<第180通常国会 2012年03月06日 総務委員会 5号>



○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 きょうは、最初に復興交付金についてお尋ねをいたします。末松復興副大臣においでいただきました。
 三月の二日に復興交付金の交付可能額が通知をされました。そういう中でお尋ねしたいのが、基幹事業の一つであります造成宅地滑動崩落対策事業について、まず確認をしたいと思います。
 十二市町村にこの造成宅地滑動崩落対策事業の交付可能額が通知をされたと承知しておりますが、そのうち仙台市といわき市と茨城県東海村の事業費とその内容、対象地域について教えてください。

○末松副大臣 今回の震災対応に当たりまして、政府としては、造成宅地の滑動崩落等による被害、これに対応する重要性に鑑みまして、先生御指摘のように、この対策事業を創設いたしました。
 そこで、御質問ですけれども、まず仙台市でございますが、緑ケ丘四丁目地区ほか二百三地区における設計、工事に要する費用として約二百十九億円。そして、いわき市の西郷町忠多地区ほか一地区における設計、工事に要する費用として約三億円。そして、東海村の南台住宅団地地区ほか一地区における設計、工事に要する費用として約五億円について、配分可能額の通知を行ったところでございます。

○塩川委員 済みません、数字の確認で恐縮なんですが、私が復興庁からいただいた数字では、造成宅地滑動崩落対策事業について、仙台市が二百八十九・七億円を事業費として聞いておりますし、東海村については六・四億円、いわき市は三・六億円と承知をしているんですが、確認でお聞きします。

○末松副大臣 これは、今の先生のおっしゃったのは事業費でございまして、私が今述べたのは国費として幾ら出すかということでございます。

○塩川委員 失礼しました。そういう交付可能額を踏まえて、事業費が今私が紹介をした額ということになります。
 それで、先月、東海村に足を運びまして、ここで対象となっているような被災者の方のお話を伺ってまいりました。
 丘陵部を切り土、盛り土をした造成宅地ですけれども、数十戸が宅地の地盤被害を受けておられる。今現在も住んでおられない方もおりますし、まだ、例えばジャッキアップなどの、家を平らにするような工事なども行われていないような世帯も残されているわけであります。
 私が伺ったお宅では、その場所自身が盛り土をしてあるところなんですけれども、すぐ裏側がずっと斜面になっていまして、かなりの急角度で下がっているところで、その方のお話では、かなり家の宅地にひびが入っていて、先日、畳を剥がして床の下を見てみたら、何本もひびが入っていたと。ちょうど裏の崖に向かう方向と平行して何本も入っているということで、また大きな地震などがあった場合にもっと広がるんじゃないか、こういう不安の声を強く訴えておられました。
 そういったときに、このような事業がしっかりと、被災者の宅地の再建にもつながるようなものとしてしっかりと事業化になっていくことを強く求めていくものであります。
 また、仙台市に行って担当者の方のお話を伺ったときに、仙台市の場合には、こういった盛り土などでの造成宅地での宅地地盤被害が四千件を超えるというお話であります。
 仙台市の事業計画では、既に年末に被災者の方にお示しされていますけれども、この復興交付金の造成宅地滑動崩落対策事業を使うのと、災害関連地域防災がけ崩れ対策事業を使って、いわば補助事業で八割ぐらいをカバーし、こういった国庫補助事業に当たらないような宅地被害については市単独の助成制度をつくって支援を行うということで、三通りの仕組みをつくってこの四千戸の被害宅地に対応しよう、そういう中でも、被災者の方の金銭的負担も軽減しようということで、数十万から百万円程度という取り組みになっていると聞いております。
 もちろん、その額でも大きいという方もいらっしゃいますし、また、こういった負担というのが合意形成の上でも障害となりはしないか、こういう懸念などもあるわけで、こういった取り組みについてもしっかりとした財政措置を行っていくことが必要であります。個人負担の一層の軽減や、沈下した地盤の補強や建物のジャッキアップなども支援の対象にすることなどが求められております。
 その点で指摘をしたいんですが、こういった宅地地盤被害については、もともと、三次補正で復興交付金をつくる際に、国交省が被害状況を全国集計しています。九月の二十七日現在ということでの数字で見ますと、液状化被害を除いた宅地の被害件数というのが、全国で百十一の市町村にわたって五千四百六十七件の被害があるという国交省の資料なんですね。そのうち、十件以上という市町村をとっても六十市町村に及びます。
 これは、国交省の九月二十七日の集計時点では、仙台市の被害件数が二千百四件になっていますから、その後、先ほど紹介しましたように、仙台市では四千件を超える戸数となっているということでは、この九月末現在の集計の五千四百件余りというのも実際にはもっと多いんじゃないのか、こういうことも想定をされるわけであります。
 そこで、お尋ねしたいんですけれども、末松副大臣としても復興交付金についての対応方に御努力されておられると思うんですが、宅地地盤被害についての造成宅地滑動崩落対策事業の対象となっていいような自治体がかなりあるのではないのか。十件以上の被害のある市町村が、先ほど言ったように、六十市町村ある。もちろん、これが全て特定被災地方公共団体に当たるというわけではありません。しかし、十二自治体というのは余りにも少な過ぎるんじゃないかということを率直に受けとめているわけです。
 ですから、そういう点でも、自治体の方から、つまり、特定被災地方公共団体から、宅地地盤被害があるけれども、実際には第一回の事業計画について申請がなかったというところに、復興交付金基幹事業の使い勝手が悪いんじゃないのかということを感じるんですが、この点、末松副大臣としてどのように受けとめておられるか、お尋ねします。

○末松副大臣 先生御指摘の造成宅地滑動崩落緊急対策事業ですか、これは今までになかったんですね、そういうのが。みんな困っていました。私も仙台に常駐しているときに、本当に何とかしてくださいと仙台市長からも言われ、そういったことをいろいろと重ねてきて、そこで今回創設をされたということでございます。そういった意味で、仙台市、市長を含め、いろいろな方からここは喜ばれております。
 それで、先生御指摘の、確かに全てを今網羅しているかどうかというのはよくわかりませんけれども、今、リクエストがございました十二市町村についてはほぼすべて、私ども、これを認めたということでございますし、さらに、そこが仕組み上もっと要件緩和できるのではないかということについては、ちょっとそこはまた関係省庁も含めて御協議をさせていただきたいというふうに考えております。

○塩川委員 先ほど言いましたように、十戸以上宅地地盤被害が出ているのが六十市町村に及ぶ、そこが全て特定被災地方公共団体とは限らないわけですけれども、それなのに、実際には十二しか出ていないというその差について、何があるのかということをやはりよく見る必要があるんじゃないかなと思うんです。
 同じことは液状化の被害についても言えまして、液状化被害について、先ほど言った国交省の集計では、七十九の市町村に二万六千九百十四件の被害が出ているわけです。これは、浦安などが本当にたくさんの戸数ですから、二万六千を超えるような数になっているわけですよね。
 そういった中で、例えば十件以上あるような市町村を拾うと五十二市町村になります。それなのに、市街地液状化対策事業については、交付可能額の通知というのは六市だけなんです。ですから、十戸以上のところが五十二といっても、実際に復興交付金に手を挙げたというのが六しかない。
 この市街地液状化対策事業というのは、まずは事業化の前に、工事をする前に調査をするわけですよ。つまり、そのためにどういう工法が一番ふさわしいかというのは、それぞれの地域の状況を調べなければわからないということで、技術関係の検討委員会も設置をするし、そこでどういう工法がいいかということを検討した上でこれにしようということを決めて、その後初めて工事に着手するということなんですよね。そういうことであれば、工事まで至らない、まずは調査をする、調査計画費を計上する、それがわずか六自治体なんですよ。
 今言ったように、全体では二万六千件で、十戸以上のところだけでも五十以上の市町村があるにもかかわらず、六自治体しか調査計画費を出していないというのも、実情からいっても非常に不思議だなと思っておりますし、こういう制度というのが十分周知されているのか。特に、被災者の立場に立っていえば、健康被害も受けるような家の傾きの中での生活というのは大変苦痛であるわけで、こういう点についても、私、率直に、こういう液状化の事業であれば、調査計画費であればどこでも手を挙げていいのに六つしかないというのは極めておかしいなと思うんですが、この点について、末松副大臣、どのように受けとめておられますか。

○末松副大臣 先生御指摘の液状化につきましては、例えば道路、下水道、学校などの公共施設の液状化被害に対しては、災害復旧事業として、地方の負担なしに対策を講じておりますし、また今回、従来はなかったんですけれども、市街地における液状化被害の対応の重要性に鑑みて、新たに市街地液状化対策事業というのを、またこれも新たに創設いたしました。そういった中で、復興交付金の基幹事業にいたしました。全国から、そういったところで喜ばれているところでございます。
 ただ、これも交付金の事業ということで、やはり交付金ということにかかわるある程度の制限なんかもついてまいります。全くのプライベートのという話になれば、そこはちょっとまずいなという話がございますけれども、先ほどから先生おっしゃっているように、事業化計画をきちんと出していただいて、そして調査して、それで事業化を図るということのプロセスでやっていただいていますので、その事業化計画の調査、これについては、全て私どもそこはゴーサインでやってきた。
 ただ、先生御指摘の、制度そのものに、ほかのところに、そういった調査の申請が出せないような条件が何かいろいろとあるのかどうか、そこはちょっと私どももまた子細に見ていきたいと思っております。

○塩川委員 ぜひ、実態もつかんでいただいて、そういった対応について何か不備や瑕疵があるようであれば、そこを是正してもらうという点で対応方を要請するものです。
 きのうの復興特別委員会でも平野大臣が、復興交付金というのは優先度があるという話として、住宅と産業再生と学校、病院の再建、これは最優先でやれということで指示しているという話がありました。
 そういう点でも、この住宅関連について、私のお聞きした被災自治体では、こういった造成宅地の滑動崩落対策事業とか市街地液状化対策事業については、基本は、要望をしたとおり反映してもらっているという話をお聞きしております。
 その上で、先ほど仙台市のところで紹介をしたように、四千戸をカバーするには復興交付金の事業だけでは賄い切れません。地域防災がけ崩れ対策事業だとか市単独の助成制度もつくっているわけですけれども、そこに対する財政措置がしっかりとないことには、仙台市としても、安心してといいますか、被災者に目を向けた取り組みをやっていくことができないのではないかなと思っているわけで、そういった災害関連の地域防災がけ崩れ対策事業の国庫補助事業、またその地方負担分に対して、当然、震災復興特別交付税の措置ですとかあるいは単独事業の助成制度について、何らかの財政措置というのが必要だと思うんです。こういうことについてぜひ具体化を考えていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

○末松副大臣 実は、仙台市長さんとも昨年からずっとこの滑動崩落の住宅についても協議してまいりました。そういったときに、最初は仙台市長さんの方は、今回の緊急対策事業費みたいなものはないということを想定して、自分たちで全部やるためにはどうするんだろう、どのくらい予算がかかるのか、こういうことをやってこられたんですね。それに対して我々が、それはもう国庫からかなり負担をしますという話になって、そこで仙台市長さんの方は、私どもの政策に対して非常に御評価をいただいたという状況でございます。
 ですから、全てが地方の負担全くなしにという話ではなくて、仙台市長さんが今やっておられるように、いろいろなツールを組み合わせながら、そこで住民の方々に一番御満足いただけるような、これをやっていくというのが一番いい形かなと思っております。

○塩川委員 そういう意味でも、組み合わせながらしっかりと対応していくということで、ぜひ知恵を出していただきたいと思うわけです。
 その点で、次にお聞きしたいのが、復興交付金の効果促進事業であります。今回の第一次の交付可能額の通知で見た場合に、基幹事業に対して効果促進事業の額が意外と少ないなというのが率直な印象なんですけれども、実際に、この復興交付金事業において効果促進事業がどのぐらいを占め、これは基幹事業費に対して何%ぐらいになるのかについて教えていただけますか。

○末松副大臣 今回の配分につきましては、地域の復興、まちづくりに必要となるような基幹事業、これについて要望が大変多かったということでございます。そういった意味でいけば、基幹事業に係る交付対象事業費二千九百九十四億円に対して効果促進事業費というのは六十億円ということで、その割合は二%にとどまっているということでございます。

○塩川委員 確認ですけれども、制度上、この効果促進事業というのはどのぐらいの割合で額としては認めることになるのか。

○末松副大臣 例えば第三次補正の場合は、目の子で、大体一・五兆円といたしまして、効果促進事業費と言われるのが限度額で大体四千億円程度まで認めているという状況でございます。ですから、基幹事業の大体三五%ぐらいだということでよろしいかと思います。

○塩川委員 そういう点では、基幹事業費の三五%の額まで可能なのが効果促進事業ですけれども、先ほどの答弁ですと、二%ということでしょうか。そういう意味でいうと、極めて小さい。何でこんなふうになっているのか。
 本来であれば、事業として動き出しているわけですから、基幹事業に密接に関連した事業として効果促進事業をいろいろやろうじゃないかという知恵が出ていいはずなんだけれども、そうはなっていないようだという事情についてはどのように受けとめておられますか。

○末松副大臣 市町村の皆さんがまず基幹事業について大きな関心を持って、そういったリクエストがたくさん来られました。そこで、効果促進事業というのは基幹事業に付随する事業でございますので、ここは多分これからたくさん来ると思っております。そういった意味で、三月末までにもまた我々ジャッジをしますので、そういったところからも結構来る。最初は基幹事業がメーンだったということだと思います。

○塩川委員 いや、聞いている話では、そうではなくて、やはり基幹事業で措置するものと、それと対応して効果促進事業で措置してもらおうということは、結構被災自治体では考えているわけですね。その意味で、例えば、基幹事業の四十事業でカバーできるようなところはそちらで措置するけれども、そうはならないような案件について効果促進事業で関連して措置できないかとか、そういうアイデアというのはいろいろあったと思うんだけれども、それが実際に今回のでは採用されていないんじゃないのかという声が出るわけですけれども、その点はどうですか。

○末松副大臣 私ども、具体的なリクエストを受ける立場にございますから、どういうリクエストが来ているか、全体を把握しております。そういった中で、基幹事業が極めて多かったというのが実態でございます。その点、特にそこで私どもが事実関係を曲げる必要は全くございませんので、多分そういうことから低かったということであろうと思います。
 また後からきちんと基幹事業との関連性を御説明いただければ、そこは我々としても承認するにやぶさかではございませんので、そこはどんどんやってきていただければと思っております。

○塩川委員 どこの被災自治体とは言いませんけれども、今言ったように、基幹事業で措置するものはしっかりと要請もしているわけです。しかし、それに満たないような案件というのはあるわけですね。そこを効果促進事業で考えているということだけれども、今回のにはのらなかったということなんかも話として聞いているわけなんですけれども、どうですか。

○末松副大臣 効果促進事業というのは基幹事業の効果を促進するための事業で、ですから、基幹事業に付随するんですね。だから、基幹事業にならないものを、ならないということで、そこで効果促進事業だけを単独に独立して事業としてやるかというと、これはまたちょっと制度的には、私どもとしてはそれは制度の趣旨ではないなということでございます。
    〔逢坂委員長代理退席、委員長着席〕

○塩川委員 この効果促進事業については、説明紙などでも、使途の自由度の高い資金により、ハード、ソフト事業ニーズに対応とうたっているわけで、本来自由度の高いということで被災自治体は受けとめていたわけですが、今言ったようないろいろな要件がかかってくるということもあります。
 私は、そういう点でもやはりいろいろな制約として感じるのが、交付要綱でも書かれていますネガティブリストの問題があります。
 ネガティブリスト、幾つか項目がありますけれども、その一つとして、個人、法人の負担に直接充当する事業または事務及び専ら個人、法人の資産を形成するための事業または事務は除くというふうになっている。
 そういう意味では、一方で自治体の創意工夫とか公益性をうたっているわけですけれども、こういったネガティブリストというような枠のはめ方というのが、効果促進事業の活用に当たって硬直的な対応となっていはしないのかということを強く感じるんですが、その点、いかがでしょうか。

○末松副大臣 我々も、そこがあると一番まずいなということで、できるだけ柔軟に解釈をしてやっていこうということを心がけているつもりなんですが、先ほど先生がおっしゃられた、例えば個人の資産の形成、ある企業の資産の形成に資する、こうなっちゃいけないというのが補助金適正化法できちんと定められているものですから、そこに対しては筋を通さないと、今度は私どもそのものがおかしいという御指摘を受けることになります。そういう中で、できる限り柔軟に対応していこう、これが復興庁の態度でございます。

○塩川委員 いや、そんな話をしていると被災者の住宅再建というのはできないわけで、そういう意味でも、実態は、住宅再建なしに被災者の生活再建なし、被災者の生活再建なしに地域の復興なしということでこの間多くの方々が努力してきているわけですから、そういう方向での取り組みということをぜひとも踏まえていただきたい。
 済みません、ちょっと時間との関係があるので。
 大臣からも一言いただきたいんですが、要するに、今言ったように、事業としては動き始めているわけです。そういう点でも、被災自治体への財政措置について、やはりしっかりとした創意工夫や対応が必要でもありますし、何よりも被災者の方の生活再建につながるような取り組みにすべきなわけで、被災者の生活再建、住宅再建、地域のインフラ、産業の再生、こういったものに対して、しっかりとした、使い勝手のいい制度にする必要がある。
 この点について、総務大臣としてのお答えをいただきます。

○川端国務大臣 御指摘のとおり、一日も早い復旧復興をするというのは国の責任でありますし、その原点は、被災者の皆さんが希望を持って安心して暮らせるという状態に一日も早くするというのが原点でありますので、いろいろな法律の制度の中で、その原点を忘れないでしっかりと対応することが一番大事だということは御指摘のとおりだと私も思っております。

○塩川委員 しっかりとした対応を求めます。
 末松副大臣、ありがとうございました。
 次に、震災復興特別交付税についてお尋ねをします。
 震災復興特別交付税では、災害復旧で国費が入らない、いわば国庫補助の対象外の地方単独事業にも充てることになっていると承知をしております。
 公営企業の災害復旧の場合は、これは後で料金収入などで返すという理屈になりますから復興特交の直接の対象ではありませんけれども、大きな被害が出た場合に一般会計から繰り入れて復旧するということは現に行われているわけですから、こういう一般会計から繰り入れた部分については震災復興特別交付税で見るというふうに承知をしているわけです。
 そこで、大臣にお尋ねしたいのは、液状化被害では下水道設備に大きな被害が出ました。浦安ですとか習志野ですとか、湾岸のところもそうですし、利根川の中下流域のところでも大きな被害が出たわけであります。予算委員会での参考人質疑で、浦安市長や香取市長からもそういう訴えもございました。
 こういった災害復旧の国庫補助の対象とならない地方単独の下水道災害復旧事業経費も大きな額となっています。こういった経費を一般会計から繰り入れた場合には、震災復興特別交付税で全額措置されるということでよろしいんでしょうか。

○川端国務大臣 東日本大震災財特法に定める特定被災地方公共団体における公営企業施設の災害復旧については、当該施設の早期復旧を図るとともに、企業経営の安定を図るため、東日本大震災に係る一般会計からの繰り出し基準の特例を設けているところでございます。
 この繰り出し基準の特例に基づく一般会計からの繰り出し金については、御指摘の液状化被害に係るものも含め、国庫補助事業だけでなく、単独の災害復旧事業に係る繰り出し金についても震災復興特別交付税の対象としているところでございます。

○塩川委員 被災自治体のお話を伺っても、要するに、災害復旧の査定でいいますと、一つの、ワンスパンのところが壊れていないと対象にならない。そのうちの一部だけが壊れた場合には、そこの部分のみ災害復旧の査定の対象であって、それ以外のところも結局全部取りかえなくちゃいけないことになるのに、一部しか見られない。残りは全部市単独でということがありますから、そういったことも含めてしっかりとした震災復興での対応ということを、実際、それぞれ調査などもされるわけですから、きちんと措置するということを求めておくものであります。
 それと、この震災復興特別交付税に係る省令の中では、災害復旧事業への限定というのがあるわけです。もちろん、これそのものはしっかりと対応を求めるわけですけれども、復興事業というのも、当然いろいろな単独事業というのは考えられるわけですね。大きく復旧だけではなくて復興に臨むということが、本来の復興基本方針が示す方向でもありますし、震災復興特別交付税においてもそうあるべきだと考えております。
 そういう意味でも、復興事業の単独についてもこの震災復興特別交付税の対象に加えるべきではないかと考えますが、この点についての川端大臣のお考えをお聞かせください。

○川端国務大臣 今回のスキームは、被災団体が実施する復旧復興事業に対して、国費による措置を大幅に増大するということで、震災復興の特別の交付金で措置して、なお震災復興特別交付税で地方交付税を別枠で増額して全額を負担するという仕組みであります。
 その中で、そういう仕組みであるということは、被災団体の復旧復興事業は国費による措置が主というか中心としてやる、それの地方負担分はまた特別交付税で見るという仕組みであります中で、どのような単独の復興事業を今想定して言っておられるのかということなんですけれども、どういうものがあるのかということは、被災団体の実情もお伺いして、全体の復旧復興フレームにおける震災復興特別交付税総額についての今後の対応のあり方も含めて、その措置については検討してまいりたいというふうに思っております。
 いずれにしても、実情をよくお伺いして、財政運営に支障がないように対応してまいりたいと思っております。

○塩川委員 そういう点では、ぜひ、復興事業は今後大きく進んでいくということで、そういう中でいろいろ単独でやろうという知恵なんかも被災自治体から出てくることだと思いますから、今お話しのように、そういう事業の中身などもよく見ていただいて、しかるべきものについてはしっかりと措置をしていく。省令事項ですから、そういう見直しというのを総務省としてもしっかり行っていく。その検討については、ぜひ求めておくものであります。
 次に、昨年、片山大臣のときにつくりました法律で、事務処理特例の法律があります。福島からの避難者へのしっかりとした行政サービスを提供する、こういう事業ですけれども、この点で、一月に、福島から県境を越えて避難する方々が多く行かれている新潟市、山形市、それから米沢市の三市の市長さんの連名で国に要望書が出されております。東日本大震災に伴う避難者への配慮に関する要望ということであります。
 この要望書の中では、県境を越えた避難者においては、放射性物質による健康への影響を危惧する母子避難世帯を初めとした自主避難者が多数を占めているが、福島県内の除染が進まない現状などを見ると、その避難生活の長期化も想定されるとしています。避難者の数がその中にも出ておりまして、一月十八日現在ということですが、山形市に五千七百五十八人の方がいらっしゃる。そのうち、小学校に上がる前の未就学児数が千四百三十一人を占める。米沢市では三千八百四十五人で、うち未就学児数は七百九十六人、新潟市が二千四百二十八人で、うち未就学児数が六百三十五人となっています。小さな子供さんを連れた避難者の方が多いことが、ここにもうかがわれます。
 今、福島県の浜通りだけじゃなくて、中通り、福島市や郡山市からたくさんの方が避難しておられるというのが実情であります。ですから、その数も、いわば事務処理特例の対象となっているような十三市町村の避難者の数よりも中通りなどからの自主避難者の方の数の方が上回る、こういう状況というのが新潟市とか米沢市、山形市などでは生まれようとしているということであります。
 こういった現状に対して、お尋ねしたいんですが、事務処理特例の対象となっている十三市町村の避難者と比べて、このような原発事故に伴う自主避難者に対する受け入れ先の自治体の行政サービスに違いがあってはならないと考えますが、差が出ることがないようにしっかりと措置されることになるのか、この点について確認をさせてください。

○川端国務大臣 御指摘の、この法律の対象となる十三市町村以外からの市町村の区域外への避難を余儀なくされている住民の方々、たくさんおられます。こういう方に対しても、行政サービスを適切に受けられるように、この法律の附則第三条において、避難住民に係る措置に準じて、必要な措置を講ずるものとするというふうにしておるところでございます。
 総務省では、この十三市町村以外からの区域外避難者への行政サービスの提供についても、必要に応じて地方自治法上の事務の委託を行うなど、避難元または避難先の団体が適切に処理するよう助言するとともに、御指摘の要望書もいただきましたけれども、ここでもやはり周知徹底をしないといけないということもありますので、適切な助言をさせていただくと同時に、その事務処理に関して新たに生じる負担を含めて、避難者の受け入れに要する経費に対する特別交付税措置を行うこととしておりますので、同じように取り扱っていただいて、費用の発生は特別交付税で見るということであります。
 今後とも、十三市町村以外からの避難者を含め、適切に行政サービスを受けることができるように、福島県、関係府省とも連携しながら、必要に応じてアドバイスしていきたいというふうに思います。
 新潟市、山形市、米沢市からいただいた要望の中でも、「この法律による行政サービスが受けられない」などと書いてあるんですけれども、これは受けられますので、いろいろ意見交換したら、受けにくいというニュアンスでありましたので、やはりこれはちゃんと徹底しないといけないということだと思いまして、その部分はちゃんとやってまいりたいと思っております。

○塩川委員 そういう点でも、適切な助言ということで対応方をお願いしたいと思いますし、先ほど御答弁にもありましたが、十三市町村の事務処理特例に係る行政サービスの経費、また事務処理特例以外の行政サービスに係る経費、もちろん十三市町村以外の自主避難の方々に対する行政サービスの経費も、いずれも特別交付税で措置するということでよろしいんですよね。

○川端国務大臣 そのように御理解いただいて結構です。

○塩川委員 それで、今言ったように、原発事故による避難者に対する受け入れ先自治体の行政サービスに係る経費については特別交付税で措置されているわけですが、私は、これは筋からいって、震災復興特別交付税で措置するべきではないのかと考えるわけであります。もともと、大震災そして原発事故によって避難をされている方々に係る経費ですから、であれば、本来の特別交付税というよりは、震災復興特別交付税で措置するということがあるべきだと考えますが、この点についてはいかがですか。

○川端国務大臣 考え方の整理整頓の世界かもしれませんが、震災復興特別交付税というのは、集中復興期間中に復旧復興対策として必要と見込まれる支出について、特別に財源を確保して対処することにあわせて、これまでにない対応として、地方交付税の別枠での増額で地方負担分の全額を措置して、被災団体の財政負担をゼロとするということで創設いたしましたので、基本的には被災団体に対して交付するということになっております。
 避難者の受け入れに要する経費については、被災団体においてよりも、受け入れを行った全国の被災団体以外の地方団体において主に生じるものであるということでありますので、整理整頓の意味で、通常の特別交付税において措置することとしているところでございます。

○塩川委員 一言言って終わりますが、受け入れ先自治体の方にすれば、しっかり受けとめて頑張ろうと思っているわけですね。ただ、特交というのは丸めて来るものですから、本当にその行政サービスでかかった経費が来るのかなという懸念というのはあるわけで、そういったときに、本来、被災自治体に居住していた方々に対する行政サービスの経費ですから、そういう観点からいっても、私は、震災復興特別交付税できちっと措置するということが避難元の自治体にとっても避難先の受け入れ自治体にとっても一番ふさわしいということを申し上げて、質問を終わります。