<第180通常国会 2012年02月03日 総務委員会 1号>



○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 きょうは、被災者支援に関連して質問をいたします。
 雇用促進住宅への避難者に対する支援策についてお聞きします。牧厚労副大臣に御出席いただいております。
 最初にお尋ねしますけれども、雇用促進住宅への被災者の入居戸数と入居者数はどうなっているのか。この点。
 あわせて、仮設住宅の場合には、災害救助法に基づく必要最低限の設備とされている給湯器やエアコン、照明器具、ガスコンロ、カーテンという五点セット、これは設置をされているわけですけれども、雇用促進住宅に入居するに当たって、設置されている設備はこの大震災においてはどうなっていたのか。この点について、あわせてお答えください。

○牧副大臣 お答え申し上げます。
 まず、第一点目についてでありますけれども、昨年の年末、十二月三十一日現在の数で申し上げると、入居戸数でいうと五千六十八戸、人数で一万五千百九十二名の方が雇用促進住宅に現在避難をしておられるということであります。
 二点目の御質問でありますけれども、災害救助法の適用で雇用促進住宅を使っていただければ、プレハブの仮設住宅同様の扱いになるというふうに御認識をいただければいいと思います。都道府県が実施主体でありますから、都道府県がこれを実施していただいて、借り上げるという形をとっていただければ、国庫において、災害救助法の適用という形になりますので、いわゆる応急仮設住宅と同様の設備を整えることがそのことによってできるというふうに私どもは認識をいたしております。

○塩川委員 災害救助法の適用となる応急仮設住宅の扱いとなれば、当然必要な設備は設置をされるということですけれども、現状はどうなっているのか。
 例えば、先月、一月十七日付の読売新聞の栃木版におきまして、「避難者 給湯器のない冬」という記事が出ております。
 これは栃木県内の佐野市にあります雇用促進住宅の事例を挙げているわけですが、そこに福島からの被災者の方が入っておられます。しかし、この雇用促進住宅には給湯器が設置をされない。本来、仮設住宅であれば、当然のことながら給湯器は設置をされているわけですけれども、雇用促進住宅には設置をされておりません。ですから、入居者、被災者の方が、とても寒くてこのままではいられないということで、自前で設置をされているような状況が生まれているという報道の記事であります。何でこんなことになっているんでしょうか。

○牧副大臣 御指摘のとおりだと思います。
 端的に申し上げれば、各被災県からの災害救助法適用の借り上げという手続をとっていただく、その手続が、恐らく人員の不足等々いろいろな事情もあるんでしょうけれども、そこが適切に進んでいないということだと思います。
 ただ、御希望をお聞きしながら、給湯器の設置についても順次進めているところでありますので、御理解をいただきたいと思います。
 民間の借り上げですとか、あるいは公営住宅を借り上げて、一義的に、まず御本人が借り上げたところも、後で追跡調査をしてもう一度それを県が契約し直すというようなことで、さかのぼって契約したり、なかなかいろいろ煩雑な作業の中で、この雇用促進住宅というのは無償で提供しておりますから、恐らくその契約がどうしても後回しになっているんじゃないかな、そんなことも想像されているわけでございます。

○塩川委員 そもそも、雇用促進住宅というのは、応急仮設住宅の扱いになっているものはあるんですか。

○牧副大臣 今現在、まだなっていないと思います。

○塩川委員 五千戸以上、一万五千人以上の被災者の方が入居をしている雇用促進住宅、もちろん、無償で提供するという点で積極的な役割を果たしているわけですけれども、これが現時点で一つも仮設住宅扱いになっておりません。ですから、そのために、必要な備品などが設置をされないような状況が生まれている。ここに、被災者に大きな差が生まれるような支援の違いが出てくる。同じような被災に置かれている避難者の方々が、入っている施設によって支援の内容が異なってしまう、こんなことはあってはならない。これこそやはり改善すべき中身であります。
 これについてどう改めるのか、この点について厚生労働省としてお答えいただきたいと思いますし、あわせて川端大臣にも、やはり地方の立場から見てもいろいろ煩雑な仕組みの救助法の運営もあります。こういう点についても改善が求められているんじゃないのか。やはり被災者が入っている施設によって支援の内容が異なるのはおかしい、これをしっかりと是正する、こういう立場で当たっていただきたいと思います。それぞれお答えいただければと思います。

○牧副大臣 おっしゃるとおりだと思います。一日も早く災害救助法の適用の形をとらせていただいて、分け隔てのない援助をさせていただきたい。そのことに向けて、各県においても一日も早く速やかに手続をとっていただけるようにお願いをいたしているところであります。

○川端国務大臣 背景、経緯は、もう先ほど御議論で御承知のとおりだと思います。
 対応が被災者の間で差が出ることは好ましいこととは思っておりません。そういう意味で、関係府省とそれから関係地方公共団体が緊密に連携をとって、こういうことがないように取り組んでいくことが大変大事だというふうに認識をいたしております。

○塩川委員 自治体の方にお聞きしますと、雇用促進住宅とかあるいはURは要するに国がやっているんだから、国の方でもしっかり対応してくださいよと。ですから、救助法に基づく仮設住宅は自治体の方でやるけれども、もともと雇用促進住宅、UR、国が関与してきた経緯がありますから、それはもう国の方でお願いしたいという要望があるというのが、こういう仮設住宅扱いになっていない背景なんだ。ここをしっかりと踏まえた対応を考える必要がある。ですから、自治体にお願いします、お願いしますというんじゃなくて、現時点でも応急仮設住宅扱いと同等の対応を雇用促進住宅で行うこと、このことが求められている。
 そういう点でも、実際にエアコンとか給湯器をもう自前で買ってしまった人というのは出ているわけですね。そういったものについては、その費用についてやはり戻す、そういった措置もあわせて行う必要があるんじゃありませんか。この点、厚労省、どうでしょうか。

○牧副大臣 まず一点目、国がどのみちやっていることだから同じじゃないかと。確かにそうかもしれませんけれども、これは、あくまでも災害救助法の勘定でこれをやるわけで、したがって、被災者の生活に差があってはいけない、当然そういうことでありますから、その差を今埋めつつある中で、これは後でさかのぼって県から請求していただければいいわけですから、速やかに今給湯器の設備も進めているところであります。
 そしてもう一つは、後からキャッシュバックというお話もありますけれども、これは、あくまでも一時、応急避難的な災害救助の趣旨からして、この趣旨からやや逸脱しているんじゃないかな。あくまでも原資は国民の税金でありますから、やはりその辺は厳格に災害救助法の趣旨を守っていくということ、そしてまた、応急仮設住宅との、これもさかのぼってのキャッシュバックというのはありませんから、その辺との不平等があってもいけないという観点で施策を進めていきたいと思っております。

○塩川委員 地方に負担を押しつけるような話ではなくて、国がしっかりと被災者に対する同等の支援を行うんだ、この立場で臨むべきだということと、被災者の方には何の瑕疵もないわけですね。要するに、たまたま雇用促進住宅に入る、迫られて入ったがゆえに、結果としてエアコンや給湯器も自腹で払わなくちゃいけなかったということを見過ごしていいのかという問題なんですよ。そういうことについて真剣に考える、このことこそ必要なんじゃないですか。改めてお答えください。

○牧副大臣 全くそのとおりだと思いますから、そのとおり進めているという認識であります。ただ、時間のギャップは多少あったかもしれませんけれども、今、給湯器についても鋭意進めているということに間違いはないと思います。最終的に、これは災害救助法に基づいて国がそれを支出するということも間違いのないことであります。
 ただ、御本人が御自身でつけたものについて、後でキャッシュバックということは、あくまでも原資が税金である以上、我々はそこは厳格に守っていくべきだと考えております。

○塩川委員 国や自治体の対応がまずいがゆえに、結果として被災者が自費で払わなくちゃいけなかったという経緯となれば、これに対して何らかの手当てをとるというのは当然のことだ。これはやはり国を挙げて考えていただきたい、このことを強く申し上げておくものであります。
 あと、もう一点お聞きしたいのが避難者数の把握の点ですけれども、これは昨年のこの委員会でもお尋ねしました。被災三県の避難者数の正確な把握がなされましたけれども、被災三県以外にも避難者の方々がいる、その点で、首都圏でも液状化や宅地の地盤被害の方々の避難者という点では、茨城、栃木、千葉、埼玉でのそれぞれの自県民の避難者数について質問をしたところ、復興本部として確認するという御答弁でありました。
 この点について、今の四県の避難者数の把握についてお答えいただけるでしょうか。

○郡大臣政務官 塩川先生の昨年の御質問がございまして、お尋ねのございました四県のそれぞれにおいて、当該県民のうちの県内に避難している人たちの数を調査させていただきました。
 茨城県が千八百五十人、そして栃木県が三百三十九人、千葉県が六百五十人、埼玉県においては該当する方はいらっしゃらなかったということでございます。

○塩川委員 首都圏の住民の方にも多数の避難者がいるということも改めてわかりました。
 重ねてお聞きしますが、この避難者の方には雇用促進住宅への入居者の方は含まれているんでしょうか。

○郡大臣政務官 各県、各市町村に確認をさせていただきましたところ、お尋ねの四県につきましては、当該県民のうち県内に避難などしている方ですけれども、茨城県、栃木県、千葉県については、雇用促進住宅への入居者数、これは含まれていないということでございます。

○塩川委員 それはおかしいんですよね。茨城県は、例えば北茨城市にたくさんの雇用促進住宅があります。そこに避難者の方が入居しておられます。その数が、今言った茨城の千八百五十人に入っていないということになるんですよ。
 これは、今の雇用促進住宅の人数の把握というのが、災害救助法に基づく応急仮設住宅の入居者に入っていないために、結果として漏れてしまっている、集約の対象の外になってしまっている、こういう状況が生まれているんですよね。こういうところもしっかり改善する必要があるんだ。
 もちろん、救助法に基づく応急仮設住宅の入居者は、これはお金の出入りがありますから、国としてもしっかり把握するようになって、三十数万という数になっているわけですけれども、雇用促進住宅は応急仮設住宅扱いになっていないがために避難者としてのカウントからも漏れてしまいかねない、こういう事態にもなっているわけで、この点での改善も必要であります。
 最後に大臣にお尋ねしますけれども、今言った、こういった雇用促進住宅に入居された方々が、支援策でも同等な扱いがされない、避難者数としてもカウントがされない、こんなことじゃまずいじゃないのか、こういうことをぜひ改善方お願いしたい。
 あわせて、埼玉県の避難者ゼロというお話もありましたが、例えば久喜市では、液状化被害がありまして、全壊の方が十一戸、大規模半壊四十一戸なんです。久喜市としては、避難をされている方に家賃補助の制度も実施をしているんですよ。それなのに、避難者の数がカウントされていないのもおかしいなと。この点についてもぜひ把握方お願いしたいのと、私は前にも申し上げましたけれども、取り崩し型復興基金については、この埼玉県も避難者、被災者の方はいるんですから、しっかりとつくるような対応も必要じゃないのか。
 以上二点について、大臣にお答えいただきたいと思います。

○川端国務大臣 久喜市が、いわゆる特定被災区域で、いろいろな被害を受けられたことは承知をいたしておりますし、それぞれ、県も含めてどう対応するかということは、いろいろきめ細かくやっていただいているというふうに思っております。
 今お話しの基金の問題は、東日本大震災財特法に定める特定被災地方公共団体という指定をいたしましたので、埼玉県はそういう指定の区域でないという制度上の問題で、対象になりませんでした。
 ただ、これは特別交付税において基金をつくったわけでございますので、あくまでも特別交付税の使い道の一つの手法としてやらせていただいたということでございます。
 それ以外にも、震災も含めてでございますが、いろいろな部分で、個別の震災の復旧復興事業について、毎年度、丁寧に特別交付税措置を講じていくのが基本だというふうに思っておりますので、それぞれの各団体の復旧復興事業の実情について、引き続き十分にお話をお伺いしながら、適切に対処してまいりたいと思っております。
 雇用促進の入居者の部分は、これは先ほど来厚労省と御議論がありましたように、制度上でいいますと、県がそれを指定して借り上げれば全てすっといくんですが、いろいろな事情を含めて、そうなっていない。
 もう一つは、私の所管ではありませんが、雇用促進住宅の運営は家賃収入による独立採算ということで、国庫が入っていない仕組みの中で、協力していろいろエアコンをつけたりしていただいているという経緯であります。借り上げをしていただくと一気に進むので、そこにどういう隘路があるのか、これはよくお話を伺いながら対応するべきではないかというふうに思っております。

○塩川委員 終わります。