<第177通常国会 2011年03月29日 総務委員会 7号>



○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 東日本大震災の被災者の方々に心からのお悔やみとお見舞いを申し上げます。関係者の皆さんの御努力に敬意を表するとともに、被災者生活再建支援、復旧復興のために、私どもも全力を挙げることを改めて決意するものであります。
 福島県では、地震、津波とともに原発事故によって多くの住民が避難をし、双葉郡の八町村は役場機能を丸ごと移転することになりました。政府は、福島原発二十キロ圏内の住民には避難指示、そして二十キロから三十キロ圏内の屋内退避指示の住民に自主避難を要請しております。
 そこで、総務省に確認をいたしますが、この福島原発避難指示二十キロ圏内には何人が居住をしていたのか。屋内退避のエリアを加えた三十キロ圏内には何人が居住をしていたのか。その三十キロ圏内の住民で、三十キロ圏外に避難したのは何人か。また、今回の大震災による避難者総数は何人で、うち福島県の避難者は何人か。この点についてお答えください。

○門山政府参考人 お答えいたします。
 福島県に確認いたしましたところ、原発周辺二十キロ圏内の住民の数でございますが、七万人から八万人でございまして、これを含めた三十キロ圏内の住民数は二十一万ないし二十二万人であるとのことでございます。なお、このうち、このエリアの外に避難された住民の方の数については不明でございます。
 次に、今回の大震災によります避難者の総数でありますが、三月二十八日十九時の時点で消防庁において把握しているところでは、二十一万六千四百二十五人であります。また、福島県内で避難が完了しておられる方の数ですが、八万九千三十三人でありまして、そのうち、県内の避難所に入っておられる方の数は三万六百三十人と承知いたしております。

○塩川委員 三十キロ圏内には二十一万から二十二万人の方がお住まいであるのに、そのエリア内の避難者数は不明ということであります。
 福島県が市町村を通じて把握をしている避難者数は八万九千三十三人、約九万人の方でありますが、この中には三十キロ圏外の避難者の方も当然含まれているわけで、福島県に私の方からも確認をいたしましたら、実態的には三十キロ圏内には住民はほとんどいないと思われるが、確認しようがない、報道では一万人以上などと言われているとのことでありました。つまり、二十一万人から二十二万人が居住していたのに、避難を把握しているのは九万人ぐらい。そうすると、現状、十万人以上の県民の行き先を自治体が把握できていないということになるわけであります。
 多くの方は、首都圏を初め全国の親族やあるいは知人の方を頼っての避難となっているのではないでしょうか。私は埼玉の所沢ですが、すぐそばにあります老人の憩いの家に福島からの避難者の方がいらっしゃっておりますし、御近所でも、娘のところにそれこそ転がり込むようにやってきた御両親もいらっしゃる、こういう状況にあるわけであります。こういった避難者の方には地元自治体の情報も支援も届かないという状況にあるわけであります。
 そこで、大臣にお尋ねしますけれども、こういった原発事故による避難者の実態というのは一体だれが把握をすることになっているのか。また、避難者数を正確に把握できないのでは、そもそも適切な対策もとることができないのではないのか。この点について大臣のお考えをお聞かせください。

○片山国務大臣 これは基本的には、原子力の災害防止に関する政策の一環として国、その場合の国は経済産業省でありますけれども、国と県とが避難についての計画なども事前に定めて、こういう流れだろうと思います。今回、そこが必ずしもうまくワークしていなかったということだと思います。
 二十キロの範囲内にあります役場は移転をしておりまして、役場が本来、市町村の住民の皆さんの把握ということではその役割を果たすことになりますけれども、役場そのものが移転をされて、しかも、役場とともに移転した住民の皆さんも全部ではなくて一部でありまして、多くの皆さんは役場と連絡がとれないまま、とらないままいろいろなところに行かれている、こんな窮状であります。
 総務省として、まことに気の毒な町村、今八つ移転されておりますけれども、ここと連絡をとりまして、直接職員が伺ったり、また副大臣が伺ったり、また連絡をとったりしておりまして、そこからいろいろな要望を聞き取って、総務省はもとよりでありますけれども、政府各省で解決すべき課題として受けとめております。
 その中で一つ出てまいりましたのは、散り散りといいますか、役場とともに避難をされている住民の皆さんはもちろん把握されておられますけれども、そうでない皆さん方との連絡がとれていないので、連絡がとれると合流されたりするわけですけれども、いずれにしても、ちゃんと把握をしたいので、どの役場は今どこに移転をしているのか、避難しているのかということをよく広報していただきたいということもありまして、それを今やろうとしております。
 といいますのは、さいたまのアリーナに移転をされたのが双葉町でありますけれども、これがニュースになりましたら、いろいろな連絡が各地から、その住民の皆さんから来たということもありまして、報道されていないところはなかなか連絡もとれないということなので、ぜひこれは政府の広報として、その事情を関係の皆さんに伝わるようにしたい。こういう要請も受けたりしておりまして、今、これらの該当の町村の課題について総務省としても取り組んでいるところであります。

○塩川委員 冒頭、大臣の方で、経産省、国と県の間で避難計画を事前に定めている、それがワークしていないということですけれども、実際、原子力災害対策特別措置法に基づく防災計画の原子力災害対策編においては、避難も含めた対策を持つエリアそのものが十キロ圏の範囲なんですよ。二十キロ、三十キロというのはそもそも想定外の事態ですから、国も県もこういう避難計画はそもそも持っていないんです。そういう事態に対してどう対応するのかということが今問われている。
 そういう意味でも、住民の皆さんに対するしっかりとした支援策をどう国が保障していくのかということが求められているところであります。自主避難者の避難先の把握など、すべての被災者を視野に入れた支援が必要で、特に、公的住宅とか民間アパートの借り上げを含めた、自主避難を含む、原発事故による避難者に対する居住場所の確保にぜひとも全力を挙げていただきたいと思いますし、非常に多くの原発事故の避難者の方が短期間では地元に戻れない可能性が高いわけですから、情報提供とか居住場所の確保など、実態にかみ合った支援が強く求められているわけです。
 住民福祉の機関としての自治体の機能確保のため、役場機能移転自治体を初めとした被災自治体への支援が欠かせないということを改めて申し上げておくものであります。
 残りの時間で一点、震災に伴う地方税の軽減措置について、固定資産税に関係してお尋ねをいたします。
 先ほどの質問の中でも、固定資産税に関して、震災により住宅が滅失、損壊した場合には、従前住宅用地であった土地を住宅用地とみなす特例措置があるわけですが、こういうものをしっかり行うと同時に、新たな措置も必要なわけです。
 今回の震災では広範囲に地盤沈下が起こりました。最大で七十五センチ下がった。東日本の太平洋側沿岸で地盤沈下があって、結局、土地として供するような状況にない、宅地に使用できないような状況の土地も現に生まれております。そういった地盤沈下で水没したような土地に対しての、固定資産税の非課税も含めた軽減措置というのが必要ではないか。
 また、茨城とか千葉を含めて、液状化による被害も大変深刻でありまして、家が傾き、配管が損傷するなどの、住み続けることが困難な家屋の状況になっている。土地、地盤そのものが大きな被害を受けているわけですから、こういった地盤沈下及び液状化による地盤被害は深刻でありますので、固定資産税の非課税措置も含めた軽減対策が必要だと考えますが、その点についてのお考えをお聞かせください。

○片山国務大臣 土地が滅失をしたり、水をかぶってしまって土地として使えなくなってしまうとか、それから、液状化も含めて大きな損壊を土地自体が受けるというようなこと、これはあります。それをどうするのかといいますのは、一般的には、そんなに面的な広がりがない場合であれば個別の減免でいいと思います。天災等による減免というのはあります。そうこうしますと三年に一度の固定資産税の評価がえがありますので、そのときにきちっと整理されるということになります。
 しかし、今回のように、例えば山手線の内の数倍にわたる土地が水浸しになってしまうというようなことになりますと、個別の減免ということでは恐らく対応がなかなか難しいだろうと思います。それは、先ほどもちょっと触れましたように、個別の減免というのは財政面では地元の自治体の持ち出しになりますので、それはきついだろうと思いますので、やはり持ち出しにならないような法的な手当てを何らかの形でしなければいけないのではないかと私は今考えているところであります。

○塩川委員 被災者支援のために思い切った対応が必要だということを申し上げます。
 最後に、自民、公明提出の地方税のつなぎ法案につきましては、私ども、都市再生法関連の不動産取得税の軽減、スーパー港湾において事業者が取得する建屋に対する固定資産税軽減など、担税力のある大企業に対する減税措置等が含まれており、反対であります。
 被災者に対する地方税軽減措置こそ行うべきだ、このことを述べて、質問を終わります。