国会質問

<第183通常国会 2013年02月14日 総務委員会 1号>




○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 また当委員会でお世話になります。どうぞよろしくお願いいたします。
 早速、質問に入ります。津波被災地域の住民の定着促進のための震災復興特別交付税の増額に関連して質問をいたします。
 総務省の概要説明では、津波による被災地域において安定した生活基盤、住まいの形成に資する施策を通じて住民の定着を促し、復興まちづくりを推進する観点から、被災団体が、地域の実情に応じて弾力的かつきめ細かに対応することができるよう、震災復興特別交付税を交付するとあります。
 そこで、お尋ねしますが、昨年来、石巻市などを初めといたしまして、被災自治体からは、津波被災に係る住宅再建支援に対する自由度の高い財源付与の要望が出されております。被災自治体にとって、被災住民の実情に即した支援策が可能となるような財源こそ必要であるわけで、何らかの縛りがあるような、そういうことであってはならないと考えますけれども、この点について最初に確認をさせてください。

○新藤国務大臣 まず、塩川議員、埼玉県民でありますから、この委員会には埼玉県選出の方がたくさんいらっしゃいまして、ぜひよろしくお願いしたい、このように思っております。
 そして、今回の震災復興特別交付税は、関係市町村が、各地域の実情に応じて、住宅再建に資する支援策を行うに当たって、単年度予算の枠に縛られずに、弾力的、きめ細やかに対応できるようにしたい、こういう考えもあります。ですから、まず年度内でしっかり執行していただきますが、加えて、こういったものは基金化するなりなんなりして、自治体が柔軟に運用できるようなものを工夫しながら、それを我々は支援してまいりたい、このように思っています。

○塩川委員 要するに、一般財源で、使途制限がかかっていないということでよろしいですか。

○新藤国務大臣 制限は設けておりません。

○塩川委員 そこで、実際、要望そのものは被災の市町村から上がっております。ただ、今回の交付税措置の交付先は被災県になっているわけですね。そうしますと、県と市町村で若干かみ合わないようなことがあってはならないと思っておりまして、こういう点についてはどのように配慮されるお考えでしょうか。

○新藤国務大臣 これは、総務省としては、各県に対して十分に説明をして、そして、その趣旨を理解した上で執行されるように我々の方で取り組んでまいりたい、このように思っています。

○塩川委員 今回、防災集団移転促進事業の対象となる住民と、津波被害を受けたけれどもその対象とならない住民との間で支援策に大きな違いが生じている。こういうことに被災市町村として何らかの手だてが必要だということで、独自の支援策を被災市町村などで行ってきているわけですよね。
 その際に、やはり、自治体間の財政力の違いとか被災規模によって差が生じるようなことがあってはならないという要望も踏まえて、今回の措置につながっているということですから、そういう点でも、住宅再建に対する被災者の負担軽減なしに定住促進は図れないということが大もとにあるわけで、こういう立場での支援策の拡充が必要であります。
 津波被災地域におきましては、危険区域内で現地再建を希望する方もいらっしゃいますし、危険区域外で移転を希望する方もいらっしゃるわけで、そういった実情に即した対応策こそ求められている。柔軟な支援策につながるような財政措置をぜひとも求めていきたいと考えております。
 その点で、重ねてお尋ねしますけれども、今回の措置は津波被災住宅支援にかかわるものですけれども、被災自治体におきましては、それ以外の被災もあるわけですよね。例えば、盛り土の造成地が崩落をするようなこともありますし、あるいは液状化のようなこともありますし、多様な被災状況の実態があります。
 ですから、今後、被災自治体から、その他の被災住宅支援など、復旧復興事業に使う財源確保の要望があった場合に、新たな震災復興特別交付税の増額を行う考えというのはいかがでしょうか。

○新藤国務大臣 これは、現状で必要なもの、御要望いただいたものを措置しているわけであります。ですから、今後さらに必要が生ずれば、それは当然対応していかなくてはならないと思いますし、いろいろな工夫をしなくてはいけない、このように思います。

○塩川委員 ぜひ、多様な被災者の住宅再建支援を進めるために、被災者や被災自治体の要望に応えて、さらなる震災復興特別交付税の増額を行うべきだと述べておきます。
 そこで、実際に、被災市町村、被災自治体にとって使い勝手のいい財源と歓迎されているというのが、取り崩し型の復興基金のことがあります。取り崩し型の復興基金については、二十三年度に措置されて、それぞれ県に基金として交付をされ、また、市町村に対しての配分もされてきているわけですけれども、この取り崩し型復興基金そのものを積み増しする、そういうお考えというのはありませんか。

○新藤国務大臣 これは、二十三年度に特別交付税として、被災九県に対して千九百六十億円を措置しております。これが、コミュニティーに関連する仕事だとか、いわゆる補助制度になじまないもの等にも使っていただいておりまして、非常に評判はよいというふうに思っています。
 現状では、まだこの枠の配分が残っておりますから、二十四年度当初でまだ千三百六十九億円残があります。この二四でどのぐらい使われたかがこれからわかりますから、それによって、枠があればそのまま使っていただくことになりますし、その後にまだ必要があるならば、それはそれでまた検討していかなきゃいけないだろう、このように思っています。

○塩川委員 そこは非常に大事なところで、個々の被災市町村に聞きますと、例えば、黄川田さんの地元でもあります陸前高田市などは、多様な事業、単独事業をこの復興基金を使って行っています。ですから、もうかなり上限に近くなってきているということもお話を伺いました。
 一方で、実際には、多くの被災市町村で見ますと、今回の復興基金というのが、復興期間の十年間に当たる、その期間で使うとなるものだから、今全部使っちゃうと先々本当に必要としたときに手当てできないんじゃないかという心配の声なんかもあるわけですよ。
 しかし、陸前高田市のように、本当にこの地域で住まいを、あるいは営業を、そういうことを願う方々に、今こそ支援が必要だということで重点的に支援策を行う、その財源として復興基金を活用されている例、これこそ本来の復興基金のあり方だと思いますので、そういう際に、必要があれば今後も増額をする、そういうことがあり得るんだというメッセージを被災市町村に送るということが、まさに実態に即した支援策、被災市町村で実情に即して行う上でも力になる。
 こういう点でも、ぜひとも、取り崩し型復興基金の増額というのもあり得るんだということを表明もいただきたい、御答弁いただけないでしょうか。

○新藤国務大臣 これは復興基金だけではありませんね。復興予算そのものが、今、復興庁は十年でございます。例えば区画整理が、私の知る経験で区画整理が十年以内で終わった仕事というのは通常の事業でもありません。ですから、被災地の復興というのは本当に息の長い仕事になっていくんだということであります。
 私も被災地に行って皆さんからお聞かせいただいているのは、今ここでこうやって皆さんやっていただいているけれども、先どうなるんだ、しかも、今ここで使ってしまって、復興の予算十九兆のうちの十七兆も使ってしまいました、では、あとどうするんですかということがとてもみんな心配なわけでございます。
 ですから、これは、日本が国じゅうで、あれだけの未曽有の大きな災害に見舞われた方々、これは気持ちだけではなくて、しっかりと我々はお世話をしていかなくてはいけないんだ、痛みは分かち合わなきゃいけないんだと思います。
 ですから、お尋ねのこの取り崩し型の復興基金について、これを拡充するべきかどうかは、取り崩し型基金の需要の、増額の必要性があるかないかというのをきちんとやはりチェックしていかなければいけないというふうに思いますが、私は、トータルとして必要なものは対応していくべきであって、これはしっかりと検討していきたい、このように思っています。

○塩川委員 あわせて、被災市町村、被災自治体の方から使い勝手のいいお金として期待があったのが、復興交付金の効果促進事業であります。
 そこで、谷副大臣にもおいでいただいておりますから、お尋ねいたします。
 この石巻市などの要望の中にも、こういう津波被災地域における住宅再建支援について、その財源として、やはり復興基金の要望もありましたけれども、真っ先に挙げられていた財源とすれば、効果促進事業だったわけなんですよ。現実に、面的整備を行うような基幹事業に係る効果促進事業、一律二〇%配っていますから、既にお金が手元にあるわけですよ。これを使えばいろいろできるじゃないかということで、効果促進事業を使えないかという要望があったんですが、実際にはそうなっておりません。
 なぜそうなのか、なぜ効果促進事業が今回のような措置に使えないのか、この点についてぜひお尋ねしたい。

○谷副大臣 今御指摘ございました復興交付金の効果促進事業につきましては、市町村の経常的な経費など、いわゆるネガティブリストに該当しない限り、幅広い使途に対応ができるというのが原則であります。
 それで、今御指摘の住宅再建の被災者個人の負担を軽減する措置というのは、やはり基本的には被災者生活支援法に基づき、それを超えるものについて効果促進事業等で個人支援を行うということは、さまざまな面から考えるならば、やはり慎重に対応が必要だと思います。
 それに、委員御指摘のように、自治体がどういう独自の住宅支援策をしているかというのはばらばらであります。画一的に、国の補助制度、効果促進も補助制度ですから、それで被災地の要望に十分に応えることができるかどうかというのも疑問があるところであります。
 そうしたことで、先ほど来総務大臣が御答弁をさせていただきましたように、自治体の自主的な判断できめ細かな支援ができる取り崩し型基金の増額ということで、震災復興特別交付税で措置していただいたということであります。

○塩川委員 一言申し上げて終わりたいと思うんですが、被災者生活再建支援法があるということであれば、それをぜひ、支援金の増額そのものは自民党としても掲げていることですから、まさに今こそやるべきで、五百万円以上への引き上げということはぜひともやっていただきたいということ。
 効果促進事業について、ネガティブリストのお話がありましたけれども、その根幹が、個人の資産形成に資するものについてはだめだよという趣旨が入っているものですから、それは実際に、一番肝心の生活再建につながる住宅再建に使えないというところが一番の障害となっているわけで、私は、やはり本気に地域の復興を行おうとすれば住宅再建なしにはできないわけですから、まさに公益性、公共性がある、こういう観点で効果促進事業が住宅再建支援にも活用できるようにする、そういう踏み込みを行ってこそ被災地の復興の力になるんだということを重ねて申し上げまして、質問を終わります。