<第177通常国会 2011年05月13日 内閣委員会 10号>



○塩川委員 私は、日本共産党を代表して、総合特別区域法案に対して反対の討論を行います。
 反対する第一の理由は、国民の生活の安全や福祉を守る規制の緩和は、特区という地域限定措置であっても容認することができないからです。
 国際戦略総合特区では、法律で工場立地の一定の面積を緑地に充てる規制が緩和されますが、周辺の生活環境の悪化だけでなく、防災上も問題になります。特別養護老人ホーム設置事業の参入規制の緩和では、民間事業者の営利追求経営が人件費削減に向かい、質の低下を招く危険性があります。通訳案内士の規制緩和では、資格制度に穴をあけることで、通訳案内士の職業を脅かすだけでなく、安かろうの通訳案内者を増殖させ、観光振興などの地域活性化にも逆行しかねません。
 第二の理由は、総合特区の指定地域と国との協議会が設置をされ、国民生活の安全や福祉を守る規制のさらなる緩和が恒常的に追求されかねないことです。
 そもそも、総合特区制度創設の動機の一つに、国民皆保険制度を掘り崩す混合診療導入があります。民主党の成長戦略・経済対策PTでは、条例によって地域限定で医療法や薬事法などの法律を書きかえるという憲法違反の条項を盛り込もうとしていましたが、さすがにこれはできませんでした。しかし、協議会の設置により、新たな規制緩和の突破口が追求されることになります。
 また、コンビナート地域で国際戦略総合特区を提案しているものは、消防法上の保安規制の緩和を要求しており、設置される協議会では、こうした要求に基づく規制緩和が追求されることは必至です。
 全国展開を前提とする構造改革特区と違い、最初から地域限定の総合特区では、緩和へのハードルが低くなり、国民の安全や福祉の規制が後退しかねません。
 以上、反対討論を終わります。