<第180通常国会 2012年06月14日 災害対策特別委員会 7号>




○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 災害対策特別委員会の竜巻被害での現地調査に参加させていただき、ありがとうございました。改めてここで質問の機会もいただき、ありがとうございます。
 竜巻被害について最初にお尋ねいたします。
 委員の皆さんからもありましたが、北条商店街への支援策について、柳澤副大臣にお尋ねしたいと思っています。
 つくば市の北条商店街、私も、一昨日も改めて足を運んで、お話も伺ってまいりました。九十店舗のうち、全壊十一を含む七十四店舗が被災するという甚大な被害を受けたわけであります。
 行きますと、後ろに山を控えているところですけれども、この北条商店街というのは、筑波山神社の登山口にあって、江戸時代から市が立つ宿場町で、当時のにぎわいをほうふつとさせる商家の古い店蔵などが立ち並んでおります。
 しかし、近年、御多分に漏れず、大型店の出店などでなかなか厳しい状況にある。そういうときに、商店主の方とか地域住民の皆さんが北条街づくり振興会というのを立ち上げて、大学生とかNPOの方たちと一緒に商店街を守り立てる、地域の核となるような活動に取り組んできた中で、中小企業庁の「新・がんばる商店街七十七選」の一つにも選ばれる、そういう頑張りをしてきた商店街でありました。
 この商店街の再生の取り組みが緒についたやさきに、昨年の東日本大震災で被災をし、今回の竜巻の災禍に遭ったわけです。
 そこで、お尋ねしたいのは、つくば市から、五月三十日付で、経済産業大臣宛ての要望書が提出をされています。
 その一項目めの方を読み上げますけれども、「東日本大震災に準じて、中小企業等グループ施設等復旧整備補助事業を創設するとともに、地域商業再生事業、中小企業活力向上事業等の拡充により、竜巻で被災した中小企業や商店街を支援すること。」こういう要望であります。
 この要望に、国、経済産業省としてどのように応えるのか、この点についてお答えをいただきたいと思います。

○柳澤副大臣 昨年の九月から現地本部に入っていまして、特にこのグループ補助金というのは、本当に、地震、津波そして福島の原発事故ということで、広範囲に大きな災害が起きる、それを、一からグループを形成して復興させようということで、特別につくった制度でございます。
 今まで百九十八グループ、国と県を合わせると約二千億円を超える対応をしてきているんですが、それでもまだまだ足りなくて、進み方が弱い。今年度予算でまた五百億、公募をかけてやるということで、これをほかに広げるというのは非常に難しい。去年、大きな洪水等もある中で、このグループ補助金というのは、あくまでも今回の大震災、未曽有の、過去に例のないということで限定をさせていただいているので、それを広げるというのは非常に難しいというふうに考えております。
 それで、経産省としては、八日の日に特別相談窓口を設置したり、別枠融資制度、あるいは既往債務の返済条件緩和、小規模企業共済災害時即時貸し付けの適用など、いろいろな手を今打たせていただいておりまして、本省だけではなくて、地方局あるいは中小企業庁からも職員を派遣させていただいて相談に乗らせていただいて、対応させていただきたい。
 それから、先ほどありました商店街の件ですが、これは、被災地というよりは、地域商業再生事業及び中小商業活力向上事業等も踏まえて、できるだけまた御相談に乗らせていただいて対応させていただければというふうに考えております。

○塩川委員 グループ補助金は難しいというお話でした。
 九十軒の商店街で、今回の被災を機に、残念ながら廃業をという方もいらっしゃった。それは二軒にとどまったそうであります。その他の方々は、店が壊れたり自宅が壊れたりした中でも懸命にやろうと頑張っておられるということで、この前伺ったときにも、店も自宅も全壊をした方が商店街の向かいのところにプレハブの店舗をつくって営業しておられた。婦人服のお店ですけれども、入り口のところにお客さん向けに張り紙がしてあるんですよね。何て書いてあるかというと、竜巻なんかに負けません、でも商品はまけますよと。ここに商店街の皆さんの心意気を非常に感じるわけであります。
 しかし、現実は、屋根の瓦を取りかえるだけでも五百万円から六百万円もかかるとか、それこそ屋根が飛んでしまえば一千万とかかかるという話なんかも出てくるわけです。現行制度では、店舗の損壊には、被災者生活再建支援法も住宅の応急修理も対象外であります。
 そういう点では、事業用資産の再建に対して補助するグループ補助金というのは重要な制度であって、そういう意味でも、きょうも指摘がありますけれども、東日本大震災に続く二重災害、連続災害であるわけです。ですから、連続したものとして捉えて、適用ということも考えるべきではないのかということであります。
 ちなみに、茨城県がこのグループ補助金を認定した中に、筑波山麓のグループに対する補助金も既に認定しているわけですよ。これは、筑波山麓の観光業、あるいは小売のお土産屋さん、あるいは飲食店、そういうグループに対してグループ補助金を適用しているわけです。つまり、茨城のあの地域も東日本大震災の被災地なんですね。
 であれば、連続災害ということで一体的に捉えて、この北条商店街に対してもグループ補助金というのは十分に考えられるんじゃないのか。そういう甚大な被害に対して懸命に頑張っておられる方たちを支える、こういう点で、ぜひ一工夫も二工夫もしていただきたいと思うんですが、改めていかがですか。

○柳澤副大臣 今回の竜巻の被害というのは、現地に行った職員の皆さんからも、あるいは映像でも見させていただいて、大変なことも十分理解をしております。
 一方で、こういうような災害、あるいは洪水も含めて、このグループ補助金を広げるということになると、非常に基準が難しくなる。あくまでも今回は東日本大震災に限定をするというのが今の決まりでございまして、なかなかそれを拡大するというのは難しいというふうに私は理解をいたしております。

○塩川委員 この北条街づくり振興会の会長さんの話もお聞きしました。店蔵、要するに蔵をお店に使う、そういうところが非常に多くて、江戸時代につくったという店蔵が二十一軒も残っている。あるいは、明治期が四十軒、大正から戦前まででも六十九軒に上るわけなんですね。ですから、この振興会の会長さん、時計屋さんですけれども、歴史ある建物が取り壊されたらこの商店街の魅力がなくなってしまう、被災エリアだけではなく、将来を見据えて、何としても商店街全体を復興させたい、中長期的な支援を国にお願いしたい、こういうことで、今後商店街の復興計画をつくるということをおっしゃっておられました。
 そこに、観光振興の観点なども含めて、意欲のある商店街関係者を励ますような支援策の具体化をお願いしたい。改めて柳澤副大臣と、ぜひ中川大臣も一言いただけないでしょうか。

○柳澤副大臣 おっしゃられているところはよくわかりますし、要望書等も全部見させていただいております。
 それからまた、商店街の方で北条復興街づくり協議会も立ち上げていただけるというふうにお話も聞いておりますので、本当に、町づくりの再構築を含めた復興に関しては、その協議会に対して、経産省としては全面的に協力を、また相談にも乗らせていただいて、できるだけ早く復興ができるように協力はさせていただきたいと思います。
 いろいろ要望等はぜひ聞かせていただいて、こちらからも足を運ばせていただきたいというふうに思っておりますので、よろしくお願いしたいと思います。

○中川国務大臣 グループ補助金というのが、東日本の大震災の特例といいますか、それのみで運用されるという前提になっているものですから、非常に残念に思っております。
 そういう意味からいくと、さっきお話が出たように、では今度はどういう絵を描いていくかという、復興あるいは新しい町づくりの計画の中で、精いっぱい寄り添いをさせていただいて、それが可能になるような形を描いていくということ、これに尽きると思いますので、私もしっかり側面から支援をしていきたいというふうに思っております。

○塩川委員 地域の核となって、意欲のある商店街の皆さんでもありますので、しっかりとした国としての支援策、対応方を改めて求めるものであります。
 次に、被災者支援制度全般について何点かお尋ねをいたします。
 一つは、液状化被害の問題であります。
 東日本大震災では、液状化による地盤被害によって住宅が傾いたり住宅が沈み込む被害が大規模に起こりました。このような液状化に係る住家、住まいの被害認定について、昨年五月二日、傾斜による判定と基礎の潜り込みによる判定を追加いたしました。
 そこで、大臣にお尋ねしたいんですが、この液状化対応の被害認定の運用見直しというのは、東日本大震災に限定されていない恒久措置なのかどうか、この点を確認したいと思います。

○中川国務大臣 これは二十三年の五月二日に運用を見直したわけでありますが、これについては、地盤に係る住家の被害認定については、既に被害認定が進められている平成二十三年東日本大震災における地盤の液状化による住家被害を含めて、当分の間、運用指針にかえて、この方法を活用の上、適切な被害認定が実施されるように、都道府県を通じて市町村にお願いをしているということであります。
 こういうことで、本取り扱いについては、東日本大震災における被害に限らず、それ以外の災害についても適用していくということでございます。

○塩川委員 東日本大震災に限られていないというお話でありました。ただ、この事務連絡の通知、今大臣も紹介されたように、当分の間、運用指針にかえて実施をするということであります。
 災害に係る住家の被害認定基準はあるわけですが、その運用指針が出されております。この災害対策特別委員会の議論の中での附帯決議を踏まえた見直しというのが平成二十一年ということで、それに基づく運用指針になっているわけですけれども、ここには液状化対応は出てこないわけですね。ですから、そういう点でも、この運用指針にしっかりと盛り込んでもらう、当分の間、運用指針にかえてというのではなくて、そういう対応というのをぜひこの機会にやっていただきたい。この点どうでしょうか。

○中川国務大臣 そのことも含めて、これからしっかり検討していきたいというふうに思っております。

○塩川委員 液状化被害の場合には、住宅は壊れていないわけですね。傾いているということで、そういう点では、従来の住家の損壊状況に着目してというところから一歩踏み出した部分があるわけです。もちろん、傾いているわけですから、住まいに供するという点にふさわしくないという点があるわけですけれども、健康被害に着目してこれを被害認定としたという点は、非常に積極的な対応だと考えております。そういうのを生かした今後の被害認定の充実が必要だというふうに思っております。ぜひ、この運用指針につきましても、必要な改定を行っていただきたいということであります。
 それと、被災者生活再建支援法の支援金の適用にかかわって、店舗、事業用資産、これについて見直しを行うときではないのかということであります。
 店舗が全壊になっても支援金の対象とはなりません。生業である店舗の再建を支援できるように、支給対象とすべき、こういう声が上がっていますけれども、この点はいかがでしょうか。

○中川国務大臣 現在の支援法の前提というのが、生活ですね、生活再建を支援するということを目的としているということであります。
 店舗等の事業用の資産、これを支給対象とするということについては、やっと特例でグループの支援というのが入ったんですけれども、あれもやはり、これまでの基準といいますか考え方からすれば、事業というものに対して公的な資金を直接補助金として入れるということについては、枠組みとしてなかったものを、グループという形で、中小企業の場合特例で東日本、そういう枠組みにつくっていったわけですけれども、そういうことから考えても、現在の支援法をそういうことで見直していくということは、少し無理があるといいますか、難しいことだと思います。
 もし、事業用、あるいは新しい、被災地に対する雇用創出ということも考えていきながら事業の組み立てをするとすれば、ひとつここはまた別の枠組みの中で制度設計をしなければいけないのかなというふうに思っております。
 そんな整理をした中で、これからどういうふうにそれに取り組んでいくかということ、これも、いわゆる全体の防災計画あるいは防災対策の中で、ぜひ議論を進めていきたいというふうに思っておりますので、よろしくお願いします。

○塩川委員 やはり、生業たる店舗、生活の支えの店舗が壊れたということは、自宅が壊れていなくても暮らしていけないということですから、店舗の再建なしには生活再建がないんだということが非常に重要だと思っております。また、商店街が復興しないと住民生活も成り立たないという公共性があるという点も含めて、やはりここは一歩踏み出した対応こそ必要ではないかな、そういう議論も当然あるわけですから、支援制度の支援金の支給対象として、拡大をするということを、ぜひ今後具体化すべきだということは申し上げておきます。
 それで、そういった現行の被災者の支援制度というのは、一連の支援制度を動かす前提というのが、全壊とか半壊とか、住家の損壊状況に着目をした被害認定であるわけですね。要するに、住まいの壊れぐあいに応じて被害認定が行われ、罹災証明が発行され、そして一連の支援制度が動き出すという仕組みになっているわけです。
 しかしながら、こういった住家の損壊状況に着目した被害認定では、住まいは壊れていない、しかし、噴火災害のように長期避難せざるを得なくなるというところについては、そこは含み込むことにはなりませんし、今お話ししたように、店舗の被害で収入を断たれた場合なども被害認定につながらない、支援制度の発動にもつながらないということです。
 私が思うのは、住家の損壊が伴わないような場合であっても、しかし生活基盤が壊されるような事態が生まれているといった、被災者の置かれている実態に即した被害認定を考えることで、一連の被災者の支援制度を動かしていくということが必要じゃないかな、住家の損壊状況だけに限定せず、被災者の被害実態に着目した被害認定の見直しが今必要なんじゃないか、このように考えますが、大臣のお考えをお聞かせください。

○中川国務大臣 そこは、今回の東日本の大震災の復旧から復興という過程に今ある中で、さまざまに指摘をされているところだというふうに思います。
 特に雇用という問題なども含めて、これは幅広く取り組んでいく必要があるんだというふうに思っておりまして、そんな問題意識を持って、これからも検討会議において議題化して、検討していきたいというふうに思います。

○塩川委員 先ほど言った液状化対応の被害認定というのも、もちろん家の傾きという住家に着目した点はあるんですが、ただ、やはり健康被害の問題があるわけですね。そういう意味でも、被災者の被害実態に即した被害認定、要するに、被災者の支援制度が動くような仕組みに踏み出していくときだと思っています。その点では、泉田新潟県知事なども同趣旨のことを述べておられます。こういう機会に被災者支援制度適用の見直しを求めていきたいと思っています。
 時間が参りましたので、応急修理をお聞きしようと思いましたが、先ほど答弁もありましたので、割愛させていただきます。ありがとうございました。