<第177通常国会 2011年07月12日 総務委員会 22号>



○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 東日本大震災の発災、そして原発事故から四カ月となりました。梅雨も明けて暑い夏で、被災者の方の避難生活も大変心配されるところで、体調不良なども懸念されるところであります。
 その際、仮設住宅の場合にはエアコンの設置などが当然行われているわけですが、災害救助法上の応急仮設住宅として扱われていない被災者向けの公的住宅の場合には、エアコンが設置されていない住宅も少なくありません。
 例えば、埼玉県春日部市のUR武里団地の賃貸住宅に入居している避難者の方は三十世帯に上ります。小さな赤ちゃんからお年寄りまでいらっしゃる。エレベーターのない五階建ての集合住宅のために、階段の上りおりだけでも大変だ。入居したときにはガス台しかなかった。もちろんエアコンもない。リサイクルショップや、支援団体の協力によって生活必需品を調達せざるを得なかった。そういう中で、でも、エアコンまでは手が回らないという、エアコンのない生活が強いられているという事態が残っているわけであります。
 最初に厚生労働省にお尋ねしますが、被災者向けの公的な住宅について、これは応急仮設住宅として扱えばエアコン設置は可能と聞いておりますが、いかがですか。

○清水政府参考人 応急仮設住宅とエアコンの関係でございますが、御指摘のとおりでございまして、建築します応急仮設住宅にはエアコンを標準装備することにしてございます。
 したがいまして、公的住宅を含め、人の用に供する既存の住宅につきまして、救助の実施主体でございます自治体が応急仮設住宅としてこれを借り上げて被災者の方々に提供した場合におきましては、その場合のエアコンの設置に係る費用は災害救助法の国庫負担の対象とする、そういう用意をしてございまして、私どもは、この旨都道府県に通知をしているところでございます。

○塩川委員 重ねてお尋ねしますが、仮設住宅として扱えば当然、一年そして二年間という入居期間となると承知をしておりますし、また家電六点セットについても赤十字からの支給が行われる、応急仮設住宅として扱われる場合にはそういう対応になるということでよろしいですか。

○清水政府参考人 御指摘のとおりでございます。

○塩川委員 ですから、公的住宅であっても応急仮設住宅として扱えば、家電六点セットを含めて、しっかりとした被災者の出発点からの支援が行われていたにもかかわらず、そういう対応が実際どうだったのかということが問われてくるわけであります。公的住宅でも家電六点セットもありエアコンもあればいいわけだけれども、実際にはそうなっていないというのが率直なところだ。
 そこで、公的住宅に係る各省にお尋ねします。
 財務省には国家公務員宿舎について、国交省には被災者向けUR賃貸住宅について、厚生労働省には被災者向けの雇用促進住宅について、続けてお答えいただいて結構なんですが、入居戸数は幾つか、そのうち応急仮設住宅として扱われているものは幾つか、応急仮設住宅として現時点で扱われていない場合には今後どのように対応されるのか、この三点について、各省続けてお答えください。

○飯塚政府参考人 お答え申し上げます。
 東日本大震災の被災者の方々を受け入れるための国家公務員宿舎等の提供状況につきましては、七月十一日現在で、全国で受け入れ可能として情報提供している宿舎等の数が一万九百九十六戸、そのうち実際に提供済みのものが一千二百一戸でございます。
 また、第二点目の御質問でございますが、国家公務員宿舎を提供する場合には、国から地方公共団体に無償貸し付けを行いまして、無償貸し付けを受けた地方公共団体が被災者に無償で提供する、こういう仕組みをとっております。そういったことから、こういった国家公務員宿舎につきましては、厚生労働省とも協議させていただいておりまして、災害救助法に基づく応急仮設住宅に該当するとされておるところでございます。
 しかしながら、実際に応急仮設住宅として提供するかどうかにつきましては各自治体の判断によるところとなりますので、先ほど申し上げた提供戸数のうち正確に何戸が応急仮設住宅としての扱いとされているかということをお答えすることはなかなか難しいわけでございますが、恐らくかなりの部分がそうした扱いを受けているというふうなことではないかと考えております。
 それから、三点目の御質問でございますが、財務省といたしましては、国家公務員宿舎を応急仮設住宅とすることに関しまして、各財務局等を通じまして都道府県に周知を図らせていただいているところでございます。

○井上政府参考人 お答え申し上げます。
 被災者向けに提供しておりますURの賃貸住宅、昨日、十一日時点で確認しましたところ、八百十戸でございます。
 そのうち応急仮設住宅として、これは公共団体に借り上げていただくという手続が必要になりますけれども、借り上げて応急仮設住宅にしているものは昨日時点で二十戸でございます。
 今後、UR賃貸住宅につきまして公共団体の応急仮設住宅として取り扱う場合には、先ほど申しましたように借り上げが必要となりますので、公共団体の意向も踏まえながら、災害救助法の枠組みの中で厚労省と連携しながらしっかり取り組んでまいりたいというふうに思っております。

○黒羽政府参考人 お答え申し上げます。
 七月七日現在で、雇用促進住宅の入居決定戸数は五千五百四十戸となっております。
 雇用促進住宅につきましては、所有者であります雇用・能力開発機構が被災者個人に直接貸与する仕組みとなっておりますことから、地方公共団体が災害救助法に基づく応急仮設住宅として借り上げたものはないものと承知しております。
 被災者の方々が入居する雇用促進住宅を災害救助法に基づく応急仮設住宅として取り扱うことにつきましては、関係地方公共団体の御要望等を踏まえ、現在検討を進めているところでございます。

○塩川委員 今お話しいただいたのに加えて、被災者向けの公営住宅の入居戸数というのが六千戸余りあります。ですから、全体では一万三千戸ぐらいの被災者向けの公的住宅が既に入居されているという状況であります。
 ただ、その中身を見ますと、必ずしも応急仮設住宅としてなっているわけではない。公務員宿舎で対応しているんじゃないのかというお話がありましたが、正確な数というのは把握がされていない実情がありますし、雇用促進住宅にはそもそもそういう自治体借り上げというスキームがないから、災害救助法の応急仮設住宅という対応は今時点でできない。それができる方向で今検討しているということでありますから、そういう点でも、しっかりとした対応が可能なスキームづくりというのをお願いしたい。
 公営住宅では、しんぶん赤旗が首都圏で調査を行いましたところ、東京都が公務員宿舎とともに都営住宅について応急仮設住宅として扱うことは発表しておりますけれども、その他の県については、応急仮設住宅として扱わないとしているか、検討段階にあるとのことであります。
 そういう点では、ぜひ厚労省として、御答弁がありましたように、都道府県への通知なども含めて、都道府県、自治体側への周知というのはぜひ図っていただきたい。あわせて、国の各省等関係機関は連携をして被災者の方の支援に万全を期すということが必要であります。本来公的住宅は、真っ先に被災者を受け入れるためにエアコン設置などの基本的な備品を整えるのは当然のことであって、その責任を果たすべきだということは重ねて申し上げておくものであります。
 次に、避難者数の問題について内閣府にお尋ねいたします。
 この委員会でも、以前にも阿久津大臣政務官にお尋ねしましたが、政府の避難者数の発表データについて、従来の警察庁発表をやめて、内閣府被災者生活支援チームが全国の避難者等の数を発表しております。内閣府の全国の避難者等の数では、施設別にABCDとして区分して数を押さえているわけですね。公民館・学校等の避難所、旅館・ホテル、親族・知人宅等、それに公営、仮設、民間、病院含む住宅等という四類型で集計を行っております。
 そこで、内閣府にお尋ねをいたしますが、このように内閣府が施設別の避難者数を把握することを始めた趣旨は何なのか、お答えください。

○阿久津大臣政務官 今回の調査は、避難者の方々の生活環境を把握し、避難所から住宅等への移転を促進し、避難所を解消することを目的として実施しています。この目的のもと、市区町村別及び施設別四類型で、避難者等の数を把握すべく調査を実施しています。
 調査に当たっては、全国の地方公共団体、都道府県及び市区町村の協力を得て、内閣府被災者生活支援チームが中心となって、消防庁と協力しまして、連名で本調査を各都道府県に依頼して実施しています。
 状況の変化のぐあいを把握するため、今後とも、二週間に一回の頻度で本調査を実施する予定でございます。

○塩川委員 被災者の方の生活環境の改善、そういう点でも、避難所の解消、この把握のために生かすということですが、この点でいいますと、従来の災害のときには、避難者数というのは、避難所にいる人の数だけだったんですよ。つまり、避難所の入所の方を避難者数ということでカウントして、避難所が解消すれば避難者も解消ということだったんです。しかし、今回の場合には長期に及ぶ避難生活が想定される、特に原発事故の場合などは長期の避難というのは避けられない事態になっているわけですから、そういう点で、今回、単に避難所の避難者の数だけではなくて、知人宅ですとか、あるいは公的住宅を含めた住宅等を新たに把握することを始めた趣旨というのはどこにあるんでしょうか。
    〔委員長退席、福田(昭)委員長代理着席〕

○阿久津大臣政務官 把握を始めた趣旨ですか。これは、先ほど申し上げたように、避難者の方々の生活環境を把握した上で、避難所から住宅へ移転を促進して、避難所を解消することを目的に把握したものと考えております。

○塩川委員 わかりました。住宅への移転を促進するということであります。
 ですから、今、冒頭質問をしましたような公的住宅、あるいは民間賃貸の借り上げ、また仮設住宅への入居、それで終わりではなくて、その先も当然あるわけですから、そういう点でも、被災者、避難者の方々の生活環境改善のためにその居住形態をしっかり押さえていくということであるわけで、そういう点では、従来の避難所だけの避難者のカウントからすると、私は前向きな対応だと考えております。
 ただ、この内閣府の避難者数には幾つか不十分点があります。例えば、被災三県については、仮設住宅や民間借り上げや公的住宅の正確な避難者の数が反映をされていないということ、また、茨城県や千葉県、栃木県など、被災三県以外の被災県におけるその県民の避難者数が反映をされていないという問題があるわけですが、この点についてはどうされるお考えでしょうか。

○阿久津大臣政務官 この調査は、全国の地方公共団体の協力を得て実施しております。
 岩手、宮城、福島においては、おのおののさまざまな事情等も踏まえて、負担量ということも踏まえて対応されているものと承知しております。これまで調査を三回実施してきましたけれども、状況の変化のぐあいを継続して把握する観点から、今後とも同じ方法で継続したいと考えております。
 ただ、私は、塩川委員の御指摘の趣旨というのはよくわかる気がいたします。避難者の生活環境の把握ということを目的としているのであれば、できる限り避難者数までわかるにこしたことはないというか、わかる必要があるのではないかというふうに思っております。都道府県、市区町村との関係もございますので、まず政府の側で、事務量をふやすことについて、少しその辺のニュアンスを確認した上で内部検討を始めたいというふうに思っています。
 それからもう一つ、茨城、千葉、栃木については、液状化現象による被害等もございます。こちらについては、まず三県の現状を把握することから始めていきたいと考えています。

○塩川委員 最後に大臣に、この避難者数の点ですけれども、きょうの委員会でも議論がありました、きずな法案も出されるということで、避難元から避難先への避難者の方に対してしっかり行政サービスを提供し、また住民票を移した方々についてもふるさととのきずなをつくっていく、こういうことを行うのであれば、まず大前提として、避難者の数を正確に把握する必要がある。避難元自治体の避難者数というのは、法案を出す以上、当然把握をされていると思うんですが、その数というのは今出せるものがあるんでしょうか。

○片山国務大臣 これは先ほども申し上げましたけれども、正確な数字はつかんでおりません。三月十一日現在の住民基本台帳をもとにして、そこから、残念ながら死亡された方、届け出があって行方不明のままの方、それから域内、域外に避難をされている方で所在がつかめた方、これを照合して初めて正確な数字がわかると思いますが、そもそも、住民基本台帳自体が、昨年来いろいろ問題になりましたけれども、必ずしも実態と合っていないという問題もあるものですから、恐らく、最後まで一〇〇%正確ということは期しがたいのではないかと私は思っております。
 これは、数というよりは、避難されている方の所在と現況を把握するということが一番肝心なことだと思いますので、それに市町村は全力を挙げていただきたいと思いますし、総務省としては、全国避難者情報システムを通じて、できる限り一〇〇%に近い避難者の方を把握するような努力を全国の市町村とともにやっていきたいと考えております。

○塩川委員 避難者の現況、所在を明らかにするという、それを形で示すのが避難者の数の把握という趣旨で言っているわけですが、そういう点でも、避難者支援の土台となるしっかりとした現状把握というのを行っていただきたい、このことを求めて、質問を終わります。