<第176臨時国会 2010年11月16日 総務委員会 5号>



○塩川委員 私は、日本共産党を代表して、国家公務員一般職給与法案に対し、反対の討論を行います。
 反対理由の第一は、本法案は、過去最大規模の年収減となった昨年に続いて、平均九万四千円もの年収減を公務労働者に押しつけるものだからであります。
 また、五十五歳超の職員をねらい撃ちに、その月例給を一・五%引き下げることも重大です。職務給原則、能力・実績主義など公務員労働者の賃金原則に背くこのようなやり方は容認できません。
 地方公務員を初め、独立行政法人、国立大学法人、学校、病院等、約五百八十万人の労働者にも大きな影響を与え、さらに、民間労働者の給与、ボーナスにも波及して、国民の消費を一層冷え込ませることは明らかであります。
 反対理由の第二は、本法案は、菅内閣の国家公務員の総人件費二割削減の第一段階として、人件費削減を実行するものだからであります。
 菅内閣が次期通常国会に給与削減のための法案提出を明らかにしたことは、極めて重大です。
 人事院勧告制度が定着して以降、人事院勧告が出される前に、その年の給与削減を目的とし、いわば人事院勧告に枠をはめる法案が出されたことは、かつて一度もありません。まさに異常なやり方と言わなければなりません。
 国家公務員の労働基本権制約の代償措置としての人事院勧告の役割を覆すこうした法案の提出は、到底認められません。
 総人件費二割削減は、国民生活を支える公務労働の役割を大きく後退させ、憲法が保障する国民の生活と権利を大きく脅かすものであります。また、公務員削減を印象づけることで、消費税を初めとする庶民増税への露払いの役割を果たすという点でも、さらには、出先機関の廃止を初め、財界がねらう道州制への道筋をつける点でも、重大です。
 なお、特別職給与法案については、内閣総理大臣や国務大臣等の給与、ボーナスは一般職職員と比べても高額であり、国民感情からもその引き下げは当然であり賛成、また、国家公務員育児休業法案についても、国家公務員、地方公務員の非常勤職員に育児・介護制度の適用を広げるものであり、賛成するものです。
 最後に、みんなの党提出の一般職給与法に対する修正案については、国税庁の民間給与実態調査との比較に基づいて人事院勧告の深掘りを行うもので、人件費の一層の削減を推進するものであり、反対の立場を述べ、討論を終わります。