<第179臨時国会 2011年10月25日 郵政改革に関する特別委員会 3号>



○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 きょうは、被災地における郵政サービスの確保の問題について質問いたします。
 東日本大震災では、郵政事業を担う日本郵政グループも大きな被害をこうむりましたが、ユニバーサルサービスの確保のために職員の皆さんも懸命に奮闘しておられたわけであります。しかしながら、閉鎖された郵便局がいまだに開局されないなど、利用者、住民の方、被災者に不便な暮らしを強いるものともなっております。
 そこで、まず、郵便局ネットワークの維持に関して質問いたします。
 東日本大震災で大きな被害を受けた岩手、宮城、福島三県での郵便局の被害状況について、郵便局会社にまず確認をいたします。
 被災三県で、閉鎖中の直営局及び簡易局はそれぞれ幾つになっているのかをまずお答えください。

○斎尾参考人 岩手県の直営の郵便局数は三百八局でございますが、このうち震災により窓口を閉鎖している郵便局は十八局でございます。この十八局につきましては、仮設店舗での再開の予定が七局、移転で再開を計画しているものが二局、計画が未定の局が九局でございます。
 また、岩手県の簡易郵便局数は百二十四局でございますが、このうち震災により閉鎖している簡易郵便局は十三局でありまして、いずれも復旧は未定でございます。
 次に、宮城県の直営の郵便局数でございますけれども、三百六十三局ございますが、このうち震災により窓口を閉鎖している郵便局は二十五局ございます。この二十五局につきましては、仮設店舗での再開の予定が六局、移転で再開を計画しているものが一局、計画未定の局が十八局でございます。
 また、宮城県の簡易郵便局数は九十三局でございますけれども、このうち震災により閉鎖している簡易郵便局は九局でありまして、いずれも復旧は未定でございます。
 最後に、福島県の直営の郵便局数は四百三十二局でございますが、このうち震災により窓口を閉鎖している局は二十六局でございます。この二十六局につきましては、仮設店舗での再開の予定が二局、計画未定が二十四局でございますが、この二十四局の中には原発避難地域にある二十局が含まれております。
 また、福島県の簡易郵便局数は百十六局でございますが、このうち震災により閉鎖している局は七局でありまして、いずれも原発避難地域にあって、復旧は未定でございます。

○塩川委員 被災地では、七カ月以上たっても少なくない郵便局が閉鎖をされたままで、復旧の見通しが立っていない状況にもあります。
 そこで、特に被災地を取り出して見た場合にさらにどうなるのか、個別の被災市町村で郵便局の被災状況を確認したいと思います。
 岩手県の山田町及び宮城県の石巻市におきまして、閉鎖中の直営局の数及び簡易局の数はそれぞれ幾つになるでしょうか。

○斎尾参考人 石巻市の直営の郵便局数は三十二局でございますが、このうち震災により窓口を閉鎖している郵便局は十局でございます。この十局につきましては、仮設店舗での再開の予定が二局、計画未定の局は八局でございます。また、石巻市の簡易郵便局は五局でございますが、現在閉鎖している局はございません。
 次に、山田町の直営の郵便局数でございますけれども、四局ございます。このうち震災により窓口を閉鎖している郵便局は二局でございます。この二局につきましては、仮設店舗での再開の予定が一局、計画未定の局は一局でございます。また、山田町の簡易郵便局は三局でございますが、いずれも震災により閉鎖中でございまして、復旧は未定でございます。

○塩川委員 今御答弁いただきましたように、例えば石巻市では、まだ再開の見通しが立ってない、未定の郵便局が八局もあります。この辺は安住大臣はもちろんよく御存じだと思いますが、合併前の旧北上町には郵便局が三つある。しかし、そのうちの二つはいまだに再開が未定であります。
 ここは、もともと金融機関というと漁協と郵便局だけだったんですが、漁協の方は再開の見通しが立たない。そうなりますと、一番西側にある郵便局が機能しているだけ、橋浦の郵便局だけですね。そうしますと、一番東の方の被災者の方にすると、十数キロ移動しなければ郵便局、金融機関を利用できない状況の中にあるというお話を伺っております。郵便局は地域になくてはならない存在でもありますし、速やかに再開してほしいというのが被災者の声でもあります。
 また、岩手県の山田町では、七つの郵便局のうち二つしか開局していません。これは少し奥の方の郵便局と少し高台にあるような郵便局だけで、湾に面したところの郵便局は簡易郵便局を含めて被災して、開局の見通しが立っていない。役場前に移動郵便局があるだけで、従来の場所からも離れていますし、そもそも多くの仮設住宅から遠いという状況にあります。
 こういったように、被災地においての郵便局の開局のめどが立たないということが、被災者の方々にとって非常に大きな困難を伴うものになっている。
 安住大臣、被災者の方は困っていると思うんですが、いかがですか。

○安住国務大臣 おっしゃるとおりなんです。
 私の生まれたところでも鮎川郵便局というのが、海岸の方に面した、沿岸部にあるんですね。ですから、直撃を受けて、今先生御指摘の相川というのは相手の相に川ですよね、私のところは鮎に川なんですが、やはり同じように全壊している。
 ただ、局会社も多分そう考えていると思うんですけれども、避難しているのは高台の小学校だったわけですね、その地域はすべて。ですから、今、立地していた場所にもう一回建てるとなるとちょっと物理的に、市も含めて、無理だと思うんですね。
 ですから、立地する場所をまず、どこかということを特定しなきゃいけませんし、鮎川郵便局については、局長も亡くなっておられますので、そうした点からいうと非常に困難ではないかなというふうに今思っておりますが、利便性という点からいえば、都市計画等々をつくって、どこに町をつくるのかというのをそれぞれの旧町単位でやっておりますので、その計画の中でぜひ郵便局の設置というものをお願いしたいというふうに私は地元議員として思っております。

○塩川委員 非常に被災者の方々が困っておられるということで、その方策をどうするのかということにもなるわけですけれども、郵便と郵貯、簡保の三事業を提供する郵便局ネットワークの維持というのは、いわばユニバーサルサービス保障の根幹であります。長期にわたる閉鎖というのは廃止と変わらないわけですから、こんなことがあっていいはずはない。
 このままでは郵政三事業のユニバーサルサービスが保障されないということでもありますので、ユニバーサルサービスの義務づけにも反するような郵便局の閉鎖状況が長期に続きかねない、こういったものについて、国としていつまでに解消するつもりなのか、総務大臣でしょうか、お答えいただけますか。

○川端国務大臣 御指摘のように、今回の震災において多くの郵便局が被災し、現在においても六十九局の郵便局が閉鎖している状況にあります。郵便局株式会社においては、被災者の仮設住宅への転居の状況、地域住民のニーズを勘案して、仮設局舎での営業に取り組んでいるところでありまして、現時点で、十一局営業中、十二局建設中、三局が建設準備中であります。
 また、倒壊した郵便ポストは五百二十八カ所に及んでおり、自治体からの要望を受け、随時仮設住宅のそばに応急的に郵便ポストを設けるなど、日本郵政グループを挙げて被災者の生活維持のために努力しているところと聞いております。
 御指摘のように、閉鎖している郵便局や倒壊した郵便ポストを早急に復旧させることは必要なことでありますけれども、今、安住大臣もお触れになりましたけれども、郵便局、郵便ポストをどこに設置するかというときに、全体のまちづくりの中で決定されていくところもございます。このような観点から、地元におけるまちづくり計画が策定されるに当たり、日本郵政グループとの意思疎通や調整が行われるよう、総務省として、必要に応じて働きかけをいたしております。
 いずれにいたしましても、できるだけユニバーサルサービスの提供が遺漏なきように、最大限できる限りのことを尽くしてまいりたいと思っております。

○塩川委員 もちろん、まちづくりの復興計画をしっかりつくっていく、それも被災者の立場で早期に行っていくということは当然のことでありますけれども、そうだとしても、自治体の復興計画待ちで、その後に郵便局の再建ということでは、その間の金融を初めとしたユニバーサルサービスの提供が放置されることになるんじゃないのか。
 そういう問題について、何らかの方策で当面の間しっかりとした郵政三事業を提供するような、そういった取り組みを行うべきで、市町村の復興計画がまとまるまでは郵便局の閉鎖状況を放置するということであってはならないわけで、この点についてどうするのかについて、もう一度お聞かせいただけますか。

○川端国務大臣 冒頭申し上げましたように、町の郵便局というのは地域においての拠点の一つでもありますので、まちづくりが出ないと本格的なものには手をつけられないということで、今、その計画参画には可能な限りかかわるようにということで地元と連携しているところでありますが、その間は仮設局舎の対応ということが一番有効な機能であるということで、最大限これにおいて対応しているところでございます。

○塩川委員 仮設局舎という話なんですけれども、郵便局会社に聞くと、まちづくりの計画を待たなくちゃいけないというところは様子見という話になっているんですよ。例えば、そういうところでも、被災者がいなくなっているわけじゃなくて、仮設住宅などに皆さんいらっしゃるわけですよね。だとしたら、仮設住宅があるところに仮設の郵便局舎をつくるということを行えばいいわけで、そういう措置こそ必要なんじゃないですか。
 まちづくりの復興計画をつくるのを待たずに、現に被災者が暮らしをしている仮設住宅の敷地内の隣接するところに仮設の郵便局舎をつくる、こういうことこそ直ちに行う、ユニバーサルサービスをしっかりと保障するのであればそういう対応こそ行うべき、この立場で国がしっかりと対応すべきだと思いますが、改めて、いかがですか。

○斎尾参考人 先生のようなそういった御指摘もありまして、現在、仮設の店舗により、復旧予定の郵便局のうち三局でございますけれども、宮城県亘理町、それから福島県相馬市、いわき市に設置されました大変大規模な仮設住宅がありますので、その近くに仮設の郵便局を設置する計画でございます。
 ただ、復旧の見通しが立っていない郵便局はたくさんございますので、これらにつきましても、地域の復旧状況、仮設住宅の入居状況を引き続き注視しながら対応してまいりたいというふうに考えております。

○塩川委員 被災地では数十の郵便局が畳んだままなんですよ。そういうところに、被災者の方が避難生活をしておられる仮設住宅の近隣にしっかりとつくる。今、三つしかないんですよ。こんなことでいいのか、残りの数十についてはずっと復興計画待ちでつくらないのか、このことこそ問われているわけで、やはりここは踏み出すような対策をしっかりと国として示すべきじゃありませんか。改めて、総務大臣。

○森田大臣政務官 先ほど大臣が言われて、今斎尾専務が言われて、そして今先生の御指摘なさったことは、まさにそのとおりでございます。
 私も、十月、今斎尾さんが言われた福島・相馬の仮設住宅近隣の郵便局を仮設として見に行きました。その中でやはり感じたことは、仮設住宅の近くに郵便局はつくりますけれども、そこにいる人から見て本当にこれは便利なところかということは、つくったところでもやはり検証は必要です。高台につくった住宅というのは、坂道があります。高齢者の人が入ると、歩いていくのが結構大変かなと思うところもありますので、これから冬になればなおさらですから、そういった住民の目線に立って、近いところでできるだけつくってもらえるように指導しているところです。
 それで間に合わないところは移動郵便車、渉外職員は今フル回転で頑張っております。それに、石巻の集配センターが被害を受けた。牡鹿半島も受けた。そして今、石巻の郵便局から牡鹿半島まで、職員の皆さんが自助努力の中で片道一時間以上かけて集配に行って、努力しています。そういうところにも早く集配センターをつくるなりのことをして、一刻も早く、これは年末までというところがやはり努力目標としてあるんだろうと思います。年賀状のこともありますので、努力をすべく、今後とも指導させていただきたいと思っております。

○塩川委員 いつまでにという問いに対して、年末までにという話でよろしいんですかね。

○斎尾参考人 すべての局というわけにはいかないと思いますけれども、先ほど森田政務官の方からも言われましたように、できるだけ私どもとしても努力していきたいと思います。

○塩川委員 旧北上町とか例えば山田町というのは実際には過疎地に当たるところですから、少なくとも現行の民営化法でも、過疎地に当たるところについての郵便局のネットワークの水準の維持というのははっきりさせられているわけですから、そこの郵便局が現に長期間存在していないんですよ。そういったところにしっかりと仮局舎でもいいからつくるということこそ行うべきで、その立場で、改めて大臣、年末までにしっかりと対応するということについて話していただきたい。

○安住国務大臣 塩川先生、鮎川郵便局に例えれば、確かに一日も早くというのはあるんですけれども、そこには今、人は住んでいないんですよ。そこの集落の人たちは別の仮設に分散して住んでいらっしゃるから、そこに局舎をすぐつくれといっても、多分、合理性があるかどうかということで、今、さっき御指摘にもあった飯野川の橋浦郵便局や河北郵便局という最寄りの郵便局から配送を仮設住宅にやっている。
 だから、地域の事情によるんじゃないでしょうか。地域の事情によっては、沿岸部で全く集落の、私の大原浜郵便局も鮎川郵便局も、どんどん私は全部言えますけれども、女川、雄勝、全部言えます。だけれども、それは全部今、実際はそこには人が住んでいなくて、仮設に分散しているという御事情もお酌み取りいただいた方がいいかもしれません。

○塩川委員 ですから、仮設住宅の近接するところにつくるということをしっかりと行うべきだ。要するに、金融の窓口サービスの問題なんですよ。金融の窓口サービスを提供する郵便局が必要なわけですから、それをどう保障していくのかということこそ求められているわけです。
 あわせて、簡易局の問題もあるわけです。
 簡易局の方は、委託者の方自身が被災もされておられて、財産も失っておられる。そういったときに、再開できるかどうかということで、非常に悩みの中にいらっしゃるわけですね。
 そういったときに、簡易局をきちっと再開するということであれば、そういう簡易局の委託者に対しての委託の手数料をさらに引き上げるといった対応を行うとか、仮にそういうところで一定の時間がかかるとしても、直営の分室を設けるとか、何らかの措置というのは可能だと思うんです。そういう対応について、ぜひとっていただきたいと思うんですが、いかがですか。

○川端国務大臣 もともと大変な困難の中で御苦労いただいている被災者の皆さんにサービスを提供するということで、今、いろいろ御指摘いただきました。
 地域のそれぞれの事情の中で最大限そういうことが前に進めるように今も株式会社としては努力していると思いますけれども、よく実情を把握する中で、御意向をよく踏まえて、前にできるだけ進めるように最大限督促をし、指導したいと思っております。

○塩川委員 森田総務大臣政務官が年末までにというお話をされましたから、ぜひそういう対応でこういった再開に向けた働きかけというのを郵便局会社、郵政グループとして行っていただきたいと思いますし、国としてもしっかりとユニバーサルサービス、ネットワークの水準の維持という立場で働きかけを行っていただきたい。
 それから、仮設住宅との関係でも、住んでいる場所が今変わっているわけです。ポストの問題があります。ですから、津波で流されたようなポスト、そこに改めて今ポストをつくれという話には当然なりません。そういう意味でも、この間の被害で、やはり仮設住宅にポストを設置してほしいという要望というのがどこでも上がっているわけです。
 そこで、郵便事業会社にお尋ねしますが、被災三県において、被災したポスト数、その後被災地に設置をしたポスト数がどのぐらいあるのか、お答えください。

○中城参考人 お答え申し上げます。
 岩手、宮城、福島の三県で被災した地域に、流失したポストが二百五十三本、損傷度合いがひどく使用不能なポストが二百七十五本、合わせて五百二十八本が使用不能であるということが判明しております。ただし、その中には、原子力発電所事故の警戒区域に所在する本数は除いております。
 これに対しまして、仮設住宅や地方公共団体等からポストの設置の要請があり次第、順次設置しているところでございます。その本数につきましては、震災の影響で新設したポストと経年劣化によって立て直したポスト数を分離して集計することは現時点では困難でありますが、岩手県、宮城県内で甚大な被害を受けた郵便事業会社七支店、宮古、大船渡、釜石、陸前高田、石巻、塩釜、気仙沼について、震災の影響により新設したポスト数につきまして確認しましたところ、現時点で七十七本のポストを設置しているところでございます。

○塩川委員 例えば、先ほど紹介しました岩手県の山田町では、仮設住宅の敷地内にポストというのは、設置はどうなっていますでしょうか。

○中城参考人 お答え申し上げます。
 御指摘の山田町でございますが、震災前には三十七本のポストが設置されておりましたが、震災により流失、倒壊したポストは十四本となっております。現時点で新設したポストは三本でありまして、十一月中旬までに設置が決定しているポストが四本となっております。このうち三本が仮設住宅の周辺に設置するものでございます。

○塩川委員 今後建設する四本のうちの三本が仮設住宅というお話で、現時点では立っていないんですよね。ですから、七月ぐらいまでにほとんど仮設住宅の建設が終わって入居が始まりました。山田町では四十六カ所の仮設住宅があるわけですけれども、そういった仮設住宅に現時点でもポストが一つもないんですよ。住民の方々がそこに住んでいるにもかかわらず、郵便局舎をぜひと思いますけれども、少なくともポストはあって当然じゃないのか。流失をしているのがたくさんあるにもかかわらず、新たに設置をしたところというのはそのうちのごく一部であって、実際に被災地の仮設住宅の敷地内に立てたというのはほとんどない。例示をした山田町については、現時点では一つもないということです。
 そういう点では、自治体からの要望があれば、あるいは住民からの要望があれば設置をする、仮設住宅の敷地内にポストをつくるということを約束していただけますか。

○中城参考人 仮設住宅のポストの設置につきましては、住民の方々からの設置の要望または自治体からの要望というものが関係支店等にあれば、近隣のポストの設置状況をかんがみまして、適切な設置場所の選定及び土地所有者に対する許可等の手続を経て実施するようにしているところでございます。

○塩川委員 川端総務大臣も被災地に行かれまして、例えば岩手県の大槌町でも仮設住宅にポストが欲しいという要望があったということをお聞きもしております。そういう点でも、ポストの設置については、ぜひともしっかりと要望にこたえて早急に設置するということを、郵便のユニバーサルサービスをしっかり保障する観点からも、総務大臣として日本郵政、郵便事業会社の方に働きかけをしていただきたいと思いますが、一言いただきたい。

○川端国務大臣 ポストの設置について、先ほど会社の方から御説明もありましたけれども、地域の皆さんの御要望を含めて、できるだけ適切な場所に設置できるように最大限の努力をしていただきたいと私からも要請をしたいと思っております。

○塩川委員 終わります。