<第177通常国会 2011年07月29日 内閣委員会 15号>



○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 五月二十五日の当委員会で、私は、経済産業省所管法人の指定ポストへの連続天下りの問題を取り上げました。五代連続の指定ポストのことでしたけれども、委員会では、海外電力調査会の専務理事ポストについて、経産省は在職期間に一カ月の空白があるということで五代連続指定ポストの調査からこのポストを外したということが明らかになるなど、ずさんな調査ぶりが判明をいたしました。私が再調査を求めたのに対し、枝野官房長官は、三代連続ポストの調査をできるだけ早く公表すると答弁をされました。
 その三代連続ポストの調査結果が、七月の二十二日、先週発表されたわけであります。五代連続ポストから漏れていた海外電力調査会の専務理事ポストも、今回の三代連続の調査では指定ポストとして加えられております。
 こうした結果、指定ポストは、例えば経産省では、五代連続ではわずか十二法人、十二ポストだったわけですけれども、三代連続では二百四十三法人、三百九ポストと二十倍以上に増加をしました。全体でも、五代連続では三百三十八法人、四百二十二ポストだったものが、三代連続では千二百八十五法人、千五百九十四ポストと四倍近くに増加をしたわけであります。
 最初に、この三代連続天下り指定ポストの調査についてお尋ねをいたします。
 資料の一枚目をごらんください。国交省所管の幾つかの法人の連続指定ポストについて私が調査をしたものであります。
 まず、左上の日本小型船舶検査機構について。
 今回発表されました三代連続ポスト調査では、日本小型船舶検査機構は、理事長と監事の二つのポストが三代以上の連続ポストとされております。この資料の左上をごらんいただければわかるように、常勤の理事、業務担当については、現在は現役出向の方でありますけれども、そこからさかのぼって、吉海さん、松本さん、北村さんなど、三代以上連続して業務担当の常勤理事ポストが国交省の出身者によって埋められているわけであります。
 ですから、業務担当の常勤理事のポストも三代連続のポストに当たるんじゃないでしょうか。この点、国交省は報告はされなかったんですか。

○市村大臣政務官 このたびの調査におかれましては、独立行政法人、認可法人、公益法人等の長、次長、専務役員、常務役員及び監査役員を対象としておるということでありまして、日本小型船舶検査機構の理事は専務役員等ではないため、これらの調査対象ではなく、公表された結果には含まれておらないということであるようであります。

○塩川委員 ここがだめなんだと思うんですね。
 つまり、理事でも、非常勤はまだしも、常勤の理事ですよ。常勤の理事ポストについて、業務担当という担当も決まっているその役員について、連続して国交省から天下りが来ているというのがこの結果に明らかであります。ですから、その点でも、政府としての調査のあり方そのものが問題なんだ、このことを言わざるを得ません。
 国民的な関心というのは、こういう法人に常勤のポストで高級官僚が天下りをする、それも連続して天下っている、こういう実態を改めてほしい、こういうことが大きな声であるわけですから、こういう調査の不備の問題についてまず指摘をするものであります。
 次に、右下になりますが、海技振興センターという法人があります。海技振興センターは、二〇〇七年の四月に、左側にあります日本海技協会と日本海洋振興会の統合によりスタートをいたしました。発足以後は、つまり二〇〇七年四月以降、理事長と常務理事のポストは二代連続で国交省のOBが再就職をしております。
 確かに、二代ではありますけれども、統合前の日本海技協会と日本海洋振興会の役員の状況を見ると、この海技振興センターの役員ポストも三代以上になるんじゃないのかと思いますけれども、これについてはいかがですか。

○市村大臣政務官 今委員御指摘のとおり、財団法人海技振興センターは、財団法人日本海洋振興会と財団法人日本海技協会が統合して平成十九年四月に発足したという法人でございます。その前身である両法人には、今御指摘のとおり、常勤役員として国土交通省OBの再就職者が存在していたということでございます。

○塩川委員 しかし、これは二代までですから、今回の三代以上連続のポストの中にはこの海技振興センターは入ってこないということであります。
 こういう点でも、統合された法人というのは、統合以前と統合後とやはり連続しているものと位置づけて発表することこそ必要で、この点でも先週発表した調査のずさんさということを言わざるを得ません。
 もう一点、右上ですけれども、日本冷蔵倉庫協会の理事長ポストは、ことし六月に船員中央労働委員会事務局長を務めた桑原さんという方がついて、三代連続になっております。
 これは、こういう役員の再就職ということで誤りがないと思うんですが、その点だけ確認させてください。

○市村大臣政務官 御指摘のとおり、本年六月の異動で三代連続となったところでございます。

○塩川委員 これももちろん、先週発表しました今回の調査に入ってこないわけですね。といいますのは、今回の調査というのは昨年の四月一日の時点をもってはかっているわけですから、ことし六月で三代になるものは当然含まないという整理ですけれども、このことも含めて、三代連続ポストの調査が極めて不十分だ、ずさんだと言わざるを得ません。そもそも、調査に一年以上もかかって発表がおくれたことに政府の本気さが問われているんじゃないでしょうか。
 官房長官にお尋ねしますけれども、私が最初に指摘をした二つの点、常勤理事のポスト、常勤理事についてもきちんと、連続はどうなっているのか、こういう調査が必要なんじゃないのか、また、統合されたような法人であれば、統合前と統合後と連続したものとみなして三代以上の連続というポストになっているかどうかということをきちんと調査するということは、いわば、今回のこの三代連続天下り調査、指定ポストの調査について、やるべき政府としての当然の取り組みだと思いますが、この点いかがでしょうか。

○枝野国務大臣 今回の調査は昨年四月一日時点のものでございまして、本来であれば昨年度中に、つまり三月までに最終的な発表をしようと準備をしていたものでございますが、御承知の東日本大震災がありましたものですから、最終的な確認、整理の段取りがおくれまして、若干発表が遅くなったものでございます。
 そして、御指摘のとおり、今回の調査が完璧なものである、完璧といいますかベストの調査の手法であったというふうには思っておりません。
 今後、こうした調査は、ただ、一方で、物すごい時間とコストがかかるのも正直なところでございます。逆に、各役所がいわゆる天下りについて一括管理をしてやっているのであればすぐに出てくるんでしょうけれども、個別にそれぞれのいわゆる天下り先についてきちっと情報をとって整理をしてということをやる上で一定の時間とコストがかかるのは間違いありませんので、今の状況では毎々簡単にやるわけにはいかないわけですが、しかし、今回の御指摘も踏まえて、今後、こうしたチェックといいますか、推移をしっかりと見ていくことは重要だと思っておりますので、その折には、御指摘いただいた点もしっかりと踏まえた上で対応したいと思っております。
 あえて理想を申し上げれば、改めて調査をしなくても、こうしたことが日々、何かあれば、例えばホームページ上で常にチェックができる、何か変動があればすぐに出てくるようなシステムを組むことが本来理想形だというふうに思っておりまして、そうしたことも総務省と行政刷新会議とで検討してみたいと思っております。

○塩川委員 国民の疑念、不信にしっかりこたえる、それは最低限の情報公開によってまず保障されるという観点でも、今申し上げたような、担当が一連でつながっている常勤ポストですとか、あるいは、統合前、統合後のその法人の連続性の問題についてはきちっと把握をして公表する、このことを求めたいと思っています。
 その上で、きょうの質問というのは、要するに、役所が一括して天下りの問題を管理しているんじゃないのかと。官房長官はそうじゃないというニュアンスのことを前提におっしゃっておられましたけれども、そのことを問いたいという質問であります。
 菅内閣が昨年六月二十二日に「退職管理基本方針について」を閣議決定いたしました。官房長官に確認ですけれども、この退職管理基本方針の趣旨の一つは天下りあっせんの根絶にあると思いますが、いかがでしょうか。

○枝野国務大臣 おっしゃるとおりでございます。

○塩川委員 先ほどの国交省の三法人をごらんいただきたいんですけれども、日本小型船舶検査機構の常勤理事ポストや海技振興センターの常務理事ポスト、日本冷蔵倉庫協会の理事長ポストは、いずれも三代連続ポストの調査から今回漏れていますけれども、正真正銘の三代連続ポストであるか事実上の連続ポストとなっています。
 退職管理基本方針によれば、この三代以上連続の天下りポストについて、「事実上の再就職あっせんの慣行があるのではないかとの疑念を解消し、適正化を図る」、このことが必要だとうたっているわけであります。
 そこで、資料の二枚目をごらんください。
 「国土交通省所管法人等における玉突き人事」というタイトルをつけましたが、一枚目でも紹介しましたそれぞれの法人がここにも改めて出てまいります。
 まず、日本小型船舶検査機構の常勤理事にことし二月二日に澤山健一さんという元九州運輸局次長が出向いたしました。この役員出向は、今回の退職管理基本方針で現役出向の対象法人が拡大されたことにより行われることが可能となったものであります。つまり、国交省が現役出向を行うという人事を行った。ですから、当然のことながら、役所の人事として、役所として管理をしている人事ということでよろしいですね。

○市村大臣政務官 現役出向という点では、役所が管理しているということだと思っています。

○塩川委員 当然であります。
 それで、澤山さんがことし二月二日に日本小型船舶検査機構の常勤理事に出向することになりまして、澤山さんを理事に受け入れるためにはポストをあけなければならないという事情が法人側に発生をいたします。日本小型船舶検査機構の常勤理事の国交省ポストのうち、ことし三月末で一つのポストが廃止をされております。その関係で、澤山さんが現役出向するのと合わせて二人の国交省OBがはじき出されることになりました。
 国交省にお尋ねしますが、このはじき出された方のお一人であります吉海浩一郎さん、元国交省の海事局安全技術調査官の方は、その後どこに就職をされたんでしょうか。

○市村大臣政務官 先生の御資料にもありますように、原燃輸送株式会社に就任されたというふうに聞いております。

○塩川委員 この吉海さんは、四月一日に原燃輸送株式会社に再就職いたしました。原燃輸送株式会社というのは、ウランですとか放射性廃棄物あるいは使用済み燃料などの輸送業務を行うという特殊な会社であります。電力会社が株式のほとんどを所有し、商社あるいは運輸関係の事業者が出資をしている特殊な会社であります。
 国交省及び人事院の資料で確認しますと、国交省から原燃輸送株式会社には、二〇〇四年と二〇〇六年に再就職の実績があります。国交省はかつて原燃輸送株式会社にOBの再就職をあっせんしたことがあると思いますが、確認をさせてください。

○市村大臣政務官 今おっしゃったのは、再就職あっせんとお聞きになられたのでしょうか。(塩川委員「はい」と呼ぶ)
 あっせんというのではなくて、再就職をしたという事実があることは聞いておりますが、それがあっせんであったかどうかは、私はちょっと存じ上げません。

○塩川委員 人事院にも確認していただきたいんですが、人事院から、平成十六年営利企業への就職の承認に関する年次報告というのが出されております。その中に、青木さんという、前の前の方ですけれども、原燃輸送に再就職されている方、この方が、国交省OBの方ですけれども、この人事院の報告書によりますと、就職に至る経緯としては、「官の斡旋、仲介などによる就職」という形で、国交省としての再就職のあっせんということで行われていると。当時の話ですから。ということで、国交省の関与というのは明らかなものであります。
 それで、国交省は、二〇〇四年、今紹介をした青木さんという方についての再就職のあっせんを行っております。原燃輸送株式会社というのは、指定ポスト法人としては挙げられておりませんけれども、先ほど言いましたように、使用済み燃料ですとか放射性廃棄物の輸送について、いわばそういう輸送業務についての権限のある旧運輸省、国交省の海事局の関与が行われる会社ということもあって、国交省のOBをあっせんによって受け入れたことがある会社であります。国交省の天下りのあっせんの中で生まれた人事ということで、今回の吉海氏の原燃輸送への天下りについても、国交省の関与が疑われるところであります。
 さらに指摘をしたいのは、二枚目の資料の下側の方ですけれども、はじき出されたもう一人の方、山内さんは、やはり四月の一日に海技振興センターの常務理事に就任をしています。そうすると、当然はじき出される人が生まれて、ごらんいただいてわかりますように、三月三十一日付で退任をした桑原さんが、どこに行ったかといえば、日本冷蔵倉庫協会の理事長に六月の六日に就任をしております。そして、これまで理事長を務めていた芳野さんは、桑原さんの就任に伴って退任をする。資料では省略していますけれども、この桑原さんは五月一日に既に日本冷蔵倉庫協会の嘱託となっていますから、六月で理事長就任というのは既に内定をしていたということであります。
 先を読むような人事がずっと行われているわけですけれども、澤山さんを日本小型船舶検査機構に現役出向させたその後の一連の人事というのは、だれかがシナリオを書いたかのように、ぴったりと玉突きが続いて、おさまるところにおさまる、はじき出されたOBがしかるべき役職におさまっていくということが非常に見てとれるものではないでしょうか。
 今私が紹介したこの説明について、国交省として、間違いはないと思うんですが、いかがですか。

○市村大臣政務官 今委員御指摘のとおり、間違いございません。

○塩川委員 枝野官房長官にお尋ねしますが、ここに「玉突き人事」と書きましたけれども、まさに退任した人が皆さん運よく次々と後のポストを、就職先を見つけたと言えるのか、そういう偶然の結果がこういうものになったとお考えになりますか。

○枝野国務大臣 御指摘のような疑義を持たれるのは、ある意味でむべなるかなというふうに思っております。
 私自身は、独立行政法人の人事の案件について上がってきますときに、特に公務員OBの方がやめられる場合には、やめた後どうなるのかということを確認するように意識をいたしておりますが、疑義を持たれないような対応が各省において必要だろうというふうに思っておりますし、また、大変おくればせながら再就職等監視委員会の人事案を国会に提示しているところでございますので、ぜひ、同委員会を速やかに立ち上げ、再就職等監視委員会において、違反行為ではないのかという疑義を持たれるような案件についての監視の体制を確立したいと思っておりますので、御協力をいただければと思っております。

○塩川委員 そんなことをしなくても、この人事についてぜひ調べていただきたいんです。
 この資料に登場する玉突き人事の主要法人というのは、一枚目の資料で明らかにしましたように、三代以上連続とか、事実上の三代以上の指定ポスト法人であります。そういう意味では、国交省の関与というのが強く疑われるというのは当然のことですけれども、この一連の玉突き人事が、最初の一突き目が国交省の現役出向という形で始まっているということなんです。いわば国交省が原因者としてこういう人事をつくっているわけです。ですから、そういった玉突きというのが、いずれも三代連続などの指定ポストにおさまっている、これだけでもこの玉突き人事には国交省によるあっせんの疑いというのは極めて濃厚だ、これは原燃輸送株式会社の事例をもっても見てとれることじゃないでしょうか。
 これに加えて、この人事につきましては、国交省OBの方から重大な内部告発を私の方にいただきました。この国交省のOBは、海技振興センターの理事長さんからこの桑原さんと山内さんの人事異動の件で国交省の審議官から連絡があったという話を聞いて、この海技振興センターの理事長さんに確認をしたそうであります。その電話でのやりとりをメモしたものがここにございます。
 ここでどういうふうにやりとりしていたかというと、このOBの方は、山内さんが入ることで桑原さんが出るという関係、ですから、山内さんと桑原さんの異動の件で審議官から連絡があったと理事長さんはおっしゃっていたけれども、どんな感じで審議官の方は言っていましたかという問いに対して、この理事長は、審議官から呼ばれて言われたのは、桑原をかえる、つまり審議官が桑原さんをかえると言ったと。理事長さんは、こちらからは、では桑原さんにやめるという希望を出させてくれ、桑原さんが申し出た格好にさせてくれというふうに法人側の立場として述べたということでありました。また、このOBの方が、山内さんが桑原さんの後任で来るという話はあなたが選んだわけですかと理事長さんに聞いたわけです。理事長さんに、あなたが選んだわけですかと聞いたわけですけれども、理事長の方は、いえいえ、これは、審議官に、では後はどうしてくれるのかという話をしたら、こういう人がいますよという話ですと。
 これは、特定の審議官の名前は明らかであるわけですけれども、この言った現役官僚が実際に天下りのあっせんを行っていたという重大な指摘であります。海技振興センターの理事長は、この審議官、国交省の現役官僚から桑原さんをかえるとか後任は山内さんと言われてこの人事を行ったと語っているわけであります。
 この一連の玉突き人事は、役所がシナリオを描いたものだ、だから、はじき出されたOBがみんなおさまるところにおさまって、ぴったりと玉突きが続いた。当然ながら、現役官僚によるこうしたあっせんは国公法違反であります。
 官房長官、改めてお尋ねしますが、今回のこの玉突き人事への現役官僚の関与についてしっかりと調査をしていただきたい。いかがですか。

○枝野国務大臣 今の御指摘は今初めて伺いましたので、できれば資料等を提供いただければ、まずは、一義的には国土交通省の政務三役においてしっかりと調査をいたさせたいと思いますし、それについては官房においてもしっかりと見ていきたいと思っております。
 また、繰り返しになりますが、できればそうした疑義を持たれるようなケースがないように、あるいはそうした場合にもできるだけ透明性と中立性を持った形でチェックができるように、再就職等監視委員会の人事についての御協力をよろしくお願い申し上げます。

○塩川委員 やるべきことをやるということが大前提であります。
 この件についてもう少し補足しますと、このOBは、法改正によって天下りあっせんが禁止されたということもあって、OBのいわゆる玉突き人事の方はOBのどなたかがやっているんだろうと思っていた、ですから、その大物のOBの人に声をかければいろいろ事情がわかるかということを推測していたということだそうですけれども、事情はどうも違うようだということに気がつきまして、国交省の現役の担当課長にも電話で確認を行ったと。そのときにも、このOB人事はだれが決めているのか、裏で決めているのは審議官か、こういう問いに対して、課長は、そうですと。いわば自分の役所の先輩に当たる方の指摘ですから、こういう事情も出てくるんでしょうけれども、そういうふうに答えたそうであります。
 役所は、このOB人事情報を共有し、裏で事実上のあっせんを行っているんじゃないのか、だからこそきれいに玉突き人事が行われ、はじき出されたOBがみんなおさまるところにおさまったということになるわけで、このことについて、先ほど枝野官房長官から答弁がありましたように、資料をお渡ししますので、ぜひ、国交省だけではなく、官房としてもしっかりと後追いの調査を行って、こういった違法行為が行われるような、国民にとって恥ずべきような行為が行われているということであれば、しっかりと正す、この点を申し上げておくものであります。
 その上で、やはり、天下りあっせんの根絶だけでいいのかという問題が当然出てくるわけであります。
 我が党は、天下りのあっせんの禁止ではなくて、そもそも天下り禁止という立場でありますが、そのあっせんの根絶を掲げる菅内閣のもとで現役幹部官僚によってあっせんが行われたという重大な疑惑が明らかになったわけであります。きっかけは現役出向による玉突き人事で、これは、今回の例に限らず、全省庁でそうした人事になっている可能性を示唆しています。
 退職管理基本方針も、天下りあっせんの根絶をうたいながら、一方で、現役出向を拡大するとか民間企業への出向を拡大するとか、こういう点では一層官民癒着を拡大しかねないような、天下りを拡大しかねないような中身も含まれているという点も極めて重大だということも指摘せざるを得ません。
 そういう意味でも、あっせんの禁止では今回のようなイタチごっこを繰り返していくだけですから、天下りそのものを禁止する、こういうことをかつては民主党もおっしゃっておられたわけですから、この立場での対応を改めて求めたいと思いますが、枝野官房長官、いかがでしょうか。

○枝野国務大臣 あっせんの禁止で足りるのか、天下りそのものを禁止すべきなのかということについては、私も一国会議員としては強い思いがございますが、政府としては、国会でお決めをいただいた法律に基づいて今行政執行を行っているところでございます。将来の立法論としては、いろいろな考え方があるだろうと思います。
 その上で、現行の法制度の中においても、特に今回御指摘いただいたいわゆる公益法人については、いわゆる予算とか権限とか、そういったものが役所との絡みでつながっているからこそ、役所のOBを引き受けた方が得だとか引き受けたがるとか、そういった構造があります。
 したがいまして、行政刷新会議において、こうした問題点を断ち切る、つまり、役所のOBを抱えていたからといって得にはならないんだという公益法人のあり方、そして、どうしても行政代行的な業務を公益法人で行わなければならない場合には、むしろ、行政代行的な業務を行っているのですから、退職金の二重取りとか、いつまでも務めるとかということではなくて、行政代行的な業務を行っていることにきちっと着目して、堂々と現役出向で、退職金の二重取りなどのないような形でやっていただくということで整理を進めているところでございます。

○塩川委員 厳格な調査と天下りそのものの禁止を改めて求めて、質問を終わります。