<第181臨時国会 2012年11月16日 総務委員会 3号>
○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
今回の法案の審議でありますけれども、大臣は提案理由説明の中で、慎重審議をとおっしゃいましたが、慎重審議をしようにも慎重審議しようがないような、この短時間な質疑の実態であります。国家公務員の将来設計に重大な影響を及ぼすような、また若者からも働きがいを奪うような、こういう内容を伴う法案を短時間で採決する、一日で一気通貫で行うような乱暴な委員会運営に強く抗議をするものであります。
法案の内容についてお尋ねしますが、最初に確認をいたしますけれども、民主党政権の総人件費二割削減の方針の中には退職手当も含まれているのか、この点を確認いたします。
○大島副大臣 お答えさせていただきます。
今回の退職給付の水準見直しは、官民比較に基づいて較差を解消することを目的としておりますが、国家公務員の人件費二割削減の取り組みの一環としても位置づけられるものと考えております。
○塩川委員 では、二割の中に入るということで、総人件費二割削減の中には退職手当も含まれるわけであります。
岡田副総理も予算委員会の答弁の中で、国家公務員人件費の二割削減目標達成に向けて努力している、公務員給与の七・八%削減を含めて、約五千億円の削減、つまり一割まで来ている、それから、退職金の官民較差四百万円を是正すると五、六百億円の金額になる、このように述べております。
本来、民間と違う公務の特殊性など、さまざまな角度から国家公務員の退職手当のあり方の検討が必要なのに、人事院の調査で官民較差四百万とあるからというだけでばっさり引き下げる。こんなことになるというのも、総人件費二割削減目標を達成するために、あれも削る、これも削る、こういうことが行われて人件費の削減額を上積みしていく、このことに血眼となっていることが反映をしている。
お尋ねしますが、結局、総人件費二割削減方針がある限り、退職手当については最大限削減するという結論しか出てこないということじゃありませんか。
○樽床国務大臣 そういうことではなくて、結果として二割削減の中には入りますけれども、これは官民較差をなくすということが第一義であって、それをしっかりやる。結果として、その二割の中にも入る。要するに、結果として、それによって人件費が減るわけでありますから、それをその中にカウントさせていただくということだと思っております。ですから、第一義は官民の較差の解消であります。
○塩川委員 官民較差解消といいますが、国家公務員の退職手当を決める法律の中で、では、退職手当の決め方について官民較差で行う、こういうことは定めてないわけですよ。
そういう点でも、この議論の中で有識者会議などが行われてきた、それも尊重するという話などもあったわけですけれども、この有識者会議の経過を見ても、例えば第一回の有識者会議の座長の取りまとめというのが、いろいろな意見が出たことは議事録にも残る、四百万円という数字を前提にして議論を進めていく。結局、有識者会議の仕切りというのも、四百万円削減先にありき、こういう経過だったということは明らかであります。
労働基本権が制約をされている国家公務員の不利益変更に当たっては、国会の判断が問われているわけですけれども、それなのに、短時間の審議、採決などというまともな議論も行わない乱暴なやり方では、国民や国家公務員労働者の理解は得られないということを申し上げなければなりません。
次に、早期退職募集制度についてお尋ねをいたしますが、この早期退職募集制度による募集の目的というのは何でしょうか。
○笹島政府参考人 お答え申し上げます。
今回の法案におきましては、退職手当法に新たに八条の二を置きまして、定年前に退職する意思を有する職員の募集等を行う仕組みを規定しているところでございます。
募集目的の類型としましては、その第一項におきまして二つの類型を示してございます。一つ目は、職員の年齢構成の適正化を図ることを目的とするもの、二つ目は、組織の改廃または官署もしくは事務所の移転を円滑に実施することを目的とするもの、この二つを規定しているところでございます。
○塩川委員 お尋ねしますが、このような目的を持つ早期退職募集制度ですけれども、総人件費二割削減方針がある限り、例えば、この早期退職募集制度を使って四十五歳以上の退職勧奨を進めるとか、組織の改廃によるリストラを促進するなど、結局、この制度は人件費削減のツールとして使わざるを得ない。総人件費二割削減、大枠で二割削るといういわば大方針がある中で、こういう早期退職募集制度というのが人減らしの道具として使われる、こういうことになっていくのではありませんか。
○樽床国務大臣 まず、結論から申し上げますと、そういうリストラの手段になるとは考えておりません。
公務員でも同じでありますし、民間企業でも同じでありますが、それぞれの組織の中の人員の年齢構成のバランスというものがなければ、その組織はうまく回らない。やはりそれぞれの年齢によって果たすべき役割、やるべき職務というものがいろいろ異なるわけでありまして、全体の最適バランスをどう確保するかという観点もあって、無理やりではなくて希望される方にということで考えておるわけでありまして、これを伝家の宝刀のように使ってリストラをばんばんやるというようなことは全く念頭にございません。
○塩川委員 総人件費二割削減方針があるという点でいえば、この二割をどう削るかという議論になってくる。その際に、片山大臣は人数掛ける単価だという言い方をしていましたけれども、単価という形では退職手当を削る、人数という形でいえば、こういった早期退職募集制度などをつくって人減らしを進めていく、結果として二割削減方針を達成していく、こういうツール、道具として使われることになる。こういうことが、二割削減方針を民主党政権が堅持する限り、出てこざるを得ないのではないでしょうか。
改めてお尋ねしますけれども、この国公退職手当四百万円の引き下げと早期退職募集制度導入の大もとには国公人件費二割削減方針があります。法案とともに、この総人件費二割削減方針を撤回すべきではありませんか。
○樽床国務大臣 先ほどから申し上げておりますように、まずは官民較差をなくすという目的のために、そして組織の中の年齢バランスをしっかりと、我々の考えのもとにおけるバランスのとれたものにするためにという目的でやっているわけでありまして、結果として出てきたものがその二割の中に含まれるかもわかりませんが、二割削減ありき、その方針ありきでこういうようなことをやっているわけではないということはぜひとも御理解いただきまして、世の中、人間社会、バランスというものがその時々でいろいろ変化をいたします。一時の適切なバランスがその後の社会の変動で常に適切なバランスであるとは、これは当然ないわけでありますので、その時々の社会全体のバランスというものを考えながら、官民の間のことをしっかり考えていくという視点に立っているわけであります。
○塩川委員 総人件費二割削減方針というのが、当初のマニフェストの財源というのがどこかに行ってしまって、財政健全化の話になってくる、あるいは消費税増税の地ならしとしての話になってくる。どんどん理由が変わっていく。
財政健全化といっても、もともと、膨大な財政赤字というのは、自民党政権からずっと続くような中で、無駄な大型公共事業、あるいは大企業や富裕層への減税の結果生み出されたものであって、公務員に責任はないわけであります。公務員の人件費は生活費であって、無駄ではありません。無駄を削るというのであれば、八ツ場ダムとか外環道などの大型開発の無駄遣いこそ削るべきであります。
さらには、総人件費二割削減方針というのは、国民生活を脅かすことになる。例えば、ハンセン療養所の職員体制、今職員の確保が大変です。
○小宮山委員長 時間が来ておりますので、おまとめください。
○塩川委員 しかし、人件費二割削減方針の中で人減らしが進むために、介護の職員を確保できなくなっている。あるいは、賃下げ、七・八%引き下げるために、看護師の確保も困難となっている。ハンセン療養所の入所者の方々の生活を支える職員が確保できない、そういう大もと、国民生活を脅かすものになっているというのがこの二割削減方針だ、これを撤回すべきだ、このことを重ねて申し上げまして、質問を終わります。