<第181臨時国会 2012年11月08日 総務委員会 2号>




○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 きょうは、沖縄でもそして全国でも大問題となっておりますオスプレイにつきまして、オスプレイ配備、訓練反対、米軍機の低空飛行訓練反対の自治体の取り組みと、これに対する国の対応の問題点について質問をいたします。
 沖縄では、今島ぐるみの闘いとなっておりまして、オスプレイの配備、訓練に対し、オスプレイ訓練に関する日米間の合意さえ守らない、米兵による許しがたい暴行事件も起こり、この間、十万人を超える県民集会も開かれ、それ以降は全市町村の単位でそれぞれ集会が開かれております。沖縄県議会では、米軍基地の全面撤去を初めて要求する抗議決議を全会一致で採択もしております。沖縄県民、沖縄全自治体の要求は、オスプレイ配備、訓練の撤回、米軍基地の全面撤去にあるわけであります。
 あわせて、本土におけるオスプレイの訓練の問題がございます。このオスプレイの本土における訓練内容について国からまともな説明がない、このことへの怒りの声が上がっております。
 十一月二日の全国知事会議におきまして、森本防衛大臣は、オスプレイについて、今月から本土の施設へ飛んで定期的に訓練すると述べたとされております。これに対して、静岡県知事は、いきなりキャンプ富士の名を出されて驚愕した、地元無視で一方的、乱暴ですね、新潟県知事は、これでは県民に説明できない、また和歌山県知事は、何の説明もなくおまえの上を飛ぶぞと言われれば、何だとなる、おかしいでしょうと報道されているところです。オスプレイの軍事訓練計画についてまともな説明もないというのが多くの自治体の声であります。
 そこで、防衛省にお尋ねをいたします。この全国知事会議の場で森本大臣は当面の訓練計画及び本土における訓練の時期などについて説明をされたということですが、どのような説明をされたのかについてお答えください。

○大野大臣政務官 ただいまの委員からの御質問につきまして、政府が主催いたしました全国都道府県の知事会議における大臣の説明ぶりでございます。
 大臣の方からは、MV22オスプレイの当面の訓練計画といたしまして、沖縄における訓練として、即応性に関する所要を満たすため、伊江島の補助飛行場、北部訓練場、中部訓練場などにおける訓練、さらには本土における訓練といたしまして、キャンプ富士、岩国飛行場等における訓練及び支援任務並びに低空飛行訓練、空中給油訓練、後方支援任務、さらには海外及び本土における第三海兵機動展開部隊及び米海軍第七艦隊の活動の支援などの訓練が行われることについて御説明をし、さらにそのほかとして、沖縄の基地負担軽減の観点から、日本国内の沖縄以外の場所における訓練移転を検討しており、今後、具体的な内容が固まり次第、関係する都道府県の皆様方に御説明することなどを御説明いたしました。
 また、オスプレイが早ければ十一月にも本土の施設・区域に飛来をし、定期的に展開をする可能性があるということについても御説明をさせていただいた次第でございます。

○塩川委員 この間、自治体に対して防衛省などからは米軍の報告書であります環境レビューを使って説明が行われているところであります。でも、今、全国知事会議の場で森本大臣が説明をされたその中身には、環境レビューにも触れていないようなことが挙げられている。例えば、本土における空中給油訓練の話ですとか、あるいは米海軍第七艦隊の活動の支援などはこの環境レビューには書いていない訓練だ。これが現状だと思いますが、その点についてはいかがですか。

○大野大臣政務官 環境レビューに関しまして、明示されていないことが説明されたのではないかという御質問でございますが、空中給油訓練等については、環境レビューにおきまして、低高度の戦術及び空中給油を除きMV22の訓練はCH46Eと同一であるという記載がございまして、空中給油訓練も行われるということを言及しているものと承知をしております。
 また、アメリカの海軍第七艦隊の活動の支援などの訓練についての御指摘につきましては、環境レビューにおきまして、空母艦載機着陸訓練が行われる旨の記載があることから、明示をされていると認識しております。

○塩川委員 今までよりも踏み込んだ説明になっているということは環境レビューを単純に読んだだけでは読み込めない説明になっているということで、見てとれるわけであります。
 要するに、米軍の軍事訓練計画が既にあって、これをいわば際限なく追認するような中身となっているということですけれども、森本大臣は環境レビューに記載されていることを例示したと言いますけれども、実際には環境レビューに直接言及されていないことまで説明をしているわけで、自治体からまともな説明がないという声が上がるのは当然のことであります。
 これと重ねてお尋ねしますが、この知事会議の場での説明で、本土における米海軍第七艦隊の活動の支援などの訓練というのは、実際これまでどのような訓練を行っているんでしょうか。

○大野大臣政務官 本土における現時点での具体的な活動もしくは訓練という理解でございますけれども、現在、CH46というものが展開をされておりまして、これが換装していくものでございますけれども、このCH46の本土における米海軍第七艦隊の活動支援等の訓練につきましては、米軍の運用の詳細にかかわることであり、防衛省として承知はしておりません。

○塩川委員 ですから、地元の自治体からどんな訓練を行うのかということについて問い合わせがあっても、それに対しての答えを持ち合わせていない、こういう中での対応に、自治体の側から憤りの声が上がっているわけであります。
 米第七艦隊の空母艦載機が実際に拠点としているのが神奈川の厚木基地となっております。報道では、オスプレイの本土訓練の拠点として、米側が、キャンプ富士と岩国基地に加え、厚木基地も防衛省に伝えたとしております。神奈川県及び基地関係の十一市は防衛省に対する申し入れを行って、関係自治体への情報提供がないこと、報道が先行する事態が生じたことはまことに遺憾であり、政府の姿勢には憤りすら感じるとしております。
 このように、自治体に対する説明という最低限の国の責任さえ果たしていないということが極めて重大であります。加えて、防衛省の自治体への説明の手続、手法にも問題があると言わなければなりません。
 自治体に対する防衛省の説明の仕方についてお尋ねをしますが、防衛省は、本土の自治体に対して、幾つの自治体にこの間オスプレイの配備、訓練に係る情報提供を行っているんでしょうか。

○大野大臣政務官 ただいまの御質問に関しまして、十一月の一日時点での数字でございますけれども、MV22オスプレイに係る環境レビュー等について自治体に行いました情報提供ですけれども、具体的には三十八の都道府県及び七十三の市町村に対して御説明をさせていただきました。

○塩川委員 この環境レビューの中では、航法訓練ルート、いわば米軍機の低空飛行訓練ルートを、本土で行うということで、具体的には六つのルートが掲示をされております。実際にはブラウンルートという中国山地のルートもあるとされておりますが、明示されています六つのルートの直下の市町村数を全部数え上げますと、しんぶん赤旗の調べでは百三十八の市町村にも上ります。でも、実際にこの間防衛省が説明を行った市町村というのは七十三ですから、その比較を見ても極めて不十分、関連する自治体への情報提供そのものも行っていないということが見てとれるわけであります。
 今お答えのありました情報提供を行った七十三の市町村については、防衛省としてはこの七十三の市町村全てに足を運んで配備、訓練の内容について説明をしているんでしょうか。

○大野大臣政務官 御質問でございますが、先ほど三十八の都道府県と七十三の市町村と申し上げましたが、そのうち、御質問でございます直接往訪させていただいて御説明をした自治体は三十六の都道府県及び六十三の市町村でございます。
 その他の自治体につきましても、先方が当方を訪問された際に直接御説明をするか、あるいは必要に応じまして御説明に伺う旨を伝えた上で資料を送付させていただくという形で情報提供を行わせていただいております。
 いずれにいたしましても、防衛省としては、地元の御理解をしっかりと得られるよう、丁寧に御説明をさせていただきたいと考えております。

○塩川委員 ですから、自治体の方がどうなっているんだということで問い合わせをしたとしても、防衛省の担当者が足を運んでという説明も行っていないところというのは現にあるわけですよ。先ほど言いましたような神奈川県や厚木基地が所在をする綾瀬市、大和市などの担当者にお聞きしましたら、郵送で環境レビューが送りつけられただけだ、防衛省の担当者は来ていないんだという話をされております。
 こういうのが、自治体にしてみれば、説明の仕方そのものが問題だという声になるのは当然のことであります。そして、内容そのものが危険なオスプレイの配備、訓練について行われるということに、市民、県民を代表して危惧の声を上げるというのもまた当然のことであります。
 また、今回初めて明らかになった低空飛行訓練ルートの一つのブルールートにしてみると、これは群馬県の県北の方を通過しますが、そこにかかる利根沼田関係の五市町村が国に説明を求める要望書、意見書を出しているわけですね。
 しかし、沼田市やみなかみ町の担当者の方に伺いましたが、結局、説明を求めたといっても、郵送で送りつけるだけなんです。それも、環境レビューの英文と日本語訳と、あと添付の資料がA、B、C、Dとあるわけですけれども、それのA、C、D、これは防衛省の方でも翻訳していないわけですから、英文のままですよね。それがどんと市役所、町役場の担当のところに送りつけられているだけなんです。これでどうして説明責任を果たしたということになるのか。これではかえって反発の声が上がるのは当然なんじゃないでしょうか。
 樽床大臣、今のお話を伺って、こういうように自治体からは、郵送で送りつけられただけなんだ、足を運んでの説明もないという声が上がっているわけで、訓練内容についても当然まともな説明もない。こんなことで納得できるのか。この点についてはどのようにお考えですか。

○樽床国務大臣 今、こちらの大野政務官と塩川委員のお話を聞いておりまして、政府側、防衛省の方から先ほど答弁をさせていただいた数字を聞いておりましたが、ほとんど、多くのところに足を運んだ、こういう答弁であったように思います。そうでなかった、足を運べなかった、もしくはいろいろな都合が合わなかったところは、来ていただく場合もあった。連絡をとって、行きますよということで来られた、もしくは、ちゃんと連絡をとって、こういう書類を送りますからということで送らせていただいたという防衛省の見解は、まことに丁寧な説明の仕方をしているという答弁であったと思います。
 ただ、塩川先生がおっしゃるようなそういうお声が一部あるとするならば、そういう声があるということについては、真摯に耳を傾けながら、こういう微妙な問題でありますし、なかなか防衛省としても、入手できるもの、できないもの、また、もうこれ以上言ったらいかぬのですが、言えること、言えないこと、いろいろあるんだろうと思いますけれども、そういった中で、可能な限りの誠意を尽くして対応されているものというふうに信じております。
 しかし、事の性格上、十分にそれぞれの自治体の皆さん方に伝わっていないとするならば、これからまださらに努力をしていくということが必要であろうと思っております。私どもも、自治体とのネットワークをしっかりとしていくという立場からいいますと、防衛省をサポートさせていただきながら、しっかりとした対応をするように努めてまいりたいと思っております。
 ただ一点、実は単語が非常に難しいというこの問題の性格がございます。オスプレイをMV22とか、こう言っても、専門家の方はすぐおわかりいただけるんだろうと思いますが、広く一般の皆さん方にMV22という表現でどこまで理解していただけるのかということでありますから、理解していただけるような表現も含めて、また、いろいろなもののさまざまな情報についてまだ国民目線の説明がなされていない可能性がありますので、そういうことはしっかりわかりやすい表現で皆さんに理解していただける努力をしていただくように心から願っております。

○塩川委員 要するに、そういう説明が実際に行われていないということであっては、そもそもその前提が崩れるということであります。
 自治体の方から、こういうのは困る、やめてくれという声が上がるというのは、一つ、今自治体によるヘリの運用、運航というのがふえているということがあります。防災ヘリ、ドクターヘリの活用が進んでおります。
 時間の関係で、厚労省さん来ていただいたんですが、ちょっと私の方からもう紹介しますけれども、ドクターヘリの導入状況についてですが、これまでに導入した都道府県というのは三十三道府県に上り、ほぼ四十機になっています。昨年度は六県、今年度は八県が新たに導入するということで、ここで急速に普及しているわけですね。
 先日、高知県の県北の方にあります嶺北地域に、オスプレイに関しての調査に伺いました。
 以前から米軍機の低空飛行が問題となっていた地域でありますが、一九九四年には米軍機の墜落事故も発生しております。山間地でもある嶺北地域だからこそ、現地では防災ヘリやドクターヘリの運航が非常に重要となっています。そこでも、伺った大豊町などでも、高知県から提供されたこういう地図がありまして、米軍の飛行のルートと防災ヘリの飛行ルートがまるで重なっているということなんかも例示がされておりまして、非常に危惧をしている点では、町の担当者の方は米軍の低空飛行訓練について、言語道断だという声も上げておりました。
 昨年十一月には、この嶺北地域の本山町の町立病院で、県の防災ヘリを活用した入院患者の避難訓練を実施していましたら、その直後に、その上空を米軍機が三機、低空で飛行するということが起こっている。あわやという事態であったわけであります。
 こういうように、多くの自治体からすれば、こういう低空飛行訓練はやめてくれ、少なくとも、どこを飛ぶのか、いつ飛ぶのか、こういうことについて公表することすらしないのかという声が上がっているわけですが、この公表の問題について、それぞれ大野大臣政務官と大臣に御答弁いただきたい。

○大野大臣政務官 ただいまの低空飛行訓練の飛行ルートの公表を求める自治体に対する対応の仕方という御質問と理解をさせていただきますが、米軍の飛行ルートにつきましては、米軍が、飛行訓練の目的達成、飛行の安全の確保、住民への影響抑制等を念頭に置いて飛行することがあると承知しておりますけれども、具体的なルートに関しましては、米軍の運用にかかわる事項であり、防衛省として承知をしておらず、お答えをすることは困難でございます。
 他方、オスプレイに関して、先ほどからの御指摘でございます、訓練飛行に関しまして御懸念があるという御指摘もございますので、そのことに関しましてはしっかりと米軍等にもお伝えさせていただき、あるいは、オスプレイの訓練等に関する情報が得られた場合にはできる限り丁寧に地元へ説明をさせていただくつもりでございますし、先ほどからの御指摘のような、書類を送りつけるというだけではなくて、実際に、これまでも、自治体とお話をした上で、必要があるところは全て行かせていただいておりますので、そのような対応を続けさせていただきたいと思っております。

○樽床国務大臣 今、防衛省の方から話があったことをしっかり受けとめて、防衛省の責任者の大臣ではないですが、政務官として来られていますので、防衛省の立場を代表して来られているわけでありますから、この場でこういう御指摘をいただいて、そして、しっかり誠心誠意、可能な限りの説明をする、このような決意を述べられたわけでありますから、これは明確にそのような決意だというふうに認識をしております。
 私どもといたしましても、いろいろ御懸念があることは、微妙なものでありますから、十二分に理解しながら、防衛省としっかり連携をとりながら、丁寧な説明をこれからも防衛省に強く要請をしていきたいと思っております。

○塩川委員 防災ヘリ、ドクターヘリの運用にとって危険だという声に対して答えになっていないんですよ。これでは懸念や危惧が消えないのは当然であります。
 そういう点でも、この地元のそれぞれの自治体、例えば本山町などが、目撃情報を県を通じて中国四国防衛局に上げているんですよね。この間でカウントした数でも、一年数カ月で七十二件も上げているにもかかわらず、中国四国防衛局が整理をした米軍機の飛行に係る苦情受け付けにはわずか八件しかカウントされていないんです。ですから、苦情として、抗議として自治体が上げているものを、防衛省の方は苦情として受け取っていない、こういう実態もあるわけで、こういう対応そのものも重大だと言わざるを得ません。

○小宮山委員長 時間が来ていますので、おまとめください。

○塩川委員 沖縄でも本土でも、オスプレイの配備、訓練、低空飛行訓練を中止すべきだということを最後に申し述べて、終わりにいたします。