<第177通常国会 2011年06月16日 総務委員会 21号>



○塩川委員 私は、日本共産党を代表して、地方税法等の一部を改正する法律案に対して反対の討論を行うものです。
 反対理由の第一は、本法案が、大企業、財界の要望にこたえ、国際競争力の強化、規制緩和の推進を支援するものとなっているからです。
 本法案は、現下の厳しい経済状況、雇用情勢に対応した税制の整備を図るとしていますが、その中身は、総合特区法案の国際戦略特区について、その固定資産税の特別償却を大幅に軽減する措置や、特定都市再生緊急整備地域に進出する外資などの大企業のプロジェクト支援に特化した不動産取得税の特例措置を行うことなどであります。これらは、新成長戦略に基づいて、一層の構造改革と規制緩和を推進するものです。
 また、本法案は、大資産家に対する証券優遇税制を温存しています。証券優遇税制は、金持ち優遇税制と大きな批判を受け、自公政権時代から廃止の方向も検討されていたものであります。本法案は、その上場株式の配当、譲渡益に対する優遇税制を二年間先取りし、延長しているのであります。
 東日本大震災からの復旧復興を初め、現在の厳しい経済情勢や雇用情勢に対応するというなら、何よりもまずとるべき道は、大企業、財界、大資産家への減税と思いやりではなく、国民の暮らしと雇用を最優先することであります。新成長戦略路線からの転換こそが必要です。
 反対理由の第二は、納税者に対する罰則の強化を盛り込んでいるからです。
 全国の地方税等の徴収現場では、個人や個人事業者への人権を無視した税務調査や滞納処分、差し押さえなど、乱暴な権力行使が広がっています。租税刑罰の大幅な強化は、こうした乱暴な権力行使を一層助長し、拡大していくことにつながりかねません。
 なお、本法案には、NPO法人への寄附金を個人住民税寄附金税額控除の対象とすることや、離島航路事業の船舶に対する固定資産税について、対象となる船舶の限定を廃止し、課税標準を価格の六分の一として本則化するなど、賛成できる項目も含まれていますが、以上の理由から、本法案には反対するものであります。