<第180通常国会 2012年02月29日 予算委員会 18号>



○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 きょうは、最初に、液状化被害に対する被災者支援策について質問をいたします。
 先週の金曜日、二月の二十四日、千葉の地方公聴会に参加させていただきました。四人の意見公述人の方から貴重な御意見をいただき、その中で、この千葉県の液状化被害というのは改めて大きなものということを実感したところであります。その地方公聴会での御意見を踏まえて質問をする予定です。
 松崎秀樹浦安市長は、浦安市域の八六%が液状化被害だった、半数以上の世帯が被災をした、このように述べておられ、宇井成一香取市長は、三千五百ヘクタールの地域がすり鉢状にどんと四十センチ落ちている、横軸でも最大三メートル動いている、民地の境界の確定の問題などが出てくるんだという、広範囲での液状化被害を訴えておられました。
 そういう中で、特に液状化被害の被災者の実情が浮き彫りとなりました。一つは、健康被害の問題であります。
 住宅の傾きによる被災者の健康被害がいまだに続いております。松崎浦安市長は、居住者には健康被害が生じて、今なお苦しんでいる方もいる、半壊以上の被害が約三千六百棟だが、この半壊基準の傾斜が百分の一、角度でいうと〇・五七度でも、苦痛を感じるというのが実態だと。宇井香取市長さんは、家全体の傾きがわずかであっても、中にいると平衡感覚がおかしくなり、吐き気や目まいがするといった形で、家に住めなくなったという方がたくさんいる、このように訴えておられました。
 そこで、平野復興大臣に、こういった液状化被害、家の傾きによる健康被害の問題は深刻だ、こういう点についての御認識について一言お尋ねしたいと思います。

○平野(達)国務大臣 液状化による家屋等の被害、こういうことに対しての対策については国交省等を中心に取り組んでまいりましたけれども、その中にいることによる精神的な被害ということだと思いますが、そのことについては、大変申しわけございませんけれども、今の段階で、私の方できちっと調べてきたということはございません。
 ただ、そういうことがあるということについては、今委員から御指摘ございましたので、しっかり調べるべきだということであれば、それを踏まえて対策をとりたいというふうに思います。

○塩川委員 ぜひ調べていただきたい。
 これはもともと、被災者の被害認定に当たりまして、その基準を昨年五月二日に改めました。それは、家屋の傾きについてよりきちんと見るということで、その理由というのが健康被害の問題だったわけですね。実際に、傾いた家に住み続けるということが健康被害をもたらすんだ、こういうことがそもそも被害認定の基準の見直しだったわけですから、そういう点でも、実情がどうなっているのかについて改めて調べていただきたい。これは要請しておくものであります。傾いた家のままでは健康被害が解消されません。
 もう一つ、お話を聞いていてそのとおりだと思いましたのが、自宅復旧の経済的負担が大きいという問題であります。宇井香取市長さんは、修繕には建てかえに近い額がかかるというお話をされておられました。また、液状化問題の専門家の石原研而中央大学研究開発機構教授も、液状化被害対策に一世帯当たり数百万円程度必要とすると述べておられました。
 液状化被害の場合には、三つの経費がかかるわけです。つまり、まず、地盤の改良、宅地の地盤の復旧のための経費がかかるということ、あと、家屋部分の復旧の費用、傾いた家をジャッキアップなどで直すという費用がかかるのと、家周りですね、塀とか外構などの経費、こういう三つの経費がかかるということで、液状化地盤の復旧費用というのは、工法によっていろいろ変わりますけれども、家屋の復旧や外構の復旧費などを加えるとやはり一千万円を超える。家を建てかえるに近い額がかかると言われております。
 こういう液状化被害に対して、復興交付金の液状化対策推進事業が創設をされたわけです。しかしながら、被災自治体の市長さんからは、使い勝手が悪いという厳しい批判のお言葉がありました。
 松崎浦安市長は、市街地液状化対策事業が基幹事業として示されたことは、本市の住宅地の液状化対策を進める上で評価できるとしながらも、事業化に向けては、宅地所有者の費用負担が大きく、関係権利者の合意形成の面で大きな課題があることも明らかになったと述べ、実現可能性の低い事業だ、個人負担を強いるのが数百万から五百万、六百万と超えていく額になってしまうが、これを新たに強いるということはとても私どもから言えないと。
 ここで例示しているこの金額というのは液状化地盤の復旧費用の部分だけですから、先ほど言ったように、その他に家屋とか外構の復旧費もかかるわけであります。
 そこで、平野大臣にお尋ねしますけれども、こういった被災者の方の負担についてどのように軽減を図っていくのか、この点について、いろいろな制度を活用した上での取り組み、こういうふうにやれば可能だという点についてお答えいただけないでしょうか。
    〔委員長退席、西村(智)委員長代理着席〕

○平野(達)国務大臣 まず、個々の家屋の倒壊あるいは被害等々につきましては、もう御案内のとおりに、被災者生活再建支援金の支給という制度がございます。そのほかに、この液状化対策ということにつきましては、今の災害復旧制度というのは、あくまでも公的な部分、例えば道路とかあるいは道路に係る附属施設、こういったものに対する復旧ということをやるという、その前提で仕組まれています。今回は、それをできるだけ拡大解釈して個々人の負担をできるだけ軽減するということで、国交省の方でもかなり検討を加えて制度を設計したということでございます。
 あと、この制度を使って、この制度以外には、例えば家屋の再建等々については融資制度等々もございますし、こういったものを総合的に使っていただきながら復旧に努めていただければありがたいというふうに思います。

○塩川委員 踏み込んだ措置が必要だと考えます。
 今、被災者生活再建支援金や融資制度のお話がありましたけれども、とてもそれで対応できるわけではない。三つの費用負担を考えれば一千万円を超えるという中で、これではもう限りがあるのは明らかであります。
 松崎浦安市長は、負担額は高く見積もっても百万円だと述べておられました。そうでなければ液状化対策推進事業が絵に描いた餅になると述べておられたわけであります。
 政府は、復興交付金、自由度の高い交付金と言っております。そういう点では、どのように活用すれば市長が述べているような個人負担が百万円以内になる、そういうものになっていくのか、この点でぜひ知恵を出していただきたいんですが、例えば効果促進事業というのはきちんと使えないんでしょうか。あるいは、取り崩し型の復興基金とか災害救助法の住宅応急修理などについても、これを柔軟に活用して費用負担の軽減のために充てるとか、こういう取り組みで、合わせわざで、この負担軽減策というのはもっと国として知恵を出して、提案もしていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

○平野(達)国務大臣 まず今の、復興交付金の中の効果促進事業という部分につきましては、個人の財産に係るさまざまな助成というものは、これは原則やらないということで考えております。
 それから、先ほどのお話の中に、個人として百万円が限度だというお話がございましたけれども、それは少なければ少ない方がいいということになりますが、先ほど申しました被災者生活再建支援金の支給につきましては、最大三百万、そういうお金が出ております。あと、さまざまな、液状化につきましては、繰り返しになって恐縮ですけれども、できるだけ個人の負担にならないように、その制度の適用の範囲を広げております。それから、先ほど申し上げた融資制度等、こういったものを活用していただくということで、百万ということにつきましては、それが限度額かどうかということについては、個々の状況によってやはり若干異なってくるのではないかというふうに思います。

○塩川委員 効果促進事業について、個人の財産に係る助成はやらない、そこがそもそも問題だという声がたくさん上がっているわけですよ。そういう枠をはめるために、被災者の復興、被災者の生活再建ができないのでは、そもそも制度そのものの意味がないということであります。ここのところこそ見直すべきだ。
 この液状化対策推進事業について見ても、公共について液状化対策を行う、その際に、当然、接する民地部分も液状化対策をやらなければ、公共部分の液状化対策も意味をなしませんねという趣旨で行われるわけですよね。ですから、所有者について一部の負担を求めるけれども、公共の部分と民地の部分と一体的にやるというのがこの事業であるわけです。もし、個人負担が大きいためにこういった事業に手を挙げられないような被災者が多ければ、公共部分の液状化対策も進まないという結果になるんじゃありませんか。
 そういう点でも、個人負担をいかに軽減するかというのは、この事業そのものを成り立たせる、公共の液状化対策をきちんと進めていく、その一番のポイントになると思うんですが、この立場で負担軽減策、改めて考えるべきじゃありませんか。

○平野(達)国務大臣 いずれ、今の制度をさまざまな観点で運用することで、例えば今の事業の適用の範囲をどこまで拡大できるか、これはその地域その地域の計画によって変わってくると思います。そういったところにつきまして、我々の方も知恵を出していきたいと思いますし、また、現場の方も知恵を出していただくということで、できるだけ個人の負担が過重なものにならないように、このことについては最大限努力をしなければならないというふうに思っております。
 その個々のケースの状況に応じて、ここの部分までは助成対象になる、事業の対象範囲になる、こういったもののやりとりというのは十分可能だというふうに思います。

○塩川委員 個人の負担が過重とならないようにする、そういう観点での取り組みをぜひ具体化を求めたいと思いますし、その点でも、効果促進事業の使い方について、より一歩踏み込んだ柔軟な対応が求められているということは重ねて申し上げておくものであります。
 それと、この液状化対策推進事業についてもう一つ指摘をしたいのが、所有者同意の問題があります。
 この点については、事業としては国土交通省で具体化されておりますので、前田大臣にお尋ねをいたしますが、事業を進めるに当たって、復興交付金の交付要綱では、液状化対策事業計画の区域内の宅地について所有権及び借地権を有する者のそれぞれ三分の二以上の同意が要件の一つとなっています。
 先ほども紹介しましたが、松崎浦安市長は、事業化に向けては、宅地所有者の費用負担が大きく、関係権利者の合意形成の面で大きな課題があることも明らかになったと、液状化被災宅地所有者の費用負担が合意形成にとって課題となっていることを指摘しておられます。
 そこでお尋ねしますが、この三分の二以上の同意というのは、個人負担をするということも含めた同意となっているのか、それとも違うのか、この点についてお尋ねいたします。

○前田国務大臣 お答えいたします。
 この液状化の対策事業でございますが、幾つかの、家そのものをちゃんと改修するという前に、まずは地盤改良というものが必要なわけでございますから、その地盤改良のみについて申しますと、大体、街区というものは、周りが公道、多分この場合、市道であったり町道であったりということで囲まれているわけでございますから、そこの地盤改良というのをやるわけでございます。
 そのときに宅地の部分までも、多分、工法的に言うと、かなりのところまでオーバーラップして地盤改良をやるということになりますので、もちろん三分の二以上の賛同ということが前提になっておりますし、ということは、やはり地盤改良をなさる場合には当然負担ということも生じてくるわけでございますが、事地盤改良ということについて言えば、かなりのところまで公共の方の事業と一体化してやれるのではないか、このように思っております。
    〔西村(智)委員長代理退席、委員長着席〕

○塩川委員 もう一回はっきりお聞きしたいんですけれども、個人負担ということを同意の要件としているのかということなんです。

○前田国務大臣 それは前提になっております。

○塩川委員 既に地盤改良しているような方もいらっしゃるんです。そういった方にさらに負担を求めるということを同意の前提とするということは実態にも合わなくなっているということも含めて、しっかりと制度が動くように対応を求めていきたいということであります。柔軟な対応を行うべきだということであります。公共工事の液状化対策と一体に宅地部分の液状化対策を進めるこの液状化対策推進事業については、先ほども言いましたように、宅地部分の液状化対策を進めることなしに公共の液状化対策も進まないわけですから、この被災者の個人負担の軽減のために知恵を出すべきだということを重ねて申し上げておきます。
 次に、こういう大震災などの復旧復興業務に係る国家公務員の超過勤務手当、その中でのサービス残業問題について質問をいたします。
 東日本大震災、原発事故に対して国を挙げての対策が求められております。予算額も大きくなり、執行する体制の強化も必要であります。被災自治体の体制強化とともに国の体制強化も重要となっております。復興業務に係る人員の増員そのものが必要なのに、現状は、定員削減の中で残業による長時間労働で対応しているのが実態です。その中で、超過勤務手当の不払い、いわゆるサービス残業があるのではないかという懸念があります。
 東日本大震災、原発事故があった二〇一一年三月以降、超過勤務手当が大きくふえております。配付しました資料の一枚目に、二〇一〇年度末で、各府省で予算の枠を超えたため、財務省と協議をし、流用で超過勤務手当を措置した府省の表となっております。さらに、下にありますように、今年度については、原子力安全・保安院が年度途中で既に流用に関する財務省協議を行い、流用が認められております。
 原子力安全・保安院の月別超過勤務手当支払い総額の推移、これはめくっていただいて二枚目ですけれども、二〇一〇年に比べて二〇一一年の超過勤務手当の支給が大きく上回っております。当月の超過勤務手当分は翌月に計上されますから、このグラフでは一カ月ずれて出てくるわけです。昨年三月の超過勤務手当は四月分として計上されるということで見ていただければ結構であります。
 前田大臣、平野大臣、ありがとうございました。済みません。
 復旧復興業務に従事してきた幾つもの官庁の一つに水産庁があります。水産庁は、東北地方を中心とした太平洋沿岸の漁港が壊滅的な被害を受けたのに際し、発災直後から、漁民や漁村の支援、インフラの一体的早期復旧、漁業、水産加工、流通の一体的な支援を行ってまいりました。当然この間、大震災復旧復興を初めとした多額の予算が計上されたわけであります。
 そこで鹿野農水大臣にお尋ねしますが、水産庁の昨年度の予算が幾らか、また今年度の予算、補正も含めまして幾らになったのかについてお答えいただけますでしょうか。

○鹿野国務大臣 平成二十二年度におきましては、水産庁関係の当初予算が千八百十九億円、補正予算が九十三億円、合計で千九百十六億円でございます。平成二十三年度におきましては、当初予算が二千二億円、一次補正が二千百五十三億円、二次補正が百九十八億円、三次補正が四千九百八十九億円、四次補正が二百十二億円、合計で九千五百五十四億円でございます。

○塩川委員 二十二年度、補正を足した額は千九百十二億円。

○中井委員長 補正が入ってないという話じゃないですか。(鹿野国務大臣「後で精査させていただきます」と呼ぶ)

○塩川委員 私がお聞きしていたのは、二十二年度は補正を含めて千九百十二億円に対して、二十三年度予算額の合計が九千五百五十四億円ですから、五倍に膨らんでいるわけであります。
 そこで、重ねて鹿野大臣にお尋ねしますが、水産庁の職員の定員というのは、二十二年度と二十三年度、それぞれ何人で、増減はどうでしょうか。

○鹿野国務大臣 水産庁の一般会計予算定員は、平成二十二年度末におきまして八百七十一人です。平成二十三年度末におきましては八百六十六人、マイナス五人、こういうことでございます。

○塩川委員 定員は減っております。つまり、一人当たりの仕事量がふえたことになるわけで、残業時間も当然ふえているんじゃないのかと推測されるわけであります。
 しかしながら、配付資料の三枚目、水産庁の月別超過勤務手当支払い総額の推移ですけれども、保安院と対照して見ていただくとよくわかると思いますが、確かに年度当初は前年度比で残業代は増加をしているわけですけれども、七月、八月で見ると前年度と同程度になり、九月以降は下回っております。
 先ほど確認しましたように、前年度に比べて予算の規模が五倍になっている。災害復旧の査定から、またさまざまな復興業務など支援を行うということであれば、多忙であることは当然推測をされるわけですけれども、残業代は年度後半には減っている。これから本格的に、おくれている復旧も進めるし復興もやろうというのに、残業代が減っているのは余りにも不可思議だと思うんですが、大臣はどのようにごらんになりましたか。

○鹿野国務大臣 今先生から、水産庁の月別の超過勤務手当の支払い総額について見せていただきましたが、平成二十三年の三月十一日に発生したところの大震災によりまして、水産関係、漁業関係に甚大な被害が発生しました。そして、震災発生直後から水産庁職員を総動員いたしまして、被災地の支援物資の供給、あるいは被害調査、あるいは一次補正予算の確保、その他いろいろな推進等の緊急対応が必要だったために、震災発生から平成二十三年五月までの超過勤務につきましては、平成二十二年に比べて大幅に増加した、こういうことでございます。
 六月以降でございますけれども、できる限り通常体制に戻しながら、効率的な業務執行というふうなものに意を注ぎながら、引き続き、被災地の水産業の復旧復興に対応してきたところでございます。
 さらに、八月以降でございますけれども、これらの取り組みによりまして、超過勤務が前年より減少した課も出始めたところでございますけれども、実は、この前年の、平成二十二年の八月から十二月までのころにおきましては、資源管理・漁業所得補償対策の、初めてそういうふうなものをつくりました。そういうことに対する対応、あるいは赤潮対策、あるいは尖閣諸島におけるところの中国漁船の衝突事件への対応等々で、多様な業務により超過勤務が多かった、こういうふうなことでございます。

○塩川委員 二十二年度の仕事が忙しくなった、それは当然あるでしょう。しかし、同じようなことは今年度もされておられるわけで、要するに、復旧復興の仕事がどんとふえたわけじゃないですか。補正を一次、二次、三次、四次と組んで、それは全部水産庁の予算はついているんですよ。災害復旧から始めて、インフラの一体的な早期復旧が必要だと、漁港の支援から魚市場から水産加工の施設、製氷所とか冷凍冷蔵庫とか、一連のものについてきちんと査定もするし、それに対しての復旧もするし、その上で、やはり復興の仕事というのは、復興交付金のメニューも含めてたくさん含まれているのが水産庁の仕事であるわけですよ。
 それなのに、本当に被災地のために懸命に努力しておられる方の残業時間が前年度より少ないというのは、全く納得がいくものではありません。こういう農水大臣の答弁では、復旧復興で働く現場の職員の姿がまるで見えていないということを言わざるを得ません。予算規模が五倍なわけですから、仕事は大幅にふえているということを考えても、どう考えても納得がいきません。
 先ほどごらんいただいた原子力安全・保安院で見ても、二〇一一年度の残業代は、四月分から十一月分の合計で、前年度比ですと一・八倍なんですよ。当然ふえているわけです。まさに東北を中心とした太平洋沿岸の漁港が壊滅的な被害を受けているときに、水産庁の仕事というのは極めて大きかったということは、当然、大臣もよく御存じのことだと思うんですね。それなのに、水産庁の二〇一一年度の四月から十一月分の残業代というのは、前年度と比べると一・〇四倍なんですよ。少なくとも保安院は一・八倍になっているのに、水産庁は一・〇四倍ということは、前の年と変わりがないということですよね。保安院と比較しても、余りにも不自然じゃないでしょうか。
 重ねてお尋ねしますが、水産庁については、残業予算の枠におさまるように、超過勤務手当の予算の枠におさまるように、特定の月以降については、何割削るとか何割減らすとか、こういった定率でカットしているんじゃないかな、こういうことを疑わざるを得ないような数字の出方なんですけれども、大臣、この点についていかがですか。

○鹿野国務大臣 職員の超過勤務につきましては、各職場の管理者が、いわゆる公務のため、臨時または緊急の必要がある場合におきまして命じておるわけでございまして、二十三年度八月以降におきましても、調整率等を用いて超過勤務支給額を減額しているというような事実はございません。命令によって超過勤務を行った全時間に対して超過勤務手当が支払われているということでございます。
 また、超過勤務手当予算、こういうことでございますけれども、平成二十三年度におけるところの水産庁の超過勤務手当等予算額は、当初の予算額は七億二千万円でありまして、十二月末時点での執行額は五億九百万となっておりまして、二十三年度におきましても、超過勤務手当予算の不足は生じないものと思っておるところでございます。

○塩川委員 そこが全く納得がいかないわけであります。
 こういう数字の出方を見ても、組織的に残業代の不払いを指示しているのではないか、こういう疑念が浮かぶわけであります。
 改めて、大臣、答弁を読むということではなくて、実態はどうかということについて、きちんと一度調べてみたらいかがですか。調査をする考えはございませんか。

○鹿野国務大臣 いわゆる農林水産省におけるところの職員の超過勤務手当の支払いにつきましては、職員の超過勤務については課長等管理者が命令をいたしているわけでございまして、この命令によりまして超過勤務を行った全時間に対して超過勤務手当を支払っているところでございますということを申させていただきたいと思います。

○塩川委員 指摘しましたように、残業予算の枠におさまるように残業の計画的な不払いが行われてきたんじゃないのかという疑いというのが、前年度に比べて既に一・〇二倍となっていることを見ても、帳尻合わせをしているということを考えざるを得ない。
 これはほかの省庁でも、例えば、瓦れき処理などの課題を抱えた環境省とか、経済産業省と同じように放射線対策に追われた文科省とか、復興の公共事業予算が倍増した国土交通省など、全ての省庁で前年度に比べて残業が大幅に増加をしたはずであります。原子力安全・保安院が前年度比で一・八倍にふえて、流用の申請を今年度上げているのは見ていただいたとおりですが、しかし、それでも全ての残業代が支払われているのか疑わしい。しかし、ほかの省庁では流用の申請さえ上がっていないわけですから、水産庁と同じように、予算の枠内におさまるように残業代を不払いにしたのではないかという疑いを持たざるを得ません。
 実際には、在庁時間などという言い方で、そういう名前での実態としてのサービス残業が行われている。これを一掃すべきだということを申し上げたい。
 最後に、復旧復興業務に従事する人員体制の強化が求められているときに必要なのは専門職を初めとした増員を図ることであり、人件費二割削減などといって定員を減らし、七・八%の賃下げまで行うのは間違いだ、ましてや残業代も支払わないというのは許されない、このことを述べて、時間が参りましたので、質問を終わります。