<第177通常国会 2011年03月22日 総務委員会 5号>



○塩川委員  東日本大震災は、国内の自然災害としては戦後最大のものとなりました。被災者への救援、生活支援と福島原発の危機回避、住民の避難などに全力を挙げることが最大の課題であります。
 こうした中、被災の実態に見合った地方交付税の算定、交付を初め、十分かつ万全の対策が講ぜられるよう強く求めるものであります。
 私は、日本共産党を代表して、地方交付税法等の一部を改正する法律案に反対の討論を行うものです。
 反対理由の第一は、菅内閣が昨年六月の財政運営戦略で、国の一般歳出と地方交付税の合計額を今後三年間、七十一兆円以内にする歳出の大枠を決定し、地方財源抑制の仕組みを導入したからであります。
 来年度の地方財政計画について、政府は、社会保障費の自然増による地方負担約八千四百億円を見込んだとしています。しかし、その一方で、公共サービスを支える一般行政経費は厳しく抑制し、人件費は約四千百四十六億円と大きく削減しているのであります。
 政府が決定した歳出の大枠は、深刻な財政危機に置かれた地方自治体に、一層の住民サービスの切り捨てや人件費削減などの地方行革を強いるものであります。地方自治体の独自の努力で実施されてきた乳幼児医療制度や予防接種助成制度、妊産婦検診助成制度などの独自事業も、そのしわ寄せを受けて後退、廃止されることにつながりかねないのであります。さらに、人件費削減は、正規職員の臨時、非正規への置きかえ、アウトソーシングなどの地方行革の後押しとなり、官製ワーキングプアと呼ばれる問題の解決もさらに困難となることは明らかであります。
 反対理由の第二は、本法案が、今後三年間、地方財源不足が生じた場合には、臨時財政対策債の発行によって地方にその半分を負担させる国、地方の折半ルールを法定化するものであるからであります。自公政権と同様に、地方財源不足に対する国の責任を投げ捨てるものと言わざるを得ません。
 なお、修正案については、東日本大震災による被害の甚大さにかんがみ、特別交付税で交付すべき必要額の確保は当然であります。こうした観点から、特別交付税割合の引き下げを直ちに行うのではなく、三年間凍結する本修正案には賛成するものであります。
 このことを述べて、討論を終わります。