<第180通常国会 2012年03月28日 内閣委員会 6号>



○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 新型インフルエンザが大規模、急速に蔓延をして、国民の生命、健康を損ない、国民生活や経済活動に深刻な被害をもたらす場合に備え、その対策を講じていくことが必要であります。一方、緊急事態への対応という理由で基本的人権を制約する措置については、慎重な検討が求められます。
 そこで、まず、この法案が想定をしております被害、この被害の想定についてお尋ねしたいんですが、この法案の前提としている人的な被害についてはどのようなものを想定しておられるのか、確認でお尋ねいたします。

○中川国務大臣 お答えをいたします。
 この法案そのものが、これまでの新型インフルエンザ対策行動計画、これは実は九月二十日に改定をされているんですけれども、この流行規模及び被害想定を前提としております。
 その中身ということなんですが、過去に世界で大流行しましたインフルエンザのデータを参考にして、全人口の二五%が新型インフルエンザに罹患をして、致死率については、アジア・インフルエンザ等並みの中等度の場合は〇・五三%、スペイン・インフルエンザ並みの重度の場合が二%というふうに想定をすると、医療機関を受診する患者数の上限は約二千五百万人。それから、入院患者数の上限は、中等度の場合で約五十三万人、重度の場合で約二百万人。それから、一日当たりの最大入院患者数は、中等度の場合で十・一万人、重度の場合で三十九・九万人。それから、死亡者数の上限は、中等度の場合で約十七万人、重度の場合で約六十四万人。欠勤率でいきますと最大四〇%という程度で推計をしております。
 この被害推計は、最新の科学的知見に基づいて、随時これからも見直していくという前提で運営をしていきたいということでございます。

○塩川委員 先週の質疑の中で、大臣は、最悪の事態を想定して対処していくことが必要だと述べておられますけれども、今言ったスペイン・インフルエンザなどを想定した重度の場合、これがその最悪の事態ということでしょうか。

○中川国務大臣 現状の想定はそういうことなんですが、先ほど申し上げたとおり、これからも、最新の科学的な知見に基づいてこの状況というのを随時見直していくということを前提にした中での最悪ということであります。

○塩川委員 ただ、専門家の皆さんからは、もっと深刻な事態もあるのではないのかという指摘もございますし、一方、スペイン・インフルエンザをベースにしたような、こういった被害想定そのものが今の実態とかみ合っていないんじゃないのか、こういう意見も出されております。
 そういう点では、この新型インフルエンザ対策を進める上では、国民的な協力が不可欠で、そのためにも正確な情報提供が必要ですけれども、残念ながら、今、多くの国民の皆さんにこういった内容について伝わっていない。そういう点で、国民的な議論が欠けているのではないのかということを思わざるを得ません。
 その上で、四十五条二項に関連して、権利制限の規定についてお尋ねをいたします。
 四十五条二項では、「都道府県知事は、新型インフルエンザ等緊急事態において、新型インフルエンザ等のまん延を防止し、国民の生命及び健康を保護し、並びに国民生活及び国民経済の混乱を回避するため必要があると認めるときは、新型インフルエンザ等の潜伏期間及び治癒までの期間を考慮して当該特定都道府県知事が定める期間において、学校、社会福祉施設、興行場その他の政令で定める多数の者が利用する施設を管理する者又は当該施設を使用して催物を開催する者に対し、当該施設の使用の制限若しくは停止又は催物の開催の制限若しくは停止その他政令で定める措置を講ずるよう要請することができる。」とあります。
 そこで、お尋ねしますけれども、ここで言っているその他政令で定める施設管理者等には、例えば、公園を使用した集会主催者も入るということでいいんでしょうか。

○中川国務大臣 多数の者が集まる機会をできるだけ少なくするということが新型インフルエンザの感染拡大を防止するのに有効な手段であるということから、催し物の開催の制限、停止等の措置を盛り込んでいるということでありますが、学校、社会福祉施設あるいは興行場、先ほどお尋ねのあったものも含めて、今後政令で定めていくということになっておりまして、専門家の御意見等も踏まえつつ検討していくということでございます。
 これは、もう一方で、社会的機能ということも勘案しながらということになりますので、できれば、パブリックコメントなど広く、先ほど御指摘があったように、国民的な議論を得て検討してまいりたいというふうに思っております。

○塩川委員 公園を使用した集会主催者というのも含むということでいいんでしょうか。

○中川国務大臣 自然な議論になるとそういうことだと思うんですが、これも改めて専門家の議論を得た上で決めていきたいというふうに思います。

○塩川委員 自然な議論ではそうだということで、入るという話であります。
 また、人が集まるような施設、場所ということであれば、鉄道の駅ですとか、あるいは工場とかスーパーマーケットもあるわけですけれども、こういったところはどうなんでしょうか。

○中川国務大臣 これも、例えば対象施設の考慮要素といいますか、何を考慮しなきゃいけないかという要素で考えていくと、利用人数であるとか、あるいは施設の広さ、あるいは利用の状況、密度とか接触機会、あるいは手指の消毒等ができるかどうかとか、そういうさまざまな要素があると思うので、その辺も加味しながらの一つ一つの基準づくりということになっていくと思います。
 そういう意味で、改めて専門家の中でそれを議論していただいて基準を決めていくということにしていくということです。

○塩川委員 専門家の議論も経て中身を決めていくということですから、現時点で、除くとなっているということでもありません。そういう点では、具体的にこれこれは除くという対象への限定ということについては、この法文上は示されていないわけであります。
 学校、興行場等の使用制限、停止などの要請等については、政府対策本部が基本的対処方針を示していく仕組みとなっております。その際に、「新型インフルエンザ等のまん延を防止し、国民の生命及び健康を保護し、並びに国民生活及び国民経済の混乱を回避するため必要があると認める」、こういう要件に立って国が判断をすれば、実際には限定なく対象が広がりかねないのではないのかという疑問を持つわけであります。
 その点では、期間についても同様で、政府対策本部が基本的対処方針において統一的な方針を定めることになっており、法文上には特段の期間の限定というのはないと思いますが、この点はいかがでしょうか。

○中川国務大臣 国、都道府県あるいは市町村が連携しながら対応していくわけですが、講じるべき対策というのは非常に多岐にわたっておりまして、実際には、先ほどお話しの公共的機関や公益的事業を営む法人に担っていただく対策も非常に多いということが想定をされます。
 このため、あらかじめ国または都道府県が指定公共機関を指定しまして、当該機関に新型インフルエンザ等発生時の対策を実施する責務を課していくということになるわけですが、そういうことによって、国、地方あるいは民間の公共的機関や公益的事業者とが総合的な対策として組み合わせて準備ができるということになってきます。
 本法案における機関あるいは法人ということについては、条文上、災害対策基本法等と同様に、電気、ガスの供給事業、通信、運送の事業を営む法人に加えて、新型インフルエンザ等対策において重要な位置を占める医療、医薬品それから医療機器の製造または販売事業を営む法人を例示的に挙げております。
 実際にどのような機関を指定するかということについては今後検討していくことになるんですが、指定公共機関等として指定する場合には、新型インフルエンザ等発生時に指定公共機関等として責務を果たしていただくためにその役割について十分な理解をしていただく、それが前提になるわけですが、そこが重要だというふうに考えております。

○塩川委員 失礼、ちょっと言葉が足りなかったと思うんですけれども、指定公共機関の機関じゃなくて、スパンとしての期間の話です。
 つまり、使用制限ですとか停止などの要請を行うわけですけれども、その際にどのくらいの期間、使用制限とかあるいは停止を求めるかということについては法文上に特段の限定がないと思うんですが、この点についてお尋ねします。

○中川国務大臣 失礼しました。
 法文上には指定はしておりません。ただ、想定しているのは、発生初期などおおむね一、二週間程度を目安に講ずることが主に想定をされているということであります。政府対策本部の定める基本的対処方針が出てくるわけですが、ここにおいて統一的な方針を定めることを想定しておりまして、できる限り内容等をその時点で明確にしていくということであります。

○塩川委員 今、発生初期などおおむね一、二週間程度を目安に講ずることが想定されているということなんですけれども、発生初期などということです。その点では、新型インフルエンザ対策行動計画を見ても、国内発生早期、国内感染期、それから小康期とそれぞれ区分があるわけですよね。そうすると、発生初期などとおっしゃっておられるので、その期間というのは国内発生早期に限定されているものなんでしょうか。

○中川国務大臣 実際に発生の状況を見ていくと、恐らく、まず地域ごとに指定が順番になされていって、それが全国に広がっていくというプロセスになっていくんだろうというふうに思います。
 そういう意味で、地域の状況を見ながら発生時期に応じた形で想定したのが一、二週間ということですが、時と場合によっては、その状況によって変わってくるということも想定をされるということであります。

○塩川委員 この行動計画では、国内発生早期だけではなく国内感染期でも、集会の自粛等の権利制限の要請を行うことを想定しているということになっていますね。

○田河政府参考人 感染を防止するための協力要請でございますが、この法案の条文におきましては、具体的な期間は定めておりません。しかしながら、新型インフルエンザ等の潜伏期間及び治癒までの期間並びに発生の状況を考慮して都道府県知事が定める期間、これは、先ほど一、二週間程度と申し上げましたのは、そうした潜伏期間とか治癒までの期間を考慮してというふうに法律上規定しているため、そのようにお答えしたものでございます。
 そしてまた、どういう場合に協力要請を行っていくのかにつきまして、確かに行動計画の中でも記載もしておりますが、その点につきましては、厚労省の新型インフルエンザの専門家会議でも、どういうふうに協力要請をしていくべきか、そういう議論もされております。
 そして、その専門家会議などを見ますと、例えば、発生の最初のころにするのが効果的ではないかなどの議論もされているところでございまして、そうしたことにつきましては、私ども、新型インフルエンザの専門家の方々の御意見を聞きながら、今後さらに検討を深めていきたい、そのように考えております。

○塩川委員 法文上に期間の規定はないということで、政府が専門家に意見も聞きながら基本的対処方針の中で決めるということですけれども、例えば、今言ったように、国内感染期でも集会の自粛等の権利制限の要請も予定していますし、小康期でも、「臨時休業や集会の自粛等の解除の目安を示す。」とあるので、小康期においても集会の自粛等が想定されるものとなっております。この行動計画でも、流行が各地域で約八週間続くという仮定のもとでのシミュレーションなども行っているということですから、単純に、今言った潜伏期間及び治癒までの期間ということではないし、また、第二波があるんじゃないかという話もあります。
 期間の限定が示されていない。なるべく期間を短く限定するという明文上の規定もない。そういう点では、この法案では、対象も期間も限定がなく、国の基本的対処方針次第となっているというスキームであります。
 こういったことについて、本来は国民的な議論が必要であります。しかしながら、法案提出に至る検討が行われた関係省庁対策会議や内閣官房新型インフルエンザ等対策室における検討については、議事録が公開されていない。そのために、どのような議論が行われたかが国民の前に明らかではないということだと思うんですが、この議事録というのは公開されているのかどうか、その点を確認させてください。

○田河政府参考人 この新型インフルエンザ対策に関しましては、御指摘のように、関係省庁の局長級の会議の中でも議論が進められてきたところでございます。また、そのほかにも、医療関係者あるいは地方自治体の方々とも意見交換等をさせていただいております。
 それで、御指摘の局長級の関係省庁対策会議は、議事概要がたしかホームページに掲載されていたかというふうに考えております。

○塩川委員 いや、議事録が公開されているかとお聞きしたんですが、その点はいかがですか。

○田河政府参考人 お答えいたします。
 議事録ではなく議事概要が公表されております。

○塩川委員 ですから、議事録が公開されていないんですよ。専門家のヒアリングなども行われているけれども、その中身というのもわからないという状況です。
 この間でいえば、原発事故対処に当たっての議事録も残っていなければ、秘密保全法制についての有識者会議の議事録の公開も行わない、こういった政府の対応があるからこそ、国民の信頼が損なわれているのではないのかということを言わざるを得ません。また同じことを繰り返そうとしているのではないのか。
 国民的な議論を経て基本的対処方針などを決めるということですけれども、その前段として、そもそもこの法案審議に当たって、透明化を図って、国民的な意見を踏まえたものにしてこそ、国民的な協力の道だと思います。情報開示もまともに行わず、国民的な議論の場も保障しない状況で、基本的人権の制約等に関して国民から懸念の声が上がるのは当然であります。
 新型インフルエンザ流行という深刻な事態においては、国民的な協力が欠かせないわけで、このような国民の理解と納得のないまま拙速に進めれば、結果として、国民の協力が得られないということにもなりかねない、このことを指摘しておくものであります。
 次に、指定公共機関に関連してお尋ねをいたします。
 この指定公共機関には、放送局としてNHKが例示をされています。政令で定めるということがありますから、この政令で定めるものの中に民放は含まれるんでしょうか。

○中川国務大臣 指定公共機関は、国によって指定されるものでありまして、この枠組みは災害対策基本法と同様のものを前提にしております。そういう意味で、日本放送協会、NHKもここに例示をされているということであります。
 現時点では、業務計画の策定等はNHKについては義務づけられていないために、仮に新型インフルエンザ等が発生した場合に、確実に業務を継続することに支障が生じるというふうなおそれがあります。このために、指定公共機関として指定し、蔓延時に備えるために、業務計画の作成、その概要の公表等、国民に対し一定の責務を担っていただくということであります。
 民放各社については、災害対策基本法では指定をされておりませんので、本法案についても、現段階においては政令で指定することは想定をしていません。

○塩川委員 災害対策基本法と同様のものを基本にしているとおっしゃいましたけれども、この間の説明では、地方との関係では災害対策基本法、国のあり方の問題では国民保護法という危機管理法制をベースに法案化したと承知をしているわけですけれども、それはそうですね、違うんですか。

○田河政府参考人 指定公共機関に関してのお尋ねでございますが、この法案、災害対策基本法と国民保護法、その両方のよいところをなるべく取り入れるような形でつくったつもりでございます。そういう面で、それぞれ踏まえながら、必要性に応じて考えている。
 ですから、例えば、先ほど民放のお話もいただきましたが、それに関しては、現時点で私どもは余り考えていないというふうな状況でございます。

○塩川委員 国民保護法では指定公共機関に民放が入っていると承知していますが、その点を確認してもらえますか。

○田河政府参考人 国民保護法におきましては、御指摘のように、これは民放も含まれております。これはやはり、国民保護法が想定している緊急事態に警報を出す、そうしたことも関係しているのかというふうにも思っております。

○塩川委員 さっきの答弁で、現時点では民放は考えていないということですけれども、それは現時点の話でもありますし、国民保護法と災害対策基本法のいいところを踏まえてつくったということであれば、政府として、国民保護法のいいところという趣旨として、指定公共機関に民放を入れるということもまた排除されないということも言えるわけであります。
 それで、指定公共機関は業務計画の作成が義務づけられます。そこで、お聞きしたいのは、九条二項一号に、当該指定公共機関が実施する新型インフルエンザ等対策の内容及び実施方法に関する事項とありますけれども、例えばNHKで、業務計画に放送内容についても書き込むというふうになるんでしょうか、ならないんでしょうか。

○田河政府参考人 ここの指定公共機関の業務計画、いわゆる業務継続計画とよく言われますが、BCPと言われている場合もございます、そうしたものを私どもは想定しています。そういう意味におきましては、放送の自律性、そうしたものは当然尊重されるべきものである、私どもはそのように考えております。

○塩川委員 それから、政府行動計画の作成、公表に係る六条二項二号のロでは、「新型インフルエンザ等に関する情報の地方公共団体、指定公共機関、事業者及び国民への適切な方法による提供」とあります。つまり、政府として指定公共機関等に適切な情報の提供とあるわけですけれども、それを踏まえて、放送局に対し、政府の情報を報道してくださいねという要請というのは、これはあり得る話なんですか。

○田河政府参考人 お答えいたします。
 第六条第二項の、ここのロのところでございますが、「新型インフルエンザ等に関する情報の地方公共団体、指定公共機関、事業者及び国民への適切な方法による提供」、これは、いろいろな主体となる地方公共団体、指定公共機関、放送局以外の、むしろいろいろな電力とかそういうところも想定されます。そうしたところが適切に対応できるよう、そういうところに対して情報提供するという内容でございます。

○塩川委員 新型インフルエンザ発生時には、政府対策本部長は、基本的対処方針に基づき、指定公共機関に対し総合調整を行うことができる、従わない場合には、政府対策本部長は、指定公共機関に対し必要な指示をすることができるとあります。この規定を踏まえると、放送内容への介入が可能となるのではないのかということも見てとれるわけですが、この点はどうでしょうか。

○田河政府参考人 お答えいたします。
 私ども、放送事業者に関しましては、報道の自由あるいは編成権の自由との関係もあり、これらが最大限尊重されるべきことは当然だろうというふうに思っております。放送法にも、法律に定める権限に基づく場合でなければ、放送事業者は放送番組の編集の自由を侵されない、そういう規定もございます。そうしたことを当然踏まえながら、対応していく考えでございます。

○塩川委員 業務継続計画をつくってもらう、だからこそ指定公共機関だという話がありましたけれども、そういう意味では、ふだんの業務を続けてください、そのための体制をしっかりつくってくださいねという趣旨でしょうけれども、そういう点でいいますと、放送法上、NHKにはあまねく義務がかかっています。ですから、あらゆる事態も想定をしてNHKは放送を届けるという義務がそもそもかかっているんですから、何も新たに指定公共機関に入れる必要がないんじゃないですか。

○田河政府参考人 お答えいたします。
 日本放送協会さんを法案の中で指定している、これは災害対策基本法と同様な枠組みでございますが、現在、日本放送協会につきましては、現状の状態を申し上げますと、新型インフルエンザ蔓延時における業務計画の策定等は法律上義務づけられておりません。そうした意味におきましては、仮に新型インフルエンザが発生した場合、確実に業務を継続することに支障が生じるおそれがあるというふうに考えております。
 このため、私ども、法案の中におきましては、日本放送協会につきましては指定公共機関として指定し、蔓延時に備えるため業務計画の作成をお願いする一方で、また、そのことに対して、きちんと業務が継続できるよう、NHKの方から国や地方公共団体に対し協力の応援を求めることができる、そうした枠組みとすることが適当であるというふうに考えているところでございます。

○塩川委員 NHKにそういったのをかける必然性というのはわかりません。
 時間が来たので終わりますけれども、この法案のベースとなった国民保護法では、放送局に対し、警報、避難の指示の放送義務を課しています。有事法制である国民保護法を下敷きにしたこの法案では、放送内容への介入が生じる懸念は拭えません。本来、パンデミックに備えるということであれば、危機管理だけを議論するのではなくて、日常的な医療体制の強化など総合的な対策が必要です。
 そういう点でも、例えば保健所です。保健所においても、今まさに公衆衛生の拠点、司令塔の役割を果たすわけですけれども、この間、保健所の数は減少しています。さらには、保健所長の医師資格という要件を外すという要望が地方団体とか地方分権改革推進委員会から出ているわけですよね。それはおかしいじゃないかと厚労省なども言っているわけですけれども、なぜそういう声が出ているのかといえば、医師確保が困難だからというのが地方側の声になっているわけですよ。そういった現状の医師不足という事態こそ打開をすべきだ。こういうことにこそ力を入れることによって、日常的な医療体制の強化などの総合的な対策を図る。
 この間、地域医療体制が掘り崩されるような国の地方財政措置の後退などを改めて、医療体制の充実、マンパワーの充実こそ非常時への一番の備えだということを申し上げて、質問を終わります。