<第177通常国会 2011年02月22日 総務委員会 2号>



○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 きょうは、この間、報道もされております、日本郵政、郵便事業会社におけます非正規社員、期間雇用社員のリストラ方針について質問をいたします。
 郵政をめぐっては、この間、議論が行われてまいりました。亀井前郵政改革担当大臣は、非正規の正社員化を日本郵政に求めてまいりました。亀井前大臣は、自公政権時代、小泉改革と称して、人間を道具扱いにして、安く使ってコストを下げていって利益を得ようとする経営が日本を蔓延しました、今大企業では三分の一程度が非正規社員ですが、日本郵政では半分を超えているという実態があります、人間を大事にする雇用の見本となる雇用形態をつくれと齋藤社長に厳命していますと述べておりました。
 そこで、片山大臣に改めてお尋ねいたしますが、この日本郵政における非正規の正社員化の意義、どのように受けとめておられるのかをお答えください。

○片山国務大臣 これは日本郵政だけの問題ではなくて、私は、いろいろな組織とか企業全体に言えることだと思いますけれども、やはり労働者の皆さんが安心して安定した環境の中で仕事ができるということは、私生活の安定の面でも重要ですし、それから職場においてきちっとした仕事ができるという面でも大変重要なことだと思っております。
 いろいろな事情があって、今、企業は、必ずしもその理想どおりにはいっていない現状が横行しておりますけれども、できる限り、私は、労働者の労働条件というもの、雇用条件というものは、安定した環境をつくることが必要だろうと思っております。

○塩川委員 今大臣からお答えがありましたように、労働者が安心して安定した環境で暮らす、またきちっとした仕事をする上でも、安定した雇用環境が重要だというお話でございました。
 日本郵政は、非正規社員が正社員並みの仕事をすることによって成り立ってきた会社であります。だから、非正規の正社員化を目指そうというのが現政権の方針だったはずです。それなのに、今、郵便の職場では、人間を道具扱いにするようなことが行われている。
 JPエクスプレス、JPEXの統合をきっかけとした赤字の拡大を口実に、期間雇用社員を中心にしたリストラが計画をされています。期間雇用社員の方から不安の声が上がっております。勤務時間の削減や配置がえ、賃下げ、さらには契約更新してもらえないのではないかという声です。この先どうなるのか、せっかく開かれた正社員化の道も閉ざされるのではないか、こういう不安の声の中に期間雇用社員が置かれております。
 そこで、郵便事業会社にお尋ねをいたします。
 総務省の報告徴求に対する郵便事業会社の報告、さきの一月二十八日の報告の中で、今後の取り組みとして、人件費削減方針を掲げております。具体的にどのように取り組むことを考えているのかを明らかにしていただきたい。

○中城参考人 お答え申し上げます。
 先生御指摘の平成二十二年度についての一月二十八日に総務省に提出した報告書にも記載してございますように、中間決算ベースで、人件費が事業計画を百四十四億円上回るということになりました。
 このため、会社経営上は、他の経費とともに、人件費の適正な使用を行っていく必要があるという考えから、一月二十八日の総務省への報告書に記載のとおり、業務量に応じた要員の適正配置に取り組んでいるところでございます。
 要員の適正配置に当たっては、期間雇用社員に絞って人件費削減計画を作成しているものではございませんで、業務量を考慮して必要な労働力を投入するようにしていくよう、本社としましては支社、支店を指導しているところでございます。

○塩川委員 職場においては期間雇用社員の方すべてを視野に入れた対応が行われている、このことを、それぞれ期間雇用社員の方々を通じての話として伺っています。
 ある職場では、期間雇用社員に、勤務時間の短縮に関する意向確認調査の提出を求めております。そこには、勤務時間の短縮に応じていただいても必ずしも雇用契約を更新できるとは限りませんと、いわばおどしのような文言も書かれております。いわば利益にならなければほうり出す、まさに人間を道具扱いにするものと言わざるを得ません。
 日本郵政での仕事が家計を支える主たる収入となっている期間雇用社員の方は七割にも及びます。実際、この非正規の方の六割以上の方が年収二百万円以下、そういう中でも主たる収入となっている。非常に大きな役割を果たしているこの期間雇用社員の所得を削る、あるいはその機会そのものも失わせるということは、あってはならない。期間雇用社員数千人規模の雇いどめとか、勤務時間を削減して結果として兵糧攻めで退職に追い込むようなやり方は、決して許すことができないと申し上げたい。
 郵便事業会社に伺いますが、非正規とはいえ、繰り返し雇用されてきた期間雇用社員の方々は、経験豊富で、基幹的な業務を担ってこられたわけであります。郵便事業会社は六割が非正規で、グループの中でも高くなっています。こういう非正規に依拠してきたのが郵便事業会社です。人員削減をすれば職場の混乱を拡大するだけじゃありませんか。この点についてお答えいただきたい。

○中城参考人 お答え申し上げます。
 現在、要員の適正配置を行うために、いろいろ各支社、各支店において、自支店の業務量を勘案して適正な労働力がどのような程度であるかというふうに考えていただいております。御指摘のように、期間雇用社員に絞って何か人件費を減らす計画を策定しているということではございません。

○塩川委員 実際には、職場において行われているわけですよ。そういうことをここできちっとお答えにならないということ自身が極めて重大ではありませんか。
 私たちは、今の郵政の職場において非正規、期間雇用社員が本当に中心的な役割を果たしている、それなしには郵便会社が成り立たないという状況にある中で、こういった方々の声をしっかりと保障することが重要だ、郵便事業会社として雇用継続を希望する期間雇用社員を解雇するようなことはあってはならない、このように考えますが、郵便事業会社としての対応をしっかりとお答えいただきたい。

○中城参考人 お答え申し上げます。
 郵便事業会社の仕事の中には年間の業務の繁閑差があり、あるいは波動性が存在するためにこうした期間雇用社員の方を活用しているわけでございますけれども、この中で、波動性がある中で必要な労働力を見きわめて非正規社員による労働力の調整を実施しているところでございまして、こうした弊社が行う業務の性質上、こうしたことは例年行っているということでございます。
 ただし、雇いどめの検討ということに当たりましては、雇用期間が長い社員に配慮するなどの対応を行うこととしております。

○塩川委員 繁閑があるから期間雇用社員だと言っても、そうではない。年間を通じて基幹的な業務を担ってきたのが期間雇用社員というのは、職場の現実であります。そんなことさえ知らないとは言わせない。
 ですから、余剰人員ということも先ほど言いましたけれども、職場における労働者の方の調査でも、実際、超過勤務について、ほとんど毎日あるという回答が四割以上の方から出される。さらには、八三%の方が、サービス残業が行われているという回答もあります。また、分担上の仕事において区域として欠員がいるとか、こういう状況が起きている、ほとんど毎日起きている、こういう声も二割近くにも及んでいるわけであります。
 このように、超過勤務、サービス残業、欠員もある、こういった職場の業務そのものを見直せば、余剰人員などということは言えないということを言わざるを得ません。期間雇用社員を解雇する理由にはならないということを申し上げたい。
 あわせて、この大きなリストラ方針の背景としてJPエクスプレスをめぐる赤字の問題がありますけれども、労働者の責任ではない、その点についてただしていくものです。
 片山大臣にお尋ねをしますが、総務省の報告徴求に対する郵便会社の報告を見ると、郵便事業の上半期営業損益の見込みは六百四十三億円の営業赤字、それが九百二十八億円へと拡大をしました。その主要な要因は何なのか。また、六百四十三億円の赤字が、通期では百六十三億円に縮小するという計画だったものが、縮小するどころか、一千五十億円に拡大するとなっている。その主な要因は何なのか、どのように指摘をしているのかについてお答えをいただきたいと思います。

○平岡副大臣 お答えいたします。
 総務省から昨年十一月十五日に報告徴求を郵便事業会社に対して出しましたけれども、その報告におきましては、平成二十二年度中間決算における当初計画との悪化額二百八十五億円の内訳といたしましては、JPエクスプレス社との事業統合にかかわものが二百四十四億円でありまして、約八割強を占めております。通期見通しに関しましても、当初計画との悪化額約八百八十億円のうち、JPエクスプレス社との事業統合に関するものが七百九十一億円でありまして、九割弱を占めているところでございます。
 以上申し上げましたように、郵便事業株式会社の赤字が拡大した主要因というのは、JPエクスプレス社との事業統合によるものと認識をしているところでございます。

○塩川委員 JPエクスプレス事業統合に伴っての赤字だということであります。
 今引用もしていただいた郵便事業会社の報告では、JPエクスプレス事業統合に伴う赤字の要因として、一つは、統合の準備作業の中で詳細検討した結果膨らんだ赤字という部分と、もう一つ、送達遅延に伴う混乱、実際の七月のお中元をめぐるような混乱によって生まれた赤字という二点を指摘しています。郵便事業会社の報告では、事業統合直後に発生した送達遅延に伴う混乱に起因して生じた営業損益の悪化額百六十二億円と報告をされています。
 ですから、赤字の主因の一つはJPエクスプレスとの事業統合に伴う混乱であり、その混乱の原因は、現場段階の事前の準備不足及び突発的な事故に対する計画の不十分さとされています。要するに、混乱するということが結果として赤字の大きな要因となった。そういう混乱は予想されなかったのかということが問われているわけであります。
 総務省は、郵便事業会社への宅配統合事業では、二〇一〇年の三月に、同年七月一日の統合をあっさりと認可しているわけですが、総務省は本当に大丈夫だと判断していたんですか。片山大臣、混乱は起こらない、起こらないだろうという立場でこれを認可したということですね。

○平岡副大臣 ゆうパックと日通ペリカン便の宅配便事業の統合につきましては、郵便事業株式会社と日通株式会社の出資する新会社の設立、事業の統合とそのスケジュールを平成二十年度の事業計画の中で認可をしたわけでありますけれども、その時点では事業統合による収支見通しは提出されておりませんで、宅配便統合の実施年度とされました平成二十一年度の事業計画の申請の際に初めて収支見通しが提出されていたわけであります。
 この収支見通しに対しましても、総務省としては、楽観的に過ぎるとの懸念があったということでございましたので、当該事業計画の修正を求めたところでございます。この結果として、最終的には、郵便事業株式会社は、子会社方式による事業統合を断念いたしまして、より経営の健全性の高い案として、郵便事業株式会社によるペリカン便事業を吸収する案を採用したというような経緯になっているところでございます。
 平成二十二年度中間決算において大幅な赤字となったことを踏まえれば、当初の平成二十年度事業計画の認可の際に、郵便事業株式会社に対して収支見通し等の具体的な計画の提出を求め、厳格な審査を行っていれば、結果としてはこのような事態を未然に防止する可能性もあったのではないかと考えてはおりますけれども、これはあくまでも結果論ということでございまして、我々としては、引き続き、郵便事業株式会社が適切に事業運営を行うよう所要の監督を行ってまいりたいと考えておるところでございます。

○塩川委員 このペリカン事業については、JPエクスプレスのスタートのときにペリカンの方から切り出されたわけですよ。その際には、郵便事業会社からも当然社員が出向で入っているんですよ。だから、ペリカンがどんな事業内容を行っていたのかというのは当然把握していてしかるべき話ですよね。実際あけてみたら、ペリカン独自の顧客との契約内容があって、いろいろな附帯サービスをたくさんつけていたとか、あるいは顧客ごとのダンピングまがいのような単価設定などが行われていた。そんなことは当然わかっていていいはずなんですよ。そういうことについて総務省が把握もせずに、オーケーよと認可を出したということが問われているんじゃないですか。その点、いかがですか。

○平岡副大臣 先ほども御答弁申し上げましたけれども、当初の計画が楽観的過ぎるということの懸念を当時の総務省も持っておりまして、その点については事業計画の修正を求めたということでございます。その後の具体的な事態の進展の中でこういう事態が生じたということについては、我々も、もっと厳格な審査を当時行っていればという気持ちはありますけれども、あくまでも今から考えてみれば結果論ということでございますので、引き続き、郵便事業株式会社が適切に事業運営を行うように所要の監督を行ってまいりたいというふうに考えます。

○塩川委員 楽観的な計画について総務省として問題だと思っていたというのであれば、実態を把握すればまさに楽観的とは言えないような深刻な事例というのが、ペリカンの顧客との契約方針で浮き彫りなってきたはずであります。そういう点でも、総務省の責任は免れない。
 加えて、郵便事業会社ですけれども、鍋倉社長は、七月の統合前に、二〇一〇年六月のときに総務省に対して、七月一日の統合は問題ないと報告をしていたというふうに聞くんですけれども、これは事実ですか。

○中城参考人 お答え申し上げます。
 今御指摘のこと自体が事実かどうかということはちょっと確認できませんけれども、統合前には、七月一日の統合の準備はできているというふうな判断があったと考えております。

○塩川委員 昨年七月における事業統合ですけれども、ペリカン便由来のターミナルで作業を行うようになるということで、実際には、労働安全衛生法に基づくと、運輸関係の職場において統廃合が行われる場合に、新たな職場で勤務することになりますから、その勤務場所において、労働者の安全を確保するために事前にリスクアセスメントを行うということが法律上の努力義務になっているわけです。この努力義務というのを郵便会社は去年の七月の前に果たしていたんですか。

○中城参考人 ターミナルにつきまして、安全監督の準備というところですべてのところはできていなかったというふうには思っておりますけれども、できる限りのことはしていたというふうに考えております。

○塩川委員 いやいや、一つもできていないという報告を聞いていますよ。
 いずれにせよ、今のように、やっていない職場があったわけでしょう。本来やるべき安全対策もやらなかった。これでどうして準備が万全だったと言えるんですか。この点でも、郵便事業会社の経営責任、赤字を拡大した混乱の責任というのは免れないということを言わざるを得ません。
 ですから、鍋倉社長が、当時、従業員のふなれが原因だ、こんなことを言ったのは全く許されない。これは撤回したんでしょうか。
    〔福田(昭)委員長代理退席、委員長着席〕

○中城参考人 統合につきまして、最初の記者会見でそのような発言があったということは承知しておりますけれども、その後の発言では、準備が十分でなかったというような発言をされたというふうに記憶しております。

○塩川委員 労働者の責任なんかじゃないんですよ。経営陣の責任、また、それを追認した総務省の責任というのが問われている。
 七月の混乱というのは、一時的な経費増にとどまるのじゃなくて、十二月に向けて万全の態勢をとるために予定外の経費もかさむことになる、つまり、万全な統合を行うためには計画した以上の経費が必要だったということも示しております。
 それと同時に、報告が認めています、事業統合に向けた準備作業を進める中で詳細な検討を行った結果生じた収益の減少及び費用の増加による営業損益の悪化額八十二億円というのがあります。つまり、宅配事業統合の収支計画自体にそもそも問題があったんじゃないのか。詳細検討してみたら、実際、膨らんでしまった。だとしたら、もともとの事業統合の計画方針そのものに欠陥があったということを言わざるを得ないわけであります。
 そもそも、赤字なペリカンをJPエクスプレスに抱えれば赤字となる可能性が高いということは、当時の鳩山総務大臣の認可に当たっての指摘にもあったわけであります。
 そこで、改めて、総務省、大臣にお尋ねしますが、去年の七月一日で事業統合オーケーよという昨年三月の認可において、七月一日という期日の問題だけではなくて、その際に宅配事業の統合そのものも認可をしていたわけですから、宅配事業の統合それ自体がそもそも問題があったんじゃないのか、こういう認識をお持ちではありませんか。

○片山国務大臣 そもそもは、これは自公政権のときに宅配事業の統合の方針というのが打ち出されたわけでありまして、そのころのことを私も省内で聞いてみますと、当時は、やはりもう郵政の自主性に任せて、方針として余り細かいことを言わないというような、そういう雰囲気と言うと変ですけれども、そういうこともあったようであります。
 そのことがどうかと言われますと、それは当時にさかのぼればいろいろあったんだろうと思いますけれども、経緯としては、やはりそういう民営化された会社の自主性に任せるという大方針が当時の政権のもとにあったということ、これはよく御認識をいただいておかなければいけないと思います。

○塩川委員 郵便のユニバーサルサービスも影響を受けるんじゃないのかという懸念も含めて、やはりこのJPエクスプレスをつくるという経緯そのものが問題があったと言わざるを得ません。
 昨年五月の日本郵政ガバナンス検証委員会の提言があります。ここでは、「ゆうパック事業とペリカン便事業は共に赤字と見積もられていた」「したがって、そのような両事業を統合して黒字化させるのは容易ではないことは明らかで、そのこともあって郵便事業会社の北村会長、團社長が統合に慎重だった」、このような記述があります。
 郵便事業会社にあっては、日本郵政の依頼による国内証券会社に飽き足らず、関係コンサルタント会社をフィナンシャルアドバイザリーとするなどして関係作業を進めた結果、JPエクスプレスの赤字というのが拡大するというふうに見込まれていたことから、当時の北村会長、團社長は、直ちに本件事業統合を行うことは困難との結論に達し、設立後のJPエクスプレスにおいては、当面、事業統合は行わず、郵便事業会社並びに日通から貨物の集配を委託する程度にとどめ、その後、段階的に業務提携を拡大していき、事業統合のメリット実現が見込まれた場合には同統合を行うとの案をまとめ、同月十日ごろ、西川社長に同案を進言をしたとあります。
 その際の西川社長の判断の問題はあります。しかし、その前提として、郵便事業会社とすれば、もともと、この事業統合が赤字とならざるを得なかった、こういう認識を持っていたわけですね。だとすれば、当時から、郵便事業会社として事業統合は困難だったということを承知していた、そういうことになりますね。郵便会社、お答えください。

○中城参考人 その検証委員会の報告書というものは、私ども郵便事業会社が資料を出しておりますが、それ以外に、郵便事業会社の人間のヒアリングに基づいて出されたものというふうに理解しております。

○塩川委員 ですから、日本郵政、郵便事業会社の関係者のヒアリングでつくったものであります。
 二〇〇九年の八月には、西川日本郵政社長や郵便会社の北村会長、團社長など経営陣が退任をし、新たな体制となりました、皆さん。前の経営陣が、問題だ、困難だと言っていた。しかし、西川体制のもとでそこに突っ込んでしまった。
 でも、見直す機会があったわけであります。前の経営陣が退任をしたわけですから、新たな経営陣が、新たな方針に基づいて、JPエクスプレスの事業統合について見直す機会があったわけです。郵便事業会社として、関係者のヒアリングで事業統合が困難だと言っていたわけですから、そこに立ち戻ってこの事業統合を見直すことができたのじゃありませんか。見直すことができたのに行わなかったという、赤字を生み出した責任が現経営陣にあるのは明らかじゃありませんか。お答えください。

○中城参考人 この赤字の主要因というのは、昨年七月の宅配便事業統合後のゆうパックの収支が大幅に悪化したということがございますけれども、御指摘のように、宅配便事業統合というのは、これまでの過去の経緯を踏まえてやられたものでありまして、その与えられた条件のもとで最善と思われる計画を策定して私どもは実施してきたわけでありますが、結果としてこのような赤字を出したということについては、真摯に受けとめているところでございます。

○塩川委員 いや、結果として赤字を生み出した責任じゃないんですよ。わかり切ったことについて突っ込んでいった責任なんですよ。それこそ明らかにすべきじゃありませんか。
 その点でも、日本郵便事業会社の赤字の責任というのは極めて重大だと言わざるを得ません。この点でも、労働者に対して解雇をするような、雇用調整を行うようなことは許されないということを言わざるを得ない。
 あわせて、総務省自身も、こういう計画に認可をしてきたという経緯があるわけであります。北村会長、團社長の時代に懸念したものに実際には統合というレールを敷いたのが総務省だったわけですから、赤字の原因というのは、事業統合が困難だとわかっていた日本郵政と郵便会社の経営陣が生み出したのと、それを追認してゴーサインを出した総務省にもあるわけであります。
 そういう点では、昨年のガバナンス検証委員会の提言というのは昨年五月までですから、それ以降の対応を含めて、総務省の責任をしっかりと明らかにする、そういう検証こそ行うべきじゃありませんか。

○片山国務大臣 必要があればやりますけれども、先ほど申しましたように、これは、郵政の民営化の後、民営化された会社の自主性をできる限り尊重するという当時の政権の基本方針のもとに総務省として対応したものであります。ですから、そのときにもう大筋が決まっていたと言っても過言ではないと思います。しかも、そのときに、伺ってみますと、事業計画の大まかなことはあったにせよ、収支の見通しなどについては当時なかったということでありまして、そういう過去の来歴というものもよく認識をしていただいておく必要があるだろうと思います。

○塩川委員 前の政権と言いますけれども、政権交代したわけですよね。ですから、二〇〇九年の八月、九月以降については、新たな政権のもとでの対応であります。日本郵政あるいは郵便事業会社の経営陣も交代をしたわけですから、新たに出直すということは可能だったわけであります。
 ですから、総務省の責任がどうかということについて検証する必要がある。この点については、昨年、原口総務大臣も二月二十六日の記者会見で、記者から、そもそもなぜJPエクスプレスに対する出資金を去年の春の段階で総務省が一部認可したのかという疑問があると問われて、まさに今おっしゃったことが、私からも、意思決定の責任の所在ということも含めて、わからないので総括してくださいということを申し上げていると。
 この趣旨でいえば、総務省の責任をどうするのかということが総務省の宿題になっているということになります。そういう点でも、当時の総務省の責任の解明というのが求められている。この点で、現状は極めて不十分だということを言わざるを得ません。
 ユニバーサルサービスである郵便事業と労働者にしわ寄せをするようなやり方は許されない。そういう点でも、赤字の責任の一端を持つ総務省として、最後に片山大臣に伺いますが、期間雇用社員の雇用をしっかりと確保する、こういう立場で郵便のユニバーサルサービスも保障していく、日本郵政、郵便会社に対する指導監督を行ってもらいたい、この点についてお答えをいただきたいと思います。

○片山国務大臣 これは冒頭申し上げましたように、雇用という観点からいいますと、できるだけ正規の身分の雇用を守っていくということが基本的な考え方だろうと思います。それが雇用を守るということの一つの意味だろうと思います。
 一方では、しかし、いろいろな企業の業況によりまして、その理想論だけでは企業自体が守れなくなってしまうという、企業の持続可能性が危うくなってしまうという側面もないわけではありません。そういう両方の理念とか現状とかをないまぜて企業が責任を持って対応されるべき問題だろうと思います。

○塩川委員 日本郵政全体で大きな内部留保もある、それも含めて、職場に必要な人は配置をするという点での、余剰人員などではない期間雇用社員の雇用をしっかりと確保することを改めて求めて、質問を終わります。