<第177通常国会 2011年02月07日 予算委員会 7号>



○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 きょうは、最初に、地デジの問題について質問をいたします。
 毎日毎日、テレビでは、ことし七月二十四日にテレビのアナログ放送が終了するというコマーシャルを大々的に行っております。一方、国民からは、批判や不安の声も上がっております。今のテレビで十分に間に合っているとか、テレビ画面での嫌がらせがひどいとか、使えるテレビをごみにするのはおかしいなどの声が上がっているわけであります。また、ビル陰の共聴施設など、関係者の協議や調整が調わずに、間に合わないんじゃないか、こういう意見も寄せられているところであります。このままではテレビが見られなくなる、テレビ難民が生まれるという懸念があるにもかかわらず、片山大臣は、アナログ停波延期は考えていないとおっしゃっておられます。
 そこで、まず片山大臣に確認でお聞かせいただきたいんですが、地上波テレビ放送というのは、基幹的な放送として重要な役割を持っているわけです。アナログ放送の停波を決めたあの二〇〇一年の電波法の改正の審議の際にも、当時、片山虎之助総務大臣でございましたが、地上波放送は基幹的な放送メディア、国民にとって最も身近で必要不可欠な情報入手手段、アナログからデジタルに移行しても、ユニバーサルサービスとしての性格、あるいは災害時等のライフラインとしての性格はしっかりと残していかなければならないと答弁しております。
 そこで、お尋ねしますが、地上波テレビ放送はユニバーサルサービスであり、また災害時等のライフライン、そういう立場に変わりはないか、お尋ねいたします。

○片山国務大臣 塩川議員にお答えをいたします。
 今おっしゃったとおりでありまして、地上テレビ放送といいますのは、国民にとって最も身近で必要不可欠な情報入手手段でありますし、災害時などにおけるライフラインとしての性格も持っておりますので、最も基幹的な放送メディアだと私も思います。であればこそ、これを地上デジタルに移行するということについて、十年間という移行期間を法律で確保して、今日まで鋭意その準備をしてきたということだろうと思います。

○塩川委員 ユニバーサルサービスであり、災害時等のライフライン、基幹的な放送としての役割というお話がございました。だからこそ十年間の移行期間で今進めているところですという話です。お話にありましたように、なくてはならないのが地上波テレビ放送でありますが、しかしながら、受信者側、視聴者側の地デジ対応の現実がどうなっているのか、本当に間に合うのか、こういう声が上がっているわけであります。
 何点か確認でお聞きしたいわけですが、一つは、最も早く地デジ放送が開始をされて、受信者側の準備期間が長かったのが首都圏であります。東京都の場合でお聞きしますが、東京都の戸建ての住宅、また集合住宅、これは集合住宅の施設数において、現状の地デジの対応状況は何%になっているのか、その点についてお聞かせください。

○片山国務大臣 お尋ねのありました東京都の戸建て住宅の場合での地デジ対応率でありますが、これは、NHKが把握している数値によりますと、平成二十二年十二月末で七九%と伺っております。
 それから、東京都の集合住宅の地デジ対応率につきましては、施設数で見ると、同月末、昨年の十二月末で八三・一%、世帯数では九〇・一%というふうに伺っております。

○塩川委員 二〇〇三年から地デジの放送が開始をされた首都圏ですけれども、いまだに戸建て住宅、集合住宅ともに八割しか対応していない。つまり、二割が対応できていないわけであります。首都圏の場合は特に、アンテナをVHFからUHFに切りかえなくちゃいけない。これについて、現状は実際には進んでいない。
 あと七カ月しかないのに、十二月末の時点で二割が対応できていない。世帯数でいっても、六十万世帯が残されているわけですし、東京に加えて、千葉、神奈川、埼玉の一都三県で見ましたら、百十万世帯以上が地デジに未対応というのが十二月末の現状であります。
 加えて、全国的にもおくれがあるわけですが、例えば沖縄の先島諸島、宮古島あるいは八重山、石垣の状況というのも、例えば宮古島市及び宮古郡は六五%です。石垣市は六九・七%。三分の一がまだ地デジに対応できていないという極めて重大な事態で、要するに、困難な場所が大きく残されているというのが実態であります。地域的なアンバランスがここにあるわけです。
 二つ目にお聞きしたいのが、低所得者世帯の現状であります。
 総務省が浸透度調査を行っておりますが、年収が二百万円未満の世帯の地デジ普及率はどうなっておりますでしょうか。

○片山国務大臣 昨年九月時点でありますが、お触れになられました浸透度調査、地上デジタルテレビ放送に関する浸透度調査結果によりますと、年収二百万円未満の世帯における受信機の普及率は八〇・三%ということに調査結果はなっております。

○塩川委員 ここでも八〇・三%という形で、二割の方が対応できていないわけであります。
 政府は低所得者世帯への支援策を行っておりますけれども、このメニューについて簡単に御説明いただけますか。

○片山国務大臣 低所得世帯への支援というのがありまして、これは、カテゴリーでいいますと、一つはNHKの受信料全額免除世帯への支援、それから市町村民税非課税世帯への支援と、それぞれありまして、前者の方でいいますと、簡易なチューナーの無償給付、訪問設置、それからアンテナの工事等、これは必要な場合でありますけれども、これの支援をすることになっておりますし、非課税世帯への支援については、チューナーの無償給付と電話によるサポートということになっております。

○塩川委員 今お話がありましたように、NHKの受信料全額免除世帯、中心は生活保護の世帯であります。これは、アナログテレビを前提として、チューナーをつけることと、アンテナの切りかえが必要な場合にはその費用も出しましょうねという形で全額費用負担を行う。
 しかし、市町村民税の非課税世帯に支援を拡大しました。でも、その支援というのは、今お話しのように、チューナーだけなんです。アンテナの切りかえはないんですよ。首都圏のようにアンテナをVHFからUHFに切りかえなくちゃいけないのに、市町村民税非課税世帯への支援では、チューナーだけぽんと渡されて、あとは自前でやってくださいということで、どうしてこういう世帯の人が対応が可能なのか。
 こういう点でも低所得者世帯が大きく残されているにもかかわらず、今の政府の支援策が極めて実態にそぐわない現状となっている、全く実態とかみ合っていないということが言えるわけです。
 もう一点お聞きしたいのが、高齢者世帯でございます。年をとってくると新しい機器に対応するのもなかなか大変であります。
 厚生労働省の国民生活基礎調査によりますと、八十歳以上の単身世帯の方が百万世帯あるそうです。また、世帯主が八十歳以上のそういう世帯も百五十万、合計二百五十万の八十歳以上の世帯主の方を中心とした世帯というのがあるわけです。
 そこで、片山大臣にお尋ねしますが、先ほど答弁をされました総務省の地デジの普及状況の調査、浸透度調査というのは、この八十歳以上の世帯の調査というのはあるんでしょうか。

○片山国務大臣 この調査においては、八十歳以上という区分は設けておりません。

○塩川委員 ですから、二百五十万も世帯のある八十歳以上の方に対して、今総務省、政府が普及状況の実態すら把握をしていないということであります。
 実際、一生懸命、マンションの管理組合の理事長さんなどが丁寧に一軒一軒回って、地デジに切りかえる必要があるんですよ、こんな話をされますけれども、御年配の方にすると、白黒からカラーの切りかえのイメージがありますから、うちは大丈夫だ、今のテレビでも映るから、こういうことで、地デジへの切りかえというのはぴんとこない。本当に丁寧に説明しないと、この切りかえというのは進まない。もちろん所得の関係もありますから、負担の関係でなかなかできないという方も残されているのに、八十歳以上の世帯の状況について把握もしていないというのが政府の現状ということであります。
 ですから、私たち、今のお話、御答弁いただいたのを見ても、現状は深刻で、ことし七月のアナログ停止の時点で本当にテレビ難民を出さないと言えるのか、テレビ難民を出さないと断言できるんでしょうか。大臣、お答えください。

○片山国務大臣 今後残された期間を全力を尽くして、できる限り問題を解消していくという方針でありまして、必要な予算も先般の補正予算でも計上しましたし、今回の予算案にも計上しているところであります。
 幾つか御指摘ありましたが、例えば高齢者世帯でありますと、地デジサポーターによる戸別訪問を徹底するとか、それから相談会、説明会をさらにきめ細かく行うことでありますとか、地デジボランティアによる声かけとか念押しをするとか、相談コーナーをさらに拡充するとか、こんなことをやりたいと思っております。
 それで、先ほども申しましたけれども、この問題については十年間、法律で移行の期日を決めて、今日まで相当の労力と予算を費やしてやってきたわけであります。それから、さらに、この地デジへの移行によりまして節減できる周波数といいますか電波の域がありますから、それについては、携帯電話とかその他今日の社会にとって必要な、そういう利用に供するということにもうなっております。さらに、仮にアナログを延期するということになりますと、それに対して追加的な費用も放送事業者等には当然生じるわけであります。
 そんなことを考えますと、予定どおり、これは七月二十四日ということで移行することが私は妥当だと思っております。

○塩川委員 それは余りにも冷たいんじゃないでしょうか。
 お年寄りや低所得者世帯、あるいは首都圏だって、切りかえるのにこれだけのおくれがあるわけですから。十年は十年で、今まで努力してきたというのはわかりますよ。でも、間に合わないとなったら、おくらせればいいじゃないですか。
 そもそも、二〇〇一年の電波法改正によって十年以内にアナログ放送の終了ということを決定したわけです。
 そこでお尋ねしますが、この二〇〇一年の法改正時の議論において、二〇一一年までのいわば十年間を超えない範囲でアナログ放送の停波を決めた。これが二〇〇一年の電波法の改正だったわけですけれども、なぜ十年以内でアナログ放送をとめますと決めたのか、その根拠は何だったのかをお聞かせいただきたい。

○片山国務大臣 当時、平成十三年、二〇〇一年の電波法の改正でありますけれども、このときに幾つか議論が国会でも行われておりまして、それを拾ってみますと、例えば、周波数割り当て計画等の公示の日から起算して十年を超えない範囲内で周波数の使用の期限を定めると規定したわけでありますけれども、例えば、これは関係者が明確な目標期限を定めることによりまして、関係者が協力をして取り組んで、買いかえ等の移行が促進されるという意味があるということでありますとか、それから、これは衆議院の総務委員会で平成十三年に当時の総務副大臣が答弁をされておりますけれども、「テレビの買いかえサイクル、いわゆる八年から十年と考えられておりますが、これらを勘案しても、十年あれば無理ない形で十分に導入が可能であろう、」などという説明が当時国会でなされております。

○塩川委員 今御答弁ありましたように、十年前の議論のときには、目標期限を定めることで買いかえを促進するんだ、それはあると思いますよ。しかし、間に合わない場合については延ばせばいいじゃないか。それを拒否する理由にはなりませんね。
 視聴者の側のテレビの買いかえサイクルが八年から十年だ、この八年から十年も、今ではもっと長いんじゃないかと言われているわけですけれども、仮に八年から十年、例えば十年だとした場合に、そもそも、地デジの放送が開始されたのは早くて、首都圏や名古屋や関西など、三大都市圏で二〇〇三年からですよ。二〇〇三年から十年間だったら二〇一三年じゃないですか。さらに言えば、全国の県庁所在地に地デジの放送が開始されたのは二〇〇六年ですよ。その二〇〇六年から十年だったら二〇一六年じゃないですか。
 なぜ二〇一一年なのか。理屈が立たないんじゃないですか。二〇一一年で打ち切る理由にはならないんじゃないですか、視聴者の方が、受信者の側が対応できていないんですから。十年で区切るというのに全く根拠がないということを言っているんじゃありませんか。

○片山国務大臣 今、私が総務大臣になって急に打ち切ろうなんという、そういう政策を出したわけではないんです。
 今議員がおっしゃったようなそういう議論も踏まえた上で、ことしの七月二十四日、すなわち、この方針を決めてから十年ということで区切りをつけよう、そういう法律改正をしたんだと思います。

○塩川委員 十年前の議論のときもそうですけれども、今お話ししたように、打ち切るという根拠がないんですよ。延ばしてはいけないという根拠にはなりません。
 ですから、十年前の電波法改正のときに、我が党は、機械的に打ち切るべきじゃない、一定の条件が伴わない場合には延期するという修正案まで出した。残念ながら否決をされたために、この法改正に反対をいたしました。当時の法改正が、機械的に十年以内で打ち切るとやったこと自身が間違いだったわけですから、これを改めることこそ必要じゃありませんか。今、全国市長会もアナログ放送の停止の延期を提言しています。受信環境の整備が整うまでの間、アナログ放送の停波期限を延期することを検討するなど適切な対策を講じること、これが地方の声、現場の声であります。
 テレビ難民をつくらないために、受信者側の地デジ対応のためにも、アナログ放送の停止を先延ばししたらどうでしょうか。なぜ延期すると言えないんですか。

○片山国務大臣 先ほど申しましたけれども、一つは、残っている世帯などについては、この残された期間に最善の努力を加えることによって、それをできる限り解消するということが一つであります。
 それからもう一つは、この十年という期限を定めて、もう社会全体がずっとそれで動いてきているわけです。例えば機材、アナログ放送の機材というものがもう調達しにくくなるということでありますとか、それから、先ほど言いましたように、あいた周波数の域というものを別途、今日的なニーズのために使う、そういうこともあるわけであります。
 それから、一種の公平感といいましょうか、この十年で移行するということで、その法的確信というものを持って、それにきちっと対応された方が大半なわけであります。そういうことからしますと、例えば、アナログ放送をまだ継続するということになりますと、企業でありますとか、いろいろなところで社会的なコストが当然ふえてまいります。そういうものを、では、みんなで負担するということになりましたら、正直者といいますか、ちゃんと対応してきた人もコスト増になってしまう、こういう不公平感もあります。
 最後に申しますと、どうしても残ったところには衛星放送で暫定的に、これは中央から発信する電波になりますけれども、衛星放送でもってテレビの受信はできる、こういう措置も施しておりますので、私は、今日まで進めてきたこの十年の計画というものは、計画どおり進めるべきものだと考えております。

○塩川委員 延ばすとコストの問題を言っていましたけれども、先ほどの答弁でも放送事業者のコストがかかると言いました。確かにそうかもしれません。でも、NHKも出していますけれども、延期によって一年間でどれだけコストがかかるんですかといったら、六十億円の答弁ですよ。NHKの受信料収入は六千億円ですよ。六千億円のたった一%じゃないですか。テレビ難民が生まれる、テレビが見られなくなるかもしれない、そういう世帯を生まないために全力を尽くすために、延期という選択肢というのは当然あってしかるべきであります。そもそも、多大な負担を視聴者、国民に押しつけておきながら、放送事業者のコストが大変だから延期はできませんという理屈は国民には通らないんじゃありませんか。
 また、この間で新たなサービスの問題もある。例えば携帯の話もありましたけれども、それは新サービスの提供もあるかもしれません。それ自身を否定するものではありません。しかし、今あるテレビが見られなくなる、そういう明確なサービスの後退をほうっておいて新たなサービスもないものじゃありませんか。これが国民の声であります。
 最後に、結局、地デジの電波が届かない、見られないような世帯については衛星放送だというお話をされました。大臣もよく御存じのように、衛星放送というのは東京のキー局の放送ですよ。ですから、全国、北海道だろうが九州・長崎、沖縄だろうが、どこでも映るのは、地元の地上波のテレビ放送、ローカルの放送ではなくて東京のキー局の放送なんです。ですから、災害情報も流れなければ、地元のローカルのニュースも流れなければ、さらには政見放送だって流れないんですよ。こういったことについて懸念の声が上がっている。
 例えば、沖縄の琉球新報などでは「地デジ一部未整備 災害情報不足に不安」、こういう声というのが上がっている。国の政策で「選挙速報やお年寄りが楽しみにしている民謡番組も見られなくなる」、こういう声とか、「衛星放送でも沖縄の天気予報が見られると言うが不十分だ。」つまり、東京の番組で沖縄のニュースをやるだけですから、沖縄の番組ではないんですよね。「地元放送局と同じように、台風の進路や被害がリアルタイムで分からなければ意味がない。国は安全に対する意識が足りないのでは」。
 冒頭確認しましたけれども、この地上波テレビ放送というのは基幹的な放送だ、ユニバーサルサービスであり、災害時等のライフラインだ、こう言っていたものが、衛星放送ではそれを果たせないんですよ。衛星放送なんかにするんじゃなくて、地上波のテレビ放送できちんと届ける、そのためにこそ延期をすべきじゃありませんか。
 頑張って頑張って、結果として間に合うかもしれない、私は間に合わないと思うけれども。しかし、間に合わないかもしれないということを前提にして、延期という選択肢そのものも持たないんですか。延期という選択肢そのものを考えないんですか。大臣、いかがですか。

○片山国務大臣 先ほど申しましたけれども、衛星放送というのは最後の補完の措置でありまして、あくまでもこれは暫定的な措置でありますから、もちろん、それぞれ地元の放送が見られるように地上デジタルに移行する、これが必要であります。
 したがって、残された期間、本当に全力を尽くして、できる限り問題を解消するように努力をするというのは今の私どもの責務だろうと思います。

○塩川委員 延期ということについて一言も言えないという話であります。海外では延期するのが当たり前ですよ。イギリスだってアメリカだってやっているわけですから、何で日本でできないのか。
 十年前にどんな議論があったのか。先ほど片山大臣の話にもありましたけれども、当時、小坂副大臣が、電波の有効利用の観点から、ぜひとも終了時期を早めてでも、国民全体の総合的な電波利用サービスの向上に資するのではないかとなって、政策的に終了時期を決めて、そこへ向けて政策誘導していく方がよろしいとなった。つまり、新たな電波利用のために、テレビの引っ越しを早く済ませてしまうというものだったわけであります。
 実際に、テレビの引っ越し後の跡地を使うのは、携帯電話事業者などの大手企業であります。今国会に出る電波法の改正だって、携帯事業者のために、プラチナバンドをあけるために携帯事業者が引っ越し代まで出しますよ、こんな法案まで出している。それに先んじて国民に負担をさせてテレビの周波数帯をあけさせたというのがこの十年だったわけですから、そういう点でも、私は、理不尽だ、筋が通らない、大企業のもうけを優先してテレビ難民をつくり出すのは許されない、支援策の拡充とともにアナログ停波は延期をすべきだ、このことを重ねて申し上げるものであります。
 残りの時間で、官房機密費についてお尋ねをいたします。
 私は、この間、内閣官房報償費、いわゆる官房機密費について取り上げてまいりました。民主党は、野党時代に機密費の透明化法案を出しておりますし、さきの総選挙でのマニフェストで、税金の使い道をすべて明らかにして国民のチェックを受ける、決算に関する情報公開を徹底すると掲げて政権についたわけであります。
 そこで、まず枝野官房長官にお尋ねをいたします。
 私は、この間、ずっと内閣官房長官取り扱いの内閣官房報償費、いわゆる官房機密費の支出の状況についてお尋ねをしてまいりました。昨年の十一月まではお聞きをしているわけですが、毎月一億円ずつの支出がずっと今年度は続いておりますが、十二月以降の支出について、引き出した方と日付及び金額を教えていただけますか。

○枝野国務大臣 お答えをいたします。
 昨年の十一月二十二日の分までが質問主意書等でお答えをさせていただいている分かと思います。
 その後、十二月二十日に、仙谷前官房長官のもとで一億円が請求をされております。そして、本年一月二十一日、私のもとで同じく一億円が請求をされております。

○塩川委員 今年度で十一億円、一昨年の政権交代以降三億六千万円、ですから十四億円余りが支出をされているわけであります。
 私は、麻生政権の末期、政権交代が確定をした二〇〇九年八月の総選挙直後の九月冒頭に河村建夫官房長官が官房機密費二億五千万円を引き出した、このことを国会の中でも明らかにいたしました。その際に、平野博文官房長官は、引き継いだときに金庫の中に幾ら残っていましたかという質問に対して、金庫の中には全くございませんでしたと答弁をされました。これが、平野元官房長官が明らかにした情報公開の一つだったわけであります。
 そこで、枝野官房長官にもお尋ねしますが、平野官房長官と同じように、前任者から引き継いだ際に金庫の中に幾ら残っていたのか、仙谷長官から引き継いだときに金庫には幾ら残っていたのか、お尋ねをいたします。

○枝野国務大臣 私といたしましても、内閣官房報償費については、その機能を維持しつつ、どのように透明性を高めていくことができるのか検討してまいりたいと思っておりますが、ただいまのお尋ねについては、具体の執行状況についてでございますので、お答えは差し控えさせていただきたいと思います。

○塩川委員 民主党政権の元官房長官は答弁をしたのに、同じ民主党政権の枝野官房長官は答弁もできない。全く後退をしていることがはっきりと鮮明になっているということが明らかであります。
 二〇〇二年の通常国会のときにもこの機密費の問題がありました。そのときの予算委員会の理事が枝野さんで、そのときにも、新聞報道によりますと、官房機密費について、大きな疑念が出ており、政府は情報を開示して国民に十分な理解を得る必要があると情報公開を求めていたにもかかわらず、明確に後退をしたわけであります。
 この点について、時間の関係もありますから、一点、与謝野大臣に伺います。与謝野大臣は、短期間ではございましたが、安倍政権のときの官房長官をお務めでございました。その際に、前任者が塩崎氏でございましたが、塩崎氏から官房長官を引き継いだ際に、金庫の中は幾ら残っておられたのか、お尋ねをいたします。

○与謝野国務大臣 昔のことですし、確たる数字を申し上げるほどの記憶はございません。

○中井委員長 塩川君、質疑時間が来ましたから、まとめに入ってください。

○塩川委員 はい。
 元官房副長官で自民党の議員だった鈴木宗男元議員は、官房機密費について、内閣がかわる際には金庫に残っていた官房機密費を空にして引き渡すというのが慣例になっていたと証言をしております。この自民党政権時代の慣例を引き継ぐことにしたのではないのか、こういう疑念がぬぐえないような枝野官房長官の答弁だった。民主党の自民党化と言われても仕方がないんじゃありませんか。
 最後に一言。

○中井委員長 もう時間がない。
 これにて塩川君の質疑は終了いたしました。