<第180通常国会 2012年06月07日 総務委員会 11号>




○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 合併特例債の延長には賛成であります。
 きょうは、被災地の合併自治体であります石巻市や気仙沼市、これを支える水産加工業に関連して質問をいたします。
 宮城県においては、石巻や気仙沼を中心に、水産加工施設が団地となって数多く立地をしておりますが、今回の震災、大津波で、これらの半数以上が壊滅的な打撃を受けました。
 宮城県内の水産加工場の従業員は一万四千人、北海道に次いで全国で二番目に多いということであります。また、これとは別に、冷凍冷蔵庫関係の従業員が一万一千人いるということで、これらの従業員の大半の方々が、今、失業の危機、不安の中にあるわけであります。
 石巻でも、水産加工関係で四千人の雇用が失われたと言われておりますし、気仙沼でも、七万四千の人口のうち約七割、五万人の人たちが水産加工に携わっていますが、その大半がやはり失業の危機にあると言われています。
 水産物の水揚げ、出荷を行うためには、漁船があって、漁港があるだけではだめで、市場があり、加工場があり、そして冷凍冷蔵庫、製氷施設といった水産加工施設が一体的になってこそ復旧復興につながる、不可欠なものだということであります。水揚げされた水産物を消費者まで届ける、一連のこのサプライチェーンを形成しているわけで、これの復旧復興というのが求められているわけであります。
 その水産加工流通施設の復旧復興状況、被害があった水産加工施設のうち、再開を希望している施設で業務再開をしたのは、宮城で、三月末の調査で、五〇%ということでありました。サプライチェーンを形成している水産加工施設が復旧復興することなしに、全体の機能は十分に発揮できません。
 国として、二〇一五年度末までに再開希望者全員の施設を復旧復興することをめどにしておりますが、これは復興基本方針の集中復興期間が二〇一五年度までとなっているのに合わせているものであります。
 そこで、大臣にお尋ねしますが、国が集中復興期間と定めたその期間の途中に消費税増税が行われます。そんなことになれば、被災地の水産加工業の復旧復興の大きな妨げにしかならない、このように思いますが、大臣、どのように受けとめておられますか。

○川端国務大臣 東日本大震災からの復興は、内閣というよりも国にとって最優先課題であるというふうに思っておりまして、復興庁が中心となりまして、復興交付金、復興特区制度などを活用して、被災地の復興を加速しております。総務省という立場で申し上げても、震災復興特別交付税あるいは地方税制上の支援措置を通じて、被災地の復興に全力を挙げて取り組んでいるところでございます。
 一方で、社会保障と税の一体改革は、社会保障の充実、安定化を図り、若い世代を含めた国民の不安を解消して、将来に希望の持てる社会をつくるという意味でも、待ったなしの課題でございます。
 今回の一体改革で、消費税収は、現行分の地方消費税部分を除きましては全額を社会保障財源として国民に還元するものであると同時に、低所得者への年金加算、保険料の軽減など、きめ細やかな低所得者対策を実施していくこととしておりますので、被災者を含めて皆さんの御理解が深まるように、一体改革の必要性や意義、内容をわかりやすく丁寧に伝えていく努力が欠かせないと考えておりまして、鋭意努力をしてまいりたいと思っております。

○塩川委員 この間の政府の答弁というのは、復興は復興、消費税は消費税、それはそれ、これはこれの世界であって、実態はそうじゃないわけであります。
 このような集中復興期間を決めて、今大臣の答弁にあったような復興交付金だとかあるいは復興特区、一連のメニューを決めた復興基本方針の出された時点には、消費税の増税の法案というのは出ていないわけですよ。ですから、復興基本方針に基づくメニューをやっているから大丈夫だという話には、イコールならない。そういう点でも消費税増税への懸念が強いというのが実態であります。
 石巻の事業者の方のお話を伺いました。今、水揚げしたものというのは、大半を大手の量販店が買うというのが主流なので、買い手市場となっている、消費税が上げられたときに、消費税が転嫁できるか、納入価格を下げざるを得なくなるのではないか、こういう不安を持っているという声があります。また、冷蔵庫をつくるのにも半年、一年とかかる、秋や冬になってくれば、もうやめようかと不安な気持ちになってしまうのではないか、平常時なら自助、共助、公助の順でいいかと思うが、いざ震災の場合は逆にならないといけない、国が寄り添いながら、本人がやろうとしたときに助けてほしい、こういう声であります。
 このような事業者の方が将来に不安を感じているときに、国が寄り添うどころかさらに不安を拡大するような消費税の引き上げを行えば、廃業を拡大し、水産加工の集積地を壊し、それが地域を壊すことにしかならない、このように思いますが、大臣はいかがですか。

○川端国務大臣 転嫁の問題は極めて重要な問題でありますし、中小零細、弱小の人たちがある種優越的な地位を利用されて転嫁できないという事態は起こしてはいけないという意味でのいろいろな、法整備も含めて、制度の整備も含めて、今真剣に取り組んでいるところでございまして、そういう御懸念はできるだけ解消されるように、しっかりと転嫁できるように取り組んでまいりたいと思います。
 そして、不安をお持ちであるということは、もう察するには十分、私もそういうふうに思いますが、一方で、社会保障をしっかりと安定的に、そしてより充実させていくということで、将来へのあるいは子育てへの安心を確保するというのも大変大事な問題でありますだけに、そういう部分を、安心がしっかり確保できるということの御理解もぜひともにいただきたいと思っております。

○塩川委員 実際にそういう不安の声があるということに応えるような施策ということでは全国ベースでやるような話しかないわけで、復興のための独自の取り組みをしっかりやるのは当たり前だ、しかし、それに加えて、消費税増税というのが結局復興の妨げにしかならない、こういう点でも、消費税増税を行ってはならない。被災地の声として、強く求めておくものであります。
 この点を指摘し、残りの時間で竜巻被害対策について質問をいたします。
 五月六日に、茨城、栃木で三本の竜巻が大きな被害を与えました。それぞれの地域で被災者の皆さんが懸命に復旧復興の取り組みを始めているところであります。
 そこで、最初にお尋ねしたいのが、つくば市の筑波山の麓にあります北条商店街のことであります。大泉委員の地元であります。
 九十店舗のうち、全壊十一を含む六十一店舗が被災をする壊滅的な打撃を受けました。北条商店街は、筑波山麓の登山口にあって、江戸時代から市が立つ宿場町で、当時のにぎわいをほうふつとさせる商家の古い店蔵などが建ち並んでいる。しかしながら、近年、大型店の出店などで、なかなか元気が出ないという状況になっています。そういったときに、地域の住民の方や商店主の方が、北条街づくり振興会などをつくって、大学生やNPOの皆さんと一緒に多彩な事業を展開し、こういう活動が評価をされて経済産業省中小企業庁の「新・がんばる商店街七十七選」にも選定をされている、そういう商店街であります。こういう商店街再生が緒についたやさきに、東日本大震災でも被災をいたしました。加えて、今回の竜巻の被害を受けたわけであります。
 そこで、経済産業省にお尋ねをしますが、つくば市から経済産業大臣宛て要望書が提出をされております。東日本大震災に準じて、中小企業等グループ施設等復旧整備補助事業を創設してもらいたいということを求めています。いわゆるグループ補助金であります。こういった北条商店街の復興のためなど、東日本大震災で実施をしているグループ補助金を使えるようにしてほしい、こういう声に経産省としてはどのようにお応えになりますか。

○中根大臣政務官 お答えを申し上げます。
 御指摘のように、五月の三十日、茨城県知事、また、つくば市長様から、枝野経済産業大臣宛てに要望書が提出をされ、枝野大臣が直接面談をし、お話をさせていただいたということでございます。
 その際にお話をさせていただいたことと同じような答弁になりますけれども、中小企業グループ補助金は、東日本大震災による被害が我が国の歴史上類を見ないほど広範囲かつ甚大であり、一からグループを形成し復興を図ることが必要であったこと等に鑑み、あくまで極めて特別なケースとして創設をしたものであり、同様の制度を実施するのは困難であると申し上げなければなりません。
 今般の竜巻が中小企業にもたらした被害については、発災直後から現地に職員を派遣し、被災中小企業者の声を直接お伺いしており、竜巻特有の局地的な被害状況は理解をさせていただいております。改めて、この場で、被災地、被災者の皆様方に心からお見舞いを申し上げたいと思います。
 今般の竜巻による被災中小企業者対策といたしましては、五月八日には、特別相談窓口の設置、別枠融資制度、災害復旧貸し付けのことでございますが、その適用、既往債務の返済条件緩和等の対応、小規模企業共済災害時即時貸し付けの適用の措置を講じ、被災中小企業者の早期復旧に資することといたしております。
 こうした支援策を通じて、引き続き、被災された中小企業者の皆様方にきめ細かく丁寧に支援を講じてまいりたいと考えておるところでございます。
 以上です。

○塩川委員 東日本大震災で甚大な被害を受けた事業者への支援のメニューです。ですから、このつくば市の北条商店街もそうなんですよ。もともとつくば市も特定被災地方公共団体に指定をされておりますし、この北条商店街も東日本大震災で被災をしている。それに加えて竜巻の被害ですから、いわば連続災害、二重災害であるわけで、そのベースとなっている東日本大震災での被害を受けているということも踏まえて、グループ補助金が使えるようにする。もう少し知恵を出して工夫をするということについてはぜひお考えいただきたいと思うんですが、もう一声、いかがですか。

○中根大臣政務官 貴重な御指摘を承ったと思っております。経済産業省の中におきましても、塩川先生の御提言を承り、十分検討してまいりたいと思います。

○塩川委員 地元では復興計画づくりも始まっているわけで、そういう中で、本当にどうやったら元気が出るのかということにつながるような支援策というのを経産省としてもお考えいただきたい。具体化をお願いするものであります。
 残りの質問、二問続けてお尋ねします。
 農水省の方には、水田での瓦れきの撤去、ガラスの破片などがまざって、ちょうど田植えの時期でその撤去ができなかったような方々に対し補助金をつくったわけですけれども、二カ月以内という線が引いてある。それだとちょっと間尺に合わない。稲刈りの後でも除去できるような、そういう支援策の期間の見直しを含めた対応をどうされるのか、この点についてお聞きしたいということ。
 あと、川端大臣には、今回の竜巻被害の被災自治体には、普通交付税六月定例交付分の繰り上げ交付が行われております。特別な財政需要が発生をしているわけですから、被災自治体に対し特別交付税の特例交付、こういうのを実施する考えはあるか、この点について続けてお答えいただければと思います。

○仲野大臣政務官 お答えいたします。
 五月六日にひょうなどによる甚大な被害を受けたということで、農林水産省では、このひょうにより被災した農業者に対して支援策をさせていただくということで、五月二十二日に発表いたしました。
 その内容といたしましては、ガラスの破片等が散乱した農地については、一カ所当たり四十万以上の費用を要する場合には、災害復旧事業の対象として、表土の入れかえ等にかかる経費を助成しているところでありますし、また、農業者には、収穫後に表土を入れかえすることを望んでいることから、地元そしてまた何よりも生産者の意向を十分に踏まえつつ、災害復旧を進めてまいる考えでございます。
 そして、先ほど塩川委員からも御指摘のとおり、災害発生後六十日以内に査定手続を開始するとされていることから、現地の実情に合わせて、スピード感を持ってしっかりと対応してまいりたいと思っております。もう既に対応を行って、稲が生育しているということもありますし、また、抜本的に表土を入れかえするとなれば、これは、稲刈りが終わった後に早急に、支障のないようにしっかりと、全て生産者、地元の声を重視し、その意を踏まえて対応させていただきたいと思っております。

○川端国務大臣 普通交付税は、一部、三割、五月の十六日に繰り上げ交付をさせていただきましたが、平成二十三年度から創設をいたしました特別交付税の特例交付につきましては、東日本大震災のように、激甚災害等の中でも、関係地方公共団体の財政運営に特に著しい影響を及ぼす災害が発生した場合に行うということが地方交付税法の第十五条第三項に規定されています。今回の突風災害については、特例交付を行うことにはならないというふうに法律上では位置づけております。二十三年の八月末から九月の、先ほども御議論ありました、紀伊半島に上陸しました激甚災害に指定された台風十二号による大雨災害に対しても、特例交付は行っておりません。
 今回の突風災害につきましては、これまでの災害への対応と同様に、関係地方公共団体の実情を十分お伺いし、十二月分の特別交付税措置を初め、地方交付税や地方債による地方財政措置を講じ、その財政運営に支障が生じることのないように適切に対応してまいりたいと思っております。

○塩川委員 しっかりとした対応を求めて、質問を終わります。