<反対討論の要旨・2011年4月21日・総務委員会>


「地域主権改革」等一括法案/最低限保障の責任投げ捨て/衆院総務委での反対討論

 反対理由の第一は、福祉、教育分野をはじめナショナルミニマムを保障する国の責任が投げ捨てられるからです。わが党は、国から自治体に対する中央集権的な統制や監督、関与のしくみを縮小・廃止すること、国と地方の関わり方は、住民自治と団体自治が拡充され、自治体が「住民の福祉の増進」という責務を果たすにふさわしいものであるべきと主張してきました。

 法案には、当然見直されるべき条例の委任化や事務手続きの簡素化につながるものも含まれています。

 しかし、保育所の最低基準や高齢者・障害者施設の設置・管理運営基準など、福祉や教育分野でナショナルミニマムを保障する国の責任が、地方への条例委任化などによって投げ捨てられることはきわめて重大です。

 法案にある障害者自立支援法改正案について、政府が、障害当事者の意見を聞いていなかったことが明らかになりました。障害者自立支援法廃止をめぐる訴訟の和解合意で政府は、障害当事者の意見を聞かなかったことをわび、反省したにもかかわらず、当事者の意見を聞いてこなかったことは重大です。

 片山大臣は、「義務規定がないから自治体が住民意見を聞かないことはない」と答弁しました。しかし、当事者の意見を聞かなかったことは、その説明が何の根拠にもならないことを示すものです。

 住民の意見聴取規定は、国の地方への押しつけではありません。国民の意見を施策に反映することを国と自治体に課すものです。

 第二は、民主党政権の「地域主権改革」は国の財政再建論や新自由主義的地方構造改革と結びついた自公政権の「地方分権改革」路線をそのまま踏襲したものだからです。

 東日本大震災の教訓は、福祉・防災に強い自治体づくりであり、自公政権の「地方分権改革」路線からの根本的転換こそ求められています。

 民主・自民・公明による修正案は政府法案の内容を変えるものではなく、自公政権下の「地方分権改革」と、「地域主権改革」がなんの違いもないことを証明するものです。

 国と地方の協議の場に関する法律は、「地方分権改革」路線の推進を目的としている点で反対です。

 地方自治法改正案は、現行の議員定数の法定上限を撤廃することによって、歯止めのない削減につながること、行政機関等の共同設置は、徴税などの業務が住民から身近でなくなり、納税者の権利が脅かされるおそれがあることから反対です。