<第179臨時国会 2011年10月27日 総務委員会 2号>



○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 きょうは、東日本大震災における被災自治体と被災者の負担軽減措置について質問をいたします。
 まず、震災復興特別交付税についてお尋ねをいたします。
 東日本大震災からの復旧復興事業に係る地方負担分について地方交付税を加算するということで、この加算分については、震災復興特別交付税として、通常の特別交付税とは別枠で、個々の被災自治体における負担をゼロとするように、事業実施状況に合わせて決定、配分するとしております。
 そこで、大臣にお尋ねしますが、被災自治体における負担をゼロにするということですけれども、東日本大震災の復旧復興事業に係る地方負担分についてはすべて震災復興特別交付税で措置されるのか。措置されない事業があるとすれば、どのような事業なのか、またその理由は何か。この点についてお答えください。

○川端国務大臣 お答えいたします。
 東日本大震災からの復旧復興に当たっては、被災団体が全力で取り組めるようにするとともに、被災団体以外の地方公共団体の負担に影響を及ぼすことがないように、地方の復旧復興事業費及びその財源については、通常の歳入歳出とは別枠で整理し、国費による措置を大幅に拡充した上で、地方財源を確実に確保することが基本となっております。
 第三次補正においては、復興交付金の創設など国費による措置を拡充した上で、一つは今回の第三次補正予算に伴う地方負担分七千三百二十二億円への対応に加えて、二番目に平成二十三年度第一次、第二次補正予算等に伴う地方負担分六千三百十三億円、三番目に震災関連の地方税法の改正等による地方税等の減収分三千億円にもさかのぼって対応することとして、地方交付税を計一兆六千六百三十五億円増額としたところであります。
 この積算においては、基本的に補正予算等に伴う復旧復興事業に係る地方負担等を対象としたが、これで一応すべてできるということでありますが、例外として、従来から交付税措置を講じていない事業、すなわち、一つは公営企業債、公営住宅建設事業債及び貸付金の財源に充てるための地方債の対象となる地方負担額、二番目に農地農林施設に係る地方負担額のうち受益者負担により賄うこととされている地方負担額については、それぞれ公営企業の料金収入や公営住宅の家賃収入等により必要な財源が確保されるものであることから、今回においても対象としないとしているところであり、一番初めの公営企業債、公営住宅建設事業債、貸付金の財源に充てるためという部分では一千四百二十五億円、二番目のことに関しては百十一億円、計一千五百三十七億円としているところでございます。
 以上です。

○塩川委員 今御答弁ありましたように、料金収入ですとか家賃収入によって費用をカバーする公営企業とか公営住宅建設に係る事業は対象外であり、また返済金を見込むような貸付金事業なども対象外となっているということであります。これらの事業を除くことの妥当性については、改めて別の機会に検証したいと考えています。
 同時に、震災復興特別交付税全体とすれば、復旧復興事業によって多額の地方負担分を抱える被災自治体の負担軽減を図る措置として重要だと考えております。
 そこで、具体的に何点か確認いたします。
 総務省にお尋ねをしますが、応急仮設住宅建設などに係る災害救助費の地方負担分もすべて震災復興特別交付税でカバーすると承知をしておりますが、それでよろしいでしょうか。

○黄川田副大臣 お答えいたします。
 ただいま大臣が答弁されたとおり、まずもって、第三次補正予算では、第一次、第二次の補正分も含めた東日本大震災からの復旧復興事業に係る地方負担分について、地方交付税を一兆六千六百三十五億円加算されておるところでありまして、この増額分については、震災復興特別交付税として、通常の特別交付税とは別枠で、そしてまた、個々の被災団体における負担が御案内のとおりゼロとなるように、事業実施状況に合わせて決定、交付する運びであります。
 御質問の点でありますけれども、災害救助費の地方負担分についても当然この特別交付税で全額措置される、その認識でよろしいかと思います。

○塩川委員 我が党は、震災復興に関連した提言を総理に申し上げ、先日も第三次提言を行いましたが、そういう中でも、災害救助を広く見て対応すべきだということを申し入れたところであります。
 仮設住宅や民間住宅の借り上げ、まだ残る避難所や在宅避難者の方など、被災者の実態に即して当面の生活環境を改善することが必要です。暖房とかふろの追いだきなどの機能を持つ、寒さや降雪への対策もしっかりとることが必要であり、バリアフリー化などのような、高齢者や障害者が安心して住むことができる住環境にする、そういうところにも災害救助費でしっかりと手当てをしていくという点で、今回の復興特交というのをぜひ生かしていくということが大事だと考えています。買い物や通院の手段なども、本来はしっかりと確保しなければいけない。こういうものも含めて広く対応できるような、そういう取り組みに資するようなものにしていくべきだということを申し上げておきます。
 続けてお尋ねしますが、震災等に伴う地方税の減免措置ですけれども、法律で定めました、法定化をされた課税免除だけではなく、条例減免、個別減免による減収分というのももちろんこの震災復興特別交付税でカバーすると承知をしておりますが、よろしいでしょうか。

○黄川田副大臣 塩川委員御案内のとおり、現場を見れば、平時のときとはまた別な財政需要が生じておりまして、歳出の面でもしっかりと支えなきゃいけないし、それから一方、歳入の面でも手当てをしなきゃいけない、こう思っていました。
 それで、御質問でありますけれども、東日本大震災に対処するための特別の財政援助及び助成に関する法律、この第八条に規定する地方税、使用料、手数料その他の徴収金で総務省令で定めるものの東日本大震災のための減免で、その程度及び範囲が被害の状況に照らし相当と認められるものによって生ずる財政収入の不足額については、御指摘のとおり、全額を復興特別交付税で措置することといたしております。

○塩川委員 財政援助法の八条の御紹介がありまして、個別減免、条例減免の部分だということでの御答弁と承知いたしました。
 その点について、重ねてお尋ねなんですが、これまで、法律による課税免除、法定減免の部分と、この個別減免、条例減免、これについて実施をする場合に、起債による地方交付税の措置については差があったわけですよね。法定減免の方はしっかりと手当てするけれども、個別減免、条例減免の方は地方自治体の負担が一部残るというような仕組みだったわけですけれども、この点は、今回の復興特別交付税で見るということであれば、いわば、措置とすると、同じになったという理解でよろしいですね。

○黄川田副大臣 それぞれ自治体によって条例減免ということで、私の岩手の方でもつくっておるわけでありますけれども、被災の実態に応じて、そして税の減免、しっかりと措置しなきゃいけないということでやっておりますので、答弁とすれば、それも含めて全部措置されてございます。

○塩川委員 ですから、懸念として、やはり条例減免の場合については自治体としてなかなかしにくいという心配の声も一部あったわけですけれども、その点はしっかりと、負担がゼロになるという趣旨では同じ並びになったわけで、今回の措置によって、被災自治体の判断で被災者の実情に即した個別減免を行いやすくなるということであります。
 ここで、続けて宅地被害に関する被災者の負担軽減措置についてお尋ねをいたします。
 この宅地被害に関する被災者の負担軽減措置との関係で、まず、東日本大震災復興交付金について質問をいたします。
 復興交付金は、この創設により、被災自治体がみずからの復興プランのもとに進める地域づくりを支援し、復興を加速させるというものとなっております。被災自治体の復興地域づくりに必要なハード事業を幅広く一括化しているということです。
 そこで、宅地地盤被害に対する被災者支援の仕組みがどのようになるのかを確認したい。国土交通省、おいでいただいておりますので、お答えください。
 まず、造成宅地滑動崩落緊急対策事業というのが、この復興交付金の四十事業のうちの一つのメニューとして挙げられております。その事業の内容について、既存の制度であります大規模盛土造成地滑動崩落防止事業と比較をして、補助率ですとか対象とか要件がどのように変わっているのかについて御説明をいただけますか。

○花岡政府参考人 お答えを申し上げます。
 先生御指摘のとおり、今般の第三次補正予算案におきまして、盛り土造成地が滑動崩落した地区において再度災害が発生することを防止するため、造成宅地滑動崩落緊急対策事業というものを創設いたしております。
 この事業の補助対象要件でございますけれども、既存の大規模盛土造成地滑動崩落防止事業の要件に加えまして、比較的小規模な造成地も対象となりますよう、盛り土をする前の地盤面が二十度以上であり、かつ盛り土の高さが五メーター以上である造成地についても補助の対象に加えております。また、その場合の盛り土上に存在する宅地の数を五戸以上ということで、引き下げております。
 また、盛り土造成地が崩落することによりまして、下にございます市町村道あるいは十戸以上の家屋に被害を及ぼすおそれのある盛り土造成地についても、補助対象とすることといたしております。
 さらに、国費率でございます。既存の事業は四分の一であったわけでございますけれども、これを二分の一といたしました。さらに、放置をすれば広域にわたり重大な支障を来すおそれがあるような施設を保護するものについては三分の二まで引き上げることといたしております。
 既存の事業の場合、そういった形で地方負担が多かったということもございまして、従来の事業の例では、そういった地方負担の一部を被災者の方に御負担いただいたといったものもあるように伺っております。ただ、今回の事業はすべて、御指摘のとおり、東日本大震災復興交付金において措置をすることといたしておりまして、地方負担については、交付率のかさ上げあるいは地方交付税の加算といったものですべてを手当てすることといたしております。
 以上でございます。

○塩川委員 一件しか適用事例のなかった大規模盛土造成地滑動崩落防止事業と比べまして、今回の事業では、補助率のかさ上げも行われ、対象も拡大をし、要件緩和が行われたということは重要であります。
 そこで、重ねてお尋ねしますが、この事業によって、宅地部分については被災者の負担は発生しない。先ほど、地方負担は全部ゼロにするということですけれども、要するに、事業全体として、そもそも被災者の負担はそこには発生しないということでよいかどうか、確認をさせてください。

○花岡政府参考人 お答え申し上げます。
 この事業の趣旨は、当該宅地をどうするかということではございませんで、当該宅地の下にございます公共施設あるいは別の住宅の安全を守るというための事業でございます。
 そういった意味で、基本的には、国と公共団体の負担でそういったものを守る、そういう事業だと御理解いただいて結構かと思います。

○塩川委員 宅地部分についての被災者の負担は発生しないということを確認しました。
 ただ、地盤がしっかりしたとしても、上物の方はまた別個の話ですから、上物をしっかり住めるようにすることの負担というのは当然被災者にかかってくるわけで、こういった家屋部分の被災者負担というのが課題となるわけであります。
 次に、復興交付金のメニューの一つであります液状化対策推進事業についてお尋ねします。
 この液状化対策推進事業の事業内容について、まずお答えいただけますか。

○花岡政府参考人 お答えを申し上げます。
 今般の東日本大震災におきましては、臨海部の埋立地や内陸部の造成宅地等において、地盤の液状化が、広範かつ多数の被害が発生しているといったようなことになっております。復興を推進するに当たっての重要な課題、津波と並ぶ重要な課題であるといったふうに認識をいたしております。
 このため、液状化による再度の災害の発生を抑制しますための新しい支援策といたしまして、今般の第三次補正予算案におきまして液状化対策推進事業といったものを創設し、道路、下水道等の公共施設と民間宅地を一体的に取り扱って液状化対策を行います場合に、公共施設に対する対策費を支援することといたしております。
 被災者の方の費用負担につきましても、この制度の活用により、官民一体となって地盤改良を行うことにより、宅地側において必要となります対策工事がより簡単なものでいいようになるとか、あるいは共同して発注することによりスケールメリットが発生するといったようなことが見込まれ、個人負担の軽減が図られるものと考えております。

○塩川委員 これまで、宅地の液状化被害については全く支援策がありませんでした。今回のような支援制度の創設も重要であります。ただし、実際に活用できるかどうかが問われるわけであります。
 お話でも、官民一体となって進めるということでしたけれども、この事業では被災者の方の負担はどうなるのか、この点についてお答えいただけますか。

○花岡政府参考人 お答えを申し上げます。
 民間宅地側におきます工事につきましては、基本的には土地の所有者の方の御負担になろうかと思います。ただ、私どもといたしましては、いろいろな工夫をすることによりまして、それをできるだけ軽減したいということで取り組んでいるところでございます。

○塩川委員 今お答えがありましたように、公共施設についての液状化対策を進める、例えば道路であれば、道路はもちろん公共施設としての液状化対策を国と地方で行う、その地方負担分はゼロにするということで、復興交付金のかさ上げと復興特別交付税で手当てするという仕組みになるわけです。
 それで、その道路の液状化対策のために、若干宅地部分をしっかり液状化対策をすることによって、道路の液状化対策を、防止をするというスキームなんですよね。でも、そもそも面的にやらなければ効果も上がりませんから、街路でいえば、格子状の街路の道路部分、それに接した宅地の一部だけをしても宅地部分の液状化対策になりませんので、そういった液状化被害の民地、宅地部分については、もちろん所有者の人がお金も出してやらなければいけない。つまり、復興交付金の事業の一つであるこの液状化対策推進事業を見ても、地方負担はゼロにするというふうになっていますけれども、被災者の負担が伴わなければそもそも事業が始まらないという仕組みになるわけです。
 地方負担をゼロにするということは重要です。同時に、本当の意味で被災者の暮らしを支援するということであれば、被災者の負担軽減をどう進めていくのか、ここに今力を注ぐということが必要になっているわけです。
 このスキームでも、もちろん液状化被害対策で被災者の負担を一部軽減できますということを国交省はうたっているわけですけれども、それでも残った費用負担というのは数百万円に上るだろうと言われているわけです。とても払えないという被災者が出れば、そういった面的な整備にならないということにもなりかねないといったときに、さらなる被災者の負担軽減策を講じる必要があります。
 このような造成地の宅地地盤被害や液状化による宅地地盤被害において、いかに被災者の負担を軽減するのか。その点で、復興交付金には効果促進事業というものがあります。造成宅地滑動崩落緊急対策事業や液状化対策推進事業といった基幹事業と関連し、復興のためのハード・ソフト事業を実施可能とする、使途の緩やかな資金だとされております。
 そこで、復興対策本部でしょうか、お答えいただきたいんですが、今挙げました造成宅地滑動崩落緊急対策事業や液状化対策推進事業において、被災者の宅地とか家屋の改修費用軽減のためにこの効果促進事業を活用することは可能ですか。

○佐川政府参考人 お答え申し上げます。
 復興交付金に盛り込まれました個別の事業に関しましては、今回、それぞれの省庁におきまして、被災地の実情を踏まえまして、かなり制度の創設、大幅な拡充を図っておりまして、先ほど国交省から御説明申し上げましたように、造成宅地滑動崩落緊急対策事業あるいは市街地液状化対策事業、いずれも被災地や被災者の負担軽減に資する制度改正が図られているというふうに承知してございます。
 それと、今先生御指摘の、住宅の改修等の個人負担の軽減にどこまで対応するかという点につきましては、今回行いました各種の制度の拡充、改正、この大幅な拡充を超えまして効果促進事業でどこまで対応するかにつきましては、慎重な検討が必要というふうに考えております。

○塩川委員 慎重な検討ということで、可能だとおっしゃらなかったわけですが、可能だと言えない理由は何ですか。

○佐川政府参考人 お答え申し上げます。
 住宅の改修等、個人の資産形成に関する負担軽減にどういうふうに対応するかという点につきましては、さまざまなこれまでの議論がある中でございまして、この効果促進事業の中でどう対応するかにつきましては、やはり慎重な検討が必要だというふうに考えております。
 以上です。

○塩川委員 個人の資産形成に資する云々というのは、阪神・淡路大震災のときにさんざん被災者の立場での議論が行われて、被災者生活再建支援法を初めとして、個人の資産というけれども、それは地域の復興そのものに直結をしているんじゃないのか、地域の再建と住宅の再建は一体なんだ、住宅の再建なしに地域の再建はできないというのがこの間の議論だったんじゃないですか、そういう方向でこそ制度を拡充すべきなんだと。
 今言ったように、地方負担をゼロにするというのは結構ですけれども、事業を成り立たせるためには、被災者の負担の軽減が伴わなければできないんですよ。その被災者の負担を軽減する措置として、効果促進をするんでしょう、効果促進事業という名前までつけているんだから、被災者の住宅とか土地の改修のための費用として効果促進事業を使えるようにするのは当たり前のことじゃないですか。できるとはっきり答えていただきたい。

○佐川政府参考人 今先生御指摘がありましたとおり、効果促進事業につきましては、基幹事業と関連しまして、その基幹事業のためのハード・ソフト事業ということで比較的自由度の高い資金を確保しているところでございまして、先ほどから繰り返して大変恐縮でございますが、住宅改修等の個人負担の軽減という点につきましては、やはり慎重な検討が必要だというふうに考えております。

○塩川委員 大臣にお尋ねします。
 この宅地の地盤被害のことについては、例えば液状化被害対策について、私、七月の予算委員会で当時の菅総理にお尋ねしました。
 私が、今の答弁にあるような、公共インフラの復興の延長線上で宅地の液状化被害対策というのではなく、宅地の液状化被害に対して直接の公的な支援制度をしっかりと設けるべきだと求めたのに対して、菅総理は、個人住宅の液状化被害に対して今の制度の中で対応するには、都市インフラの補強といった形の延長上で対応することが比較的迅速に対応できるということで述べたけれども、本質的に、個人の家の対応については新たな制度を含めて検討が必要だと答えているわけであります。
 この方向でその検討を具体化すべきときだ。個人の家に対する新たな公的な支援制度を具体化すべきだ。個人の宅地地盤被害に対し効果促進事業が活用できるようにする、そういうことも含めて、慎重な検討を踏まえた上でも実施ができるということを、地域の再建の立場でも先頭に立って頑張る総務大臣としてぜひお答えいただけないでしょうか。

○川端国務大臣 直接の所管でない立場であることは御理解いただく中で、御主張の御趣旨はよく理解をいたしましたので、そういう御意見があることは、また機会をとらえて関係者に伝えていきたいと思っております。

○塩川委員 ぜひ、被災者の生活再建支援について、この効果促進事業が使える仕組みにするという点での働きかけをお願いしたいと思います。
 関連して、総務大臣にお尋ねします。
 今回、取り崩し型の復興基金をつくられたということであります。私、これは特別交付税で措置しますから、自由度の高いお金として自治体の判断でいろいろできるというふうに承知しているわけですけれども、例えば公営住宅家賃などの料金減免を図る、もちろん今回の復興交付金のメニューとしても減免の仕組みもあるんですけれども、さらに軽減する措置を自治体として独自にやりたいといった際にこの基金が使えるのかどうか。また、今述べました造成宅地滑動崩落緊急対策事業や液状化対策推進事業に伴う被災者の負担軽減措置としてこの基金は活用できるものと私は考えておりますが、この点について、大臣はいかがでしょうか。

○川端国務大臣 お答えいたします。
 先ほど、一兆六千六百三十五億円の増額で実質負担をゼロとすることを措置すると申し上げましたが、それに加えて、今お触れいただきましたように、地域のさまざまなニーズに単年度予算の枠に縛られずに弾力的かつきめ細かに対処できる資金として、東日本大震災財特法に定める特定被災地方公共団体である九県が取り崩し型の復興基金を設置することとなる場合については、特別交付税により財政措置を講じることで約二千億手当てをしたということでございます。
 今お触れになりましたのは、住宅の家賃あるいは個人の宅地取得、住宅の建設費、造成費等々の、おっしゃったのは主に個人分ですね、軽減対策を含めて、基金を具体的にどのように使うかについては、交付税は使途に制限のない一般財源でございますので、各県の判断にゆだねられるということになっております。
 ただ、一般論で申し上げますと、地方自治法第二百三十二条の二で、地方公共団体が行う補助については、公益上必要がある場合に認められているものであるということがありますので、その趣旨に沿って適切に判断されるべきものと思っております。

○塩川委員 液状化被害などについて、既に、千葉県ですとか浦安市、あるいは私の地元の埼玉の久喜市などでも、独自の支援制度を実施するということでの予算措置なども行っているところであります。そういうものを促すことに当然つながる基金であろうということを今答弁で確認いたしました。
 この基金の点でいいますと、九県なんですよ。でも、今お話ししました埼玉県の久喜市というのは、液状化被害が局地的に大きくあるんですよね。旧栗橋町にあります南栗橋地区での液状化被害が深刻で、まだまだ避難生活でアパートを借りているような方なんかもいらっしゃるわけです。そういうところにこそこの復興基金というのはぜひ使ってほしいと思っておりましたところ、入っていないんですよ、埼玉県が。
 それは、理屈上、財政援助法で規定している特定被災地方公共団体が九県で、そこに埼玉県が入っていないという理屈なんですけれども、そもそも液状化被害というのは、当初は被害認定が厳しくて、被災が小さく出ていたわけですよね。それが、五月二日で被害認定を見直すことによって、傾きなどについてもかなり拾えるようになった。その結果、見直しを一回、二回したことによって、全壊とか大規模半壊とか半壊の世帯がぐっとふえたんですよ。
 だから、そういう意味では、被害の実態からいうと、財政援助法ができたゴールデンウイークの状況よりもさらに被災の状況が広がっているというのが久喜市の実態なんです。
 ですから、そういうときに、今言ったような被災者の支援のスキームとして、取り崩し型の復興基金を、埼玉県、特に久喜市でしっかりと使えるという改善はぜひ図っていただきたい。この点について最後に一言いただいて、質問を終わります。

○川端国務大臣 今言われた仕組み、特定被災地方公共団体九県に取り崩し型の基金をつくってということは、いわゆる特別交付税として措置をするということは決めましたけれども、今おっしゃったような個々の、それ以外の部分のいろいろな事情に関しては、基本的に、実情をよく伺う中での、いわゆる一般的な特別交付税の対象としての議論としてまたお話を伺ってやるという仕組みの中で取り扱わせていただきたいと思っております。

○塩川委員 財政援助法では、特定被災地方公共団体という枠組みと、特定被災区域という枠組みもあるわけで、そちらでは久喜市も入っているんですよ。そちらの方をとるとか、工夫の次第ではいろいろできるという点ではぜひ前向きな対応をお願いして、質問を終わります。