<第180通常国会 2012年08月07日 総務委員会 15号>
○塩川委員 私は、日本共産党を代表して、地方自治法改正案並びに修正案に対する反対討論を行います。
まず、地方自治法改正案についてです。
専決処分についての見直し、条例公布義務の明確化、議長による臨時会の招集権付与などは、この間、一部自治体の長によって起こされた議会無視の横暴な行政運営を防ぐもので、当然であります。また、解職、解散請求に必要な署名数要件を有権者数の規模に応じて緩和することは、住民の意思をより反映し、住民自治の拡充につながるものであります。
しかし、国等による違法確認訴訟制度の創設は、地方分権一括法によって盛り込まれた地方自治体への権力的関与と一体のものであり、容認できません。機関委任事務が廃止された際、新たに持ち込まれたのが国の関与の法定化であり、自治事務に対しても、是正の要求という権力的関与の規定が加えられたのであります。我が党は、その削除を求めてきましたが、違法確認訴訟制度はこれを補完するものであり、反対するものです。
また、長等の議会への出席義務を議長への届け出によって解除できるとする規定は問題です。長等が重要な影響のある公務出張などを理由に出席しなくてもよいと法定することは、議会軽視であり、行政のチェック機関としての議会の役割を後退させることとなります。
さらに、陳情の文言を法文から除いたことも重大であります。私の質問に対し、大臣は、請願等には陳情が含まれると答えました。であるならば、そもそも法文を変更する根拠はありません。憲法十六条が主権者である国民に保障する請願権を後退させかねない問題であります。
次に、民主党、自民党、公明党、国民の生活が第一等の共同提出による修正案についての反対理由を述べます。
百条委員会に係る関係者の出頭、証言、記録提出について、特に必要と認めるときに限るなどと極めて制限することは、百条委員会の調査権限を大幅にゆがめ、不正疑惑の真相を究明するその役割を後退させる、重大な改悪であります。
しかも、本委員会でも長崎県議会の事例を自民党委員が取り上げているように、本修正案提出の背景には、昨年九月、金子原二郎参議院議員と谷川弥一衆議院議員の親族企業であるT・G・Fが諫早湾干拓農地に入植した経緯等の疑惑解明のために、長崎県議会百条委員会が設置され、両国会議員らが出頭要請等についてこれを拒否してきた問題があります。
百条委員会は、真相の究明を求める県民要求に応え、議会の議決によって設置されるものであります。関係人は出席をして堂々と語ればいいのであって、出頭、証言、記録提出を拒むためにこのような制限を加えることなど、断じて許されないことであります。
また、政務調査費の名称を政務活動費に改め、調査研究その他の活動へと使途の制限を取り払うことに、国民の理解は得られません。政務調査費をめぐる一番の課題は、使途の全面公開を徹底し、住民の信頼を得ることであります。
さらに、議長に対して議会出席への配慮義務を課すなど論外であります。
以上述べて、反対討論とします。