<第180通常国会 2012年03月28日 内閣委員会 6号>



○塩川委員 私は、日本共産党を代表して、新型インフルエンザ等対策特別措置法案に対して反対の討論を行います。
 新型インフルエンザは、人々の生命と健康に甚大な被害を与えるとともに大きな社会的な影響をもたらすものであり、近年、強毒性のH5N1型のインフルエンザの流行の懸念が世界的に高まっています。
 こうした重大な感染症から国民の生命と健康を守り、国民生活を守ることは喫緊の課題であり、新型インフルエンザの影響を最小限に抑えるための対策が求められています。そのためには、二〇〇九年の新型インフルエンザの際に適切な対策をとることができず、混乱を招いたことの教訓と総括を生かさなければなりません。この間、検疫などの人的体制の強化や土台となる地域医療体制の強化など、総合的な対策が議論になってきました。
 ところが、政府提出の新型インフルエンザ等対策特別措置法案は、危機管理の角度からの対策が強調されています。多数の人々が集まる施設の使用停止の指示などの人権制限規定に対しては、さまざまな疑問の声が上がっています。対策のために人権制限が必要だとしても、その必要性や要件、運用方法については国民的な議論による合意が不可欠であります。そうした国民的な合意がなければ、対策の推進に資するどころか、反対に混乱すら招きかねません。
 今回の法案は、国民的な議論や合意の積み上げが決定的に不足していることを指摘せざるを得ません。かかる法案は、国会において、専門家の意見聴取、各地での公聴会も含めて、徹底的かつ慎重な審議が必要であります。にもかかわらず、閣議決定から三週間足らず、わずか五時間の審議で採決というものであります。これで国民の理解と合意を得られるでしょうか。
 引き続き慎重な審議こそ必要だということを重ねて申し上げ、討論を終わります。