<第177通常国会 2011年04月19日 総務委員会 11号>



○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 地域主権推進一括法案について質問をいたします。
 今回の法案について、障害者の権利を後退させる重大な内容が含まれているとの指摘が障害当事者の方から出されております。
 例えば、二〇一〇年七月二十二日の朝日新聞「私の視点」の欄に「地域主権法案 障害者福祉に格差出ないか」、日本障害者協議会理事太田修平氏の意見が出されております。ここでは、「地域主権推進一括法案は」「障害者の権利を後退させる、という重大な問題をはらんでいる。私たちが勝ち取ってきた改革が台なしにされようとしており、このまま成立させてはならないと考える。」このように述べておられます。ここで例示をしておりますのが、身体障害者療護施設等の設置基準として定められているものの中にあります居室定員四人以下という規定であります。
 厚生労働省にお尋ねをいたします。
 今回の地域主権推進一括法案において、指定障害者支援施設の基準の一つであります居室定員四人以下は条例委任の対象となりますが、従うべき基準、標準、参酌すべき基準の扱いについて、厚生労働省は、もちろん法案が成立して以降に、省令を定める際に検討していくというお話だと思うんですけれども、しかしながら、昨年の段階でこの法案が既に出されている。
 法案提出後に障害者団体に厚生労働省から示されたペーパーにおいては、指定障害者支援施設等の基準に係る条例委任の考え方というペーパーで、居室定員四人以下について、厚労省はそもそもどのように整理をされておられるんでしょうか。

○小林大臣政務官 お答えいたします。
 この法案では、地域のことは地域に住む住民が責任を持って決めるという考え方に基づいて、現行法では障害者自立支援法に基づき厚生労働省令で定めている指定障害福祉サービスの事業等に係る基準を条例に委任することとしております。
 その際、国が定める基準が条例の内容をどの程度拘束するのかという点については、地方分権改革推進委員会による第三次勧告において、条例の内容を直接的に拘束する条例制定の基準等を設定することは厳に差し控えるべきとされているため、従うべき基準とするものについては、人員配置基準や居室面積基準等に限定することとしております。
 こうした考え方から、お尋ねの居室定員については、従うべき基準ではありませんけれども、自治体がこの基準と異なる判断をする場合には説明責任を負うことになる参酌すべき基準とすべきものと考えております。

○塩川委員 居室定員四人以下について、参酌すべき基準ということであります。もちろん、自治体の説明責任というのはつくわけですけれども、従来のように拘束されるものではない。つまり、自治体が参考にはするけれども、拘束はされないというのが参酌すべき基準となります。
 そうなれば、財政力の違いですとか、あるいは障害者福祉の理解度によって自治体間の格差が生まれることになりはしないか、そういう懸念を強く持つわけですが、厚生労働省としてはどのようにお考えでしょうか。

○小林大臣政務官 条例の制定に当たっては、各自治体において、地方議会における議論も含めて、障害福祉サービス等の質の確保という観点も十分に踏まえながら、適切な基準を定めていただけるもの、このように考えております。
 厚生労働省としては、各自治体に対して適宜必要な助言を行うとともに、障害福祉サービス等に係る費用負担や障害者支援施設等の整備に係る補助など必要な支援を行ってまいりたい、このように考えています。

○塩川委員 適切な基準を定めるということであれば、別にこれは参酌すべき基準にする必要はないと私は思います。これはまた障害者の皆さんの声でもあります。
 一九八〇年代ぐらいまでは、入所施設というのは大部屋で、そこで何人もの利用者の方が生活をするということが当たり前だったわけですが、それではプライバシーも守れない、夜中においても、いびきとか歯ぎしりとか、あるいはトイレに行くのにも同室の人の介護をするとか、そういうことを含めて、やはり複数の、大人数の部屋というのは本当に大変だ、そういう中で、プライバシー保護といった人権を保障する観点から、そういう大部屋を解消していこうということの中で生まれたのが、この居室定員の四人以下という基準であります。
 厚生労働省としても、一人部屋とか二人部屋が望ましい、推奨するということもこの間とってきているわけですから、このように、施設入所者であってもプライバシー保護が重大事項である、重大な内容であるということが認識をされて居室定員四人以下という制度改正に至ったわけであります。私は、これこそしっかりと尊重すべきだと。
 そういう立場で片山大臣にお尋ねしますが、今回の法案によって、こういった居室定員の四人以下を条例委任で、参酌すべき基準ということで、結果として、従来確保されてきたこういう水準が後退することになりかねない、障害者の権利を後退させることになる、このように思いますが、大臣、いかがでしょうか。

○片山国務大臣 理論上といいますか一般論で言いますと、これも一種の規制緩和でありますから、規制緩和をするということは、水準を下げる自由を付与するということになります、一般論で言いますと。しかし、自治体にその実施をゆだねたら、すべて何か悪い方に悪い方に行くと考えるのは、これはやはり一種の偏見ではないかと私は思います。
 私も自治体の首長をやっておりまして、毎回議会で福祉や教育をめぐっては議論を重ねて、その上で自治体の中での基準を決めたり、それから政策を予算を通じて決定したりしてきましたけれども、誠実にやってきたつもりであります。多くの自治体が多分同様だと思います。自治体に自由を与えたら何でも悪いことをするという考え方はぜひやめていただきたい。それから、自治体に判断をゆだねたら考えなしに全部下げてしまう、そういう認識も改めていただきたいと私は思います。
 自治体で大いに議論をすることによって、その地域で一番妥当な水準が導き出される、そのための環境づくりの一環だというふうにとらえていただきたいと考えております。

○塩川委員 いや、障害者の皆さんが人権保障の立場から改善を求めて運動してきた到達点が、居室定員四人以下という形であらわれているんです。ですから、これは人権保障の観点で考えるべき問題だ。そういう点で、それを今、一般論で、規制緩和で水準を下げることにもなるという選択肢を、そもそも障害者の皆さんが取り組んでこられた中で引き上げたものを引き下げるかのような中身になっていること自身が極めて重大だと言わざるを得ません。
 障害者運動の成果により厳格になった居室定員に関する国の基準が、今回の法案により、まさに規制緩和された基準で定められ得ることになるわけで、そのため、障害当事者の人権侵害のおそれも大きい。私は、この点でも、国のナショナルミニマム保障を投げ捨てるものだと言わざるを得ません。そういった重大な内容を含む法案の作成過程において、障害者の声がどのように反映されていたのか、いなかったのかという問題であります。
 障害者自立支援法違憲訴訟が行われ、この違憲訴訟を踏まえて、昨年、二〇一〇年の一月七日に、国と原告団、弁護団との間で基本合意文書が交わされました。その中では、立法過程で障害当事者の意見を踏まえずに制度をつくったことに、国として反省を述べているわけであります。
 合意文書の中では、「国(厚生労働省)は、障害者自立支援法を、立法過程において十分な実態調査の実施や、障害者の意見を十分に踏まえることなく、拙速に制度を施行するとともに、応益負担の導入等を行ったことにより、障害者、家族、関係者に対する多大な混乱と生活への悪影響を招き、障害者の人間としての尊厳を深く傷つけたことに対し、原告らをはじめとする障害者及びその家族に心から反省の意を表明するとともに、この反省を踏まえ、今後の施策の立案・実施に当たる。」としております。
 この反省というのが、今後の障害者施策の立案、実施に生かされるべきものだったはずであります。
 そこで、厚生労働省にお尋ねをしますが、今回の地域主権推進一括法案、一次の法案ですね、この一次の法案の閣議決定の前に障害当事者の意見を聞いたんでしょうか。

○小林大臣政務官 障害福祉計画の策定時に当たっての住民の意見聴取義務について、これは昨年六月……(塩川委員「それは二次の方ですか」と呼ぶ)はい、二次の方です。(塩川委員「一次の方について。居室定員四人以下とかの一次の法案をつくる、閣議決定をする過程で、閣議決定の前に意見を聞いたか」と呼ぶ)ちょっとお待ちください。
 大変失礼しました。閣議決定前には当事者の意見を聞いている、このような状況でございます。

○塩川委員 聞いている。もう一回ちょっと確認で。

○小林大臣政務官 済みません。訂正いたします。
 聞いておりません。

○塩川委員 ですから今回の、今審議をしている法案について、障害者の人権にかかわる規定について、障害当事者の意見を聞いていないんですよ。自治体関係はもちろん聞いているでしょうけれども、障害者団体の方の意見というのは聞いていないで提出されているわけですね。
 私は、これは、障害者自立支援法の廃止を前提にした原告団、弁護団と国との基本合意文書にもあるように、反省があるのであれば、障害者の声を聞くということを今後に生かすべきといった趣旨が全く生かされていないということを言わざるを得ません。
 重ねてお尋ねしますけれども、障害者権利条約の制定のスローガンでありました、障害者のことは障害者抜きで決めないで、このスローガン、これが障害者の方の共通の要望だったんじゃないでしょうか。今回のように、法案を出す際に障害者の声を聞いていないというのは、まさにこの、障害者のことは障害者抜きで決めないで、これを全く踏み破るものだと言わざるを得ないと思いますが、いかがですか。

○小林大臣政務官 もう少し詳しく私の方から答弁をさせていただきます。
 障害者団体からのヒアリングとしては先ほど言ったように実施しておりませんけれども、地域の実情を知る地方自治体の首長等の有識者が参画して、障害者福祉行政の所管府省である厚生労働省からも意見聴取を行った上で勧告がなされたもの、このように承知をしております。

○塩川委員 ですから、そもそも障害当事者の意見を踏まえて施策を成り立たせるべきだというのが、自立支援法をめぐる、国に問われた一番の問題だったわけですから、自治体の意見を聞きました、厚生労働省の意見を聞きましたというのでは、全く障害者の声を反映させるということにならないわけであります。大体、厚生労働省が障害者自立支援法も出してきた、それがまずかったと言っているわけですから、厚労省の話を聞いたからそれでいいとならないのは、はっきりしているわけです。
 障害者自立支援法違憲訴訟全国弁護団と、障害者自立支援法訴訟の基本合意の完全実現をめざす会が政府に提出した意見書、昨年の五月ですけれども、この意見書にも、地域主権推進一括法案が成立することは「基本合意に反するものといわざるを得ず、極めて重大な問題」、「本法案は、何ら調査も実施されず、障害者の意見を十分に踏まえることなく、拙速になされるものであり、反省を踏まえ、今後の施策の立案・実施に当たっているとは到底いえない」と述べているわけであります。
 法案提出者の片山大臣にお尋ねしますが、そもそも、今回の法案を障害当事者の意見も聞かずに決めたこと自身が問われるんじゃありませんか。

○片山国務大臣 理想論を言えば、この分野に限らず、これはいろいろな分野、万般にわたる法案でありますから、その前提となった地方分権改革推進委員会の勧告前の段階で、万般にわたって広く意見を聞いておくということが私は望まれただろうと思います。ただ、当時の時間的な制約とか物理的な制約があって、必ずしもすべての分野について意見を聞くことができなかった、そういう嫌いはあったのではないかと思います。
 ただ、先ほど来申し上げておりますとおり、これは、国がすべてを決めるというやり方から、自治体単位で条例でもって決めていただくという方針の変換でありまして、そうなりますと、今度は、自治体の条例を決めるときには当然議会で審議しますから、この議会には国と同じで参考人質疑でありますとか公聴会などもあるわけであります。そうしますと、国の場合に衆参二つで公聴会、参考人質疑を開くわけですけれども、自治体になりますとこれが千七百数十になって、そこでそれぞれ、そういう関係者の意見を聞く機会は得られるわけです。機会だけとらえますと、膨大に機会はふえるわけであります。
 ぜひそういう面に着目していただいて、自治体においてよりこうした民意を、特に関係者の意見というものを把握する、そういう機会を、単に機会で終わらせるのではなくて、実地にそれが実現できるようにしていただきたい。そうしますと、御懸念のようなことではなくて、むしろ、参酌すべき基準などを参酌した結果、当事者の意見も踏まえて、より手厚い方向に施策が進んでいくということは当然考えられるわけでありまして、そういう面の方にもぜひ着眼をしていただければと考えております。

○塩川委員 いや、国の法改正の議論ですから、国が法改正をやろうというときに、そのために関係する方の意見を聴取することをやっていないということが問題だと聞いているわけなんですよ。分権改革推進委員会でどうだったか。数年間にわたって、百数十回の会合を開いているわけですよね。それなのに障害者団体から全く意見を聞いていないんですよ。これで決めていいのかということが問われているんじゃないですか。
 障害者権利条約でも、「障害者が、政策及び計画に係る意思決定の過程に積極的に関与する機会を有すべきであることを考慮」することとしているわけであります。そういう点でも、障害者権利条約の立場でも、この間の障害者自立支援法の違憲訴訟において、国と原告団、弁護団で交わされた基本合意文書を踏まえても、障害者のことは障害者抜きで決めないで、この立場でこそ行政が、政治が対応すべきだ。これを欠いた法案というのは、私はこのまま成立をさせるわけにいかないと言わざるを得ません。
 しかも、今国会に提出をされました第二次の法案ですね、名称も地域主権がつかないそうですけれども、この第二次法案では、計画等の策定及びその手続の見直しにおいて、計画策定への当事者参画となる住民の意見聴取の義務規定を、努力規定にしているわけであります。
 障害者自立支援法の市町村障害福祉計画の策定において、「市町村は、市町村障害福祉計画を定め、又は変更しようとするときは、あらかじめ、住民の意見を反映させるために必要な措置を講ずるものとする。」とあるのを「必要な措置を講ずるよう努めるものとする。」と努力規定に改めているわけであります。
 大臣、厚生労働省の小林大臣政務官でも結構ですが、この二次法案の閣議決定前に障害当事者の意見というのは聞いているんでしょうか。

○小林大臣政務官 一次法案と同様の関係でございます。
 ヒアリングとしては実施していないけれども、地域の実情を知るために、地方自治体の首長などの有識者からいろいろ御意見を聞いている。さらに、同委員会の勧告を受けて地方分権改革推進会議など、こういう閣議決定の中にも、政府の中で必要な調整を行ってきた、このように認識をしております。

○塩川委員 二次法案の閣議決定前にも障害当事者、障害者団体の意見を聞いていないんですよ。
 これは一次のときは、昨年の三月でしたか、法案提出でしたけれども、その中身に問題があるということで、昨年の五月、六月段階で障害者団体からは、問題があると、意見は国の方にも出されているわけですよね。国の方は障害者団体から、一次法案に問題ありということは承知していたにもかかわらず、今国会に二次法案を出すときにも、二次法案の閣議決定の前に障害者団体、障害当事者の方から意見も聞いていないんですよ。
 お尋ねしますけれども、そもそも、住民の意見聴取を義務規定としているというのはなぜなんですか。

○小林大臣政務官 今回の法律、地域のことは地域の住民が責任を持って決めることができる、こういう地域主権の推進に向けて取り組む必要がある、こういう考え方のもとで考えてきておりますので、今先生が御指摘されたことは当たらない、このように考えております。

○塩川委員 いや、当たらないというんじゃなくて、なぜ義務規定となっているかという質問をしただけなんです。私が何か意見を言っているわけじゃないんです。仕組みがどうなっているかと聞いている。
 要するに、住民の意見聴取、計画をつくる際には関係者の声をしっかり聞いてくださいねというのが仕組みなわけですよね。この義務規定を今回、努力義務規定に改めるわけですけれども、では、この義務規定をなぜ努力義務規定に改めるのかということをお聞きしますが、いかがですか。

○小林大臣政務官 障害福祉計画の策定時に当たっての住民の意見聴取義務については、昨年六月二十二日に閣議決定した地域主権戦略大綱に基づき、社会福祉法に基づく地域福祉計画と同様に努力義務化することとしたものでございます。
 これは、先ほど言ったとおりでございまして、地域のことは地域の住民が責任を持って、地域主権の推進に向けて取り組む必要があるという考え方のもとで、地方自治体と住民との関係について、一律に義務づけるのではなく努力義務としたものでございます。
 厚生労働省としては、できる限り住民や障害者当事者の意見についても反映する機会を設けていただくよう、必要に応じて、通知だとか各種会議等の場を通じて助言などを行ってまいりたい、このように考えております。

○塩川委員 大臣にお尋ねします。
 こういった障害当事者の方の意見を施策に反映するということは、国も、先ほど言った基本合意文書の中でも尊重するとなっているわけです。今回のように障害者に係る法改正が行われる際に、そもそも障害当事者の方の声を聞かないで決めるというやり方でいいのか、おかしいんじゃないかと思うんですが、大臣の御見解はいかがですか。

○片山国務大臣 先ほど来のやりとりを伺っていまして考えますのは、自治体が障害者福祉に関する計画を定めるときに当事者の意見を聞かないということは、私はそんなことはあり得ないと思うんです。私の経験からいっても、当然、障害者に関する福祉計画をつくるときは障害者の皆さんの意見を聞きます。これを従来、法律で義務づけていたということ自体が私なんかは違和感があります、義務として聞いていたのかと。では、義務規定がなくなったら聞かないのか、こういう反対解釈になるわけでありますけれども、決してそんなことはないと思います。わざわざ義務づけるようなことは私は必要ないと思います。
 むしろ、義務だからやるというような生活習慣があったとすればそれを払拭してもらって、当然のことを自治体がやるという、そっちの方に持っていく方がやはり素直なことではないかと私は思います。決して悪いようにとらまえないでいただきたい。何か、義務づけから努力義務に変えたから、自治体の方が耳を傾ける度合いがぐんと少なくなるし、少なくなってもいいんだというふうなメッセージとして受け取るべきではないと思います。

○塩川委員 いや、住民の意見聴取の規定というのは、国が地方に押しつけるという話じゃないんですよ。そもそも、主権者である国民の声を、意見を施策に反映させるために、意見聴取というのを国と地方に義務づけているということなんじゃないですか。主権者国民の立場から、国と地方に意見をきちんと聞きなさいということを定めているということなんじゃないですか。それを変えるのはおかしいというのが私の意見なんですが、大臣、そう思いませんか。

○片山国務大臣 住民に一番身近な自治体が、その住民の皆さんの中の、障害者の皆さんの福祉の計画をつくるときに、当事者の皆さんから意見を聞くというのは当たり前のことだと思います。国法によって定められているから意見を聞く、そういう形式的なものではないと私は思います。

○小林大臣政務官 先ほど少し言葉が足りませんでした。
 常日ごろ、厚生労働省の方には、障害者団体を初めとして多くの皆様からいろいろな御意見が寄せられております。そういうことがあるものですから、先ほど言ったように、ヒアリングという形では実施をしておりませんが、それぞれの皆さんの状況については十分把握できている、このように認識をしております。

○塩川委員 いや、納得していないという声があるわけですから、そもそも聞いていないわけですから。このこと自身が大問題であるわけで、計画策定に当たっての障害当事者の参画を私は制度的に後退させるものだと言わざるを得ませんし、障害者の権利を侵害するおそれがあり、認められないと言わざるを得ません。
 ぜひ、この審議に当たって、障害者団体、障害当事者の声を聞く。参考人質疑をぜひやっていただきたい。委員長、お取り計らいをお願いします。

○原口委員長 理事会で協議をいたします。

○塩川委員 国の地方に対する縛りをなくすというのであれば、私、今回の震災を踏まえても、災害対策の施策においての国の不必要な縛りそのものを改めるべきだということを申し上げたい。
 東副大臣においでいただきましたが、知事会から三月三十一日付で緊急要請が出されていますけれども、被災者生活再建支援制度の関係であります。「これまで住宅の損壊の程度に着目していた被災者生活再建支援制度を、被災した世帯がどのように生活再建していくかに着目して支援していくことも可能な制度として組み替える。」ことを要望しております。
 そこで、お尋ねしたいのは、住宅が損壊した人を被災者として支援する現行制度を改めて、被災した住民を支援対象とする被災者支援制度へと見直していく必要があるんじゃないのか、この点についてのお考えをお聞かせください。

○東副大臣 委員の御提言そのものに対しては、意見としてお伺いさせていただきたいというふうに思いますが、今回の被災地をいろいろと訪問させていただいて、何とか命が助かって避難所に避難された方々、さらにまたその避難所の周りで、自宅で頑張られている方々の生活をどのように支援して生活の再建を図っていくか、まずこれが最重要な課題と認識しています。
 このため、政府としては、被災者生活再建支援制度に基づく住宅の再建への支援だけではありません、生活福祉資金制度による無利子貸し付け、あるいはまた政策金融機関による低利融資、公営住宅の提供といった既存の制度の活用や、あるいはまた固定資産税や不動産取得税などの税制における減免措置といった特例措置を検討するなど、さまざまな政策手段の活用によって、被災者の生活再建が円滑に進むよう後押しをしたいと考えているところです。

○塩川委員 今お話がありましたように、被災者支援のために、金融や財政や税制などのいろいろなスキームがあります。でも、その多くが住家の損壊状況に着目した、被害認定を踏まえた罹災証明書に基づいて行われるわけですよ。その被災の状況は、住家の損壊状況だけでいいのかということなんです。
 実際には、地盤被害で家が傾いても上の建物が壊れていなければ、これは罹災証明が出ないなんという事態があるわけですから、地盤被害に着目するということも必要ですし、住家の損壊状況にかかわらず長期避難が求められるような場合もあるわけですから、そういうのをひっくるめて、住家の損壊状況に着目した被害認定ではなく、被災者そのものに着目をした被災者支援制度に改めるべきだということを強く申し上げ、国の縛りを見直すというのであれば、こういう点こそ見直すべきということを申し上げて、質問を終わります。