<第179臨時国会 2011年11月22日 総務委員会 4号>



○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 三次補正関連三法案について、政府並びに修正案提出者に質問をいたします。
 まず、今回の地方税の負担増を求める内容とすると、個人住民税の均等割の問題があります。
 財源確保法案は、全国的かつ緊急に自治体が実施する防災のための施策、緊急防災・減災事業に要する費用の財源を確保するため、臨時の措置として個人住民税の均等割の標準税率及び地方たばこ税の税率について地方税法の特例措置を講じようというものでした。
 なお、民主党、自民党、公明党の修正案が出ましたが、これによると、地方たばこ税は削除をされ、地方たばこ税の税額分が個人住民税均等割に上乗せをされる形になっています。結果として、個人住民税均等割の標準税率年額四千円に対し、千円の上乗せを十年間継続するものとなっております。その点で、低所得者への課税の問題が問われます。
 最初に総務省にお尋ねしますが、この個人住民税均等割の納税義務者について、総務省の資料では五千九百三十六万人となっておりますが、それでは非納税義務者は何人か、この点についてお答えをください。

○福田大臣政務官 お答えをいたします。
 個人住民税均等割の納税義務者数は、五千九百三十六万人程度となっております。個人住民税均等割の非納税義務者数を、就業者数から個人住民税均等割の納税義務者数を差し引いたものと定義をいたしますと、非納税義務者数は三百四十六万人程度となっております。

○塩川委員 三百四十六万人という御答弁がありました。
 もちろん、正確に言うと年金受給者の方とかいろいろあるわけですけれども、わかりやすく一定の要件を定めた中では、就業者数の中で見た場合に、納税義務者数は五千九百三十六万人に対し、非納税義務者数はわずか三百四十六万人。ですから、圧倒的多数の方に課税されるというのがこの個人住民税の均等割分であります。このような課税というのは、低所得者からも税金を取り立てる仕組みとなります。
 同様に、総務省の資料で見ますと、納税義務者数、平成二十一年所得で見た場合に、今挙げてもらった均等割五千九百三十六万人に対して、所得割では五千四百七十七万人ですし、所得税で見ると五千五十二万人ですから、要するに、所得税も払っていないような低所得者からも負担を求めるということになっています。
 総務大臣にお尋ねしますが、考え方として、こういう所得税も払っていないような低所得者からも負担を求めるようなやり方というのはおかしいんじゃないのか、このように考えますが、大臣のお考えをお聞かせください。

○川端国務大臣 今回の約八千億の、震災を契機としての防災のための各地方自治体における対策のために財源を、地方の皆さんの負担をお願いしたいということで提案しているわけでございますけれども、この部分は、先生御指摘のようにいろいろな視点があると思いますけれども、できるだけ広くすることによって薄くなるということで、今御指摘のように、均等割ですと五千九百三十六万人、所得割ですと五千四百七十七万人、所得税ですと五千五十二万人ということでありますから、広くという意味で、一番均等割の人数が多いですから、この部分でした結果、薄くということで、政府提案としては、五年、年額五百円ということで提案をさせていただいた。基本的な考え方はそこにあります。
 なお、低所得者もここには含まれる、今の分でいったら減免措置が三百万人オーダーということでありますが、本当に所得の、家計の厳しい世帯には減免されるという制度がございますが、できるだけ広くということで薄くしたいということを考え方として持たせていただきました。

○塩川委員 要するに、生計費もままならないような低所得者にも負担を求める、そのあり方そのものが問題なんだということを言っているわけであります。
 こういう点で修正案の提出者にお尋ねをいたしますが、要するに、政府の提案に、たばこ税をなくすことで結果として個人住民税の均等割を上乗せする、そういう意味では低所得者に対してより負担を求める仕組みとなっているという点について、今言いましたように、生計費もままならないような低所得者に対しても課税をするという負担の求め方そのものが問題だと思いますが、そういうことについてはお考えにならなかったんでしょうか。

○稲見委員 お答えいたします。
 東日本大震災からの復興に関して地方団体が実施する防災のための施策に必要な財源につきましては、復興基本方針を踏まえまして、より多くの方から薄く広く負担をいただく、こういう観点から、広く住民の方に負担をお願いしている個人住民税均等割の引き上げにより確保するということにしたものであります。
 先ほど坂本委員の方からの質問にもありましたけれども、個人事業者の市区外居住者、いわゆる店舗課税ということにも均等割が課税をされておりまして、そういう意味では応益性の高いものだというふうに思っております。
 なお、均等割は、非課税限度額制度によりまして、所得の極めて低い者には課税をされないほか、障害者、寡婦等で合計所得金額が百二十五万円以下の者は非課税になる、こういうふうに低所得者にも配慮をした仕組みになっております。
 また、以前でありますと、老年者非課税というのがありました。平成十八年から二十年の間に段階的にこれが廃止をされております。老年者年金特別控除を含めまして、老年者控除、老年者非課税、これは民主党の選挙のときのインデックス、マニフェストにも入っておりまして、政治家稲見哲男としては、今後の税制改正の中で努力をしてまいりたいというふうに思っております。

○塩川委員 お二方からありましたが、そもそも、基本方針で「今を生きる世代全体で連帯し負担を分かち合う」という仕組み自身が、結果として庶民増税を押しつける仕組みになっているということが問題だと今申し上げてきたわけであります。
 あわせて、低所得者については減免、あるいは所得の極めて低い者には課税されないという答弁もありましたけれども、例えば独身の給与所得者の非課税限度額を見ても年間百万円以下になっているわけです。そういう意味では、本当に極めて所得の少ない、ワーキングプアと言われるような人からも取り立てる仕組みになっているということでは、大臣に伺いますけれども、生活することも困難なような所得の極めて低い者からも均等割というのは税を取ることになっているんじゃありませんか。

○川端国務大臣 生活するのに極めて困難というのをどういうふうに見るかはそれぞれお考えがあると思いますけれども、いわゆる非課税限度額制度等によって、所得の極めて低い者には課税されないという仕組みになっております。
 一方で、個人住民税は、その地域に暮らす者としての、いわゆる地域住民としてのいろいろな行政サービスを受ける前提としての部分でありますので、今回の御負担は、地域の防災力強化という観点から、一定の部分には応分の御負担をいただきたいという趣旨でございます。

○塩川委員 そもそも、低所得者で生計費さえままならない、そういう人から、その生計費から税金を取り立てるようなやり方は認められないということを重ねて申し上げ、税の基本は、応益負担ではなく応能負担こそ税制の基本として貫くべきだ、このことを申し上げておきます。
 あわせて、今回の個人住民税の均等割の引き上げについて、被災地、被災者にとってどうなのかという点についてお尋ねをいたします。今回の個人住民税均等割の標準税率の引き上げは、被災自治体でも行うことを求めるんでしょうか。

○福田大臣政務官 お答えをいたします。
 個人住民税均等割の引き上げは、全国の地方団体が実施する防災施策に必要な財源を確保するために実施するものであり、被災自治体においても、みずから実施する防災施策の財源を確保するため、個人住民税均等割の引き上げを行うこととなるものであります。
 なお、均等割の税率引き上げは地方団体の自主的な判断に任されているため、被災者への配慮などの観点から、地方団体の判断で税率の引き上げを行わないことも可能となっております。

○塩川委員 それで、お尋ねします。
 被災自治体においても標準税率の引き上げを行うものとなる、ただ、被災者への配慮などもあって、自主的な判断として行わないこともあり得るということですが、そもそも今回の場合、負担増を要請するわけですよ。被災地においては、被災者の皆さんが懸命に暮らしの再建、地域の再建に努力をされておられる、復旧復興の先頭に立って頑張っておられるわけですけれども、生活そのものは、多くの家族を失い、また財産も失う中で、仕事あるいは生業も奪われる中での生活、いわばゼロではなくてマイナスからのスタートなわけですから、マイナスからのスタートを支援するときになぜ負担増なのか、こういうあり方そのものが問題じゃないのか。
 大臣と修正案提出者にあわせてお尋ねいたしますが、こういう被災地の、マイナスからのスタートとなるような被災者に対して負担増を押しつけるということそのものが被災地の復興につながると考えているのか、この点について、それぞれお答えいただけますか。

○川端国務大臣 被災地の復旧復興がマイナスからのスタートであるという表現をされましたけれども、大変なところからの再スタートであることは事実でございまして、それを支えるために、いわゆる被災地を中心とした部分に対していろいろな形で制度設計をし、財政支援をし、今回の補正予算を含めて新しい制度設計で取り組むということで最大の手当てをいたしております。
 一方で、全国に関して防災機能を強化するという部分で、個人住民税を引き上げて負担していただく中で全国の底上げをするという部分で、現実には被災地も含めて御負担いただくことは、これは復興基本方針にもありますように、国家的な危機である東日本大震災を乗り越えて復興を実現し、現在及び将来の国民が安心して豊かな生活を営むことができる経済社会を構築するために必要な事業であり、被災地の復興にもつながるものでございまして、また、その集まった部分をどういうふうに使うか、さっき、午前中の議論にもありましたけれども、そういうことを含めて、これは被災地の復興にも当然つながる事業でもございますので、そういう部分での御負担を、御協力をお願いしているところでございます。

○稲見委員 お答えいたします。
 今大臣からもありましたように、この均等割の引き上げにより財源を確保して地方団体が実施する防災施策は、国家的な危機である東日本大震災を乗り越えて復興を実現し、現在及び将来の国民が安心して豊かな生活を営むことができる経済社会を構築するために必要な事業であり、被災地の復興にもつながると考えております。
 また、先ほどもお答えをいたしましたように、極めて所得の低い方々には課税をされないための、そういう仕組みがございます。
 また、地方税法の三百二十三条の規定によりまして、天災その他特別の事情がある場合においては均等割を減免することができるとされておりまして、個々の被災者の状況に応じて減免することも可能になっております。その場合、特定被災公共団体に指定をされれば、この減収分につきましては特別交付税で措置をされる、こういうふうなことでございまして、ぜひ御理解をいただきたいと思います。

○塩川委員 そもそも、マイナスからのスタートとなる被災者に対して負担増を強いることが、本当の意味で被災地の復興になるのかということを聞いているんですよ。結果として、集めた財源で必要な措置をとるということ自身は、全国防災を含めて、それはその地域、被災地における復興になるでしょう。しかし、そもそも、マイナスからのスタートの被災者に対して負担増を押しつけるということ自身が、かえって被災者の暮らしの再建の足を引っ張る、そういう措置につながるようなことを国が行うのでいいのかということを聞いているんですよ。
 大臣、もう一度お答えください。

○川端国務大臣 いろいろな低所得者への対応、それから減免措置を講ずることができて、その部分は被災県等々においては財政措置を講ずることができるということで、ここは地方自治体の御判断に任せることでありますけれども、そういう意味で、トータルとして復興に資する部分でいろいろなお金が要る部分を国民全体で、広く薄くでありますけれども御負担をいただくという趣旨の部分では、被災県においてはそういう事情があるから減免したりすることをある種のバックアップ機能として持つ中でやらせていただく制度でありますので、ぜひとも御理解をいただきたいと思っております。

○塩川委員 理解できません。
 いや、そうはいっても、被災者の皆さんの状況を踏まえて、個別減免とかもできます、課税免除の仕組みなどもありますということですけれども、個別減免をした場合には、その被災自治体が税収が減る、減収になります。均等割を引き上げたということを考えたときに、被災者に対して個別減免をした場合には、その自治体の減収分は、今言ったように、特交で措置されるということでいいんでしょうか。

○稲見委員 先ほど申し上げましたように、特定被災公共団体に指定をされておれば、特別交付税で措置をされるというふうに理解をしております。そして、この特定被災公共団体は被災地ということではほぼ網羅をされておりますので、そこで個別減免によって、先ほど申し上げました地方税法第三百二十三条の規定により減免をした場合は減収補てんをされる、こういうふうに理解をいたしております。

○塩川委員 その特交というのは、きょう議論もしています震災復興特別交付税ということなんでしょうか。

○稲見委員 これまでもそういう措置がありましたので、その場合は一般の特別交付税ということになります。
 今回の場合は、復興特別交付税という形でそれを上積んでおりますので、そのことで措置がされる、こういうふうに理解しております。

○塩川委員 きょうの法案審議で、震災復興特別交付税というのは二十三年度そして二十四年度という措置であります。個人住民税の均等割の引き上げは平成二十六年六月からですから、そういったときも、では震災復興特別交付税が継続されているということになるんでしょうか。
 政府の方、大臣に確認します。

○川端国務大臣 かなり技術的な問題ですが、均等割を一切引き上げないことにするということをしますと、これに関しては、それは歳入をみずから放棄したということでありますから、このことに関しては、標準税率との差額を実質的な減収というふうには考えませんので、今の制度で地方財政措置は想定されていません。
 ただ、個人住民税の引き上げはするけれども、一定の条件、今、低所得者に関してはありますけれども、それをもう少し条件を変えて減免するという措置をされた部分においては、歳入の欠陥ということにおいての財政措置を講ずるという仕組みはありますので、これで手当てをすることになります。

○塩川委員 二つのことについてお答えいただいたわけですけれども、一つは、個人住民税の均等割を引き上げないという措置を自主的判断でとった、その分はそもそも歳入として見込まれないわけだから、そこの部分については減収でもないわけだから、何らの地方財政措置もないよと。ですから、被災自治体が自主的な判断で、被災者の皆さんに負担増をかけるのは申しわけない、こう思って、個人住民税の均等割は標準税率の引き上げを行わないと決めた場合については、何らの穴埋めの措置もないということなんですよ。これを見ても、被災者の皆さんに被災自治体が寄り添った対応をとるのを困難にするということを政府としてプログラムしているということになります。
 もう一点、個別減免の話でありますけれども、その点ではもう一つ確認をしたいんですが、交付税措置の話があったわけですけれども、先ほど言いましたように、個人住民税の均等割の引き上げが実際に出てくるのは二十六年以降ですから、そのときに震災復興特別交付税があるのかどうか。もし、ないということであれば、どういう交付税措置を行うことになっているのか。
 この点について、もう一度お答えいただけますか。

○川端国務大臣 集中期間の部分は制度的にはっきりしているわけですけれども、それが切れる部分においては、今までの流れを含めながら判断をしていくものだというふうに思っております。

○塩川委員 集中期間というのは、何年という意味なんですか。

○川端国務大臣 集中期間の間は五年でありますので、この部分は、この部分をしっかりやっていきたいというふうに思っているということでございます。

○塩川委員 それは、どこにどういうふうにやるという、五年間は震災復興特別交付税で被災自治体における税の減収分は穴埋めしますということは、どこにはっきりとうたわれているんですか。

○川端国務大臣 これは、現在そういう方向でやりたいということで、法律的に担保されているものではありません。

○塩川委員 要するに、予算措置ですから、年度ごとで更新するということですから、今の時点での何らの担保はない。
 もちろんそういう方向でやってもらいたいと思っていますけれども、政府全体として決まっている方針ではありませんから、そういう点でも、この個人住民税の均等割の引き上げが行われたときに、その時点でも被災者の方々が困難な暮らしをしているときに、個別の減免を行おうとしたときには震災復興特別交付税が使えるとは言えないというのが今の時点であるわけで、そうなると、結果として、負担軽減の措置を被災自治体として行うことをちゅうちょせざるを得ないような状況になってくるということになるんじゃありませんか。重ねてお尋ねします。

○川端国務大臣 それぞれの自治体の状況、そしていろいろな復興事業を含めた、財政状況を含めて、トータルとして、この制度、仕組み含めて、自治体で御判断をいただくことになるというふうには思います。

○塩川委員 いや、被災自治体に丸投げするような話じゃないということであります。
 被災者の暮らしを再建してこそ、地域の再建、この東日本大震災からの東北地域の再建にもつながるわけで、それ自身が日本の再建になるんだという方針でやっているときに、肝心の被災者の方への負担増についてまともな地方財政措置が行われないという点では、被災自治体を支援することにはならないし、逆に被災者の生活再建の足を引っ張るものにしかならないということを申し上げておかなければなりません。
 私は、財源を確保するということであれば、この間引き下げられてきた大企業や大資産家の課税こそ見直して、復興財源に充てるべきだということを申し上げたい。
 個人住民税というのであれば、所得割とか均等割とかに加えて、配当割、株式等譲渡所得割もあるわけであります。いわゆる証券税制については、証券優遇税制によって、国税、地方税合わせて、本則二〇%の税率が一〇%になっています。地方分を見ると、本則五%が三%に引き下げられております。
 そこで、総務省にお尋ねをいたしますが、個人住民税の配当割、株式等譲渡所得割、税率を本則に戻すとどのぐらいの増収が見込めるとお考えでしょうか。

○福田大臣政務官 お答えをいたします。
 上場株式等の配当、譲渡益に係る軽減税率三%を本則税率五%に戻した場合、過去五年間の平均をもとに試算をすれば、毎年約一千億円程度の増収と見込まれます。

○塩川委員 年間一千億円の増収が見込まれるということであります。
 ですから、個人住民税の均等割も十年間ですけれども、個人住民税の退職所得一〇%税額控除の廃止分も含めて、十年間では〇・八兆円ということに対して、この証券優遇税制、地方分だけをとっても十年間では一兆円ということでありますから、おつりが来るということであります。
 総務省に重ねてお尋ねしますが、上場株式等の配当・譲渡所得等に係る軽減税率、証券優遇税制については、本則に戻すのはいつということになっているんでしょうか。

○福田大臣政務官 お答えをいたします。
 上場株式等の配当・譲渡所得等に係る一〇%軽減税率については、現下の厳しい経済状況にかんがみて、景気回復に万全を期すため、二年延長することとしているところであります。一〇%軽減税率は、公平性や金融商品間の中立性の観点から、本則税率とすべきものと認識しており、経済金融情勢が急変しない限り、本則税率化を平成二十六年の一月から確実に実施することとし、その旨を平成二十三年度税制改正大綱に明記しているところであります。

○塩川委員 今お話しいただきましたように、平成二十六年一月からは本則に戻す。平成二十六年一月以降、年間一千億円の増収が見込まれるということなんですよ。
 今議論をしてきました個人住民税の均等割の引き上げというのは、平成二十六年の六月から十年間ですよね。ということを考えると、ほとんど同じ時期でもありますから、こういう証券優遇税制の税率をもとに戻すことによる増収を充てれば、そもそも低所得者にも広く負担を強いることになる均等割の引き上げを行う必要はないと考えますが、大臣、いかがでしょう。証券優遇税制を本則に戻すことによる増収分を財源に充てようということは考えたことがないということなんですか。

○川端国務大臣 先ほどもお話がありましたように、この税制は、経済状況を含め、いろいろな市場動向を含めて、さまざまな議論の中で一定の方向をつけているものでございますが、今回の震災復興に関する諸財源については、国民に幅広くこの未曾有の状況に対応して御負担もお願いする中で、総力を挙げて復興をやっていこうという観点でございますので、我々としては、意見は異にするのかもしれませんが、できるだけ幅広く薄くという観点でありますので、対象とすることにはしないこととしたところでございます。

○塩川委員 いや、その考え方が間違っているということを申し上げてきたわけであります。
 この証券優遇税制の廃止の議論というのは、政府税調でもこの間行われてきたわけであります。昨年でも、総務省の皆さんも、逢坂大臣政務官も行かれて、当然議論をされてこられた。一〇%引き上げて本則に戻せば一千億増収ですということも言ってきたわけであります。
 要は、なぜそういう議論になってくるかというと、所得税の税率というのが非常に公平性に欠けるということがあるわけであります。ですから、所得ごとに所得税の税率のグラフを出すと、だんだん所得がふえるにつれて上がってくるわけですけれども、一億円ぐらいをピークとして、その先下がるわけですよ。つまり、所得が大きくなればなるほど所得税率が下がるんです。
 それというのは、この証券優遇税制が分離をされていて、それに対して、本則二割のところを一割という課税となっているから、結果として、高額所得者ほど、つまり金融資産をたくさん持っている人ほど所得税率が下がるんですよ。これは公平性に欠けるじゃないかということで、少なくともこの本則二〇%に戻すべきじゃないかという議論があるわけであります。
 手当てをするのであれば、これこそ行うべきだ。こういう措置こそ行って、しっかりとした地域の復興のために充てていく。こういう措置こそ行うべきということを申し上げ、低所得者に増税を押しつけるのではなく、大企業、大資産家減税こそ見直して、復興財源に充てるということを強く求めておくものであります。
 次に、残りの時間で、原発事故関連で質問をいたします。
 今、首都圏の自治体から、ストロンチウムの測定を求める要望が出ております。この間、セシウムの放射線量の調査などが随分行われ、それだけではなくて、今、プルトニウムですとかストロンチウム、非常に毒性の強いこういった放射性物質についての調査を求める声が広がっております。
 文部科学省が九月三十日に、福島第一原発百キロ圏内のプルトニウム、ストロンチウムの土壌分析結果を発表しました。ストロンチウムは骨に沈着しやすい特性を持ちますし、白血病などの懸念があるわけであります。
 そこで、埼玉県の国への要望書を見ますと、その中にこのようにあります。文部科学省が六月から七月にかけて、福島原発から百キロ圏内の土壌中のストロンチウム調査を実施し、放射性セシウムに比べ極めて低い数値であることが発表されたが、九月に二百五十キロ離れた横浜市内の堆積物からストロンチウムが検出されている、土壌中のストロンチウムについて調査範囲を福島第一原発から百キロ圏外に拡大すること、こういう要望であります。
 そこで、文部科学省、神本大臣政務官にお越しいただきました。こういった、ストロンチウムについての調査を広くやってくれという要望がどういう自治体から寄せられているのかについて、お答えをいただけますか。

○神本大臣政務官 お答えいたします。
 文部科学省におきましては、地方自治体及び地方議会からの要望としまして、発生からこれまでの間に、千葉県袖ケ浦市議会と福島県浪江町から、ストロンチウム調査についての要望書を受け取っているところでございます。

○塩川委員 首都圏の袖ケ浦の議会と、また原発立地地域の浪江町ということでした。
 私も埼玉から要望を受け取ったんですが、まだ文部科学省まで届いていないようです。今申し上げましたから、受けとめていただいたと思いますけれども、横浜市などからもそういう要望が出されております。
 この間、航空機による放射性セシウムの空間線量の調査が行われ、放射能汚染が広範囲に及んでいることが明らかとなりましたけれども、一方で、人体に悪影響を与えるプルトニウムやストロンチウムによる土壌汚染の測定は十分に行われているものではありません。そういう点でも、空間線量は空間線量でしっかり調べるんだけれども、土壌分析もやってもらいたいというのが自治体の声であり、住民の皆さんの声であります。
 ぜひ、政府として、文部科学省として、ストロンチウムに着目をしたしっかりとした土壌分析の調査、測定を行う必要があると考えますが、どのように対応されるお考えか、お尋ねをいたします。

○神本大臣政務官 お尋ねの件でございますが、文部科学省としましては、第三次補正予算におきまして、この原発事故に伴う放射性物質の分布状況等を調査するために必要な経費を計上しているところでございます。その中で、放射性ストロンチウムに関する追加調査を実施する予定でございます。
 具体的には、文科省に設置されております放射線量等分布マップの作成等に係る検討会がございますが、その検討会で、専門家の御意見を伺いつつ、今後の調査について調査範囲を拡大することも検討してございます。
 以上です。

○塩川委員 三次補正での予算措置を行い、今、検討会で検討中ということでしたけれども、その検討会の場において、文科省が事務方として出席をし、モニタリング班の方のお話を伺っても、これは文部科学省として今現在どんな調査をやろうとしているのか、どういう調査が必要かという提案をしているのかについてお答えをいただけますか。

○神本大臣政務官 現在進められている放射性ストロンチウムの追加調査について、その方向性についてでございますけれども、一つには、一次調査、先ほど先生お触れになりました九月三十日に発表したものでございますが、そこで核種分析をしていない福島第一原子力発電所から八十キロ―百キロ圏内の土壌試料の調査、それからもう一つは、新たに百キロ圏外で採取する土壌試料、それからもう一つは、第一次調査において放射性セシウムの沈着量に対する放射性ストロンチウムの沈着量の比率が高い箇所の周辺で採取された土壌試料等、こういったことを今後追加調査の方向性の案としてお示しして、検討会で今検討していただいているところでございます。
 以上です。

○塩川委員 確認ですけれども、今回新たに百キロ圏外で採取する土壌について、プルトニウム、ストロンチウムの分析を実施する。その百キロ圏外について採取をした土壌は、百五十試料ぐらいをサンプリングして、そのうち七十五試料を選んでプルトニウム、ストロンチウムの分析にかけるという提案をされたと承知をしておりますが、それでよろしいでしょうか。

○神本大臣政務官 ストロンチウムが百試料程度で、プルトニウムが五十試料程度でございます。

○塩川委員 その百試料をどこからとるのかということなんです。
 百キロ圏外という場合についても、広範囲に及ぶわけであります。一部の声としては、空間線量が年間一ミリシーベルト以上の地域に対応する形で土壌分析のための土壌の採取を行うというふうに聞いていますけれども、そういうことなのか。
 私は、年間一ミリシーベルトということに限らず、それ以外のところでもストロンチウムについてのしっかりとした調査を行う必要がある。この間でも、セシウムとストロンチウムの分布について、必ずしも相関関係があるとは言えないと言われてきたわけですから、年間一ミリシーベルトの空間線量の地域に限った土壌採取調査ではなくて、広く分析を行うべきだと考えますけれども、その点についての文科省のお考えをお聞かせください。

○神本大臣政務官 先ほどの繰り返しになりますけれども、具体的には、専門家の検討会議を今行っているところでございますので、その御意見を伺いつつ、今後の調査についてはやっていく予定でございます。

○塩川委員 例えば、私の住まいのある埼玉で見ても、東部の方の三郷、吉川などで年間一ミリシーベルトを超える。一方で、秩父の方でも年間一ミリシーベルトを超える。真ん中あたりはそんなに高くないねというふうに一般的に思われているんだけれども、本当にそうなのかという懸念があるわけであります。そういう地域も含めてストロンチウムの土壌分析をしっかり行うことによって、それを広く国民に明らかにすることを通じて政府の施策にも生かしていく、こういうことこそ必要だ。私の住んでいる所沢などでも、そういう懸念を持つ方のお話も伺っているところであります。
 空間線量と土壌汚染については必ずしも一致しないわけで、先ほど申し上げましたような年間一ミリシーベルトの地域に限定しない測定を行うべきということを重ねて要請し、さらに、海水中のストロンチウムの調査、何よりも徹底した除染を行うということで、負担は東電にしっかり求めていく、国が責任を持った対応、このことを重ねて申し上げて、質問を終わります。