<第180通常国会 2012年06月05日 社会保障と税の一体改革に関する特別委員会 14号>




○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 きょうは、被災地の復興と消費税の問題について質問をいたします。
 東日本大震災、同時に、茨城、栃木の皆さんにとっては、東日本大震災に加えて、五月六日にあの竜巻被害がありました。三本の竜巻が茨城、栃木を大きく縦断するような、多大な被害を与えたわけであります。
 全壊も八十八戸、半壊が百九十四戸、一部損壊が九百四十二戸、非住家も含めると二千棟近い被害が発生をしております。亡くなった方もおられます。屋根そのものが吹き飛ばされた家も大変多いわけで、屋根が吹き飛ばないまでも、その修理には数百万とか一千万かかるという方もいらっしゃるということです。農家の方や中小企業の皆さんも被害を受けました。
 こういった甚大な被害が出た災害であるのですけれども、今国会ではこの問題についての国会質疑がただの一度もありません。災害対策委員会が現地に委員派遣を行いましたけれども、それを踏まえたような国会、委員会質疑もありません。そういう点でも、今の国会の運営そのものが極めて異常だということを厳しく指摘しなければならない、国民の立場でしっかりとした審議を行うことが求められている、このことを最初に申し上げておくものであります。
 そこで、この竜巻被害の関係で何点かお尋ねしたいんですが、一つは、被災者生活再建支援法についてであります。
 全壊の戸数については、茨城県のつくば市が七十五戸、栃木県の真岡市で六戸、益子町で七戸となっています。現行の仕組みでは、つくば市は被災者生活再建支援法支援金の対象となりますが、真岡市、益子町は適用対象となりません。被災者の方からは、同じ災害なのに、支援されるところと支援されないところがあるのは納得いかないという声が上がっております。被災自治体の要望書でも、柔軟な対応を求めるとか、きめ細かな支援を求める、こういう声が寄せられております。
 そこで、内閣府にお尋ねをいたします。
 被災者生活再建支援制度は、スタート以来、自然災害の要件を何度か見直してまいりました。この要件の変遷とその際の理由について、簡単に御説明をいただけますか。

○後藤副大臣 先生にお答えいたします。
 先生のおっしゃるとおり、平成十年に被災者生活再建支援法が阪神・淡路大震災を踏まえて制定されました。平成十年の制定当時は、三つの主な要件で対応するということになっております。
 一点目は、災害救助法に該当するような大規模な住宅被害が発生した市町村、並びに十世帯以上の住宅全壊被害が発生した市町村、三点目は、百世帯以上の住宅全壊被害が発生した都道府県としておりました。
 それが、平成十六年の改正におきまして、これらの市町村に隣接をする人口十万人未満の市町村で五世帯以上の住宅が全壊した場合を追加し、さらに、平成十九年の改正におきまして、法制定時の対象市町村を含む都道府県の中で、全壊五世帯以上の被害が発生した人口十万人未満の市町村を追加したところでございます。さらに、直近の平成二十二年の改正におきまして、法制定時の対象市町村を含む都道府県または対象都道府県が二以上である場合で、かつ五世帯以上の住宅全壊被害が発生した人口十万人未満の市町村、並びに二世帯以上の住宅全壊被害が発生した人口五万人未満の市町村を規模要件に追加いたしました。
 先生おっしゃるように、制定以来、過去三回、規模の追加をしながら、できるだけ被災者の方に使い勝手がいいという形で対応を進めているところでございます。

○塩川委員 今お答えいただきましたように、過去、大規模災害などを契機に要件の拡大を行ってまいりました。規模の追加を図ってきたわけであります。要するに、市町村単位の全壊戸数を基準に適用するということになりますと、実際にはそこで漏れてしまうような自治体の被災の世帯が生まれてしまうということであります。
 大規模災害で全国一緒にきちんとした支援を行おうという被災者生活再建支援法の趣旨を考えても、今回のように一部漏れてしまうような災害に対応した形での見直しが必要だ。過去、同一災害で支援対象の不均衡が生じたことを踏まえて要件の見直しを行ってきたわけですから、今回の竜巻被害にもかみ合った見直しを行う必要があると考えますが、その点についてお答えください。

○後藤副大臣 いろいろな検討は竜巻被害でもさせていただきました。特に、先生おっしゃるように、ある一定の規模を区切って、対象になる部分、ならない部分があるというのはおかしいという議論もございました。
 特に昨年の東日本大震災以降、内閣府の中でもいろいろな検討会を立ち上げて、その一つ、災害対策法制のあり方に関する研究会という検討会も、これは昨年十二月六日に中間報告をまとめています。その中でも、先生が御指摘の被災者生活再建支援法についても、特に、平成十年、法制定当時は収入要件で再建の支援をするかどうかということもございましたが、それは平成十九年の法改正で、所得要件については撤廃、廃止をすることになりました。そういう部分で、生活困窮度を資産要件も含めていろいろな角度から追加的に検討すべきだという御意見。
 さらに、被災者に対する国の支援のあり方に関する検討会、これは本年三月に中間整理ができておりますが、この中でも、被災地の皆さん方からのいろいろな御指摘も踏まえて、どのような形で今後、被災者生活再建支援制度に臨むかという論点整理を行いました。これについてもいろいろな御意見があって、やはり全体に適用すべきだという意見と、そうではなくて、やはり一定の規模要件等を課すべきだという、ある意味では両論併記になっています。
 特に、先生が今お話をしていただいております被災者生活再建支援法、この一条には、都道府県の相互扶助の観点ということが明定をされております。そういう意味で、国がどこまでかかわるのか、そして、都道府県の基金を使いながらこの生活再建支援法が適用されるということを考えて、特に昨年の震災以降、県独自で支援制度を設けている都道府県が、二十五から現在の五月末時点で三十まで、独自の支援制度を設ける自治体が五都道府県、増加をいたしました。
 そういう意味で、独自の支援制度を設けている対象都道府県につきましては、支援金の支給額の二分の一が特別交付税措置がされるということで、法の目的を考えて、国、都道府県、市町村のバランスを考えるときに、まず、この独自の都道府県の支援制度もそれぞれの自治体で充実をしていただくということも含めて、さらにどのような形が国として考えられるか、多様な視点から検討してまいりたいというふうに思います。

○塩川委員 自治体が独自で支援策をとるというのは重要であります。そういうのをしっかりと促していくような取り組みということは重要です。同時に、被災者生活再建支援法として、この間、要件の緩和を行ってきたわけであります。
 例えば二〇一〇年の豪雨災害のときにも中井防災担当大臣の答弁でもありましたが、各地に点々と被害が広がっている中で、例えば被災者生活再建支援制度を適用しようとしても、広島県の庄原市だけという状況、政府内で話し合い、庄原市だけでなしに、各地域の全壊、半壊のお宅をお手伝いできる、政令改正して適用したい、こういうことが平成二十二年、二〇一〇年の改正になっているわけであります。
 このときにも、全国知事会からの要望で、現行制度で一部地域が適用対象となるような自然災害が発生した場合には、全ての被災区域が支援の対象となるように制度改正を行うことを求めているわけであります。こういう立場でぜひ具体的に考えてもらいたい。
 もう一言、答弁をいただきたい。

○後藤副大臣 現在、国会の方に、災害対策基本法の改正についても御議論をお願いしているところでございます。さらに、災害法制体系というのは、災害救助法、生活再建支援法を含めて百以上の災害にかかわる法体系がございます。それをこれから、今、それぞれの関係省庁にもお願いをしながら、どこまで、まず優先的に何ができるかということも含めて検討を進めるというところでございまして、先生の御指摘というのは、平成二十二年の政令改正の中でも、市町村にできるだけきめ細やかにという視点の中で改正をしたものというふうに私も承知をしておりますので、先生の御意見も含めて、これから、何がまずできるのか、どのくらい時間がかかるのかということも含めて、できるだけ前向きに考えていきたいというふうに思います。

○塩川委員 同じ災害なのに、支援されるところと支援されないところが生まれないように改正をすべきだ。その点では、二〇〇七年の法改正のときの附帯決議に、四年後の見直しは今であるわけで、半壊世帯への支給などを含め、基本的な、抜本的な見直しということが必要だということを申し上げておきます。
 次に、災害救助法の住宅の応急修理について小宮山大臣にお尋ねをいたします。
 被災者の皆さんが被災住宅に住み続けることができるように、五十二万円を上限に、住宅改修について現物支給されるのが住宅の応急修理であります。ただ、資力要件、収入要件が障害となっております。この点の見直しが求められています。
 今回の竜巻災害でも、子育て世代の中で、共働きですと、こういう資力要件、四十五歳未満だったら五百万円とかそういうのを超えてしまうわけで、いわば、その町にとっては一番中核となるような子育て世代をしっかりと応援したいんだけれども、住宅の応急修理というのがそれに当たらないということに今なっている、こういう点はぜひ見直してほしいという声が上がっているわけであります。
 そこでお尋ねしますが、住宅の応急修理を行う上で自治体が参考としているのが、厚労省の方でつくっております災害救助法の事務取扱要領、その実施要領の例の中に資力要件が記載をされていますが、これは、かつての被災者生活再建支援法の年収等の要件を引き写したものだと思いますが、その点を確認させてください。

○小宮山国務大臣 それはそのとおりでございます。
 災害救助法による住宅の応急修理につきましては、災害のために住宅が半壊以上の被害を受けた人で、みずからの資力ではその修理ができない人に対して実施をするものです。
 御指摘の所得要件については、平成十六年十月の新潟県中越地震の際に、住宅の応急修理が速やかに進むように、住宅の再建を目的とする被災者生活再建支援法の当時の所得要件に合わせて要件を大幅に緩和して、今こういうことになっています。

○塩川委員 今大臣お答えありましたように、被災者生活再建支援法の年収等の要件を参考にして住宅の応急修理の資力要件を設定したという経緯があります。
 そこで、先ほど後藤内閣府副大臣の答弁がありましたように、被災者生活再建支援法は、二〇〇七年の改正の際に収入要件を撤廃いたしました。であるならば、住宅の応急修理の資力要件も撤廃することが必要ではありませんか。

○小宮山国務大臣 災害救助法による応急修理の所得制限は、平成二十一年度に、応急修理のさらなる活用を促進するために、特に修理に多額の費用がかかる住宅の全壊ですとか大規模半壊については所得制限を撤廃いたしました。
 なお、現在、私を含めて関係閣僚がメンバーとなっています防災対策推進検討会議、ここで、災害救助法を含めた災害法制全般の見直しが行われていますので、被災者生活再建支援法との整合性も含めて、ここの会議の中で、整合的にできるように進めていきたいというふうに思っています。

○塩川委員 被災者生活再建支援法では資力要件を取り払ったわけで、住宅の応急修理だけ残しておく必然性はありません。
 この議論の中で、昨年、大塚副大臣が、参議院の復興特別委員会の我が党の大門議員の質疑の中で、この制度の本質は、必要最低限度の修理により居住する場所を応急的に確保することであり、経済的な負担軽減ではないということを述べておられます。
 住宅の応急修理は、経済的な負担軽減が本質ではなく、居住場所の応急的な確保が本質であるならば、資力要件を設ける必要がないわけで、こういう立場から資力要件を取り払うという方向で対応を求めたい。改めてお答えください。

○小宮山国務大臣 災害救助法による住宅の応急修理は、災害により半壊以上の被害を受けて、その破損箇所を修理すれば日常生活を営むことができる、そういう場合に、その破損箇所について必要最小限度の修理を行うものです。
 今御指摘の答弁の趣旨は、こうした応急修理制度の目的を説明したもので、この制度が、個人資産としての住宅の損害を補償するということで被災者の経済的な負担軽減を図るものではないということを説明した答弁だというふうに思います。
 先ほどお話ししたように、今、防災対策推進検討会議、ここで災害救助法も含めて全体の災害法制を検討していますので、その中で御指摘の点でも整合性がとれるようにしていきたいというふうに思います。

○塩川委員 居住場所の応急的確保が本質、その立場での見直しこそ行うべきだ、五十二万円の上限の引き上げなどを含めて、住宅の応急修理の見直しを行うことを求めておくものであります。
 関連して、川端大臣に一点お尋ねします。
 竜巻被害の地域というのは、先ほども申し上げましたように、東日本大震災で被害を受けた地域と重なっているわけであります。東日本大震災で被害を受けた地域におきましては、取り崩し型復興基金の交付税が交付をされております。ですから、二重災害、連続災害となっているこういう地域で、地震でも被害を受けたけれども、竜巻でも被害を受けた、こういう方々に対して、その県、自治体が独自の支援策をこの復興基金を使って行うということは当然可能だと思いますけれども、その点について確認をさせていただきたい。

○川端国務大臣 まず、おっしゃるとおり、二重に被災されたというのは、もう本当にお気の毒としか言いようがない部分であり、改めてお見舞いを申し上げたいと思うんです。
 言われましたように、この取り崩し型の復興基金、もともとの財源は交付税でありますので、その分では一千九百六十億円、使途に制限はついておりません。これがもともとの性格です。それを受けて、具体の設置目的や使途等については、特別交付税措置でありますので、特別交付税措置の趣旨を踏まえて、それぞれの被災県で条例によって定めていただいております。
 そういう意味では、使途の制限のない一般財源でありますということでは、その該当する被災県の判断に委ねられている。これを、例えば今回のものに使えるかどうかということ、どのように活用するかは、それぞれの団体で、復興基金に対する財政措置の趣旨、条例との関係も含めて、議会等で十分議論していただいて、適切に判断されていくものだというふうに思います。
 一部、条例を読ませていただきましたが、条例の中で、書きぶりとして、解釈としては読めるという書きぶりの幅を広げているのもあれば、非常に限定的に東日本の復興に限るというふうにしか読めないのではないかという条例もあります。これは、それをどうするかといったら、県のこれからの御判断であると同時に、一方で、この基金自体もいろいろもう使う予定をしておられるという財源的な背景もあると思いますので、それぞれの地域の県及び議会において御議論をいただければというふうに思っております。

○塩川委員 県の判断で使えるということですから、こういうことで、被災者の実情に沿った対応策を求めていくものです。
 特別交付税の措置とかあるいは特例交付などを迅速、適切に行うことも今後の対応としては求めていきたいと思いますし、実際に現場では、例えば水田で瓦れき、ガラスの破片などがまざり込んでいるなどということもあるわけですから、そういったことに対して、農水省の補助金などもつけられていますけれども、もっと期間を延ばして、稲刈りが終わった後にも対応できるような、そういう支援措置も認めてほしいという声などもありますので、こういうことを含めて改めて要望しておくものであります。
 そこで、安住大臣にお尋ねしますが、被災地の復興にとって消費税がどのようなものかということで何点かお尋ねしますけれども、東日本大震災では被災者への税の減免措置を行いました。
 安住大臣にまずお尋ねしますが、所得税については減免措置があると思いますが、あるかないかの一言だけお答えいただけますか。

○安住国務大臣 さまざまな措置を行っております。ございます。

○塩川委員 川端大臣にお尋ねします。
 地方税におきまして、住民税やあるいは固定資産税など、被災者の方に着目した税の減免措置があると思いますが、確認します。

○川端国務大臣 被災地向けに関してということで言いますと、四度にわたり地方税法を改正いたしまして、固定資産税の課税免除とか、固定資産税、不動産取得税の軽減、あるいは自動車取得税、自動車税、軽自動車税の非課税措置等を講じたところでございます。

○塩川委員 被災者の皆さんにとって税負担の大きい所得税や住民税、固定資産税などの減免措置が行われております。
 そこでお聞きしますが、こういった所得税とか住民税などの減免措置を今回の災害において行っている理由は何なのか。この点についてお答えいただけますか。

○安住国務大臣 これは、例えば所得税でいうと、雑損控除や災害減免法に基づく所得税の減免措置の前年分適用特例とか、それから、被災事業用資産の損失の特例、住宅ローン減税の適用の特例等々、やはり急の災害で、本来所得としてカウントされるべき、こういう災害がなければ入ってくるであろうことを前提に納税をしてもらうということが現実にはできない状況になったわけですから、そういうことに対する減免の措置であります。
 ちなみに、私も被災者として減免措置を実はいただいておるんですけれども、非常に助かったわけでございます。

○塩川委員 安住大臣も含めてということですけれども。
 納税ができないからとおっしゃいました。つまり、被災者には、こういう災害によって、もちろん財産を損なう、あるいは仕事を失う、そういう機会の中で、税金を納める力が小さくなっている、つまり担税力がなくなっている、これが減免を行う理由ということで考えていますが、そういうことでよろしいですね。
    〔委員長退席、古本委員長代理着席〕

○安住国務大臣 一時的にはそういうことなんですね。ですから、そのダメージが例えば一日も早く復旧していただければ、また仕事をしていただいて、普通に所得が戻ってくるまでの間、やはりそうした措置というのが必要になるということだと思います。

○塩川委員 担税力がない、いわばその負担能力がないからこそ減免措置を行っているわけであります。
 それでは、被災者に対する消費税の減免措置というのはあるんでしょうか。

○安住国務大臣 現時点で、消費課税じゃなくて消費税ですよね。(塩川委員「消費税です」と呼ぶ)
 今提案させていただいている消費税については、ございません。

○塩川委員 現行制度で、現時点で消費税の減免措置というのは当然ありませんよね。

○安住国務大臣 大震災による、消費税の課税事業者選択届出等の書類がおくれた場合に、例えば、それに対していいですよというような消費税の課税事業者選択届出書等の届け出に係る特例、特例措置は何点かございます。

○塩川委員 今、事業者に対する消費税の特例措置として申告期限の延長ですとかあるいは徴収猶予とかというのがあるわけですけれども、ただ、それは後で払ってくださいねという話であります。
 何よりも、被災者の方にとってみれば、消費税の減免措置はありません。ですから、今お答えいただきましたように、所得税や住民税、固定資産税というのは、税金を納める力がない、納税ができない、担税力がない、そういった方々に減免措置を行っているのにもかかわらず、そういう負担能力がない被災者にも負担を求めるというのが消費税ということになりますね。
 これは余りにも被災者の皆さんにとって消費税の負担が大きくなる、消費税が被災者の皆さんにとって大きな負担となるということを示しているものになりはしませんか。

○安住国務大臣 消費税の税の性質上、何度も申し上げていますけれども、やはり水平的課税でありますから、そういう意味では、所得税のようないわば累進率がある垂直型の税であればさまざまな控除や減免措置はありますけれども、制度設計上、大震災や大災害に遭われて、例えば、物を消費する、買っていただくときの消費者として何か減免措置を考えている制度ではないわけです、それは。ですから、そういう点では、御負担をお願いしているということです。

○塩川委員 結局、税の性格上、被災者の方に重い負担をかけるのが消費税ということでありまして、消費税増税の理由として負担が公平などということも言われていますけれども、とんでもない。負担能力がない被災者の皆さんに大きな負担を強いる消費税というのは、応能負担の原則や生計費非課税の原則に反する税だと言わなければなりません。
 この消費税をさらに引き上げるということが、被災地の復興や被災者の支援に大きな妨げとなるということも言わざるを得ません。消費税増税に対する被災地の声は、反対、懸念の声が多数であります。昨日の地方公聴会でも、消費税増税に厳しい意見が出されたと聞いております。
 そこで、国交省に住宅再建関係についてお尋ねをいたします。
 被災地の今の現状として、資材不足とか業者不足などということが言われているとお聞きいたします。
 そこでお尋ねしますが、住宅建設に関連をした資材不足とか業者不足によって、工事の着工とか完成がおくれている、そういう懸念の声が上がっていますけれども、そういう現状についてはどのように把握をしておられるでしょうか。

○吉田(お)副大臣 委員の御質問にお答えを申し上げます。
 被災地におきましては、まずは入札につきまして不調問題が起こっているということは認識をいたしております。また、今委員御質問の資材高騰、業者の人手不足というふうなこと、これも現実に起こっております。
 入札不調につきましては、できる限り、建設業者、被災地、被災地域外が共同で行うこと、そして、技能者、技術者等を機動的に確保する復興ジョイントベンチャー制度の試行を導入しております。また、主任技術者の現場配置につきましては、被災地域内の複数の工事で密接性、近接性が確保される場合には兼任を可能とするということ。そして、設計労務単価につきましては、建設企業への調査や統計調査の結果等を活用することによりまして、直近の労務費の実態を反映した単価を設定するなどの取り組みを速やかに実施いたしております。
 引き続き、関係者が一丸となって取り組むことによって、可能な限り、地域における雇用の確保を図りつつ、復旧復興事業の円滑な施工を確保してまいる所存でございます。

○塩川委員 入札不調という話がありました。業者の不足によって、実際にその入札の価格では割が合わないという状況が広がっている。そういう中で、全体とすれば、工事の着工や完成のおくれが出てきている。
 この点では、日銀の福島支店の福島県金融概況四月分、五月十日の発表でも、住宅投資について、「この間、業者の確保難が続いていることから、着工や工期の遅れがみられている。」と指摘をしております。被災者の住宅再建にとって、資材価格の高騰や業者不足による工事着工、完成のおくれというのは深刻な問題であります。
 そういう中で、国の復興交付金なども活用した被災地の住宅再建の取り組みがどうなっているのか。
 五月十八日に、政府は第二回の復興推進会議を行いました。この「復興の現状と取組」という資料を見ますと、復興交付金による支援ということで、住宅再建及び高台移転に向けた取り組みについて書いてあります。その中に、防災集団移転促進事業が掲載されています。この防災集団移転促進事業については、「早期事業着手が見込まれるもの」ということが書いてあって、その「事業完了は早い地区で二十五年度を予定」と書いてあるわけであります。
 もともと、防災集団移転促進事業につきましては、早く移転をすることによって住宅再建をしたいという方もいらっしゃいますし、いや、現地で、この場所で住宅の再建をしたいという方もいらっしゃいます。あるいは、現地再建と言われている地域であっても、そこから移転をして住宅再建をしたいという方々もいらっしゃる。そういった方々の、被災者の実情に本当に丁寧に対応しながら進めていくということが何よりも重要であるわけで、住宅再建及び高台移転に当たっては、被災住民の納得と合意が大前提であります。上からの押しつけで拙速に進めてはなりません。
 そこで、今の点ですけれども、防災集団移転促進事業について復興交付金が既に二回配分をされています。その中で、防災集団移転促進事業の早期事業着手の予定地区というのが何市町村、何地区となっているのかについて、数字でお答えをいただけますか。

○吉田(お)副大臣 委員御質問の五月十八日の件でございますが、平成二十五年度というのは、委員も御指摘されましたように、早ければということでございます。丁寧にということ、そしてまた、引き続き私ども国土交通省も職員を派遣いたしまして、この件につきましては丁寧に対応方をさせていただいているということも冒頭申し上げさせていただきたいと思います。
 そして、今御質問にございました復興交付金のことでございますけれども、復興交付金によります防災集団移転促進事業の早期事業着手予定地区数でございますが、これは第一次と第二次に分かれております。平成二十三年度並びに平成二十四年度第一・四半期を合わせて第一次。第一次、第二次を合わせまして、まずは計画策定費という形でいいますと、二十四市町村、二百四十五地区、約百三十五億円、これが調査という形で入りました。その後、事業費という形で、二十市町村、百三十二地区、約一千六百七十億円が今現在、早期事業予定という形で配分がなされているということでございます。

○塩川委員 事業費がついている地区というのが百三十二地区という話でありました。早期事業着手の予定地区、つまり事業費がついているような地区というのが百三十二地区ということですけれども、今お答えもありましたが、復興推進会議の「復興の現状と取組」に書いてあります「事業完了は早い地区で二十五年度を予定」ということとの関係でも、もともと百三十二地区あっても、それが実際に事業が完了する年度というのは幅があるわけです、大体四年とか五年かけてやるわけですから。
 そういった際に、この復興推進会議の資料でも指摘をしている、「事業完了は早い地区で二十五年度を予定」とあるけれども、その大多数の事業というのは、実際には二十六年度以降になるのが大半ではないんですか。

○吉田(お)副大臣 委員にお答えを申し上げます。
 現状では、先ほど申し上げました早い地区では、今年度中にも被災者の移転先である住宅団地の造成が始まるものと聞いております。
 現時点におきましては、岩手県、宮城県、福島県の四市一村が策定した計二十二地区の集団移転促進事業計画に対しまして国土交通大臣が同意をしております。こういうような早期に事業着手ができる地区に対しましては、復興交付金も必要額が配分され、既に用地交渉が始まっており、さらに、一部の地区では用地取得、また測量等にも着手をしているということでございますので、本年度中の造成が始まり、二十五年度中に早ければ移転等が行われるということでございます。
 そして、今委員御指摘の点でございますが、事業実施年度が、二十五年度までにできるというのは七地区になるということでございます。

○塩川委員 集団移転促進事業計画が出されているもの、その数のうち、実際に二十五年度末までに造成が完了する事業計画が占めるというのが、わずか七つであります。つまり、二十五年度末というのは平成二十六年三月ですから、その翌月の四月は、消費税が八%に引き上げられるときであります。つまり、タイミングとすると、その消費税の引き上げ前に造成が完了するというところがわずか七地区しかない、その他はみんなその先にならざるを得ないというのが今の現状となっているわけであります。ですから、そういう意味でも、事態は極めて深刻な状況になっています。
 その上、今、計画が出ているところもありますけれども、いまだに事業計画の提出に至っていないような地域も残されている、実際には多数あるわけで、そういう中で、事業計画を出しているところで、早いものが、消費税八%引き上げ前に整うというのが七つという点でも、消費税増税の影響というのは不可避と言わざるを得ません。
 その点を具体の話で見ますと、資料を配付いたしましたが、仙台市の防災集団移転促進事業計画を例にお聞きしたい。
 五月二十九日に、仙台市は、防災集団移転促進事業計画を国交大臣に提出いたしました。その事業スケジュールを配付資料としております。この一番下の欄に「住宅再建」とありますけれども、四角で囲ってあるのがそれぞれの地区になっています。各地区ごとに住宅再建の時期が異なっております。それは、移転先の造成や工事の完了時期に差があるためであります。
 そこで、吉田国交副大臣にお尋ねしますけれども、この仙台市の計画において、平成二十五年度までに造成完了となる地区、その世帯数が幾つか、それから、二十六年度以降に造成完了となる地区の世帯数は幾つとなっているのか、この点についてお答えください。

○吉田(お)副大臣 委員の方から配付をしていただいている資料なんですけれども、これは私どもの手元の資料、また仙台市の資料等を見ていきますと、一地区抜けておるような感じがします。多分これは仙台市さんの資料かと存じますけれども、南福室地区というふうなのがこの資料からは抜けておりまして、数字を合わせてまいりますと、どうもそれが抜けているような感じがいたしております。
 そういうようなことを含めまして御報告を申し上げますと、平成二十五年におきましては五地区二百三十三戸、平成二十六年以降で九地区七百六十八戸が今進んでいくという形で予定をしております。
 以上でございます。

○塩川委員 今の答弁ですけれども、仙台市の資料は、これは注にも書いてあるんですけれども、要するに、岡田地区となっているところが、実際には南福室地区と上岡田地区に分かれている、それを一緒に掲載しているのがこの資料なんですよね。
 そういう点でも、数字は合っているということで、二十五年度までに造成完了となる地区の世帯数は二百三十三、二〇一四年四月の八%の増税後に造成完了となる地区の世帯数が七百六十八。つまり、合計一千一のうちの七割以上が、消費税増税後に造成が完了するという地域であります。こういう事業計画との関係で、奥山仙台市長も、被災地としては気になるのは実施のタイミングだということを述べているのが、まさにこの事業計画との関係での指摘であります。
 そこで、安住大臣にお尋ねしますが、こういう消費税増税というのは被災者の住宅再建にとって大きな障害となる、このことははっきりとしているんじゃありませんか。

○安住国務大臣 消費税の影響、建物を建てるときにやはり御負担になるということは困るじゃないかということなんですけれども、私も、消費税として単一税率を維持しておりますから、そのことで何か変更ということにはできませんけれども、率直に申し上げて、被災地の皆さんのそういう住宅建設については特段の配慮が必要な部分を感じておりますので、検討させていただきます。

○塩川委員 特段の配慮、特段の配慮と言うんですけれども、具体的な中身というのは何も示されていないんじゃないですか。そういう中で、多くの被災者の皆さんが、消費税増税を踏まえて住宅再建をどうしようか、移転の再建もしたい、あるいは現地での再建もしたい、しかしその状況が整わない中で、住民合意、納得と合意を踏まえた上で進めたときに消費税増税の壁が立ちはだかっているわけですから、そういった状況をそのままで、どうして被災者の皆さん、被災地の現状に応えることができるのか。大きな障害となっている、こういう問題についてそのままにしておくのか、このことが今問われているんじゃないですか。

○安住国務大臣 だけれども、多分、塩川さんは、仮にそれをやったとしても消費税反対なんですよね。
 私どもは、消費税は入れさせていただきたいんです。そのかわり、被災者の方に対しては、私どもの責任で何らかの対応はやはりとらないかぬかなと今思っているということです。

○塩川委員 だから消費税増税反対だということを繰り返しているわけで、ただ引き上げます、でも何らかの対応はとりますということなんだけれども、その何らかの対応が何にも見えてこないということでいいのかという話が出てくるわけですよ。
 実際に、現地で聞きますと、この住宅再建で、例えば仙台市などでも、丘陵地にある住宅団地が地盤被害を受けているわけです。そういった地盤被害の地域について、宅地地盤被害の支援策などが今度の復興交付金などにも盛り込まれて、実際に予算措置なども行われてきているわけですけれども、そういったときに、仙台市では、国の基準に満たないような規模の被災世帯に対して支援する市独自の制度をつくっているわけですよね。そういうときに市の方が想定をしていたというのが、復興交付金の効果促進事業だったわけであります。
 使い勝手のいい効果促進事業ということを予定していたんだけれども、一次でも二次でも、効果促進事業を充てることにはいまだに至っていないという状況であるわけで、現地の住宅再建の具体的な動きに対して、国が応えるどころか、逆にその足を引っ張るようなことで、どうして今の被災地の復興に力になるのか。
 加えて消費税増税などになれば、とてつもなく被災者の皆さんの負担が大きくなって、被災地の復興を大きく後退させることにならざるを得ないということはお認めになりませんか。

○安住国務大臣 ですから、塩川さんは、これがあってもなくても反対だとおっしゃっているわけで、私どもは、消費税を入れさせていただいた上で、今も、この被災地の住宅建設のことは私もよく存じ上げています、我が身のことでもありますから。
 だから、そういう意味では、どうするかということと、しかし同時に、今回の全壊をした家についての今までの資金的な支援というのは結構やらせていただいておりますからね。なおかつ、特例措置として住宅ローン控除の特例等々さまざまなこともやっていますが、それのみならず、今大きな壁が立ちはだかっていると言いますが、この消費税の話は、確かに負担がふえることは事実でございます、多分それは、五%から八%、一〇%になれば。しかし、それをもって全ての消費税がだめだという考えには私は立っていないんです。
 被災地の方々がそういうふうにこれから住宅を建て出すというときに、この消費税を上げた分については何か特段の配慮というものが必要ではないかという意見が各党からも出されておりますし、我が党内からも大変強うございますので、よくよく検討して、そうした対応というものができないか、私どもは検討させていただくということを申し上げているんです。

○塩川委員 この事業計画、仙台市の場合などでも、移転対象戸数が千七百六とあるんですけれども、まだ三割の方は態度を決めていないというか、こういう移転の計画そのものに反対だという声も上げておられる方なんですよね。
 そういうところについてきめ細かな対応が必要なんだということであるわけで、そういう意味でも、事業計画の完了というのがいつというのも、何らか線を引くような話でもないわけで、そういったときに、やはり慎重に住民の納得と合意を踏まえて進めていくときに消費税増税が立ちはだかる状況というのは、被災者支援、被災地の復興に逆行するということは重ねて申し上げなければなりません。
 時間もあれですけれども、水産加工業についても、では農水副大臣、ちょっと簡単に、加工流通施設についてお聞きしますけれども、復旧復興状況がどうなっているかということと、その中で、再開を希望する加工流通施設の全てが業務再開をする時期というのはいつなのか、この点について簡潔にお答えいただけますか。

○佐々木副大臣 昨日、拝命、就任をしたばかりで早速御質問いただきまして、よろしくお願いをいたします。
 水産加工施設の再開状況でありますが、水産加工業者の全国団体、全国水産加工業協同組合連合会の調査でございますが、東日本大震災により被災した水産加工施設は、岩手県、宮城県、福島県の三県で八百五十二施設、このうち七百五十九施設、約八九%が再開を希望しているところでございます。そのうち、三月末現在でありますが、四百十八施設、約五五%が再開を既にしているところでございます。
 あと、復興のめどでございますが、水産加工施設の復旧復興の目標年次でございますが、御案内のように、海岸と違って、水産加工施設は後背地になりますので、被害が甚大で大変広範にわたるということ、あるいは、地域によっては、地盤のかさ上げあるいは工場の移転など土地利用にかかわる面的な計画が必要であるというようなことなど、それぞれの地域の状況を踏まえると、復旧復興には五年程度の期間を要するというところもありますので、関係県等からの要望をもとに、平成二十七年度までとしたところでございます。
 以上でございます。

○塩川委員 五年度ということで二十七年度末ですけれども、これは要するに、復興の基本方針にある集中復興期間の線引きなんですよ。ですから、そこまでにしっかりとやる、その構えというのは当然一つの指標としてあると思いますけれども、そういう意味では、逆に、そういう集中復興期間に、しっかりとした水産加工業の復旧復興を図る時期に消費税増税をかぶせるというのが水産加工業の出足をくじく、妨げになるということもあわせて指摘をして、時間が参りましたので、質問を終わります。