<第180通常国会 2012年04月11日 郵政改革に関する特別委員会 4号>



○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 郵政特別委員会が設置をされて、ちょうど一年であります。一年たって、法案審議がきょうの一回だけというのがきょうの理事会でも改めて確認をされたところであります。
 この一年間に、理事懇、理事会、私が承知している限りでは二十七回ぐらい行っておりまして、それなのに法案審議はわずか一回であります。非常に慎重な理事会、理事懇運営は行われたと思いますが、法案審議そのものは余りにも時間が少ない。三党の皆さんは十二回協議をされたということを聞いております。そういう点でも私は、法案審議も十二回ぐらい行って、国民の前で十分な審議を行う、このことこそ必要だ。きょう三時間での質疑終局、採決という日程については、私自身は同意ができないということを改めて申し上げておくものであります。
 そこで、提出者の皆さんに質問をいたします。
 最初にお聞きしたいのが、郵便局の定義の変更についてであります。現行の民営化法に対して、今回の改正法案では郵便局の定義が変更されております。どのように変更されているのかについてお答えください。

○田島(一)議員 お答え申し上げます。
 今回の案では、郵政事業に係る基本的な役務の確保の責務を新たに設けたところでございます。この責務規定におきまして、郵便、貯金、保険の役務を郵便局で一体的に利用できるようにすることとしております。このため、郵便局では、これまでの郵便の業務に加えて貯金及び保険を行う日本郵便株式会社の営業所を指すものとしたところでございます。
 以上です。

○塩川委員 今御答弁いただきましたように、現行の法律では「「郵便局」とは、会社の営業所であって、郵便窓口業務を行うものをいう。」つまり郵便窓口業務を行うところを郵便局とするとなっていたわけですが、今回の改正案では「「郵便局」とは、会社の営業所であって、郵便窓口業務、銀行窓口業務及び保険窓口業務を行うものをいう。」ということで、つまり三事業を行う日本郵便の営業所のみが郵便局となることになります。そうなりますと、あまねく全国に郵便局を設置する、あまねく全国置局義務の対象となる郵便局も、三事業を行う営業所のみとなるわけであります。  そこで、日本郵政にお尋ねをいたしますが、現在、三事業を全て行っていない郵便局というのは幾つあるんでしょうか。

○斎尾参考人 本年三月末時点での数字となりますが、郵便、貯金、保険の窓口サービスの提供状況につきまして、主要なサービスを取り扱っていない郵便局の具体例を申し上げますと、ゆうちょ銀行の直営店が併設されているために貯金サービスを扱っていない営業中の直営郵便局が二百三十局、そして保険募集を扱っていない営業中の簡易局が三千四百二十九局、それから富士山の山頂などで季節限定で郵便のみを扱う直営の郵便局が三局、このほか、保険を取り扱わないで機能を限定されている直営局の分室が二十五ございます。

○塩川委員 別に富士山のことは言いませんけれども、今のように、保険業務を行っていないところが三千四百二十九とか、あるいはその後二十という数字もおっしゃいました。つまり、三事業を行っていない、保険の窓口業務を行っていないというところが三千四百以上に上るんです。これが、全国あまねく置局の義務から外れるところに入ってくるということになります。ですから、改正案では、ここが郵便局じゃなくなっちゃうわけですね。
 重ねてお聞きしますが、この三千四百ぐらいの三事業を行っていない郵便局というのは過疎地にあるんでしょうか、それとも都市部にもあるんでしょうか。わかりますか。

○斎尾参考人 過疎地が中心になると思います。

○塩川委員 これはわかれば教えてほしいんですけれども、三事業を行っていない現行の郵便局ということになりますと、改正案では郵便局から外れてしまいます。その際に、郵便局のあまねく全国置局義務の対象からも外れます。そのときに、この三千四百のうち、あまねく全国置局義務がかかっているのが幾つぐらいあるのかというのは、日本郵政さん、わかりますか。

○斎尾参考人 これは今後の法令の定義にもよると思いますけれども、恐らく大体この数字が郵便局の対象からは外れるんじゃないかというふうに思っております。

○塩川委員 あまねく全国置局義務というのは民営化法で後退させられまして、全部かかっていたものを、過疎地などを中心にというふうに変更されました。ですから、過疎地は撤退してはならない、やはり金融のユニバーサルサービスと郵便のユニバーサルサービスをしっかりと保障しなければならぬというのが少なくとも民営化法であっても担保された中身でありますけれども、今のように、郵便局の定義の変更によって、三事業を行っていないといっても、保険の窓口業務を行ってない、郵便と金融の窓口業務を行っているというところなども郵便局ではなくなってしまう、そういうところのあまねく全国置局義務も外されるということになったら、これでは置局義務の水準が大きく後退することになるんじゃないのか。提出者はどのようにお考えですか。

○武正議員 お答えをいたします。
 そういった意味で、先ほど来答えておりますが、簡易郵便局を法的に位置づけるといったことも今回の改正案に盛り込んでいるところでございますし、ユニバーサルサービスの確保の義務を日本郵政と日本郵便に課した上で、今の全国置局義務、あるいは銀行・保険窓口業務契約を事前に届け出させるなどの仕組みを行っているわけでありまして、繰り返しますけれども、簡易郵便局の法的位置づけといったことが明確にされているということでございます。

○塩川委員 いや、簡易郵便局の定義の話を聞いているのではなくて、そもそもあまねく全国置局義務のかかっている過疎地の、三事業を行っていない、改正案では郵便局ではない営業所、そこは義務が外れるわけですよ。そうしたら、撤退ということに対して歯どめがないんじゃありませんか。

○斉藤(鉄)議員 確かに、御指摘の置局義務の直接の対象は三事業を行う局ということになっておりますが、これはユニバーサルサービスの提供を行う対象を今回三事業に広げることに伴う法律上の整理に伴うものでございます。しかし、他方、今回の案では、三事業を行う局だけでなく、三事業を行わない局も総務大臣への届け出制の対象に加えておりまして、総務大臣から日本郵便株式会社に対し、適時適切に監督が及ぶようにしております。仮にサービス水準を落とすような廃局が行われるおそれが生じても、これを阻止することが可能でございます。
 政府においては、今後とも引き続き、簡易郵便局の置局状況を適切に把握するとともに、少なくとも現行のサービス水準を低下させることのないよう必要な監督を行っていただきたい、このように法案提出者として政府に要望いたしますし、総務省令等でそれを確かなものにしたいと思います。
 その上で、先ほど申し上げましたように、今回初めて法律上に簡易郵便局の法的位置づけを明確にし、ユニバーサルサービスの一翼を担うもの、このように位置づけております。

○塩川委員 廃局のおそれがあったような場合に阻止することが可能だというんですけれども、もともとあまねく全国置局義務がかかっていたのを外しているんですよ。それなのに、どうやって阻止するんですか。

○斉藤(鉄)議員 先ほど申し上げましたように、総務大臣への届け出の対象に簡易郵便局もなっております。総務大臣がそれを判断するわけで、そのときに阻止することが可能ということでございます。

○塩川委員 では、総務大臣にお尋ねしますが、どうやって総務大臣は、廃局のおそれがあるこういった営業所、この阻止というのをできるんですか。その法的な制度上の仕組みはどうなっているんですか。

○森田大臣政務官 お答え申し上げます。
 先ほど斉藤先生がお答えされたとおりで、今後、本法案が通り次第、政府、特に総務省におきまして、省令改正を通じて、絶対に置局基準を劣化させないということに取り組んでまいりたいと思いますし、具体的な阻止をどうやってするかというお尋ねでございますけれども、年間の事業計画の認可等がありますので、そういったところでしっかりと把握をしてまいりたいというふうに思います。

○塩川委員 要するに、法文上は、今まであった規定から外れることによって、あまねく全国置局義務が外れるような現行の郵便局が三千四百も生まれる、このことははっきりしているんですよ。あと、どうやって廃局を阻止するかというのは、省令で書くとか監督体制の話とかという話なんですけれども、では、そういう省令案というのはどうなっているんですか。そういう中身なんかも全然示されていないじゃないですか。法文上ではなくなっていて、後で省令で何とかしますなんて話は通りませんよ。
 こういうことを考えても、置局義務の水準を後退させる仕組みとなっていることには変わりがありません。郵便局ネットワークの後退につながる重大な懸念がある法案だ、このことを強く申し上げておくものであります。
 次に、金融のユニバーサルサービス確保の問題について質問をいたします。
 法案提出者は、今回の郵政民営化法改正案の趣旨の一つとして、金融のユニバーサルサービスの確保を挙げています。
 そこでお尋ねしますが、郵政改革法案でも金融のユニバーサルサービスの義務づけを規定しております。この郵政改革法案に規定していた金融のユニバーサルサービス義務づけ、四つの柱があると承知をしておりますが、どのようなものかをお示しください。

○自見国務大臣 塩川議員にお答えをいたします。
 既に取り下げられました郵政改革法案においては、具体的に法律の中では、一番目は、日本郵政に、郵政事業に係る基本的な役務を郵便局で一体的に、かつあまねく全国において公平に利用できるようにするような責務を課していた。二番目に、郵便の業務のほか、銀行窓口業務、保険窓口業務を日本郵政の必須業務としていた。三番目は、日本郵政は、金融ユニバーサルサービス提供のための銀行・保険窓口業務契約を締結し、その内容を総務大臣に届け出ることとされていました。
 今、一、二、三と申しましたのは三党で議員立法していただいた法律にも含まれておりますが、四点目が実は今審議中の三党の提出の案と違うところでございます。日本郵政は、銀行・保険窓口業務契約の締結の相手方となる銀行、保険会社の三分の一を超える議決権を保有し、その株主として権利を行使することとされていた。その点が違っておりますが、このような措置により、郵便に加えて貯金、保険のユニバーサルサービスの提供を義務づけ、確保する仕組みがとられておりました。

○塩川委員 今お答えいただいたことを踏まえて、自見大臣もお答えになりましたように、三党の法案との違いのお話もありましたが、確認でありますけれども、提出者に、現行民営化法と比較をして、今回の郵政民営化法改正案において金融のユニバーサルサービス義務づけの仕組みがどう変わったのか、この点についてお答えください。

○武正議員 現行法との違いということだと思いますが……(塩川委員「いえ」と呼ぶ)改革法とのですか。
 改革法との違いということでありますが、今回の案では、日本郵政株式会社に対して関連銀行、関連保険会社の株式の三分の一の保有を義務づけることによる担保の仕組みではなく、改革法ではそれを義務づけたわけでありますので、これではなくて、金融二社の株式については全部を処分することを目指し、両社の経営状況、ユニバーサルサービス責務の履行への影響等を勘案しつつ、できる限り早期に、処分するものとし、この規定の趣旨に沿って、日本郵政株式会社がその経営判断によりユニバーサルサービス確保の責務を履行する仕組みとしております。

○塩川委員 金融二社に対する株式保有三分の一超による株主としての権利行使、その部分が落ちている。かわりに、七条二項に今述べていただいたような株式処分についての規定が入っているということであります。
 そこで、ちょっと確認で、どなたでも結構なんですがお答えいただきたいのは、この金融二社に対する株式保有三分の一超による株主の権利の行使について、具体的にどのように金融のユニバーサルサービス義務づけを担保する仕組みとなるのか。私は、三年前に議論しましたように、定款ですよね、定款にちゃんと書き込む。その定款を変更することを阻止するのが三分の一を超える株式だというふうに承知しているんですが、それでよろしいでしょうか。

○森田大臣政務官 お答え申し上げます。
 先生御指摘のとおりでございます。

○塩川委員 改めておさらいしますけれども、郵政改革法案に規定をしていました金融のユニバーサルサービス義務づけの四つの柱のうち、一番の根幹であります、金融二社に対する株式保有三分の一超による定款変更阻止の規定が落ちているのが今回の法案であります。
 そこで、金融二社の株式処分についてお尋ねをいたします。
 今、武正議員からお答えもありましたように、民営化法改正案の七条二項には「日本郵政株式会社が保有する郵便貯金銀行及び郵便保険会社の株式は、その全部を処分することを目指し、郵便貯金銀行及び郵便保険会社の経営状況、次条に規定する責務」いわゆる郵便と金融のユニバーサルサービスですが、「の履行への影響等を勘案しつつ、できる限り早期に、処分するものとする。」とあります。
 そこで、提出者にお尋ねいたしますが、この場合に、郵貯それから郵便保険の会社の株式を全て処分するということもこの条文からは想定されるということでよろしいでしょうか。

○赤澤議員 塩川委員にお答えをいたします。
 法令上、「全部を処分することを目指し、」ということで、先ほど読み上げられた「できる限り早期に、処分する」がそこにかかっておりますので、「できる限り早期に、処分する」の対象には株式の全部がまさに含まれている、全部処分することもあり得るということでございます。

○塩川委員 全株処分することもあり得るという御答弁でありました。郵政改革法案では金融二社に対する三分の一超の株式保有が義務づけられておりましたが、今回の法案では日本郵政の経営判断による全株処分も可能となっています。
 そこでお尋ねしますが、郵政改革法案では、日本郵政が金融二社に対する三分の一超の株式を保有することで、金融ユニバを規定した定款変更を阻止することが担保となっておりました。今回の法案では、仮に三分の一を超えて株式処分がされた場合に、金融ユニバが確保される保証というのはどこにあるんでしょうか。


○山花議員 今回、ユニバーサルサービスをどうかけていくのかということについて、三党でもいろいろ協議をしてきたところでございます。
 まず、たてつけとしては、日本郵政にユニバの義務がかかっていて、それについて、貯金、保険について、政府提出の郵政改革法だと三分の一の株を保有することによって、先ほど委員御指摘のように、定款変更の特別決議の阻止をするというたてつけになっておりました。
 今回、いろいろ協議の中で、金融ユニバを提供する銀行、保険会社については、必ずしも郵便貯金銀行、郵便保険会社に限らないということでございます。どういうことかというと、日本郵政株式会社が、将来、郵便貯金銀行、郵便保険会社の株式について、その三分の一を割り込んで処分するというケースですけれども、例えば、郵便貯金銀行とか郵便保険会社以外の銀行、保険会社を関連銀行だとか関連会社とするようなケースですとか、もう一つは、日本郵政株式会社の出資を受けた関連会社が郵便貯金銀行、郵便保険会社の新たな株主になるというような手法によって金融ユニバの責務を果たしていくようなことを想定しております。

○塩川委員 今御答弁ありましたように、日本郵政の出資を受けた関連会社が株式を取得するといった場合に、日本郵政として三分の一未満の株式保有ということもあり得るという御答弁でありました。
 ここで言う日本郵政の出資を受けた関連会社というのは、例えば日本郵便ということでよろしいでしょうか。

○山花議員 今答弁申し上げたのは、例えばということでございますので、必ずしもそういうことではなくて、ほかにグループ的な会社ができるようなケースがあれば、そういったことが想定されるということでございます。

○塩川委員 日本郵政の一〇〇%出資の子会社が日本郵便ですから、日本郵便がここで今御答弁いただいたような日本郵政の出資を受けた関連会社ということは当然想定されるものであります。
 そうしますと、日本郵政の完全子会社である日本郵便による金融二社の株式保有の数と日本郵政の金融二社の株式保有の数の合計が三分の一を超えるから金融ユニバは確保されるという趣旨ですか。

○山花議員 済みません、余り今の時点で決め打ちしてここの会社ということを答弁することは好ましくないと思うんですけれども、ただ、銀行とか保険などでも、例えば業界の再編などがあったりとか、あるいは再編の中で、再編というのは合併だけではなくて分割も含めてですけれども、その中でグループの企業になるようなケースも想定をしてということでございますので、必ずしも郵便ということに限って今回の想定をしたわけではございません。

○塩川委員 では、日本郵便というのは使いませんけれども、日本郵政及び日本郵政の出資を受けた関連会社の金融二社の株式の所有が金融二社に対する株の三分の一を超えるということをもって金融ユニバの義務を果たすことができるという制度設計だというお考えかと聞いているんです。

○山花議員 例えばのケースですけれども、もしそういうケースであればどうかということであれば、そのとおりでございます。

○塩川委員 ということであります。ですから、三分の一を超える株式保有について、日本郵政と関連会社で担保する。先ほど山花議員も処分と売却は違うという話をされて、直接はしていませんが言葉の言いかえをしましたから。処分と売却はイコールではありません。処分の場合は、かつての民営化法の議論のときにもありましたように、信託という場合も当然ありますし、自社株ということもありますし、また持ち合いという格好も含めてあり得るということです。
 いずれにしても、今言ったように、日本郵政と関連会社で三分の一を超える株を持たないような場合は、これは金融ユニバというのは果たせるんですか。

○山花議員 そもそもで言うと、法律的な枠づけとしては、日本郵政にユニバの義務がかかっているということになっております。先ほど他の委員にも答弁申し上げましたけれども、その処分に当たっては、このユニバの義務がどの程度確保できるかということも処分の際の一要素でありますので、そういったことを勘案して、三分の一を超えて処分をするケースについてはなされるものと理解をいたしております。

○塩川委員 日本郵政、日本郵便に金融ユニバの義務は課されているんだけれども、実際に金融の窓口業務を提供する金融二社にはかかっていないわけであります。ですから、どうやって言うことを聞かせるかという話になってくるわけです。
 その担保が、三分の一を超える株式保有とそれに基づく株主の権利の行使、つまり、重要な決議で定款で金融ユニバの提供の義務づけについて変更することを阻止する仕組みになっているということであるわけですけれども、そこでも、そもそも制度設計上、改革法案でも問題としていた、金融ユニバの義務づけが親会社の方にある、つまり金融二社にはないという矛盾があるわけですよね。
 ですから、金融ユニバの義務が課されていない金融二社は、株式処分に伴い、営利追求の民間金融機関となっていきます。幾ら日本郵政に金融ユニバの義務を課しても、金融二社の多数の株主の利益追求を目的とするそういう性格上、金融二社が必ず金融ユニバの提供に応じるとは限らないということも想定されるわけであります。  そこで、そもそも、金融ユニバを確保するためにはコストがかかります。このコストは誰が負担するんでしょうか。

○武正議員 先ほど来のお話で、日本郵便にはユニバーサルサービス義務が課せられて、そのユニバーサルサービス義務のもと、ゆうちょ、かんぽが銀行・保険窓口業務契約を結んでいる、そういうようなたてつけでのユニバーサルサービス義務が、先ほどの日本郵政の株の保有とダブルでかかっているというたてつけだというふうに理解をしております。その上で、今の誰がコストを負担するのかということでありますが、金融ユニバの責務を負う日本郵政株式会社及び日本郵便株式会社、また、銀行、保険のサービスを提供する金融二社がグループ全体として負担することとなります。

○塩川委員 義務づけを受けている会社が本来筋ですけれども、グループ企業として、受委託の手数料も含めて金融二社の負担ということも当然想定をされるということであります。
 そこで、重ねてお聞きしますが、金融ユニバのコスト負担について、金融窓口業務の委託手数料などを考えると、金融二社と日本郵政や日本郵便の間で意見の相違があるかもしれない。要するに、手数料水準について、高い、低いということで、金融二社は、もっと低くしてくれ、それで日本郵政、日本郵便は、いやいや、そうはいかないよという話になったときに、意見の違いが生まれた場合にはどういうふうに調整するんでしょうか。

○武正議員 先ほどお話がありましたが、株の売却の過程に伴って子会社が子会社でなくなったりとか、そういう時系列の推移があろうかと思いますけれども、現段階では、日本郵政がそれぞれの三社の株式を一〇〇%保有しているわけでございますので、当然、日本郵政のそうした全体的なガバナンスのもと、運営のもと、グループとしての対応を考えていくということだと思います。

○塩川委員 この点でも、基本はやはり定款の話になってくると思うんですよね。やはり、具体的にどういう書きぶりになるのかというところというのが重大関心があって、定款において、例えば金融ユニバについてどういう書きぶりをしているのか、こういうことについてぜひ明らかにしていただきたい。金融ユニバを担保する仕組みの一つである定款がどのように書かれるのか、この点についてお示しいただけませんか。考え方の整理をしてもらえばいいです。

○赤松委員長 それでは、総務省が答えると思いますが、ちょっと待ってください。
 では、その間に、提出者山花郁夫君。

○山花議員 基本的な考え方だけ提出者の側から申し上げますと、委託の契約を締結する前に、その内容については総務大臣に届け出るという形になっております。金融二社が日本郵便株式会社に支払う手数料については、事務費用だとか営業戦略等を勘案して算定されるというふうに私どもは理解をいたしております。
 定款の具体的な中身については、ちょっと会社の方にお願いしたいと思います。

○塩川委員 定款についてあわせてお聞きしたいのが、郵政改革法案をつくるためのたたき台となりました郵政改革素案の資料があるわけですけれども、そこの資料六に「出資比率による経営関与のあり方」というのがあるわけですよね。このペーパーで見ても、金融二社の定款に郵便局を通じた金融サービスの提供を書くというふうになっているわけであります。
 冒頭指摘しましたように、この法案では郵便局の定義が変更されています。三事業を行っていない日本郵便の営業所は郵便局でなくなります。定款の書き方次第では、全国の三千四百カ所で郵便、貯金業務が保障されないことにもなりかねない。そういう点でも、定款がどのように書かれるのか、極めて重大なんですが、こういうのをお示しいただけますか。

○森田大臣政務官 お答え申し上げます。
 先ほどから御議論いただいております定款に関しましては、法案が成立後、法施行、会社の合併までの間に定款が出てくると思います。その中において、総務省として、御指摘の点も踏まえて適切に、認可の話でございますから、判断してまいりたいというふうに考えております。

○塩川委員 金融ユニバを担保する根幹である定款の中身なんですよ。本来、金融ユニバの確保とおっしゃっているわけですから、では、その担保の仕組みである定款の中身についてもおおよそ概要を示すということは審議の上での大前提だ。極めて重大な問題に対して基本的なそういう資料も出ていないわけで、これではやはり十分な審議もできないし、きょうだけでの審議で終わってしまうというのも納得できないというのも多くの方のお気持ちではないでしょうか。
 定款のたたき台などの資料提出をぜひ要求したいと思います。お取り計らいいただけますか。

○赤松委員長 今そういうお申し出につきましては、次回の理事会で協議したいと思います。

○塩川委員 最後に、日本郵政による金融二社の株式保有が三分の一を割り込んで、全株処分ということも排除されていないわけですから、そういう場合に金融ユニバの担保の保障は全くないわけであります。
 もともと郵政民営化は日米大資本の要求でありました。アメリカ政府は二〇〇四年の年次改革要望書で郵政民営化を要求し、その後もアメリカ政府は米国保険業界の要望を受けて、再三、簡保会社の完全民営化、全株売却も要求してきました。その中で小泉郵政民営化も行われたわけであります。
 今、日本政府はTPP交渉を推進しております。在日米国商工会議所からも、日本郵政と民間金融機関との間で、金融、保険、EMS等における競争条件などについて非関税障壁が存在するなどという指摘がある。TPP交渉を推進する今の日本政府の立場では、こういったアメリカからの要求が全株処分の圧力となりかねない、これでは金融のユニバーサルサービスが保障されないということを申し上げて、質問を終わります。