<第177通常国会 2011年06月16日 総務委員会 21号>



○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 地方税法に関連して質問いたします。
 きのうの読売新聞の夕刊に、原発被害者も地方税減免という記事がございました。四月に当委員会でも、東日本大震災における被災者の皆さんへの地方税の減免措置の法案の審議を行いました。第二弾として、原発事故の被害者の皆さんへの地方税の減免措置についての宿題というのが残っているということ、それに関連しての報道であります。この中身については後でお尋ねをするとして、その前提として、福島の原発事故の避難者の方というのはそもそも何人なのか、このことについてお尋ねしたいと思います。
 最初に、経済産業省にお尋ねいたします。
 原発事故による避難者全体を視野に入れた対策、支援策が必要であります。今、避難区域、計画的避難区域、緊急時避難準備区域の三つの区域設定が行われておりますけれども、それぞれの区域内の人口がどのぐらいで、また、この対象区域から区域外に避難した方が何人なのか、このことについてまず御説明いただけるでしょうか。

○松下副大臣 福島の第一原子力発電所から半径二十キロメートルの警戒区域の人口は約七万八千人でございまして、おおむねすべての方が区域外に避難されておられます。
 それから、その周りですけれども、計画的避難区域の人口は約一万人でございます。このうち、六月十五日現在でございますけれども、約九千五百人の方が区域外に避難されていると推計をしております。飯舘村を除きまして、あとの市町村は全部避難されています。飯舘村がもう少し残っていますけれども、今、それを鋭意進めているところでございます。
 緊急時避難準備区域の人口でございますけれども、これは約五万九千人です。このうち、六月十五日現在で、最大約二万六千人が区域外に自主的に避難されているというふうに推計をしております。
 これらの三つの区域全体で人口は約十四万七千人と把握しておりまして、このうち最大約十一万三千人が区域外に避難されているというふうに推計をしております。
 以上でございます。

○塩川委員 今御答弁がありましたように、この三つの区域から区域外に避難をしておられる方は十一万三千人という大変大きな数でございます。
 それで、区域設定がされていない地域からも避難者がいらっしゃる、この点について総務省にお尋ねします。
 総務省が今、全国の自治体に問い合わせをして任意で集めている避難者情報システムにおきまして、いわき市から県内あるいは県外に避難をしておられる方の数が集計されていると思いますが、いわき市からの避難者の方の人数は何人か、お答えください。

○三輪政府参考人 お答え申し上げます。
 全国避難者情報システムによりまして福島県いわき市に情報提供をされました件数でございますけれども、六月十日現在で、県内三百四十六件、県外六千六十八件、合計で六千四百十四件となっております。

○塩川委員 これは情報提供の件数ですから、もしかすると若干のダブりがあるのかもしれませんけれども、基本的には移っている方の数とニアイコールだというふうに考えます。ですから、いわき市内からいわき市の外に出ている方が六千人以上いらっしゃる、これが現状であります。
 ですから、今副大臣が御答弁いただいたように区域から外に出た人が十一万三千人いて、いわき市だけでも六千数百人の方が避難をしておられる、それ以外にも福島県内で避難をされておられる方というのがおられるわけですから、そういう方々を積み上げると、避難者情報システムでカウントされているような、情報提供があるような数字を足し合わせると、十二万人、十三万人と言われるような方が、主にこの原発事故に伴って避難をしておられる方であります。
 この数は、把握が進めばさらにふえるだろうと見込まれているわけです。福島県外への避難者というのがこの避難者情報システムでも四万五千人を超えるという数ですから、原発事故によって、少しでも遠くに避難したいという方が大変多くいらっしゃるというのが今回の避難の特徴だ、こういう点でも、しっかりとした把握なしに対策はとれないということであります。
 そこで、内閣府にお尋ねをしますが、政府の緊急災害対策本部が毎日発表しております資料、百ページ以上に及ぶこのデータの中で、福島県の避難者数、避難の状況は何人となっているでしょうか。

○阿久津大臣政務官 お答えいたします。
 緊急災害対策本部において把握している六月十三日十五時現在の福島県の避難所の避難者数は、二万二千九百七十七人でございます。この数字は緊急災害対策本部が警察庁から報告を受けたものであり、この数は、現在、福島県の避難所で避難生活を送っている者の数と推測されまして、もともと福島県に住んでいて、県外に避難した人の数は含まれておりません。
 あと、関係し得るところでお答えすると、福島県内で親族、知人宅等に移動されている方がいらっしゃると思うんですが、この数は把握されておりません。また、住宅等、公営住宅や仮設、民間、病院等で住まわれている方の数も含まれていないものと認識しております。
 以上でございます。

○塩川委員 そういう点では、緊急災害対策本部が避難者数のベースにしている警察庁のまとめというのは非常に不十分なものだということでもあります。実際、その警察庁まとめでの全国の避難者数の総数そのものが八万四千人余りですから、先ほど言った十一万とか十二万とか十三万、福島県だけでもこういう避難者なのに、全国足し上げても八万余りというのが警察庁のまとめだ。しかし、この警察庁まとめが、政府の緊急災害対策本部の避難者数としていまだにホームページにもアップされたままであります。こういうことでいいんでしょうか。

○阿久津大臣政務官 警察庁の方の数字は昨日までということになりまして、ここからは内閣府の方の被災者生活支援チームの方で数字を出していきたいというふうに考えております。
 実際には、六月二日に仮のもの、調査は行われております。仮の調査でも実は警察庁とそんなに違わない数字なんですが、二万三千九百七十九名。これは、先ほど申し上げた親族、知人等の部分が入っていないし、それから、公営、仮設、民間、病院などの住宅等が含まれておりません。さらに、福島県から福島県外に移った数は大体三万八千八百九十六人という数を把握しているんですが、その数も入っていないので、それを足していくとそれ相応の数になるというふうに修正されてくると思います。

○塩川委員 もともと警察庁のまとめは、西日本に避難した人の数がカウントされていないんですよ。西日本に避難者が行くと、消えてなくなっちゃうというのが警察庁のデータだったんですね。そういうのを改めて、全国の自治体から避難者の状況を集計したという今回の内閣府の避難の状況というのは、一歩前進であります。ただ、その点でも、今お話ししました区域外に避難した方でも十一万を超えるわけですから、それが反映されていないということには変わりがないわけで、こういう点での改善というのが求められます。
 あわせて経済産業省にお尋ねしますが、政府の原子力災害対策本部がまとめた「原子力被災者への対応に関する当面の取組方針」では、「最後の最後まで、国が前面に立ち責任を持って対応してまいります。」と述べています。国策として、この原発事故の被害に遭われた被災者の皆さんへの支援を行うということをうたっているわけですが、この原子力災害対策本部の取り組み方針を見ても、今副大臣が御答弁になったような全体の避難者数というのはどこにも出てこないんですよ。これでは、やはり全体を視野に入れた対策につながらない、こういう点での改善が必要だ。
 「最後の最後まで、国が前面に立ち責任を持って対応」ということがこのままでできるのか、この点についてお尋ねします。

○松下副大臣 国策として進めてきた原子力政策でございます。その過程の中で発生したこの深刻な原子力の災害、これはしっかり受けとめて、国が最後の最後までしっかり責任を持つということを我々はしっかりと書き込みました。その覚悟でやりたいと思っています。
 福島県民約二百万人、五十キロ圏内に約五十八万人、そして三十キロ圏内に十七万人、二十キロ圏内に七万八千人、こういう人たち、避難されて不自由な生活をしておられる人たちだけではなくて、農業被害でありますとか漁業被害でありますとか、多くの方たちに、商工業関係も含めてですけれども、多くの損害、被害を与えておりまして、人の数だけではないと考えております。同時に、県外にも三万人を超す人たちが避難しておられまして、そして不自由な生活を多くの人たちにさせているわけでございまして、そういうことを含めて、しっかりと我々は責任を持っていきたいと考えております。
 同時に、片山大臣からも大変温かい御指導をいただきましたけれども、避難されている人たちの市町村だけではなくて、その非常に苦労されている避難している人たちを受け入れてくれている市町村もございます。それは、県内だけではなくて県外にもあります。一つの固まりとしてたくさんの人たちが行っておられますので、そういう市町村に対しても、避難が長くなりますと、行政サービスでいろいろな不自由をおかけすることになります。
 そういうことを含めて、徹底的に幅広くしっかりと支援していくことが大事だということを含めて私たちは取り組んでいくつもりでございまして、そういう意味を込めて、今後の取り組みの中にいろいろ書いてございます。
 以上でございます。

○塩川委員 十一万人以上と副大臣が御答弁になったような数字がきちっと取り組み方針にも書かれていないわけですから、そこはやはりしっかりとした対策に生かしていくということが必要であります。また、県外への避難者の方は三万人ということがありますが、総務省の避難者情報システムのカウントでも四万五千人を超える方になっているわけですから、可能な限り正確に反映するということが必要です。
 その点、片山大臣、こういった避難者の数が政府としてそれぞればらばらで、それも実態を反映していないような状況じゃまずい、これをまず出発点として、最低限、避難者の数をしっかりと把握するということについて、責任を持った数字を出すことが政府として必要だと思うんですが、その点についてお聞かせください。

○片山国務大臣 おっしゃるとおりでありまして、どこにどなたが避難されているのかということをしっかりと把握することが必要だと思います。それを把握するのは、やはり市町村になります。
 しかし、その市町村は全国に避難されている方の動向を自力で掌握することは無理がありますので、そこで、全国の自治体の協力をいただきまして、今、全国避難者情報システムというものを作動させているわけであります。毎日情報が寄せられているところでありまして、まだこれからも情報が寄せられると思います。
 一方、情報をいただきました市町村では、今、照合作業をやっております。例えば、行方不明として仮に処理されていた方と避難されている方が一致する可能性もあるわけで、今、そういうことを一人一人照合しているところであります。多少時間がかかるかと思いますが、いずれ、この全国避難者情報システムによって寄せられた情報を市町村が三月十一日現在の住民基本台帳と照合しますれば、ほぼ正確な数字が出てくると思います。政府としては、そういうことをこれから一生懸命やっていきたいと思います。
 三カ月たってまだ情報が寄せられるということは、避難をされていて、どこにも連絡をされていない方がまだおられるということでありますから、引き続いて、政府広報でありますとかマスコミを通じて、さらには全国の市町村や都道府県の広報媒体を通じて呼びかけることによって、一人の残りもなく情報が伝えられるように努力をしたいと考えております。

○塩川委員 最後に一問。
 そういった原発事故の避難者、被害者の方に対する地方税の減免措置につきまして、読売新聞の報道もあります。報道の中では「対象となる被害者は、原発周辺の「警戒区域」「計画的避難区域」とその周辺の避難住民ら。」「国による指示や命令などで避難している期間に応じて、土地や建物にかかる固定資産税などを免除する見通し。」ということですけれども、しかし、多くの避難者の方々はやむなく避難生活を送っておられる方で、自宅があるのにそこで住まうこともできない、生活、営業の場も確保することができないわけですから、それ相応のしっかりとした減免措置が求められているわけで、機械的な線引きでなく、やむなく避難している人すべてを対象にした原発事故被害者への地方税減免措置を行うべきだ。この点について御答弁いただいて、終わります。

○片山国務大臣 先般の全国知事会の席上で、菅総理も出席されておられましたし、私も出席しておりましたけれども、福島県の佐藤知事から、今御提起の問題が、そのときにも要請がありました。また、後日、六月四日に私が福島県庁にお訪ねした際に、改めて佐藤知事から、原発被災者の皆さんの固定資産税などの減免についての要請をいただきましたので、これはもとより、ちゃんとした法整備を整えたいと思います。
 内容について今精査をしておりますけれども、強制的あるいはやむなくみずからの家を去らざるを得ない、そして不自由をしておられる方の税については、公正な、そして妥当な、そういう措置が自治体においてなされるような根拠法令を用意したいと考えているところであります。

○塩川委員 ホットスポットなども話題になっているときですから、機械的な線引きでない、実態に対応した措置を強く求めて、質問を終わります。