<第180通常国会 2012年07月24日 総務委員会 13号>




○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 きょうは、今問題となっておりますオスプレーの配備、訓練計画について住民、自治体の立場から質問をいたします。
 このオスプレー配備反対の世論と運動が大きく広がっております。自治体からも反対、懸念の声が上がっております。山口県では、岩国基地におけるオスプレー十二機陸揚げに厳しく反対する声が上がっておりますし、また、配備が計画をされている普天間基地のある沖縄県知事は、安全性に疑問が持たれているものを押し込んでくるなら断然拒否するしかない、このように述べています。全国知事会も決議を上げて、「関係する自治体や住民が懸念している安全性について未だ確認できていない現状においては、受け入れることはできない。」としております。
 このように、岩国や沖縄だけではなく全国の自治体から、オスプレー配備、訓練、ノーの声が上がっているところです。国は、こういうオスプレー配備反対を求める住民、自治体の意見を正面から受けとめるべきであります。
 アメリカが作成をしました「MV―22の普天間飛行場配備及び日本での運用に関する環境レビュー最終版」というのがあります。これ自体は防衛省の沖縄防衛局のホームページにアップをされているものであります。これ自身は英文で、防衛省として日本語への翻訳も行われております。ここでは、沖縄だけでなく本土でも訓練を行う、キャンプ富士及び岩国基地で行う、また、航法経路という六本のルートにおける飛行訓練も計画をされています。
 そこで、本土におけるオスプレーの飛行訓練について質問をいたします。
 防衛省にお尋ねをいたします。
 この報告書においては、配付資料にございますように、沖縄防衛局のホームページにもアップをしております、この米報告書の付録の資料の中に、このような形で、訓練飛行のルート、ブルールート、グリーンルート、オレンジルート、ピンクルート、それからイエロールート、パープルルートという六本の航法経路が既存のルートとして存在することを認めております。
 そこで確認をいたしますが、このような米軍訓練飛行ルートがあることについて、日本政府として認識したのは今回のこれが初めてということでしょうか。

○神風大臣政務官 今回、MV22オスプレーの沖縄配備に際しまして、米国の方で環境レビューが行われたところでございます。それまで、米軍の訓練としてそういう飛行ルートがあるということは承知をしておりましたが、六本の正確な位置を認識したのは今回が初めてでございます。

○塩川委員 今回初めて認識したということですが、これまで米軍機の低空飛行訓練の被害については、自治体、住民から抗議の声が上がっていましたが、日本政府は正式にこのルートそのものについては認めてこなかったものです。過去どうだったかという検証も必要であります。
 次に、中国山地にはブラウンルートがあるとされてきておりますが、このブラウンルートについては米側に確認をしておられるんでしょうか。

○神風大臣政務官 在日米軍のFA18等の固定翼機に係る航法訓練につきましては、今般のMV22配備に関する環境レビューの中で、六本の航法経路を使用していると記載があるほか、中国地方においても、今先生が御指摘のありましたような、そうした訓練を実施しているとは承知をしておりますが、具体的な経路等については、米軍の運用にかかわる事項でありまして、承知をしておりません。

○塩川委員 このブラウンルートについて米側に確認をするつもりはありませんか。

○神風大臣政務官 基本的には、環境レビューに記載のある六本の航空経路において必要な航法訓練の一部が行われるものと理解をしております。
 米軍のブラウンルートと言われるものについては、運用にかかわることでありまして、日本政府として必ずしも承知をしておりませんが、いずれにせよ、米軍の飛行訓練に関しては、今後、日米合同委員会の場を通じて必要な議論をしていきたいと考えております。

○塩川委員 中国地方、中国山地では、こういう低空飛行訓練の被害について厳しい批判の声が上がっているところであるにもかかわらず、確認もされないという点も極めて重大で、我が党のしんぶん赤旗の取材に対して米側も、海兵隊はブラウンルートでの訓練も認めているところでありますから、そういう確認さえしないという点は極めて重大であります。
 次に、この報告書について防衛省は関係自治体に情報提供を行っております。そこでお尋ねしますが、防衛省側から情報提供を行った自治体、つまり、先んじて、この報告書が出たことをもって防衛省側から情報提供を行った自治体というのは本土においてはどのような自治体か、この点についてお答えいただけますか。

○神風大臣政務官 現時点といいますか七月の二十三日現在で、本土におきましては三十都府県、また十八市町において情報提供を行っているところでありますが、これは自治体からの御要請に基づいて行っているところとこちらから事前に情報提供しているところと合計の数でありまして、今、こちらの方から事前に情報提供を行った、その数については把握をしておりません。

○塩川委員 それでは、防衛省側から事前に情報提供を行ったというその数について、どの自治体名かということについては、後ほど御報告をいただけますか。

○神風大臣政務官 後ほど御報告させていただきたいと思います。

○塩川委員 それで、防衛省側から事前に情報提供を行ったという件についてですけれども、それは、一つは、この米側の報告書の資料を見て、航法経路に該当する県に連絡をとったということでよろしいんでしょうか。

○神風大臣政務官 該当する県と関連する周辺自治体でございます。

○塩川委員 この六本のルートに関して関係する市町村についても情報提供を行ったということでよろしいですか。

○神風大臣政務官 向こうからの、自治体からの御意向によって情報提供させていただいたケースもありますが、いずれにしても、情報提供させていただいたということでございます。

○塩川委員 ちょっとその点がはっきりしないんですけれども、配付資料の一番後ろに、防衛省からいただいた「オスプレイに係る環境レビュー等に関する情報提供を行った自治体」があります。右側が沖縄ですが、左側が本土、その左側の左側が都県となり、右側の部分が市町村となっています。
 この本土の市町村についてですけれども、この部分については、オスプレーの訓練が計画をされているキャンプ富士と岩国基地が所在する市町村、それと米空軍基地の所在市町村に説明をしたと承知をしておりますが、そのとおりでよろしいでしょうか。

○神風大臣政務官 今先生の御指摘のあった市町村を含めて、あと、御意向の、御要請のあったところに情報提供を行っております。

○塩川委員 ですから、提供を行った市町村が、もともとこのオスプレーの訓練が計画をされている岩国基地、それからキャンプ富士の所在市町村及び米空軍基地が所在する市町村が説明の対象市町村ということでいいかどうかを確認しています。

○神風大臣政務官 ちょっと今の正確な点につきましては、質問の御通告がなかったものですから、後ほど正確に検討させていただきたい、精査をさせていただきたいと思います。

○塩川委員 いや、この点は事前にお願いしているんですけれども。はっきり言えるでしょう。

○神風大臣政務官 米軍のある市町村、また、情報提供を求められた市町村ということであります。

○塩川委員 米軍施設のある市町村という話であります。防衛省として、この報告書に基づき、オスプレーの訓練があり得る自治体に情報提供を行ってきたわけであります。
 この報告書の中では、キャンプ富士と岩国基地だけではなくて、報告書の記述では、MV22中隊の一部が時折、他の米軍施設に飛行することもあり得ると述べておりますけれども、この他の米軍施設というのは、防衛省が情報提供を行ったところの市町村に所在をしている米軍施設、つまり、この市町村を見ると、三沢基地と横田基地と厚木基地の該当の市町村になっているわけですけれども、報告書で言っている、オスプレーの部隊が他の米軍施設に飛行することもあり得るとしているその他の米軍施設には、防衛省側が説明を行った三沢基地、横田基地、厚木基地も含まれているということでよろしいですか。

○神風大臣政務官 そういう御理解でよろしいかと思います。

○塩川委員 県については、この航法経路上に該当する県に対して情報提供を行った、それがどこかというのは後ほど聞かせていただきますけれども。であれば、市町村、つまり、この航法経路上に該当する市町村はどこなのか。こういう市町村を防衛省として明らかにして必要な情報提供をする、そういう予定、おつもりはありませんか。

○神風大臣政務官 市町村についてのお尋ねでありますが、この市町村名を含む具体的なルートの詳細等については、これは米軍の運用に係る事項でありまして、お答えすることは困難であろうかと思います。

○塩川委員 いやいや、ですから、運用にかかわることで答弁困難というんじゃなくて、実際米側が報告書でルートを認めたわけですよね。それについて、防衛省側も日本政府としても、そういう米軍機の訓練飛行ルートがあるということを確認したわけですから、だからこそ関係するであろう県に説明に行ったわけで、実際に飛ぶのは一番の基礎自治体である市町村の上で飛んでいるわけで、市町村の住民の皆さんが実際には被害をこうむるようなことになってきているわけですから、そういう市町村に少なくとも説明をするという考えはないんですか。

○神風大臣政務官 今後、その点については、日米合同委員会で協議を進めていく形になろうかと思います。

○塩川委員 合同委員会に棚上げという話では、今の国民の皆さんの怒り、住民、自治体の怒りに応えるものにならないと言わざるを得ません。
 それで、この低空飛行訓練のルートで、線と同時に丸印があるわけですよね。この丸印の地点というのは何を指すのか、こういうことについて米側に確認はされておられますか。

○神風大臣政務官 御指摘の記号の意味につきましては、具体的に米側に確認しているわけではありませんが、航法訓練経路の直線ルートの結節点を示しているものではないかと考えております。

○塩川委員 その結節点がどこなのか、こういうことについて米側に確認するおつもりはありませんか。

○神風大臣政務官 今回のこの六本の航法のルートにつきましては、今回の環境レビューで示されたものであります。これまで米軍機がそこでいろいろな訓練を行っているという中で環境レビューが行われて、ここら辺を今後MV22も使用する可能性があるという形で我々は報告を受けているわけでありまして、今後具体的にそのルートを使ってどのような訓練を受けているところまではまだ通報を受けておりませんので、詳細については今承知をしておりません。

○塩川委員 確認するつもりはありませんかという問いにお答えになっておりません。そういう点でも、こういう自治体、住民の方々にとってみれば、安全が確保されるのかということについて政府として説明がされないということが極めて問題であります。
 自治体側からは、例えば山形県知事などは、ピンクルートに該当するわけですけれども、県の防災ヘリ飛行に整合性がとれるのかという心配の声を上げておられます。オスプレーの前に既存のルートとしてあったわけですから、既に米側の米軍機が低空飛行訓練を行っているところですけれども、そういったときに、こういった防災ヘリの飛行について整合性がとれるのかという自治体側の心配の声に日本政府として米側とどのような調整を図るおつもりでしょうか。

○中野大臣政務官 オスプレーの話でございますけれども、今この質問は一般論としての米軍の訓練という理解でよろしいかと思いますが、今までは、在日米軍は、低空飛行訓練を行う際は、最低安全高度に関する法令を含め、我が国法令を遵守し、安全面に最大限の配慮を払うとともに、地域住民に与える影響を最小限にとどめるよう努めていると累次機会を捉まえて表明しているわけですね。
 ただ、これから、オスプレーも含めて、こういうふうな飛行ルートも出てきている中で、やはりこれは、今まで以上にしっかりとした説明をしていただくように外務省としても取り組んでいきたい。そして、懸念があるということは事実でございますから、この懸念が少しでも払拭できるように、米側にもしっかりと外務省からも働きかけていきたいというふうに考えております。

○塩川委員 いや、今まで以上に説明を求めていくという話ですけれども、今まで自治体側に説明というのはあったんですか。そもそも、こういう米軍機の低空飛行訓練について、自治体側からあるいは住民からは非常に懸念の声があったわけですよ。そういったことについて、では、まともに、そういう質問を受けたときに、米側に問い合わせて、自治体に回答というのをされてきているんでしょうか。
 防災ヘリとかドクターヘリを飛ばすわけですよ。これは何か事前に決まった日程ではなくて、まさに緊急時に飛ばすわけですよね。そういった際にこういう米側の低空飛行訓練のルートについては何らわからないわけで、そういったときに、こういった防災ヘリやドクターヘリを飛ばすことについて心配の声が上がるのは当然じゃないでしょうか。こういうことについてきちんと問い合わせに答えるというのは、外務省、防衛省として、日本政府として、どういうふうに考えているのか、改めてお聞きしたい。

○中野大臣政務官 恐らく一義的には、防衛局等を通じて防衛省の方からいろいろな形で在日米軍を含めて申し入れをしていると思うんですね。ただ、外務省としましても、当然、今委員から御指摘のあった件につきましては、いろいろなところから、それは外務省に対してもお声をいただいております。
 今までどういうふうな機会にどのような申し入れをされたかということは、ちょっと私、今この場でお答えするのは非常に難しいわけでございますけれども、先ほど申し上げましたとおり、今これだけ、国民も含めて、オスプレーの配備も含めて、大きな懸念、不安が出ているということでございますから、今後、私たちは、外務省としての立場は、しっかりと説明責任を米側に求めていきたいということでございます。

○塩川委員 説明責任と言われても、必要なことさえ確認しようとしていないわけですから、それでどうやって説明責任が果たせるのか。もともと、米側は国内法の適用除外となって、航空法も適用除外ですから、米軍機がいつどこで飛ぶかというのもわからなければ避けようもないわけで、住民にとって危険な低空飛行訓練であることは変わりません。
 最後に、大臣にお尋ねしますけれども、こういったオスプレーの配備について、野田首相が、オスプレー配備自体はアメリカ政府としての基本的な方針で、それをどうこうしろと言う話ではない、こういった説明に対して厳しい怒り、批判の声が上がっているわけです。例えば鳥取の知事なども、米軍の通知を知らせるだけの政府なら、どこに国民主権があるのか、こういう報道もされているところであります。
 こういったオスプレー配備について、はっきりアメリカ側にノーと言うつもりはありませんか。

○川端国務大臣 オスプレーの配備に関して、さまざまな意見、地方自治体からも意見をいただいていることは、私も十分承知をしております。
 このことに関しましては、主として、日米両政府間で、防衛省を中心としてかなりのやりとりの中で、双方ぎりぎりのところで折り合った結果、事故調査結果が日本政府に提供され、飛行運用の安全性が再確認されるまでの間、日本においていかなるMV22の飛行運用も控えることになったというふうに私たちは聞いておりますが、そのような経緯も含めて、引き続き、防衛省を中心に、適切に説明がされ、地元自治体等の理解が得られるよう対応されることを期待しております。

○塩川委員 安全性の確保といっても、米側の事故報告書を追認するだけでは住民、自治体の心配が払拭できないわけで、これまで、米軍機の低空飛行訓練で、地域住民が多大な被害を受けてまいりました。加えて、危険なオスプレー訓練は認められない。
 オスプレー配備中止、低空飛行訓練中止をアメリカ側に強く要求すること、このことを求めて、質問を終わります。