<第177通常国会 2011年05月25日 東日本大震災復興特別委 4号>



○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也でございます。
 被災地におきましての地震、津波そして原発事故という重大な困難の中で事業者の皆さんを支えて頑張っておられる方に改めて敬意を表するものであります。皆さんの貴重な意見陳述を踏まえて質問をさせていただきます。
 最初に、冒頭の石津委員からもございましたが、原発事故被害の賠償の問題であります。
 石津委員の方からは、この賠償の取り組みが遅いのではないのかという質問だったわけですけれども、若干重なるかもしれませんが、この賠償の基準あるいは仮払いのことについてどのようにお考えかということを、皆さんにお聞きしたいと思っています。
 この原発事故被害について、我が党は、全面賠償を明確にすることが必要だと求めてまいりました。事業者の被害については全額賠償を東京電力に行わせることが必要であり、この全面賠償というのは、原発事故による財物の毀損の補償とともに、原発事故がなかったらあったであろう収入と現実の収入との差をすべて補償する、こういうことが必要だ。その点で、勝手な線引きをしないでもらいたいということが重要だと考えております。この点では、風評被害などをしっかりと反映するのも当然のことであります。避難によって生じた被害についても、ここに含み得るということであります。
 その点で、原子力損害賠償紛争審査会が一次指針を出しましたけれども、これは、決めている項目もありますが、検討中の項目もたくさんあるわけであります。風評被害なども整理をされておりませんし、例えば避難費用などについて、これは実際の営業費用に比べれば決して多くはないですけれども、通信費の携帯電話の料金、実際には二月分と三月分を比べると三倍以上にふえている、そういう方なんかもたくさんいらっしゃるわけで、こういうことを含めて、国の整理にもなっていないような項目もあります。
 この点で、国、紛争審査会などが整理をしている賠償の基準について、今、皆さんの方で、懸念とか問題点とか、お感じのところがあればお聞かせいただきたいのと、東電としての、仮払いがこの間行われているわけですけれども、もともと三十キロの百万円というのがありますし、今、東電側が検討しているということで、事業者については、当面は請求があったものの半分を仮払いとかというのが出るわけですけれども、こういった東電側の対応についてもあわせてお感じのところをお聞かせいただけないかということでございます。よろしくお願いいたします。

○黄川田委員長 では、順次お答えいただきます。

○瀬谷参考人 大きな流れといたしましては、今先生が御指摘のとおりでございます。手っ取り早く言いますと、東電も限られた条件内で一生懸命やっていると思う、そんなに東電をたたいていいというものでもないと。
 ただ、私が冒頭、先ほど申し上げたとおり、今の原賠法とか、そこで想定されるような事故のスケールではないということなんです。全く新たに大きなこれだけの災害が起きた。事業者について補てんする、それはわかるんだけれども、では生活基盤を奪われて全部よそへ行っちゃった人についてはどうするんだ、生活保障、生涯所得に対するものがどう見合うんだ、こういう問題までさかのぼって考えなきゃいかぬから、今の原賠法では不十分である。そして、先生方の奮発をひとつ御期待したいということでございます。

○庄條参考人 塩川委員にお答えを申し上げたいと思います。
 一次指針が出ました。二次指針の中で風評被害についての線引きがされるというふうな情報を得ているわけでございますが、線引きも何も私はないと思います。これは原発の事故によっていろいろな被害が発生したということでございますから、線など引かずに、我々が申請するものについて補償願いたいというのが偽らざる気持ちでございます。

○野崎参考人 福島県の漁業の場合は、漁業団体と県との合意の下、自主的な休漁について全額補償するというのを一次指針の中で入れ込んでいただきました。それを踏まえて、今のところ、全漁業者の月別の平均漁獲金額等で請求を行っておるところでございます。この辺は福島の漁業者全員が取りまとまって、粛々とやっていきたいと思います。
 何しろこれは、前にもお答えしましたように、まず原発の収束、原発の現場の連中のより一層の奮闘が大事だと思って、私ども福島の漁業者は今後とも東電と交渉していきたいと思っております。

○外山参考人 先ほども申し上げましたが、やはり充足感が非常に乏しいというのが現実でございます。やはり売り上げが減る、人がほかへ移ってしまうというと、やがては倒産の憂き目に遭うというのが現実ではないかと思います。どうかひとつ、鈍行でなくて新幹線並みの速い、スピード感のある復旧をお願いいたします。

○成田参考人 各参考人と同じでございまして、まずはスピードです。我々は十年前に、実はジェー・シー・オーの事故というのを経験いたしたことがございます。我々の組織でやはりあのときもまとめてやりましたけれども、もっと速かったです。今回どういうことなのかと怒りを禁じざるを得ません。

○今橋参考人 まずは二次の指針の中に風評を必ず入れていただきたいということ。それから、東電の対応としてはですけれども、茨城沿海地区漁連として、東電さんの本店、茨城支店の対応としては比較的誠意ある対応をいただいておると思っております。

○塩川委員 ありがとうございます。
 次に、JAの庄條さんと成田さんにお尋ねしたいんですが、放射能汚染によっての生産物の処分方法ですね。実際にこの間の出荷制限があったり、そういう中で自粛なども行われているといった際に、せっかくつくって、これを本当に売りたいと思うけれども売ることができない、そのこと自身についても大変苦しい思いをされておられるわけですが、ではそれをどこに処分したらいいのかというところについても、その処分方法、大変困っておられるという話をお聞きするんですが、そういうことについて、今課題としてお感じのこと、国などへの対策を求めたいことがありましたら、それぞれお答えいただけないでしょうか。

○庄條参考人 固定資産の処分というのは、使えないものの最終処分のことを言っていらっしゃるのでしょうか。
 今のところ、それを取り壊したというような部分については、二十キロ、三十キロ圏内においてはまだ入ることができないということで、それらの残骸を処理するような状況には至っておりません。
 そのほかの地域について、震災で倒壊した部分につきましては、それぞれのJAでそれらを処分させていただいたということでございますので、お答えになっているかどうかわかりませんけれども、そういう状況であります。

○成田参考人 ただいまの御意見でございますけれども、当初、政府の方からは、ホウレンソウ等について出荷をしてはだめだよと。それで、実は、出荷しようとした農産物について、箱に入れたものはそのまま置いておきなさい、さらに、畑にあるものはそのままにしておきなさい、刈り取ったものもそのまま野積みにしておきなさい、こういう指示をいただいております。
 まず、私はそれが、政府の方ももう少し何とか、官僚組織ですから、縦割りは、それは法律に基づいてそれぞれがやられるのはわかるんですけれども、せっかく対策本部までつくって一体的にやろうということでございますので、例えば、出荷制限をするよ、では、その出荷制限した品目についてこういう処理をしてほしい、それをあわせてやっていただきたいというふうに要望をいたしたいと思います。
 実は、ホウレンソウ等についても、そのまま放置しなさい、腐ってくる、そのままにしておく、最終的に、実はこれはもう処分していいよと。こういうのは何かちぐはぐでございますので、言うのであれば、その処分方法についてもあわせて言っていただきたいというふうに思っております。よろしくお願いします。

○塩川委員 済みません。庄條参考人の方で、私の冒頭の言葉が少し届かなかったところがあるのかと思うんですけれども、放射能汚染による生産物の処分方法について、最終処分が実際にはどうなるのかという懸念がある、そういうことについて福島の農業者の方の声などがありましたら御紹介いただけないでしょうか。

○庄條参考人 今ほど茨城の常務さんがお答えしたような状況でありまして、私どもも、先ほどの牛や豚を例に出しましたように、それらの処分が指示が出ないといいますか、今のところでは、先ほど申しましたように、死骸については石灰をかけてシートをかけておきなさいというような状況であります。
 牧草についても、一番草はやってはだめだということで、一番草は刈り取って端に積んでおきなさいということですから、それらの行き場を失っている。それが放射能を含んでいるということであれば、地域の方が心配され、これをどうしたらいいんだという苦情は私どもに参っておるところでございます。

○塩川委員 ありがとうございます。
 次に、漁協関係のお二方にお尋ねしたいんですが、海の汚染が大変懸念をされるわけであります。放射能汚染についても、正確かつ綿密に計測、把握をして、この点について納得のいく説明、万全の措置をとることを国に強く求めていきたいと思っているわけですが、モニタリングの強化も必要だと思います。
 その点で、海洋といった場合にも、上層も下層も底もありますし、当然、魚介類、魚種などによっての違いもあるわけです。そういったことについて、水産庁などがいろいろ指示などは出されているということはお聞きしているわけですけれども、現場にいて、こういう漁業者の方の不安や、あるいは消費者の立場になっての課題ですとか、そういうことについて、こういった海の汚染についてのモニタリングのことで課題となっていることがあれば教えていただけないでしょうか。

○野崎参考人 震災当初、それこそ国の文科省、農水省、それから経産省等でばらばらに行っていた海洋のモニタリング調査等を、要望を受けまして、モニタリング地点の強化、それに東電が三十キロ圏内をやっておりましたので、それ等をふやしていただいて、それで、その点に関しましては、ただ何々が何ベクレル、何ベクレルと言われても我々は全然わからないものですから、どこの機関でも結構ですので、モニタリングの数値と漁業に関する評価を一本化してくれという要望に関しまして、五月七日に水産庁の方から、原発周辺海域における漁業関係就労についての放射能防護の安全評価という発表になった経緯があると私ども思っていますので、この点、私の方としては、漁業再開に向けて、さまざまな指標等を出していただいていると思っております。
 ただ、いずれにしろ、扱うものが扱うものですので、モニタリング、サンプリングはこのように進んでおりますが、まず第一に、すべての力を傾注して、原発の事故の収束という方向に向けていただきたいというのが私どもの思いでございます。

○今橋参考人 先ほども申しましたとおりですけれども、現場は実は混乱しております。
 というのは、海はちょっと陸上と違って、海の流れもございますし、それから魚の方も、回遊魚ということで回ってきたりということもあるわけですよね。そうすると、本県の場合は、北から南までにかなり長い距離を持っておりますので、もちろん福島県に隣接した近い地域、それから離れた南の地域ということで、これは温度差があるのはもちろんでございます。
 その中で、では、魚が回ってきたのでサンプリングを実施しなさいと言ったところ、やりたいと漁業者が手を挙げたところ、いや、福島県の方に近いので、ではどうなんだというようなことを言われてしまうと、そのことによって暫定規制値を超えるセシウムなり沃素が出たことによって、ほかの漁業者やそれから関連業者さん、水産加工業さんにも迷惑を及ぼすのではないかということで、なかなかその明確な指示をいただけないというのが現状でありまして、ですから漁業者は混乱している。
 ですので、先ほど言ったとおり、水産庁は一週間に一回、操業中であってもサンプリングをしなさいという指針を出しましたので、その辺をきちっと実施させる、実行させるということをやっていただかないと、今度は、本来今、力を合わせて闘わなきゃいけない漁業者が、その現場でもって仲たがいになるという非常に難しい問題を抱えていますので、ぜひその件については、先ほどのように、国の方でしっかりと明確な指示なり指導をお願いしたいと思っております。よろしくお願いします。

○塩川委員 しっかり受けとめて頑張りたいと思っています。ありがとうございました。