<第180通常国会 2012年03月07日 内閣委員会 2号>



○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 きょうは、最初に、秘密保全法制の検討過程に関連して質問をいたします。
 現在、政府は、昨年八月に発表されました秘密保全のための法制の在り方に関する有識者会議報告書、「秘密保全のための法制の在り方について」に基づいて法案を準備しております。この報告書が提起する秘密保全法制については、報告書自身が、「ひとたびその運用を誤れば、国民の重要な権利利益を侵害するおそれがないとは言えない」と書かざるを得ないものであります。国民の重要な権利利益がどのように侵害されるおそれがあるのか、その運用を誤らない政権というのはあり得るのかなど、この法制の本質が広く明らかにされる必要があります。
 そこで、官房長官にお尋ねをいたします。
 有識者会議には、研究者とともに、政府側の出席者として、毎回、内閣情報官が出席をしております。この内閣情報官のポストが内閣官房に設けられたのは二〇〇一年の中央省庁再編時でありますが、歴代内閣情報官の出身官庁を教えていただきたい。

○藤村国務大臣 警察庁であります。

○塩川委員 歴代内閣情報官のポストは、警察庁出身の官僚によって占められております。有識者会議に出席をしております植松信一内閣情報官も、警察庁出身の警察官僚であります。
 次に、有識者会議の議事概要を読むと、事務局が報告を行っております。秘密保全法制担当の事務局の出身官庁を教えていただけますか。

○中村政府参考人 お答えいたします。
 内閣情報調査室が会議の庶務を担当することといたしてございました。内閣情報調査室には、その組織の性格上、警察庁、外務省、防衛省等々の、いわゆる情報に関係している省庁の方からの出向が多うございます。

○塩川委員 今ありましたように、警察、防衛、外務ということで、外務、防衛といえば、この間も、秘密を盾にして数々の不祥事を起こしてきた役所でもありますし、警察も報償費の問題が指摘をされてきました。
 ですから、こういった今事務局に名前を連ねているような役所、外務、防衛、警察といえば、秘密の保護よりも、まず何より情報開示の徹底こそ求められている役所であります。その役所出身の官僚が、秘密保全法制という今回の報告書を担当する事務局を担っているということであります。
 有識者会議は全部で六回行われておりますが、第一回の有識者会議では秘密保全法の意義、第二回では秘密の範囲、秘密の管理、第三回では秘密の管理のうち人的管理制度及び物的管理制度、第四回では罰則、第五回では法形式、国民の知る権利との関係、立法府及び司法府との関係についてと議論されてきて、第六回では報告書案の議論を行っております。
 昨年八月八日に提出された報告書の中身を見れば、それぞれの有識者会議は、報告書の目次に沿って審議をしてきたことになっております。そこで、お尋ねしますが、それぞれの会議で、議論すべきテーマについて説明を行ったのはどなたですか。

○中村政府参考人 お答えさせていただきます。
 会議のテーマにつきましては、事務局の方から第一回目に御提示させていただきまして、具体的に委員の方において議論していただいたところでございます。
 それから、議事概要に書いてございますとおり、それぞれの回につきまして、冒頭、事務局の方から、議論のテーマについて、具体的な議論していただくべきポイントについて御説明させていただきました。

○塩川委員 各回とも、議論すべきテーマについては、説明を行っているのは事務局からということであります。
 第一回会議の配付資料の中に、報告書の内容構成をあらかじめ想定した検討スケジュールがあって、有識者会議は、この事務局が立てたシナリオに沿って、事務局が報告した内容に基づいて議論が行われてまいりました。事務局主導の報告書づくりと言われても仕方がない会議の進行ぶりであります。
 そこで、具体的にお聞きします。
 第二回の会議で秘密の範囲が議論されております。第二回の会議の配付資料、これはホームページ上でも公表されておりますが、この配付資料には、特別秘密として保護すべき事項の範囲という、その項目の名称しかありません。しかし、報告書では、秘密の範囲については、国の安全、外交、公共の安全及び秩序の維持となっています。
 お尋ねしますが、秘密の範囲をこの三つにすべきとなったのは、事務局の提案なんでしょうか、有識者からの提案なんでしょうか。

○中村政府参考人 お答えいたします。
 ただいまの質問につきましては、行政機関が保有する秘密情報の中でも国の存立にとって重要なものとして、国の安全、外交、公共の安全及び秩序の維持の分野を事務局の方から有識者会議において例示した上で、委員におきまして自由に御議論いただきました結果、これら三分野が適当であるとの結論になったものでございます。

○塩川委員 ですから、もともとの提案は事務局から提案がされている、事務局がこの三つですよと例示をしているということです。
 かつて、一九八五年、自民党がスパイ防止法の検討ということで、大きな議論となりました。そのときには秘密の範囲は外交と安全保障だったわけですが、今回は、警察にかかわる秘密として、公共の安全及び秩序の維持がさらに追加をされております。今御答弁いただきましたように、その提案を行ったのが警察官僚をトップとした事務局だった、この点をやはり指摘しておかなければなりません。
 次に、第二回の議事要旨には、「大きくいえば国の安全、外交、公共の安全及び秩序の維持といったものになると考えられる。」とありますが、この発言を行ったのは、議事要旨を見る限りは、有識者なのか事務局なのかということはわかりません。第一回の議事要旨では、委員からあった発言は次のとおりと書いてありますけれども、第二回からは、議論の要旨は次のとおりとあって、発言したのが委員か政府側の出席者なのかもわからない。
 これが現状だと思うんですけれども、こういった会議における発言者が誰なのか、事務局が入っているのか入っていないのか、こういうことはこの議事要旨からわからないんですが、事実はどうなっておりますか。

○中村政府参考人 お答えいたします。
 第二回目以降につきましては、事務局から配付した資料に基づきまして御議論をいただきました。そのため、委員の間で議論した結果をあくまでも要旨として取りまとめさせていただきまして、これは事務局の意見ではございません。

○塩川委員 そういったことは、公表されている議事要旨じゃわからないわけですね。
 また、第六回の会議で、事務局は冒頭の説明をしただけで、会議中、そもそも発言をしていたのかどうなのか。政府側の出席者である内閣情報官についても、第六回の報告書案の取りまとめのときに発言があったのかどうなのか。その点についても確認させてもらえますか。

○中村政府参考人 お答えいたします。
 第六回目の資料につきましては、報告書案という形で、第一回目から第五回目までの委員の先生方の御議論をまとめたものにつきまして、委員の先生の間で御議論していただきました。その際に、必要な事実関係等について意見が求められた場合には事務局からお答えすることがあったかもしれませんけれども、具体的な書き方、記述につきましては、これはあくまでも委員の先生たちの御議論をまとめたものでございます。

○塩川委員 官房長官にお尋ねしますけれども、官房長官は記者会見で、会議の経緯というのは公開されている議事要旨と配付資料で把握が可能だと述べておられます。
 私は、この報告書の内容の策定の経緯について今お尋ねしましたが、例えば秘密の範囲について誰が提案をしているのか、そういうことなどについてはどこにも、公表されているこの議事要旨と配付資料から見てとることができないわけですね。
 これでは、官房長官が説明されておられるような、議事要旨と公開資料を見ればわかるというふうになっていないわけですけれども、これでどうして、議事要旨と公開資料を見れば全体の把握が可能だなどと言えるんでしょうか。

○藤村国務大臣 これは、いわゆる諮問を受け答申をされるという有識者の会議であるということ、この位置づけをまず最初に申し上げたいと思います。
 そこで、この有識者会議について、各委員の率直な意見交換ができるよう、会議終了後に発言者名を付さない形で議事要旨を公開すること、また、配付資料の中には機微な情報を含むものがあること等から、内容に応じて公開の可否を判断すること、これが第一回会合において委員によって決定されたものであって、これは決して何か事務局が決定したものでは全くありません。
 有識者会議の経緯は、公開されている議事要旨、それから配付資料、あわせ会議としての意見を示した報告書、これらの範囲で把握できる、このように考えております。

○塩川委員 いやいや、ですから、秘密の範囲を大きく三つということについて、事務局が提案したのか、有識者の提案がベースになったのか、そういうことについては、公表されている議事要旨と配付資料じゃわからないですよねというのを聞いているんですが、どうですか。

○藤村国務大臣 事務局の整理で、先ほど報告のとおりであります。それを今度は有識者の皆さんにきちんと議論をしていただいた結果、その三つの範囲が適当である、これが委員における議論であった、こういうことであります。

○塩川委員 ですから、今の話は公表されている議事要旨にも配付資料にも書かれていないんですよ。これでどうして、官房長官が記者会見でおっしゃっているように、公開されている議事要旨と配付資料で会議の経緯を把握できる、把握が可能だと言えるのか。そんなことはないということが今のやりとりでもはっきりしているんじゃないでしょうか。議事要旨と配付資料にはそういう点が書いていないわけですから、策定過程の経緯がわからないということになります。
 そこで、重ねて官房長官にお尋ねしますが、今、官房長官の答弁にもありましたように、機微情報との関係で公開の可否を決める云々という説明をされました。ということは、配付資料についても全て公開されているわけではないということですか。

○藤村国務大臣 先ほどお答えしたとおりでございまして、配付資料の中には機微な情報を含むものがあること等から、内容に応じて公開の可否は判断する、これは第一回会合において委員により決定されたものではあります。

○塩川委員 実際に公表されていない配付資料があるということですね。

○中村政府参考人 お答えいたします。
 報告資料が取りまとめられる前の段階、検討段階におきましては、公表された場合には委員の自由な御議論が損なわれるおそれがあったこと、また、ただいま官房長官から御説明ありましたとおり、機微な情報が含まれていることから、当時においては非公表としたものでございます。

○塩川委員 いや、いわば会議における枠組みの話の答弁ですけれども、それを踏まえて、実際に会議で配付された資料の中に公開されたものがあるんですかということを聞いているんです。もう一回。

○中村政府参考人 お答えいたします。
 ただいま申し上げましたとおり、公開できるものについてはその会議の後に公開させていただいてございます。また、公開できないものにつきましては、その段階においては非公表とさせていただきました。

○塩川委員 ですから、公表されていない資料もあるわけですよね。だから、官房長官が議事要旨と配付資料を見れば会議の経緯がわかるんだと言っても、その配付資料自身が全部出ていないんですよ。これでどうしてきちんと検証できるのか。官房長官、どうですか。

○藤村国務大臣 資料の中に機微な情報を含むものがあるということは申し上げたとおりであります。
 それらの資料を踏まえて委員の皆さんがきちんと議論をされた。その議論については、議事要旨あるいは中間報告もございます、それでその他の資料が付随されている、これらで把握できると思います。

○塩川委員 いや、ですから、配付資料と議事要旨で会議の経緯が把握できると言うから聞いているわけで、出されていない、公表されていない配付資料があれば全体像がわからないじゃないですか。
 実際、公表されていない配付資料として、第六回の会議では報告書の案が出されているわけですよね。報告書の案が配付資料として出されて、この配付資料に基づいて意見交換が行われているわけですけれども、この第六回会議で配付資料として出された報告書案というのは公表されていないと思いますが、その点、確認させてもらえますか。

○中村政府参考人 お答えいたします。
 第六回の会議におきまして、委員からさまざまな意見が出され修正する必要があったこと、また、報告書が取りまとめられる前の検討段階でございますので、公表された場合には委員の自由な御議論が損なわれるおそれがあったことから、当時におきましては非公表とさせていただきました。

○塩川委員 ですから、報告書案は出ていない、今現在だって出ていませんよね。その点で、報告書案での議論を踏まえて、では報告書がどうなったのか、その比較をすることも会議の経緯を検証する上では当然必要な措置であるにもかかわらず、報告書案そのものも公表していないわけであります。
 そういう点でいっても、どう考えても、会議の経緯というのは公開されている議事要旨と配付資料を見ればわかるという官房長官の説明というのは通らない話だと思いますけれども、官房長官、こういう報告書案というのは公開できないものなんでしょうか。秘密なんですか。

○藤村国務大臣 先ほど来、当時、当時という言葉が使われております。当時、非公開とされた配付資料でありましても、当然、報告書が確定した後は、現在ですよね、情報公開法に基づく開示請求に対しては、もちろん、不開示部分を除いて開示をすることはできるということであります。

○塩川委員 でも、現時点では公表されていないわけですよ。その点にまさに政府の姿勢がはっきりとあらわれているわけで、申し上げてきたように、実際には、有識者会議といっても、役所の方がお膳立てをして、いわば官僚主導というやり方でこの段取りが進められて報告書がまとめられた。そういう官僚主導というやり方が役所の都合を優先することになっているんじゃないのか、こういう危惧が当然出てくるわけであります。
 ですから、こういったあり方そのものが今問われているわけで、冒頭に紹介しましたように、この報告書は、「ひとたびその運用を誤れば、国民の重要な権利利益を侵害するおそれがないとは言えない」と書いております。このような重大な法制を提案しようとする政府が、秘密でないような議事録や配付資料すら国民にオープンにしない。秘密でないようなものすら秘密扱いにしている。つまり、法律の運用においても、秘密でないものを秘密として扱いかねないようなことが、この有識者会議の検討過程でも透けて見えるじゃないか。
 政府がこうした運用をすれば、報告書の言うように、国民の重要な権利利益の侵害となることは火を見るよりも明らかで、しかも、そのような運用を行った官僚事務局を、政治家である歴代の民主党の官房長官も統制できていない。今、藤村官房長官が紹介したように、会議の経緯というのは公開されている議事要旨と配付資料で把握が可能だと言って、結果として、官僚主導のやり方というのを正すのではなく、追認をしているだけであります。
 そもそも民主党政権自体が、マニフェスト違反にとどまらず、この間の原発や大震災の対応ではその記録さえ残しておかなかったわけで、まともな政権運営をできないような政権が運用を誤れば、国民の重要な権利利益を侵害するおそれがないとは言えない。こういう法制に手をつけようなどというのは論外だ。官房長官として、こういった秘密保全法制の具体化は直ちにやめるべきだ。

○藤村国務大臣 例えば、当時は枝野官房長官でありましたが、冒頭の発言では、基本的に、秘密保護法制を考える上では、一方で機密の保持という利益があるが、また一方で、国民の知る権利、情報公開という、この政権が重視するオープンな政府の実現という利益もある、その両者をどうバランスをとっていくかが非常に重要であるということは委員の皆さんにずっと申し上げてきた中で、情報漏えいに関するいわゆる脅威が高まっているというこの現状は、外国との情報共有を推進していくことを考えても、それは非常に重要なことであると考えております。
 私どもは、速やかにこの秘密保全に関する法制を整備することは大変必要なことだと。政府としては、国民の知る権利や取材の自由等を十分に尊重しつつ、秘密保全に関する法整備を、法案化作業に取り組んでまいりますが、早期に国会に提出できるよう努力していきたいと考えております。

○塩川委員 あの報償費で使い込みをやっていたような警察、あるいは外務省機密費で競馬馬を買っていたような外務省、また、天下り先確保のための官製談合をやったり、防衛事務次官の不祥事のあるような防衛省が、省益のために、秘密という形でみずからの不祥事を覆い隠すようなことにもなりかねないようなこういう秘密保全法制が、まさに事務局、官僚主導で行われているということこそが問われなければならない。
 秘密保全法制というのは、必然的に取材の自由や国民の知る権利を侵害し、民主主義を根本から脅かすものとならざるを得ないという点でも、秘密保全法制の具体化は直ちに取りやめるべきだということを強く申し上げ、次の質問に移ります。
 官房長官、ありがとうございました。
 川端大臣にお尋ねします。
 国の出先機関改革についてですが、先日、三月三日に地方を守る会の総会が行われました。全国の四百四十七の市町村長が会員となっている会で、全国の市町村の四分の一を超える市町村長が加入をしたこの地方を守る会は、拙速に国の出先機関廃止論を進めるなということを決議しております。
 この決議では、「今回の大震災では、発災直後から地方整備局や地方経済産業局と市町村が一体となって、迅速かつ懸命な救援活動やインフラ・産業の復旧が行われるなど、地域における国の出先の役割が改めて認識された。また、昨年、全国各地を襲った水害でも、こうした認識が持たれたところである。」
 そこで、大臣にお尋ねしますが、多くの市町村長は、今回の大震災や全国を襲った水害などで、地域における国の出先の役割が改めて認識されたと指摘をしております。この認識は大臣も共有されるでしょうか。

○川端国務大臣 東日本大震災という千年に一度という大災害、あるいは台風による災害も大変大きな規模でありました。こういう場合において、国あるいは地方自治体、民間を問わずに、いわゆる実動部隊としての自衛隊、警察、消防、電力、ガス等も含めて、こういうものを有する部隊が全国から連携して、その能力を最大に発揮して対応したということはそのとおりだというふうに思います。そういう中で、地方整備局や経済産業局等が国の出先機関としての役割をしっかり果たされたことは事実だというふうに思います。
 ただ、この決議文全体のことであえて申し上げれば、この権限、機能、能力が最大限発揮されたということは本当にそのとおりだと思うし、よくやられたと思いますが、これが国の出先機関であることも事実であります。私たちが国の出先機関を、アクション・プランに従って、まず初めはやりたいという意思のある広域自治体を受け皿として移管しようとしているのは、この機能、組織、事務権限、人員そのまま、その組織のまま移管をするということであって、そういう意味では、移管をされてもこの機能がなくなるということでは全くありません。
 その部分は少し、この決議文を読ませていただくと「東日本大震災などの教訓を全く鑑みることなく、」と書いてあるんですけれども、そうではなくて、こういう震災で役に立った機能をいかにしっかり維持するか。
 そして、千年に一度という災害もあれば、毎年起こるような災害もあります。そういう部分に、ここにもお触れになっていますけれども、国や地方自治体を含めて、こういうあらゆる機能がしっかりと緊急のときに対応できるという権能は極めて大事だと思って、そのことは極めて慎重に、そしてあらゆる対応ができるようにということで議論していることだけは、ぜひともに御理解をいただきたいと思っております。

○塩川委員 大臣も、この大震災などで国の出先機関が果たした役割を認めておられるわけであります。
 そうであるならば、これは地方を守る会に出席されていた首長さんもおっしゃっておられましたけれども、そもそも、例えば国土交通省の地方整備局、安心、安全という点で大きな役割を発揮した、この安心、安全という立場から見て、現行の地方整備局のどこに問題があるから改革するという話なんでしょうか。

○川端国務大臣 今、それぞれの役割を、責任を持って、誇りを持って、そして能力高くやっていただいていることは事実だと思います。そのときに、ここに欠点があるからということの発想ではありません。
 地域に身近な行政はできるだけ地域でやっていただこうという地域主権、そういう大きな流れの中で、この震災対応での決議文にも、表現的には出先と市町村が一体となってと書いてありますけれども、県も含めて、そういうことでいえば、より身近な地域、今回は広域連合を想定していますけれども、そういうところが一体的に組織を持ち、やるということ、そして全国と連携できるということを持つことによって、よりよい行政が実現できる。
 例えば、経済産業局で工業団地等々をやっていこうという計画と整備局における道路計画は、省庁が別ですから基本的には別々にやるというのが、広域連合のもとに一体的にやるということであれば、両方の計画を初めから組み合わせたプランができるというふうなことで、より具体的、身近な行政を進めようという理念のもとに取り組んでいることは御理解をいただきたいと思います。

○塩川委員 大臣の答弁にありましたように、安全、安心という立場から見て地方整備局のどこに問題があるのかということについては、欠点があるからという発想ではないということでいえば、欠点があるということではないというお話であります。
 地域の身近なことは地域でという話だということですけれども、こういういわば大災害、災害時、非常時において果たすという点においたときに、国の果たすべき役割がしっかりあるだろうというのが市町村側の要望となっているわけで、そういう意味でも、国の出先の果たす役割というのを認めるのであれば、現行の仕組みについて何らかの欠点があるというわけではないというのであれば、なぜ見直しをするのかという声が全国の市町村長から上がるというのは当然のことじゃないでしょうか。

○川端国務大臣 千年に一度のこういう災害というときに、総力を挙げて対応するときにどういう仕組みでやるかということにおいては、我々も、出先機関を移すときにその機能を失ってはいけないということは十二分に意識する中で、そういう非常時対応というのは考えなければいけない。千年に一度、百年に一度、十年に一度、それぞれあると思います。
 そういうときに、私たちは、その出先が今持っている組織や人員、権限、機能をそのまま移すということで、解体するということは一切考えているわけではありませんので、そういう意味では、そういう非常時対応はしっかりと確保するということは当然のことだと思っています。
 ただ、国の出先という形でいるのが大前提であるのかどうかということでいえば、その組織や権限、機能がそのまま移管をすれば、別にそれは国でなくてもいい、そして国との連携がしっかり図られればいい。そういう意味では、それを担保するならば、より地方自治体に近いところにあった方が、よりきめ細かく、現状に合った、そして省庁の壁を乗り越えた部分ができるという、前向きに取り組んでいることでありますので、欠点がなかったら移す必要はないという意味ではないことを改めて申し上げておきたいと思います。

○塩川委員 もともと、九州や関西の方で受け皿という話がありますけれども、どこの区域をするのかということ自身も当然議論があるわけで、そのまま移管といっても実際にはそうならないというのが実態というところに多くの市町村長からの不安の声も上がっているわけで、こういう点について、都道府県と国が協議したからいいですよという話にはならないという声も含めて、批判の声になっているわけであります。
 市町村から見ての国の役割ということについてもきちんとした検証を行うべきだ、そういうことを求め、そもそも、こういった国の出先機関の原則廃止という議論が、大枠として、総人件費二割削減ということから出ていることがゆがみをつくり出している。私は、この総人件費二割削減方針そのものも撤回すべきだ、こういうことを強く求め、国の出先機関改革の議論そのものが今行うべき話ではないということを申し上げて、質問を終わります。