<第177通常国会 2011年04月22日 総務委員会 13号>



○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 地方税法について質問をいたします。
 本法案は、東日本大震災による被害が甚大なものであったことから、阪神・淡路大震災に関連してとられてきた措置をベースにしつつこれを拡充し、また、新たな措置を創設するものであり、賛成の立場であります。
 その上で、何点か確認、あるいは幾つか新たな措置ということについて質問をいたします。
 財産を失い、仕事を失った被災者の方は、地方税の納付期限の延長となっても、では、その後で納められるかといっても、その見通しが立たないということも当然起こり得るわけであります。既に滞納を抱えている被災者の方であればなおさらのことであります。
 そこでお尋ねしますが、このような滞納を抱えた被災者に対して無理な取り立てを行うようなことはやらない、あるいは、期限延長したのに延滞金を取るようなことも行わない、これは当然のことだと思いますが、その点について確認をさせてください。

○逢坂大臣政務官 私自身も、何年か課税の事務をやったり徴収の事務をやったりした経験がございます。滞納をされている方の事情というのはさまざまでございまして、その滞納の状況に応じた対応が必要になると思っています。今回、その上に、さらに災害、被災ということが重なってきますので、平時以上に十分に配慮をした、滞納されている方々への対応というものが必要になるというふうに思っております。
 その上で、現在の法律上の規定をお話しさせていただきますと、滞納者が災害の被害を受けた場合には申請に基づいて徴収猶予を行うことができることになっておりますし、滞納処分をすることができる財産がない場合などにおいては滞納処分の停止を行うことができることになっております。また、徴収の猶予やあるいは滞納処分の停止を行っている間の延滞金については免除することとされております。
 以上でございます。

○塩川委員 その上で、納税者の資力が回復しないような場合については、当然のことながら、地方税の免除を含めた措置というのを行うことが求められていると思いますが、その点についてはいかがですか。

○逢坂大臣政務官 その点につきましては、地方税法の第十五条の七の四項に、執行停止の状態、すなわち、処分するような財産がない、資力が回復しないというようなことなどもあって執行停止がずっと続くんだと思われますけれども、それが三年間継続したときは消滅をするということになっております。
 以上でございます。

○塩川委員 これは今後、現場での実情を踏まえて、執行がどうなっているのかについては、個々具体の問題があった時点で、改めてその点をただすということにしていきたいと思っております。
 こういった減免によって地方税の減収分が生まれたような場合に、その穴埋めをどうするのか、国としてはこの点をどういうふうにするつもりなのかについても確認で御答弁をお願いします。

○逢坂大臣政務官 今回、自治体が独自に減免をしていくということになった場合の歳入の穴でございますけれども、これは歳入欠陥債によって補てんをしていこうというふうに考えているところであります。
 さらに、これは現在のところ、災害の発生年度である二十二年度分だけということになっているわけですが、今後、二十三年度以降における減免についても同様に対応するということになれば、法改正ということも予定しなければならないというふうに思っております。
 それから、歳入欠陥債の後年度の元利償還に対しての考え方でありますが、阪神・淡路大震災の際に講じた措置、基準財政収入額の算定を踏まえて七五%を交付税措置いたしておりますけれども、これに加えて、さらに、財政力に応じて最大二〇%の交付税の措置を予定できないかというふうに現時点では思っております。

○塩川委員 しっかりとした措置をお願いしたいと思います。
 次に、今回の法改正で、津波被害に対する固定資産税の課税免除措置が創設されます。この特例措置の内容がどのようなもので、こういう措置を講じる理由が何かについて、あわせてお答えいただけますか。

○片山国務大臣 幾つかありますけれども、そもそも論からいいますと、固定資産税というのは、一月一日の現況によってすべて課税要件を決めてしまいますので、現行法によりますと、一月一日に現に存在している土地家屋についてはそのとおり課税をするということになりますが、これは幾ら何でも不都合であります。
 したがって、津波に洗われて家屋が滅失してしまった、土地も大きな災害を受けているところについては課税免除をしよう、これが一つの内容でありますし、それから、以前も申し上げたことがあると思いますけれども、住宅が上に乗っかっている土地については、一定の面積は課税標準を六分の一にするという特例がありますけれども、これが、住宅が取っ払われますと途端に六倍にはね上がる、こういう不都合も生じますので、こういうことを避ける。そのほか幾つかのことがあります。
 それらに伴って自治体は大幅な減収にならざるを得ませんが、これについては、すべて地方債の発行によって当面の歳入を賄うことになります。しかし、それが将来の自治体の財政運営に大きな支障を及ぼすということになってはいけませんので、それについては一〇〇%を後年度の地方交付税によって補てんする。
 これが、特例の大まかな概略と、特例によって生じます減収の補てん策のあらましであります。

○塩川委員 津波被害に対する固定資産税の課税免除措置の御説明がありました。
 それに対する地方自治体の減収分に対する対応で、地方債の発行で、これは減税補てん債のようなものの発行を可能として、こういった減税補てん債の元利償還金について、一〇〇%を交付税で措置するということを考えておられるということで、確認ですが、よろしいですか。

○片山国務大臣 今提案しておりますこの法案が成立をしまして、その成立後の法律に基づいて課税免除が行われるとした場合には、その課税免除の対象となった減収額というのは全額地方債を発行することが可能であり、かつ、その元利償還金については後年度、地方交付税で全額を見ていく、こういうことになります。

○塩川委員 それと、津波被害について、面的に課税免除の措置も行われるわけですが、今回の大震災では各地で地すべりや液状化による地盤被害が起こっております。
 地すべり被害の状況についても、国交省が把握している地すべり被害で二十六カ所に及ぶと承知をしておりますし、液状化被害につきましては、地盤工学の学会、地盤工学会の現地調査では、東京湾岸地域の液状化被災面積は概算で約四十二平方キロとしております。朝日新聞でコメントを寄せておられます、調査に当たった安田進東京電機大学教授は、「阪神大震災では神戸〜尼崎市間で液状化が起きた面積は十平方キロ程度だった。今回、他の地域の分も加えれば国内で過去最大規模と言っていい」と述べています。
 ですから、阪神・淡路のときに、ポートアイランドのような埋め立ての地域を含めて十平方キロで液状化が起こった。今回の場合は、東京湾岸だけでも四十平方キロの液状化の被害があるんじゃないのか。さらには、利根川の流域というのも広く液状化の現象が起こっているわけですね。そうしますと、千葉県と茨城県と埼玉県、こういった広い範囲で液状化の被害が生まれております。また、茨城の那珂川の流域、海に接するようなひたちなか市などにおいても同様の液状化の被害が広がっておりまして、地下の埋設物が浮き上がるとか、あるいは住宅も傾き、地下の中にあるさまざまな配管なども大きな影響を受ける。
 言われているように、傾いた家をもとに戻すジャッキアップだけでも五百万円かかると言われておりますし、配管を含めて全体の費用を見るとしたら、一千万円以上かかると言われるような大きな負担を強いられるものであります。ですから、こういった過去最大規模の液状化被害に対応した被災者支援策が必要だと考えます。
 大臣にお尋ねしますが、津波被害に対する固定資産税課税免除措置に準じて、広範囲に及ぶ地すべりや液状化による地盤被害について、固定資産税や都市計画税の減免など税の特例を設ける法的措置を具体化する考えはないか、お尋ねします。

    〔福田(昭)委員長代理退席、委員長着席〕

○片山国務大臣 御指摘のような、地すべりによる被害とか液状化による被害があることはもちろんでありますけれども、これらの被害の態様というのは必ずしも一様ではありません。被害の態様はさまざまであります。
 例えば、液状化を例にとりますと、相当長期間使用収益が事実上できないような土地ももちろんあると思いますし、一方では、多少の手直しで比較的早期に使用収益が可能となる土地もあるわけでありまして、そういう被害の態様がさまざまな土地について、一律に課税免除とか一定の課税の規制を加えるということは必ずしも妥当ではないと私は思います。むしろ、そういうさまざまな態様に対しては、個別の自治体が現場の実態を見まして必要な措置を講ずるということの方が、結論においては妥当するんだろうと思います。
 現に、地方税法に三百六十七条という規定がありまして、ここに、天災などによって不都合が生じた場合には自治体の判断で減免ができるという規定がありまして、その規定を使うことによりまして納税者の抱えている事情というものを解決していただく、これがルール、基本でありますので、そちらによっていただければと思っております。

○塩川委員 今回、津波被害に対しての面的な固定資産税の課税免除の措置なども行われている。そういうことをやるのであれば、液状化の被害などについては踏み込んだ対応というのも具体化をすべきときに来ていると思います。
 液状化についても、それは地域によってのいろいろな差があります。東京湾岸と利根川流域と那珂川流域なんかでも態様の違いがありますけれども、しかし、共通する部分というのは当然あるわけですね。利根川流域の茨城や千葉の自治体で見ましても、千葉の香取市ですとか我孫子市とか、茨城でいえば潮来や神栖や鹿嶋などについては、要するに、住宅団地のところがもともと田んぼだったところで、下が砂地で、その下の砂のところは建設用の砂として取って埋め立てをして、少し高盛りをして住宅を建てるというようなところが、今回の地震で揺れて水が噴き出して傾くという点での共通性というのは広くあるわけですね。
 そういった事態をしっかり踏まえた対応策というのはぜひお考えいただきたいということを改めて申し上げておくものであります。
 最後に、今回は第一弾ということであります。当然、第二弾ということもお考えだと思いますが、その点でも、原発事故に伴う被害者への地方税の減免措置について、どのように取り組むのかについて最後にお尋ねをして、質問を終わりたいと思います。

○片山国務大臣 原発の関係地域の、例えば固定資産税について、現時点で現行の地方税法どおりに粛々と課税することが妥当しないことは言うまでもないと思います。ただし、しからば、現時点において津波被害と同じように課税免除を地域的に行うということを判断するのは、それはそれでまた妥当しないと思います。
 といいますのは、まだプラントの封じ込めの状況がわからない、避難の期間というものがいつまでになるかわからないというような状況の中で決めてしまうというのも妥当しないということ、先ほど申し上げたとおりでありまして、したがって、現時点では期限の延長ということをやっていただいておりまして、納税者の皆さんに負担が当面生じないようにはしております。
 今後の推移を見計らいまして、一定の判断ができる状態になりましたときに、必要に応じて法案を出したいというのが現時点での考え方であります。

○塩川委員 ぜひ早急な具体化を求めて、質問を終わります。