<第177通常国会 2011年04月15日 内閣委員会 6号>



○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 最初に、福島原発事故の関連で質問をいたします。
 原発事故対策については、引き続き、現在の事態を収束させるために、内外の英知を結集し、あらゆる手だてを尽くすべきときであります。また、収束に向けてどういう見通しを持って対応しているのかを国民に説明すべきであります。新たな避難区域が設定されましたが、国の責任を明確にすることが不可欠です。確実な避難や生活の確保、原発によるあらゆる被害に対する補償に国、東電が責任を持つことを明確にすることが必要だと考えます。
 その上で、原発事故の避難者についての現状認識を問いたい。
 枝野官房長官にお尋ねしますが、そもそも、避難指示を要請し、さらには屋内退避、自主避難を要請している原発三十キロ圏内には、何世帯の方がいらっしゃって、何人の方がお住まいだったのか。この点、最初にお答えいただけますか。

○枝野国務大臣 福島第一原子力発電所から半径三十キロメートル圏内の人口は、平成二十二年の国勢調査速報に基づけば、人口で約十四万人、世帯数で四万八千世帯というふうに承知をしております。

○塩川委員 三十キロ圏内の人口は約十四万人ということであります。
 しかしながら、三月二十九日の総務委員会で私が総務省にただしたところ、総務省は「三十キロ圏内の住民数は二十一万ないし二十二万人」と答弁をしているんです。今、枝野官房長官は十四万人とおっしゃいましたが、三月二十九日の時点では、総務省は、国は、「三十キロ圏内の住民数は二十一万ないし二十二万人」と答えているんです。この違いは何ですか。

○枝野国務大臣 総務省もお呼びをいただければと思うんですが、私のところには、今の国勢調査に基づく数字として、速報値による数字として来ております。
 ということですので、確認をしたいというふうに思います。

○塩川委員 例えば四月十日付の読売新聞なども、避難指示のエリアには七万から八万人の方がいらっしゃる、屋内退避のエリアには十四万人の方がいらっしゃると。ですから、二十一万から二十二万人という数字で報道しているんですよ。ですから、世間はこの三十キロ圏内に二十一万人から二十二万人の方がお住まいだったということで、まさに国会の答弁でもあり、またマスコミの報道でもされている。
 これはどう考えてもおかしいんじゃないですか。こういうことについて御存じなかったんですか。

○枝野国務大臣 報道の数字までは承知しておりませんで、御質問の通告がありましたので準備をさせましたところ、今申し上げたような数字が報告をされているところでございます。

○塩川委員 ということは、三月の二十九日の時点では、国は、この三十キロ圏内の避難者を二十一万人から二十二万人として受けとめていた、しかし、今確認をすると、十四万人だと。
 十四万人が正確であると思いますから、となると、そもそも、この間の、一カ月余りの政府の原発事故避難者に対する対策の大もとの現状認識の避難者数の数字自身が間違っていたということになるんじゃありませんか。そういう認識に立った対策が必要なんだと思うんですが、いかがですか。

○枝野国務大臣 総務省がそうお答えになっていたとすれば、まさに、避難をすべき地域の人口についての把握が少なくとも政府内できちっと統一されていなかったということでありますので、それは大変問題だというふうに思います。

○塩川委員 ですから、正確な避難者の方の数さえ把握していないということが、必要な対策を打つ上でも大きな障害になっていたのではないのかという懸念というのは当然出てくるわけであります。
 このことを前提にした上で、福島原発による避難者数は何世帯、何人と認識しておられるのかをお答えください。

○枝野国務大臣 官房長官という職制ですからあらゆることをお答えしなければいけないのかもしれませんが、直接の主務官庁ではないということは御理解をいただきたいと思います。
 それから、御通告いただければ計算をできたと思いますけれども、逆に言うと、どれぐらいの方が特に二十キロ圏内について残っておられるのかということについては、これは警察と自衛隊が防護服等を着て中に入っていただいて、それについては一定の把握ができております。けれども、大変少ない人数でございます。
 それから、逆に、二十―三十については、残っておられるのか出ておられるのかということについては、正確な数字は正直言って把握できておりません。それぞれの市町村と連絡をとりまして、特に南相馬市の一部が二十―三十キロ圏で、ここは非常に多くの方がいらっしゃる、一万人規模単位の方がいらっしゃるということは、地元の自治体、南相馬市と話をしております。
 それ以外の地域については、おおむねこれぐらいの方が残っておられるという話については、市町村と連絡をとって報告は受けておりますので、調べれば御報告できると思います。

○塩川委員 南相馬市で二十キロから三十キロで一万から二万人の方が残っておられるんじゃないのか、それ以外は数十や数百のオーダーだろうということですから、二万人ぐらいの方が三十キロ圏内では残っておられる。ということは、十四万人引く二万人ですから、十二万人の方が少なくとも三十キロ圏内から避難をしておられる、つまり、自宅で住める状況にないということになっているわけであります。
 さらに言うと、三十キロ圏内に限らず、三十キロ圏外でも実際には避難をしておられる方も少なくないだろうと見込まれるわけですが、その数というのは把握をしておられないでしょうか。

○枝野国務大臣 これについては、現時点では把握をできておりません。

○塩川委員 ですから、十二万人以上の方が実際には避難をしておられるという現状があるわけですが、そういった原発事故による避難者の全体像を現時点で国が把握しておられないということでもあります。
 さらに問題点を指摘すると、福島県の災害対策本部によりますと、四月の十四日の十六時現在の被害状況速報において、避難所の入所者数について、福島県内で二万六千百三十九人、ここには、避難所だけではなくて二次避難の旅館とかホテル等の人数も含まれております。同様に、福島県外に避難をしているということで福島県が把握をしておられるのが一万八千七百二十五人です。ここにも、ホテル、旅館等の二次避難先が含まれております。ですから、合計して四万四千八百六十四人、四万五千人の方が避難所等に入所しておられるということなんです。
 そうしますと、十二万人以上の方が避難しているはずなのに、避難所等に入所をされている方が五万人弱ということになると、七万人以上の開きがあるわけですね。
 では、この七万人以上の方はどこに避難をしておられるのか、この点について。

○枝野国務大臣 避難はされているはずなんだけれども把握できていない、どちらにいらっしゃるかわからないという方が、御指摘のとおり、たくさんいらっしゃいます。残念ながら、役場そのものも避難をされているという状況の中にありまして、役場の方で把握をしていただくということについては、それこそ、埼玉に避難をしていただいている、役場と一緒に移動されている双葉町の皆さんのようなケースでないとなかなかできないという状況にあります。
 このため、双葉郡市の皆さんの避難先から御連絡をくださいということで、これは、いろいろな広報の手段をとって、電話で御連絡をいただくということについてのオペレーションは、もう一週間ほど前だったと思いますが、始めているところでございます。
 さらに、避難先の自治体、個人のお宅、親戚などを頼って避難をされている方であっても、避難先の御家庭、御親族などが当然地元の市町村役場との関係があるわけでございますので、そうしたところを通じてネットワークでつないで、これは原発避難の方に限りませんが、震災避難の方も含めて、どなたがどこに避難をされているのかということを、全体像を把握するためのシステムを、総務省を中心に、都道府県、市町村に御協力をいただいて、スタートさせつつあるところでございまして、できるだけ早く全体像を把握したいということで、関係省庁を督促しているところでございます。

○塩川委員 まず、そういう実態把握という点で、総務省の方でそれぞれ関係機関に要請しているというのは承知をしております。そういう取り組みをぜひお願いしたいと思っております。
 その上で、七万人以上の避難者が福島県内外の親類縁者の方などを頼って避難生活を送っておられると推測されます。大臣も私も埼玉でありますから、結構、近所に、親類縁者を頼って避難しておられる方が少なくないということはよく承知をしておられると思います。
 津波、地震による避難者を含めて、避難者全体を視野に入れた支援策の具体化が必要です。避難者の規模が大きいというだけではなくて、避難の期間が短期間で終わらない、やはり、そういう可能性が高いということを踏まえた支援策を行う必要があるわけです。
 でも、率直なところ、避難者数が正確に把握をされていないために対応策が十分かみ合っていないんじゃないのか。例えば、三十キロ圏内で居住されている方は、世帯でいうと四万八千世帯、五万世帯以上の方が多分避難をしておられるでしょう、福島県全体で見ても。だけれども、福島県の仮設住宅とかの建設の計画、公営住宅の借り上げも含めて、二万戸というふうに承知をしているわけですよ。すごくギャップがありますよね。
 これをどうするんだろうかという問題もありますし、かなり多くの方が親類縁者を頼っておられるとしたら、私は、そういった方々の善意に期待をするだけではなくて、災害救助法に基づくか、あるいは東電に対して原賠法上の措置か、いずれにせよ、東電や国の責任で、そういった親類縁者を頼っている避難者の方々に対しての現金支給などをしっかり考えるべきだと。そういった、現状の、きちんとした、避難者の実態を踏まえた、一歩踏み込んだ対策というのをぜひ考えていただきたい。その点について、ぜひお答えいただけますか。

○枝野国務大臣 福島県の仮設住宅の件については、仮設住宅ということでは、全体として、震災の生活者支援特別本部が中心になってやっていただいているところでございますが、原発事故による避難者の方も仮設住宅を必要としているという状況の中で、それも踏まえて建設予定数をふやしていくという方向で報告を受けているところでございます。
 それからもう一つは、まさに親戚宅等に避難をされていたり、あるいは、場合によっては御自身の判断と御自身の資金で別に住宅を借りられている等の方も少なからずいらっしゃるということは、網羅的ではありませんが、報告がございます。
 そうした意味で、まずは現金をしっかりとお渡しするということで、原発の避難者の皆さんに対して一世帯原則百万円をまずは仮払いするという方針を固めて、できるだけ早く具体的なオペレーション、作業に入っていきたいということでございます。
 当然、百万円ではまさに当座ということになりますので、長期になることが可能性としてある、そして、場合によっては遠方に避難をしていただいているということ、それから、仮設住宅等が必ずしも三日とか五日でできるわけではありませんので、そういったことも踏まえて、状況を見ながら、これについてもさらに検討してまいりたいと思っております。

○塩川委員 避難の実態を踏まえた対応策をぜひお願いしたいと思います。
 最後に、松本大臣に液状化被害の問題についてお尋ねします。
 四月の十二日に、東日本大震災による液状化被害者が多数に上る自治体の首長さんが要望書を国に出されました。茨城県鹿嶋市、稲敷市、神栖市、潮来市及び千葉県香取市の五市長が要望した内容というのが、「災害に係る住家の被害認定基準における液状化被害の取り扱いの明確化及び大幅な被害割合の追加をすること」「被災者生活再建支援法における支援金の拡充として、金額のかさ上げ及び、半壊・床上浸水住家についての新たな財政措置を講じること」「液状化による被害の新たな支援金支給制度の創設及び適用を図ること」、このようなものであります。私も鹿嶋や神栖などの液状化被害、行きましたが、深刻であります。要望も当然だと思います。
 ぜひ、その要望を受けた松本大臣として、この要望内容にどのように対応をしていくのかについてお尋ねをいたします。

○松本(龍)国務大臣 今御指摘の液状化被害につきましては、三日前の十二日に茨城県の副知事また鹿嶋市など五市長とお会いをして、被害の実態を御報告いただきました。
 市町村が認定する住宅の被害に応じて液状化による被害であっても被災者生活再建支援法による支援が受けられることになっておりますけれども、いろいろ中身を聞きましたら、いろいろなことを訴えられておりました。そういう意味では、上記以外の場合であっても、液状化被害の損傷を含めて住宅全体に占める損害割合を算定して、その割合に応じて全壊、大規模半壊等の判定ができることとされています。
 一方で、現実の基準が今回の地盤の液状化の実態にそぐわないという指摘もありますので、これから、家屋の状況を調査して、基準の見直し等も含めて勉強していきたいと思います。
 早速、三日前の額賀先生の御要請、そしてきょうの塩川先生の御要請を受けて、あした、内閣府の職員を茨城県を通じて潮来市に派遣して、実情を調査させる方向であります。
 以上です。

○塩川委員 ありがとうございます。
 経産省には、失礼しました。