<第180通常国会 2012年04月11日 郵政改革に関する特別委員会 4号>



○塩川委員 私は、日本共産党を代表して、郵政民営化法改正案に対して反対の討論を行います。
 反対の理由は、この法案が、あまねく全国において公平に利用できる金融のユニバーサルサービスを義務づけるとされていますが、その提供を担保する仕組みとはなっていないからです。さらに、郵便局の定義の変更は、設置義務の対象となる郵便局の範囲を狭めており、郵便局ネットワークの縮小を容認するものとなっていることも重大です。小泉郵政民営化の見直しどころか、さらなる改悪を加えた上で株式売却の凍結を解除することになり、金融二社は利潤追求に走り出し、金融のユニバーサルサービスの後退は必至であります。
 郵政民営化によるサービス低下の不満や懸念する国民の声を受けて、民主党は政権交代を実現し、見直しの第一歩として株式売却を凍結しました。ところが、郵政事業の見直しをするとして提出されていた郵政改革法案は、根本的な見直しを行うものでなかったことは重大でした。その郵政改革法案を取り下げて提出されたこの法案は、郵政改革法案をさらに後退させた上で、株式凍結を解除することで、小泉郵政民営化を実質的に継続させるものにほかなりません。
 そもそも、この法案は、金融のユニバーサルサービスの義務づけを行ったのは日本郵政持ち株会社と新会社の日本郵便株式会社のみで、金融サービスを提供する郵便貯金銀行、郵便保険会社の二社に義務づけるものとなっていません。金融二社は、銀行法、保険業法上の民間会社であり、金融の全国一律サービスの義務づけが貫徹する制度設計になっていません。
 さらに、金融のユニバーサルサービスを義務づけられた日本郵政が保有する金融二社の株式について、完全処分を目指すとされています。これでは、日本郵政が二社にサービス提供を求めるための影響力を持ち続ける法的担保もありません。
 郵政改革法案では、その担保として、日本郵政による金融二社の三分の一超の株式保有の規定がありましたが、今回の法案ではそれがなくなっています。我が党は、改革法案も、金融のユニバーサルサービスを担保したとは言えないと反対しましたが、この法案では、その規定さえなくなっております。
 加えて、いまだに、金融のユニバーサルサービスを保障すると称する定款の内容は示されておりません。金融のユニバーサルサービスの担保のための基本的資料が示されない段階で、わずか三時間の法案審議で採決をすることは極めて重大だ、このことを指摘して、討論を終わります。