点で、極めて重大です。数百万人の給与に深刻な影響を与えて、消費を冷え込ませるなど経済にも大きな影響を与えかねないということを指摘し、深掘りなどはとんでもないということを申し上げて、質問を終わります。