<第177通常国会 2011年05月25日 内閣委員会 12号



○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 四月の内閣委員会で、経済産業省から電力会社への天下りが事実上の指定席となっている問題を取り上げました。
 指定席ということでいえば、公益法人等への五代連続天下りポストの調査があります。総務省の、各府省庁からの再就職者が五代以上続いている独立行政法人、特殊法人等、公益法人のリストであります。配付をしました資料の1、「各府省庁別 いわゆる「五代連続ポスト」数」であります。広い関連業界を持つ経済産業省ですが、それにしては指定席ポストが少ないなという印象を持つ調査結果となっております。
 そこで、経済産業省にお尋ねをします。経済産業省が所管をする法人の一つ、社団法人海外電力調査会の専務理事ポストは、五代以上続けて経産省のOBが再就職しているのではありませんか。

○朝日政府参考人 お答え申し上げます。
 確認させていただきました。社団法人海外電力調査会の専務理事につきましては、過去五人、当省OBがいることを確認してございます。

○塩川委員 五人、経産省のOBが在職していたということであります。
 二枚目の2を見ていただきたいんですが、「経産省所管公益法人の「指定席」ポスト」ということで、二つの法人を紹介しています。上の段の「社団法人海外電力調査会の「指定席」ポスト(専務理事)」ということで、ここに名前が挙がっている方々が、右側にありますように、専務理事就任期間を見ても、連続して就任をしているというのが見てとれると思います。設立当初から五代以上続けて経産省のOBが再就職している天下りポストであります。
 そこで、総務省の内山政務官にお尋ねをいたします。この総務省の調査にあります五代連続ポストということで、海外電力調査会の専務理事ポストというのはいわゆる五代連続ポストに入っているんでしょうか。

○内山大臣政務官 お答えいたします。
 御指摘のございました社団法人海外電力調査会の専務理事ポストにつきましては、公表した五代連続ポストには該当しておりません。経産省よりそもそも報告を受けておりません。

○塩川委員 五代連続ポストには入っていないし、経産省からも報告を受けていないということであります。
 経済産業省にお尋ねをしますが、なぜ総務省に報告をしていないんですか。

○朝日政府参考人 お答え申し上げます。
 二年以上前の調査でございます。詳しいことははっきりしないところもございますけれども、二十一年の五代連続の調査、極めて限られた時間の中で対応させていただいたものと認識してございます。その中に、在職期間に一部空白期間がある専務理事がおりましたものですから、対象にしなかった可能性があると考えてございます。

○塩川委員 一部空白期間があるというんですけれども、どのぐらいなんですか。

○朝日政府参考人 一カ月でございます。

○塩川委員 重大ですよ。連続ポストと言っておいて、一カ月あいていれば連続じゃないということを経産省は言っているということですよ。
 総務省はこういうのを認めているんですか。一カ月あいていれば連続じゃないということなんですか。

○内山大臣政務官 全く認めておりません。

○塩川委員 この点で、ごまかし以外の何物でもないことはもう場内の皆さんだれもがお感じだと思いますけれども、五代連続ポストの法人を少なく見せようという意図が見え見えであります。
 この海外電力調査会というのは、基本的に電力会社からの会費によって成り立っている公益法人であります。ここへの天下りというのは、事実上、電力会社への天下りと同じです。こうした経産省と電力業界の癒着を継続するための天下り法人を経産省は報告をしていなかった、ここにまさに癒着を押し通そうという姿勢がはっきりと見えてくる。
 官房長官にお尋ねしますが、この五代連続天下りポストというのは、かつて民主党が野党時代にも追及していたことであります。政権について徹底して是正したかと思えば、見過ごされたままであります。経産省については当然のことでありますけれども、この五代連続ポストの調査、やり直す必要があるんじゃありませんか。

○枝野国務大臣 今、三代連続ポストで調査を行っておりまして、実は、本来、昨年度末、つまり本年三月にそれを公表すべく準備をしておりました。ただ、今のようなミスといいますか落ちがないように最終段階の精査をするタイミングのところで東日本大震災が生じたということで、一たん作業をストップしておりますが、できるだけ早く公表するべく最終的な準備を進めているところでございます。
 今御指摘いただいた経産省の例のようなことがないように、しっかりと該当するものは全部公表するべく、できるだけ早く準備を進めたいと思っております。

○塩川委員 指定ポストを明らかにするという点では、今官房長官おっしゃったように、三代連続の調査を行っているということであります。五代以上続いているという調査方法では不十分だということであるわけです。
 二枚目の資料の後段ですけれども、「財団法人電源地域振興センターの「指定席」ポスト」、理事長のポストであります。ここは、役員の経歴について経産省から資料をもらって作成をいたしました。
 理事長は、一九九〇年、平成二年から四代続けて経産省の幹部OBであります。この電源地域振興センターの沿革をホームページで見ると、平成二年設立とありますから、一九九〇年設立。つまり、設立から今日に至るまで、理事長ポストは経産省OBの指定席になっております。設立以降、途切れることなく指定席ポストであるにもかかわらず、四代しか続いていないために五代連続のリストに出てこないという点では、今言った五代では不十分だということは明らかであります。
 この電源地域振興センターでありますけれども、二〇〇二年に、電力会社が作成した原発立地給付金の受け取り拒否者リストを自治体が所持していて大問題となったことがありましたが、そのリストを電力会社から自治体に流していたのがこの電源地域振興センターだったわけであります。原発推進のためには住民の思想調査にまで手をかすようなことを行っているという点でも、まさに原発推進ありきだからであります。このような電力業界と経産省の癒着によって、エネルギー政策がゆがめられているということを示しております。
 設立から今日まで経産省OBの指定席ポストとなっていながら、電源地域振興センターは天下りリストから漏れている。こういった三代以上のものをしっかりと出していただきたい。その点と、あわせて、二〇〇〇年以降とかで少なくとも二代でも連続をしているようなこういうOBポスト、そういった法人についても出すことによってすそ野を広くチェックしていく、こういうことも必要じゃないか。
 三代続けてのものをいつ公表する予定なのか、また、二〇〇〇年以降について連続しているようなポストの調査についても新たに行うということが必要だと思いますが、この点について、官房長官、いかがですか。

○枝野国務大臣 五代では不十分だ、三代でということで、当時の原口総務大臣の指示のもとに、平成二十二年四月一日現在のもので年度内に発表したいということで準備をしておりましたが、先ほどのような事情で一たんとまっておりますのは、動かし始めましたので、そう遠くない時期に公表できるというふうに思っています。
 そして、引き続き、これは一回、単発ではなくて定点的にしっかり見ていきませんと、一たん途切れたものがまた復活したりとかということがあり得ると思っておりますので、そのやり方については、何年以降ということがいいのか、何代というのがいいのか、ここはちょっと検討、精査をさせていただきたいというふうに思っておりますが、この間調査をしてきたものの公表をできるだけ早くした上で、引き続き、最も効果的な調査のやり方についてできるだけ早く整理をして、そしてこういうやり方でやっていきますということは御報告したいと思います。

○塩川委員 しっかりとした調査をさらに重ねることを強く求めるものであります。
 四月十三日の内閣委員会で、私は、東京電力の副社長ポストが経産省、エネ庁幹部経験者の事実上指定席ポストになっていることを示して、石田前エネルギー庁長官の天下り問題を質問した際に、官房長官は、「資源エネルギー庁と東京電力の間について国民の皆さんから広く疑義を持たれているのは、私は当然のことだというふうに思いますし、まさにそのことについては、天下りをした、天下りとされることをした当事者においても東京電力においても、しっかりとこの事態を受けとめていただかなければならないと思っております。」と答弁をされました。
 私は、さらに、電力会社の副社長ポストが指定席になっているのは、東電だけではなくて、癒着の問題というのは電力業界全体と経産省との問題だということを提起いたしました。これに対し、官房長官は、「少なくとも原子力発電、原子力の安全ということについては、万が一の事態が起こったときの影響が大きいということが今回改めて裏づけられたものでありまして、その点に関して、それを指導監督する行政の側と指導監督を受ける側との間にいささかも癒着を生じているというような国民的な疑義があっては許されるものではないというふうに私は思っております。」と答弁をしておられます。
 さきの質問で、私が電力業界への経産省からの天下り状況の調査を要求したところ、それに官房長官はこたえ、経産省として調査結果を明らかにいたしました。そこを見てみますと、石田前エネルギー庁長官は東電の顧問をやめましたけれども、この経産省の調査によると、電力会社にはまだ十三人の経産省幹部OBが現職として残っている。これは三枚目の資料であります。
 それは単なる経産省OBではなくて、十三人中十一人は資源エネルギー庁や原子力安全・保安院の役職を歴任している、このことは右側の欄を見ていただければおわかりだろうと思っております。一番上の北海道電力の場合におきましても、この常務取締役はエネ庁の電源立地企画官ですとか、一連の幹部が天下っているということが見てとれます。
 そこで、官房長官にお尋ねしますが、こうしたエネ庁、保安院の役職を歴任した経産省幹部が電力会社で役員や役員含みの顧問に天下って、現に在籍をして高給を取っているという実態は、石田前エネ庁長官同様、指導監督する行政の側と指導監督を受ける側との間に癒着が生じているという国民的な疑義を惹起する。いささかも癒着が生じているような疑義があってはならないといった趣旨に反するようなことが現在も続いているということじゃありませんか。

○枝野国務大臣 塩川委員には大変貴重な御指摘をいただきまして、それを踏まえて、私の発言、そしてその後、海江田経済産業大臣において「電力会社への再就職の自粛について」という指示を出したところでございます。
 その上で、現在の法律のもとでどこまで行政的にあるいは政治的に、過去において再就職をされた方、それもいろいろな事情、経緯があるようでございますが、どこまで踏み込んで申し上げることができるのかどうかというのは、率直に申し上げて、なかなか悩ましい問題だというふうに正直思っております。法律、制度をどう変えるかという話と、現行法では違法ではない問題についてどこまで踏み込んで物を申し上げることが許されるのか。この間、浜岡の件とか、先ほど債権放棄を求めたと受けとめられかねない私の発言等についてもいろいろ御指摘をいただいているところでございます。
 そういった意味では、どこまで申し上げるのが適切か非常に悩ましいところでございますが、まさにこの間のさまざまな国会での議論あるいは国民の皆さんの受けとめ等を踏まえて、それぞれの当事者の皆さんがそれぞれ適切に御判断をされることというふうに期待をしているということにとどめさせていただきたいと思います。

○塩川委員 民主党がかつて野党時代に主張していたような、天下り禁止そのものを行うという法改正こそ必要だということを申し上げたい。
 最後に申し上げたいのが、私の追及を受けて、海江田経済産業大臣が電力会社への再就職の自粛を打ち出しました。これは極めて不十分ですけれども、その不十分な基準に当てはめても、現状の天下りに大きな問題が出てくる。
 例えば、資源エネルギー庁の指定職を経験した者が電力会社の役員、顧問に再就職することについて自粛を促すとしていますけれども、例えば関西電力の迎陽一常務は、エネ庁の指定職である電力・ガス事業部長を歴任しています。この点でも、自粛を本当に貫くのであれば、自粛にそもそも反する状況が残されているわけで、指定職以上の地位を経験した者が電力会社の役員に再就職することについては離職後三年以内は自粛を促すともしていますが、これらの幹部OBはほぼ全員が指定職以上の地位にあって、短期間で天下っている。
 ほとんどが不十分な経産省の自粛基準にも抵触しているということで、こういった経産省OBが電力会社で役員を続けていることは石田氏自身同様許されない、こういう癒着をきっぱりと断ち切る天下りの禁止こそ行うべきということを申し上げて、質問を終わります。