<第180通常国会 2012年03月08日 総務委員会 6号>



○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 きょうは、総理に、東日本大震災の被災地の復興に対する消費税増税の影響についてお尋ねをいたします。
 消費税増税は、二〇一四年八%、二〇一五年一〇%、ちょうどこの時期は東日本大震災の集中復興期間と重なる時期であります。消費税増税が、被災者の生活となりわいの再建、被災地の復興の足かせとなる危惧を覚えるわけであります。
 具体的にお尋ねをいたします。被災者の住宅再建なしに生活の再建はあり得ません。被災地では、防災集団移転促進事業や区画整理事業などの準備を本格的に進めております。その中で、住民合意に時間をかけている地域も少なくありません。迅速な住宅再建の取り組みと同時に、住民合意を前提とした丁寧なまちづくりが必要であります。また、福島では、戻る見通しそのものが立たないという被災者が多いというのも実態であります。
 そこで、総理、それなのに消費税増税ということになれば、こういった被災者の住宅再建にとって大きな負担をもたらす、大きな影響を及ぼすことになるんじゃありませんか。

○野田内閣総理大臣 私どもの内閣の最重要課題は震災からの復旧復興と原発事故との戦いと日本経済の再生である、昨年、政権発足当初にそう申し上げさせていただきました。この姿勢は不変でございます。
 むしろ、ことしは、きょうは予算を衆議院通過させていただきましたけれども、復興関係の予算は三・八兆円入っていますので、一日も早く成立をさせていただき、冒頭申し上げた、復興の部分についてはスピードアップ、復興庁もできましたので、加速をしていきたいと思いますし、被災者の生活を再建する上で住宅の問題も大きいと思います。どこに建てるか含めて、高台移転の問題等々含めて、さまざまな課題がございますが、そうした事業が加速するように努力をしていきたいと思います。
 一方で、消費税の問題は、社会保障と税の一体改革というくくりの中で国民の皆様にお願いをしたいと思っております。社会保障改革も、これも待ったなしであります。少子高齢化が進展をしている中で、人口構造が激変をしている中で、社会保障の持続可能性をしっかり担保するための安定財源が必要です。社会保障をまさに充実させていく、安定化させるということは、再分配機能だと私は思います。それを支える税として何がいいかという形で消費税をお願いしていますが、当然、逆進性対策等も講じていかなければなりません。
 そういうことをやりながら、復興もやらなければなりません。一方で、社会保障と税の一体改革も、これも待ったなしの状況になっているということで、あわせて御理解を進めていきたいというふうに思います。

○塩川委員 質問に答えておりません。
 総理の説明というのは、復興は復興、消費税は消費税、こういう話ですけれども、復興の核である被災者の住宅再建に消費税増税が否定的な影響を与えるんじゃないかということをお尋ねしているわけです。
 被災者はマイナスからのスタートです。せめてゼロにしようというのがこの間の支援策で行っていることであるわけで、復興は復興としてしっかりやるというのは当然のことであります。しかし、消費税増税というのは、そういう被災者を再びマイナスの状況に追い込むことになるんじゃないのか、消費税増税が住宅再建にとって大きな障害となる、このことが問われているわけであります。
 昨年七月に、復興財源として消費税の議論がありました。それの関連で、当時、海江田経済産業大臣は、委員会での答弁で、復興財源を消費税に求めると、住宅の再建や改築に一〇%の消費税がかかることになったら家が建たないわけだから、よく考慮しなければならないと。これは復興財源の議論ではありますけれども、消費税増税が住宅の再建、改築に大きな影響を与えて、家が建たないことになるということで、消費税の影響を認める発言をしております。総理はこの点、同じ認識ですか。

○野田内閣総理大臣 海江田大臣の発言は今初めて聞きましたので、十分同じ認識かと問われても、ちょっと定かにはわかりません。真意をよくお聞きしないとわかりません。

○塩川委員 消費税増税の住宅再建に対する影響についてお答えがない。
 この間、被災地では、皆さんが懸命に生活再建、地域復興に取り組んでおられる。そういった中でも、例えば、仙台市内で三歳の子供さんを持つお母さんが津波で家が全壊判定を受け、大変な思いをした、ことしに入って子供の医療費が有料になってきつくなり、その上消費税を上げるなんて絶対に許せない、これが被災地の声であります。こういった問題について、現状も十分踏まえない消費税増税のやり方そのものが許されない。
 もう一点お尋ねしたいのが、被災者のなりわいの再建にとっても消費税増税は障害となるということであります。
 三陸最大の水産加工基地である気仙沼や石巻は、地盤沈下に悩まされて、復旧復興に時間がかかっております。きょうの読売新聞でも、石巻の魚市場の社長さんの話として、石巻の水揚げ回復はまだ二割程度、石巻に魚が集まるのは、漁港の後背地に加工会社が集積する水産加工団地があるから、その加工団地の復興が進んでいない、特に、事業の本格的再開に欠かせない冷凍凍結設備の復旧がおくれている、港の機能が復旧しても、冷凍機能と加工会社が復活をしないと水揚げは回復をしない、水産加工業が復活しないと雇用も生まれず、石巻の復興はあり得ないと述べています。
 総理にお尋ねしますが、こういった被災地において一体的な早期の復旧を行っていく、そういう中で、かなめとなる水産加工業をしっかりと興していく。こういう、いよいよ水産加工業を興し、復活復興しようという時期には消費税増税が押し寄せることになる。この消費税増税というのは、被災地のなりわいの再建の障害となるということは明らかじゃありませんか。

○野田内閣総理大臣 だんだん理解できてきました。
 例えば、住宅再建だったら住宅再建をしなきゃいけないんです。その政策的後押しはいろいろなやり方があると思います。今の水産加工業の復活あるいは集積含めての対策は、例えばグループ補助金等々を活用していただくであるとか、あるいは、今回、復興特区をつくる形になりました、特区という形で法人税を減免しながらという対応であるとか、いろいろな後押しの仕方はあると思います。
 今の御質問の中では、要は、水産加工業を営む業、なりわいの人たちの経営力をどうやって強化させていくか。そういう政策をあわせてやりながら、まさにやろうとしている水産加工の復活に向けての担保をとっていくことが大事だというふうに思います。

○塩川委員 いやいや、マイナスからのスタートをゼロにしようという支援策を行ったときに、さらにマイナスになるような、むち打つようなことが消費税増税なんじゃないのか、住宅の再建にとっても、こういった水産加工業の復興にとっても、消費税が足を引っ張ることになるんじゃないのか、こういう認識をお持ちじゃないのかということをお尋ねしているんですが、改めてお答えください。

○野田内閣総理大臣 消費税を引き上げるということは、さっき申し上げたとおり、社会保障を持続可能なものにする、充実、安定化させるということで、それはそれで、別の意味でそれぞれの皆さんの生活にとって、水産加工業を営んでいる方にとってだって、住宅再建を希望しようとする方にとってだって老後はあるんです、病気になることもあるんです、失業もあるんです。そういうときに手当てをするのが消費税であるということで、それは総合的に勘案をしていただきたいというふうに思います。

○塩川委員 消費税増税が被災地の復興の足かせになるんじゃないかということについてのお答えがありませんでした。これでは、被災地の現状を余りにわかっていないと言わざるを得ません。阪神・淡路大震災のときにも、二年後に消費税の増税がありました。そのときにも、震災と消費税不況のダブルパンチ、こういうことが大きく問題となったわけであります。
 こういった阪神・淡路大震災の教訓を見ても、復興の障害となる消費税増税はやるべきじゃない。今、東日本大震災の被災地では復旧復興に向けた懸命の努力が行われているわけで、生活となりわいの再建に立ち上がろうという被災地にまで情け容赦なく襲いかかる大増税を行うなどは、常軌を逸した冷酷な政治と言わなければなりません。
 暮らしも経済も財政も被災地も壊す消費税増税に断固反対だ、このことを強く申し上げて、質問を終わります。