<第176臨時国会 2010年11月16日 総務委員会 5号>



○塩川委員 私は、日本共産党を代表し、政府提出の地方交付税法改正案に反対の討論を行います。
 本法案は、菅内閣の緊急総合経済対策を具体化する補正予算案と一体のものであり、その内容は、増額となった一兆三千百二十六億円の交付税のうち、三千億円を交付税とする一方、大半の一兆円余りを来年度の地方交付税の総額に繰り越すものであります。
 そもそも地方交付税法は、交付税が増額になった場合、当該年度の特別交付税に加算し地方自治体に配分すること、配分された交付税は、地方自治体が自主的に判断して必要な財源に充てると定めております。地方の固有財源は速やかに地方自治体に配分し、地方自治体自身の手によって使い方を決めるというのが法の趣旨であります。普通交付税の算定見直しが可能な年度途中において普通交付税で措置する方法はあり得るにしても、基本は、地方交付税法の趣旨に従い、地方に全額配分すべきであります。
 今、地域と国民の生活は危機に瀕し、防災対策や地域経済振興策、雇用対策、住民生活を支える福祉、医療の支援など、地方自治体が行うべき取り組みは、多様な分野で数多くあります。ところが、民主党政権は、財界、大企業を応援することには力を尽くす一方で、国民の暮らしを支援する有効な手だてをとっておりません。菅内閣の新成長戦略にも今回の補正予算にも、国民の生活と営業を救済する有効な手だては見当たりません。追加する三千億円の交付税も、補正予算に伴う約五千七百億円の地方負担を、国、地方の折半ルールを適用して財政措置するという枠組みにはまったもので、地方が必要とする財政需要にこたえるという点では不十分であります。
 一方で、本法案は、交付税約一・三兆円の大半を来年度の地方交付税の総額に繰り越すものであります。これは、地方交付税の総額を確保するという国の責任を投げ捨てるものであり重大です。歴代内閣は、交付税率の引き上げには背を向け、財源不足分は国、地方の折半ルールで地方に負担を押しつけてきたのであります。地方の固有財源である交付税を来年度の財源不足の圧縮のために使うことは許されず、本法案には反対するものであります。
 なお、自民党提出の修正案は、旧来型の公共事業中心の経済対策を進める自民党の補正予算組み替え案と一体であり、賛成できないことを申し述べ、討論を終わります。