<第177通常国会 2011年04月28日 総務委員会 14号>



○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 地方公務員共済組合法案、地方議員年金廃止法案の質問に当たりまして、それに先んじて、喫緊の課題であります被災者生活支援に関連して何点か質問をいたします。
 四月十五日、内閣委員会で、私が液状化被害の問題について対策を求めたのに対し、松本防災担当大臣は、「現実の基準が今回の地盤の液状化の実態にそぐわないという指摘もありますので、これから、家屋の状況を調査して、基準の見直し等も含めて勉強していきたい」と答弁をいたしました。
 東防災担当副大臣においでいただいております。東副大臣も、千葉県内の液状化被害地域の現地調査もされたとお聞きしております。どのような地域を調査され、現場でどのような感想をお持ちになったのかについてまずお聞かせいただけますか。

○東副大臣 お答えさせていただきます。
 このたびの東日本大震災においては、東北地方において、やはり想像を絶する最大規模の津波等に余りにも関心が行ってしまっておりまして、それ以外にも、今御指摘になりました液状化による被害もいろいろなところで起こっている。
 そういうことを踏まえた上で、この地盤の液状化による被害の実態が現実どういうふうになっているのか、また、そこで市町村の職員としてこのことを考えてくださっている市長を初め、さらにまた被災されている方々のお話を伺いに、去る四月二十二日に千葉市、習志野市、浦安市、そして四月二十六日には茨城県の潮来市、神栖市において現地調査を実施させていただいたところであります。
 例えば、液状化による被害を受けた住宅の床が傾いてしまっている。三センチぐらい傾いていても、今の御指摘のような被災者生活再建支援制度で、どれだけきちっとその部分を手当てすることができるのかということを痛感させていただきました。そういう意味で、液状化の被害というのは私どもが想像する以上に大きな被害を与えてしまっている、そういう感想を持ちました。

○塩川委員 現場の実態をよくごらんいただいていることと思います。
 きょうのお昼のNHKニュースで松本防災担当大臣が、液状化の被害は、住宅の修復だけの問題でなく健康被害にもつながるので、見直す方向で努力していると述べ、基準の見直しを五月初めに行う方針との報道でございました。昨日は、枝野官房長官も、記者会見で同様の趣旨のことを触れられていると承知をしております。
 被害認定の基準の見直しなど、どのように対応されていくお考えなのか、その点についてお聞かせください。

○東副大臣 御指摘のとおり、これまでの液状化による住宅の被害認定の方法につきましては、委員を初め多くの方々から御指摘をいただいてきたところであります。一方で、現在の基準が今回の地盤の液状化による住宅被害の実態にそぐわない、こういう御質問も多くいただいておりまして、もう既に潮来市には担当官を派遣したほか、先ほど申し上げましたとおり、私の方でも現場を視察させていただいて、実態を把握させていただいている。
 したがいまして、現在、こうした液状化の実態を踏まえながら、被害認定の専門家及び学識経験者、さらにまた、塩川委員御指摘のとおり、医療関係といいますか健康関係に対して知見を有されている方々の意見を聞かせていただきまして、できるだけ早くこの基準見直しを決断したいというふうに思っております。

○塩川委員 家の傾きについても、二十分の一というのでは、実際には非常に、それより小さくても住めないというのが実際の声でありますし、地盤そのものがそっくり沈下をしている事例などはこの被害認定では拾えませんから、そこへの対策も含めて、しっかりと、早急な基準の見直しをやっていただきたい。
 そういう被害認定の見直しを含め、被災者生活再建支援制度の適用とあわせて、地盤被害そのものについてももう一歩踏み込んだ対応が必要だ、こういうこともあわせて求めておくものでございます。
 東副大臣、ありがとうございました。
 被災地におきましては、地方議員の方も被災者の方の要望を聞き、その要望の実現のために奮闘されているところであります。福島の、地域が四区分されてしまった南相馬市において、我が党の地方議員から聞いた話をお伝えしたいと思います。
 桜井勝延南相馬市長が、四月十二日に、緊急災害対策本部、菅直人内閣総理大臣あてに提出した要望書があります。この要望書では、
  当市は、原発からの距離により、「避難指示」、「屋内退避」、「規制なし」の三地区が併存する極めて特異な状況に置かれております。
これは四月の十二日の時点ということでありますが、
  こうした中で、避難や屋内退避の指示の対象となってない「規制なし」の地域においても、燃料や食料、医薬品などの生活物資の確保をはじめ、産業・経済、雇用、教育、医療などあらゆる面で深刻な影響が出ており、また風評被害も大きく受けております。
  このため、義援金の配分をはじめとする各種支援の対象については、東京電力第一原子力発電所から三十キロメートル圏域にかかわらず、市域全域とすることを強く要望いたします。
こういう内容での要望書であります。
 内閣官房にこの要望書が届いていると承知をしておりますが、国はこの要望書をどのように受けとめ、どう対処しようとしたのかについてお答えいただけますか。

○北川政府参考人 お答えいたします。
 東京電力福島第一原子力発電所で発生した事故につきまして、その距離に応じましてそれぞれの政府指示を行っておるところでございます。
 そういった中で、先ほど委員御指摘のありました市長の御要請もございましたけれども、四月十五日に開催されました原子力発電所事故による原子力被害対応本部におきましては、政府指示のもとに避難された方々、対象区域の住民の方々が、着のみ着のまま、大変な思いで立ち退きをされ、それに続きます避難所での長い滞在、そのような厳しい生活環境ということにかんがみまして、速やかに対応していきたいということで本部決定を策定いたしたところでございます。
 そのような状況でございます。

○塩川委員 南相馬市からは、三十キロで線を引いてくれるな、被災されている、被害を受けている方々は同等なんだということを訴えていたにもかかわらず、その直後の四月十五日に、三十キロで線を引きますと言ったのが政府の対応でありました。つまり、国が三十キロ圏内の住民に限定をした、線引きをした。これを踏まえて、東京電力も仮払いについて、百万円を三十キロ圏内、計画的避難区域なども当然そこに入るわけですけれども、基本はそういった国の対応に即した措置になっているわけであります。そういう点でも、三十キロで線引きをした国の責任は重大であります。
 この南相馬市の状況ですけれども、福島第一原発から南北に、かつての三つの自治体が合併をしている。それがそれぞれ、二十キロ圏内のところで小高町、三十キロ圏内のところで原町市、さらに三十キロ圏外で鹿島町、旧自治体の単位でちょうど線が引かれて、それが一つの南相馬市となっているのが現地の状況であります。つまり、合併によって一体感をつくっていこうというところの努力の中に、機械的な線引きが行われたことによって、実際に旧自治体の区分と重なるような形での措置が行われたというのが現実でありました。
 三十キロ圏外の、指示なしとなっている旧鹿島町の区域、鹿島区には約二千世帯があるそうですが、もちろん、地震や沿岸地域で津波の被害を受けた住民も少なくありませんけれども、原発被害も大きなものがあります。放射能を恐れて自主避難した世帯もありますし、自営業で店を閉めざるを得なくなったところも少なくありません。
 この圏域にあった企業が工場を閉めて圏外に移転をするとなった。ついて行ける労働者の人は継続雇用したものの、そうでない方もいらっしゃったし、下請で仕事をしてこられたような材木店や大工、ペンキ屋さんなどは仕事が奪われているという状況で、収入が断たれた住民も少なくありません。
 こうした意味では、物理的にも精神的にも、風評被害も含めて影響を受けているわけです。そういう点では、南相馬の皆さんは、この鹿島区の方も含めて原発事故の被害者だという気持ちがあるわけで、これは市議会でも党派を超えて一致した声だということを聞いております。
 大臣にお尋ねしますけれども、桜井市長自身は、もともと国が一つの市を線引きすることがおかしい、市民は地震、津波や原発による恐怖をひとしく受けている、本来なら、補償なども全市民が得て当然だと述べておられるわけです。この要望書にあります「各種支援の対象については、東京電力第一原子力発電所から三十キロメートル圏域にかかわらず、市域全域とする」、こういう要求は当然の要求ではないかと考えますが、大臣、いかがでしょうか。

○片山国務大臣 一概にどうこうということは申し上げられませんけれども、地域を預かっている町長さんのお考え、御意見というのはできる限り酌み取るべきだと私も思います。

○塩川委員 この三区分が今は四区分になりまして、警戒区域、避難指示区域等、計画的避難区域、緊急時避難準備区域、そして指示なしの地域という状況に今なっているわけで、合併後のまちづくりで大変苦労されておられるときにそういう形での線引きを国がされるということについて、やはり強い憤りがあるということに心を寄せるべきであります。
 私は、少なくとも一部が今回の仮払いの支払い対象になっているような自治体については、自治体全員の住民を対象として一次分の仮払いとすべきだ、こういうことを地方行政を所管する総務大臣としてぜひ発信していただきたいと思うんですが、大臣、改めていかがですか。

○片山国務大臣 それは、仮払いにしましても、義援金にしましても、それぞれ決定をされる機構、組織がありますので、そこで責任を持って決められるべきことであります。
 それに際して、現場の町長さんの意見などを、できるだけ酌み取るべきところは酌み取ってあげてくださいというのは以前から私も申し上げているところでありますけれども、それはしかし、先ほど言いましたように、決定する組織において責任を持って決められるべきことだと思います。

    〔福田(昭)委員長代理退席、委員長着席〕

○塩川委員 同一自治体内に支援策の格差を設けることはやめるべきだ。こうした問題は、賠償金の仮払いとか義援金だけではなくて、被災証明書の発行や医療費の窓口負担の無料化についても同様に三十キロでの線引きが行われているわけですから、これを是正して、原発事故によって生活に困窮している全市民にひとしく対応することを国として措置すべきだということを強く申し上げておくものであります。
 地方議員年金の廃止法案についてですが、今回の措置も踏まえ、過去債務の支払いに必要な財源は地方自治体の負担とされております。共済会の資産を順次取り崩したとしても、二〇一一年度千三百四十三億円、六十年間の累計で、総額約一兆一千四百億円の公費負担となります。国として、どのような地方財政措置を行うのかについて御説明をいただけますか。

○片山国務大臣 これは、先ほど来議論がありましたとおり、例えば平成二十三年度の給付に要する経費を含む公費負担額は千三百四十七億円でありますけれども、これは全額地方財政計画に計上いたしまして、普通交付税の基準財政需要額に算入するということで、それぞれの自治体の予算編成、財政運営に支障のないようにしているところでありますし、今後とも、これが必要な限り地方財政計画での措置を続けていくつもりであります。

○塩川委員 制度破綻の原因は、国の市町村合併推進による急激な議員数の減少や、地方行革による定数、報酬削減などによるものでありますし、適切に措置すべきだということを申し上げて、質問を終わります。