国会質問

<第183通常国会 2013年03月12日 予算委員会 12号>




○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 きょうは、オスプレイを含む米軍機の低空飛行訓練問題についてお尋ねをいたします。
 オスプレイは、昨年十月以降、沖縄で、県民の声を無視して横暴勝手な飛行訓練を繰り返してまいりました。加えて、先週の三月の六日から八日にかけて、岩国基地を拠点に、本土のオレンジルートでの訓練を行いました。高知県や愛媛県上空を飛行し、高知市内の市街地で夜間飛行訓練を行ったという市民からの情報もありました。沖縄でも本土でも、オスプレイを含め、米軍機の低空飛行訓練について、住民、自治体から厳しい批判の声、危惧の声が寄せられております。
 資料をお配りしましたが、一枚目にありますように、これは米軍の方でつくりました環境レビューに掲載をされている地図であります。ここでは、航法経路、ナビゲーションルートということで、六つのルートが挙げられております。四国から和歌山県にかけて線が引かれているのがオレンジルートであります。
 そこで、お尋ねいたしますが、過去、米軍機の低空飛行訓練が幾つもの事故を引き起こしました。このオレンジルートに相当するような高知県や奈良県において、過去、米軍機がどのような事故を引き起こしたか、この点について説明いただけますか。

○小野寺国務大臣 御指摘ありますオレンジルートにつきましては、米側が作成した環境レビューの中に記載されている飛行経路であるとは承知しておりますが、具体的な飛行経路等については、米軍の運用にかかわる事項であり、承知しておりません。
 その上で、御質問がありました高知県、この事案でございますが、平成六年に、高知県早明浦ダムに米海軍の空母艦載機が墜落するという事故が発生しております。
 いずれにしても、防衛省としては、米側の航空機の運用に関して、安全面に最大限の配慮を行ってまいります。
 今、御質問の中では、高知県ということでよろしいんでしょうか。(塩川委員「奈良県も」と呼ぶ)はい。奈良県につきましては、昭和六十二年及び平成三年に、奈良県十津川村において、材木運搬用のワイヤロープが切断される事故が起きております。

○塩川委員 今御説明ありましたように、奈良の十津川村で二回にわたって林業用のワイヤが米軍機によって切断される事故も起こりましたし、一九九四年には、高知県の大川村の早明浦ダムに墜落事故も起こりました。さらに、九九年の一月には、FA18が高知沖に墜落をする、こういう事故も起こっているところであります。
 いわば事故が相次いできているのが実態であります。住民の安全に責任を負う地方自治体から心配の声が上がるのは当然であります。
 そこで、総理にお尋ねいたします。
 これまで、米軍機の低空飛行訓練は、そのルート下の住民に多大な被害をもたらしてまいりました。墜落事故の危険性や爆音による騒音被害も重大であります。ガラスが割れるとか、土蔵が崩壊をするとか、こういった物的被害も起こっております。そこに墜落事故を繰り返す欠陥機のオスプレイがやってくる。不安の声が上がるのは当然であります。
 さらに、今、自治体が運用する防災ヘリ、ドクターヘリもどんどんふえているところで、今現在、三十四道府県、四十機のドクターヘリが運用されております。例えば、今年度から導入した山形県は、自治体ヘリ等の運航の安全を確保すること、飛行ルートを初め、訓練の具体的内容を事前に関係自治体へ連絡することなどを国に要請しています。
 総理にお尋ねしますが、このような被害、危険性を生み出す米軍機の低空飛行への自治体、住民の懸念にどう対応されるのか、ぜひお答えください。

○安倍内閣総理大臣 在日米軍は、委員御承知のとおり、日米安保条約にのっとって我が国に駐留をしているわけでございますが、第五条において、米軍は日本に対する防衛義務を負っております。そして、六条において、極東の平和と安定のために日本に駐留をしている、こういうことになっているわけでございますが、その中において、在日米軍は、訓練を通じてパイロットの技能の維持及び向上を図っていく、そのことによって即応態勢を維持していくわけでございまして、こうした訓練は不可欠な要素であります。日米安保条約の目的達成のために極めて重要であるというふうに認識をしております。
 もとより、米軍は、全く自由に飛行訓練を行ってよいわけではなく、我が国の公共の安全に妥当な考慮を払って活動すべきものであることは言うまでもございません。政府としても、従来から米側に対して、安全確保に万全を期するよう申し入れを行ってきております。米軍も、安全面に最大限の配慮を払うとともに、地域住民に与える影響を最小限にとどめるよう努力している旨、明らかにしております。
 そして、オスプレイに関しましては、その配備は我が国の安全保障にとって大変大きな意味がありますが、その運用に際しては、地元の皆様の生活への最大限の配慮が大前提であることは言うまでもございません。今後とも、日米合同委員会合意等について丁寧に御説明をしていくとともに、この合意の適切な実施について、米側との間で必要な協議を行っていく考えであります。

○塩川委員 今、総理から御答弁ありましたが、米軍が我が国の公共の安全に妥当な考慮を払う、このことについても求めていくということでありますけれども、また、住民生活への最大限の配慮を払うということもおっしゃいましたが、本当にそうなっているのか。住民の危惧の声が広がり、自治体としての独自の取り組みもふえているところであります。
 私の事務所が調べたところ、オスプレイを含む米軍機の低空飛行に関して、ルートがわからないわけですから、住民の皆さんあるいは市町村から目撃情報の収集を行っている、こういう都道府県というのが現在二十三県にも及びます。つまり、四十七都道府県のうち半数に至っている。ここに、住民の皆さんと自治体の危惧の思いがあらわれていることが見てとれるわけであります。
 きょうは、先ほど指摘もしました被害、危険性のうち、米軍機の低空飛行による、米軍とヘリや小型機など民間機との衝突事故の危険性の問題について質問をしたいと思っております。
 ドクターヘリや防災ヘリの運用に関する心配の声を高知県で聞いてまいりました。
 資料の二枚目をごらんいただきますと、高知県が作成をいたしました、高知の県北の嶺北地域、ちょうど東西に吉野川が流れているこの谷合いの地域に多くの方が住まわれておられます。この嶺北地域において、ここが米軍機の低空飛行訓練ルートになっているということが、多くの証言でもリアルになってきているところです。
 この高知県作成の地図を見ていただきますと、現物は大きいものなので、ちょっと縮小していますから読み取りにくいところがあるんですけれども、右から左へ点線で囲まれた部分があります。この帯状のところが、米軍機の低空飛行訓練の推測をしているルートに当たります。その枠の中、点線の中で、黒い線の囲みがあるところが、人口の密集地、人が住んでおられる場所に当たります。
 それから、下から上に向いて二本の白い矢印がありますけれども、これは、高知市内などからこの嶺北地域にドクターヘリや防災ヘリを飛ばす、そういうときに進入する経路になっているわけですね。吉野川沿いの谷筋に入ったら、今度は東か西か、いずれにせよ、この黒い小さな丸で挙げられているようなヘリの離着陸場、ここを使用することになります。
 一昨年の十一月に、この嶺北地域にあります本山町の本山町立病院で、県の防災ヘリを活用した入院患者の避難訓練を実施しておりました。これは、防災ヘリが上がったり下がったりした。その直後に、岩国基地所属のFA18戦闘攻撃機が三機も低空でこの病院の上空を通過したということで、あわやという事態だったということ、関係者の方も大変強く憤りの声を上げておられます。
 本山町の今西町長は、中山間地では防災ヘリやドクターヘリは住民の命を守るために必要なもので、米軍機の低空飛行訓練は危険、訓練は絶対許さないと述べておられます。
 この西の方に当たります大川村では、米軍機が墜落をした早明浦ダムがあります。その大川村の和田村長は、事故から十九年になるけれども、いまだに心配は消えない、住民の命を預かる立場として反対をしていく、このように述べております。
 そこで、防衛大臣にお尋ねしますが、このような、高知県あるいは本山町など高知県内の自治体から出されている、米軍機の低空飛行に伴うような自治体のヘリ運用に係る懸念について、自治体のヘリ運用に係る心配について、国としてはどのように対応しておられるんですか。

○小野寺国務大臣 自治体からの懸念、これについては私どもも承知をしております。
 私どもとしては、日米合同委員会ほかさまざまな機会を捉えて、このようなことについて米側に、しっかり配慮を行うように、特に公共の安全に妥当な配慮を払ってしっかり活動していただきたい、そのような申し入れを随時行っております。

○塩川委員 いや、公共の安全に適当な配慮を払うとかいう一般的な話ではなくて、自治体のヘリ運用に関して、日本政府として、例えば、ヘリポートのところは避けるとか、あるいはこういった嶺北地域そのものを飛ばないようにしてほしい、こういう内容について、米側に対して具体的な申し入れということはされないんですか。

○小野寺国務大臣 これは、この地域ということを限ったわけではなく、やはり米側がさまざまな飛行訓練を行う場合、今回のオスプレイの事案でも御指摘がございましたが、こういうことを含めて、私どもとしては、公共の安全に妥当な配慮を図って活動していただきたいということを、米側に、日米合同委員会その他の場を捉えて要請をさせていただいております。

○塩川委員 ですから、公共の安全に妥当な配慮を払うということを要請するというだけで、具体的な要請などしていないわけですよ。これでは、自治体の心配、懸念の声に応えることはできません。
 資料の五枚目をちょっと見ていただくと、これは、その前の三枚目、四枚目も含めて、今回のオスプレイの本土での訓練について防衛省が発出をした通知文書と、それに参考につけたルートの地図であります。
 ここで見ますと、この配付資料の五枚目の左側に、一のところでも書いてありますが、イエロールートにおいて低空飛行訓練を実施するとか、オレンジルートにおいても低空飛行訓練を実施する、こういう趣旨について書かれているわけです。
 そこで、お尋ねをいたしますが、イエロールートやオレンジルートを初めとして、環境レビューで例示をされている六つのルートというのは、ここで言う低空飛行訓練ルートに当たるということでよろしいですか。

○小野寺国務大臣 きょう添付していただいているこの資料を含めて、ここに書かれている環境レビューというのは、あくまでも米側が環境レビューということで出されている内容ですので、私どもとしてそれを認めているわけではございません。

○塩川委員 いやいや、では、米軍がどう言っているかということでもいいですけれども、米軍の説明をここに書いているわけですよね。米軍は、当初はイエロールートで低空飛行訓練を実施する、それを変更してオレンジルートで低空飛行訓練を実施すると言っているわけですから、米側にとってみれば、オレンジルートやイエロールートは低空飛行訓練を行うルートだということになりますよね。

○小野寺国務大臣 これは、あくまでも米側からの我が省への通報ということで、三月六日から八日の間、三機のMV22が沖縄から岩国飛行場に飛来し、九州地方、その中で、具体的にこの環境レビューのイエロールートということで指定がございました。
 ですから、我が省としましては、これを関係自治体にお伝えするという中で、いわゆるこの環境レビューの中のイエロールートということで米側から通報がありましたということをそのままお伝えしているというわけで、これが、先ほど先生がおっしゃったような、我が省として認めているということではありませんで、あくまでも米側からこのような通報があったということであります。

○塩川委員 米側から当初はイエロールートで低空飛行訓練を実施します、その後、今度は米側からオレンジルートで低空飛行訓練を実施します、そういう通知を受けたということは事実ですね。

○小野寺国務大臣 おっしゃるとおりです。

○塩川委員 ですから、環境レビューで例示をされているイエロー、オレンジ、加えてパープルやブルーやピンク、グリーンという六つのルートというのは、米側にとってみれば低空飛行訓練を行うルートだということを米側としてはここで明らかにしたということになります。加えて言うならば、米海兵隊は、中国地方にもブラウンルートというのがありますよということも、そういう存在も認めているということはつけ加えておくものであります。
 そこで、重ねてお尋ねしますが、オレンジルートを初めとして米軍機が低空飛行訓練を行うこのルート、低空飛行訓練のルートがどこを通るのかということは、日本政府として承知をしておられるんですか。

○小野寺国務大臣 米側から今回通報が来たのは、イエロールートあるいはオレンジルートという、いわゆる米側の環境レビューのラインを指して米側から通報があったということでありまして、私どもとして、米側が出している環境レビューについて、どこの自治体がその対象になるかということは把握をしておりません。

○塩川委員 このルートがどこを飛ぶのかということについては把握をしていないということですけれども、それでは自治体の皆さんの不安の声にそもそも応えることができないじゃないですか。ドクターヘリや防災ヘリを運用するときに、要するに、避けるのでも、いつ、どこを飛ぶのかということがわからなければ、それもできないじゃないかという声が上がっているということであります。
 そこで、国土交通大臣にお尋ねいたしますが、日本の航空法で定めるフライトプラン、ここのフライトプランには経路、ルートを書くことになっているわけですが、このフライトプランについては米軍機も提出義務があると承知していますが、それでよろしいですか。

○太田国務大臣 米軍機につきましても、航空法第九十七条及び日米地位協定の実施に伴う航空法の特例に関する法律に基づいて、飛行する場合には、国土交通大臣に対して飛行計画の通報が必要となります。

○塩川委員 ですから、日本政府に通報があるフライトプランによって、米軍機がどこに飛ぶかということは承知しているはずなんですよ。どこだかわからない、把握していないというんじゃなくて、こういうフライトプランによって、米軍機がどこに飛ぶかということは日本政府に通報されているんです。
 ですから、自治体が不安の声を上げているんだったら、米側に対してきちっと説明を求めると同時に、こういって既に通報されているフライトプランも含めて、ルートをしっかりと示すということは十分にできるんじゃありませんか。その点、いかがですか。

○小野寺国務大臣 今回、我が省に通報があったのは、あくまでも米側が発表している環境レビューのイエロールートあるいはオレンジルートということであって、その環境レビューの中に、どこの自治体の上を飛ぶということが書かれておるわけではございません。

○塩川委員 太田大臣、フライトプランにルート、経路を書いてあるんですよ。それを公にするということを行えば、自治体側が求めておられる、少なくともルートを明らかにしてもらいたい、そういう声に応えることができるんじゃないですか。

○太田国務大臣 飛行ルートの開示につきましては、個々の米軍機の行動に関する軍事事項であり、米国との信頼関係が損なわれるおそれがあることから、明らかにすることは差し控えているという状況にあります。管制業務として使うということです。

○塩川委員 いや、米国との信頼関係よりも、国民、住民との信頼関係が損なわれる大問題なんだということこそ問われなくちゃならない。
 そもそも、こういった米軍機について、ヘリやあるいはセスナ機などの小型機は時速二百キロぐらいで飛行します、これに対して、米軍機は大変速い速度で飛ぶ。例えば、早明浦ダムに墜落をしたA6イントルーダーなどは、墜落時は時速八百キロだったとされております。米側の報告書に書かれている中身であります。
 そういう点でも、非常に高速で飛ぶ戦闘機がまさに生活の場を脅かしている。そういう中で、住民生活に被害をもたらすだけではなくて、ドクターヘリや防災ヘリなど自治体が運用するヘリについても大きな障害となる危険性をはらむものとなる。こういった事態であるにもかかわらず、自治体の求めに対しても、事前に承知している米軍機の飛行ルートさえ公表しない。これでは、国民の安全を守ることはできないということになるのではないでしょうか。
 そもそも、こういうルートを明らかにするだけで済む話ではありません。
 日米安保条約と地位協定に基づいて、日本政府は、米軍の使用に供するため、施設・区域を提供しております。
 小野寺防衛大臣にお尋ねしますが、一九九九年一月の日米合同委員会の合意、「在日米軍による低空飛行訓練について」には、「低空飛行訓練を実施する区域」とあります。この低空飛行訓練を実施する区域とは、日米安保条約と地位協定に基づいて日本政府が提供した施設・区域に当たるんでしょうか。

○岸田国務大臣 一般に、日米地位協定は、低空飛行訓練を含め、実弾射撃を伴わない飛行訓練について、在日米軍の使用に供している施設・区域の上空に限って行うことを想定しているわけではなく、在日米軍は、施設・区域でない場所の上空において飛行訓練を行うことが認められております。
 そして、御指摘の日米合同委員会の合意において記述があります「低空飛行訓練を実施する区域」についても、日米地位協定上の在日米軍施設・区域に限られるものではないと解しております。
 ただ、一方で、米軍は全く自由に飛行訓練を行ってよいというわけではありません。我が国の公共の安全に妥当な考慮を払って活動すべきものであるということは、言うまでもございません。
 御指摘の日米合同委員会合意についても、米軍機における低空飛行訓練が日米安保条約の目的達成のために不可欠な訓練であるとの前提に立ちつつ、安全性を最大限確保する、また、地元住民に与える影響を最小限にとどめる、こうした観点から合意されたものであります。

○塩川委員 要するに、施設・区域でない場所も含めて認められているという話になっています。つまり、米軍機の低空飛行訓練については、地理的な限定そのものがないということになるんじゃありませんか。
 総理にお尋ねします。
 一九九九年一月の日米合同委員会合意には、戦闘即応態勢を維持するために必要とされる技能の一つである低空飛行訓練は、軍事訓練としております。環境レビューでも、低空飛行訓練ルートを指す航法経路、ナビゲーションルートでの訓練は、戦闘任務での進入、脱出を成功させるために行うと記述をしております。
 つまり、低空飛行訓練でやっているということは、国民生活、住民生活のその頭の上で戦闘訓練を行っている。これはおかしいんじゃないかという声が出るのは当然のことだと思います。
 お尋ねしますが、日本の空全体が、米軍の軍事訓練が可能となるような、そういう場となっていることを異常だとは思いませんか。

○安倍内閣総理大臣 在日米軍の存在は、まず第一に、我が国の国民の生命、領土、領海を守るためであります。いわば米側に対して日本防衛義務が課せられている、これが安保条約の第五条でございますが、同時に、第六条におきまして、極東の平和と安定を維持する、しかし、そのために日本の施設等を使うということになっているわけでございます。
 日本の領土、領海、そして国民の命を守るためには戦力を維持していく必要があるわけでありますし、その維持している戦力によって、抑止力をきかせ、極東の平和と安定を守っていくという中におきましては、先ほど御説明をしたとおり、在日米軍が訓練を通じてパイロットの技能の維持向上を図っていくことによって、その戦力は維持をされていくわけであります。
 もちろん、同時に、公共の安全に妥当な配慮を行って活動していただくということは当然でございますし、今後とも安全確保について万全を期していくように申し入れを行ってきているところでございます。

○塩川委員 公共の安全に妥当な配慮といっても、具体的な要請もしていないわけですよ、一般論の言葉を繰り返すだけということで。
 結局、今の米軍の訓練空域については、地位協定等により米軍が使用している空域については、航空機の飛行が認められない制限空域とか、あるいは警告空域などといった飛行規制空域が設定をされています。このことは国土交通省航空局が発行する航空路誌にも掲載をされ、民間の航空機などにそういった情報を提供するという仕組みになっているわけであります。
 また、米軍が、実弾射撃訓練などを伴わない訓練についてはどこでも飛べるんだということを岸田大臣は答弁していましたけれども、しかし、その伴わないような訓練であっても、米軍は自衛隊の訓練空域を使って実際にはやっているわけですよね。自衛隊訓練空域を使用して、島根県西部上空や群馬県前橋上空などで海兵隊機や空母艦載機の飛行訓練を実施していますが、その自衛隊訓練空域は、民間機が飛行できないような飛行規制空域になっています。その旨、航空路誌にも掲載をされています。
 お尋ねしますが、この制限空域、自衛隊訓練空域というのは、米軍機と民間機が使用する空域を分離するという形になっていますけれども、米軍機の低空飛行訓練ルートについては、それすらない。米軍が勝手に空域を設定して飛び回っている。異常だと思いませんか。

○小野寺国務大臣 先ほど委員が何度か御指摘されております日米合同委員会合意、平成十一年一月十四日の中でも、この低空飛行訓練のところでありましては、在日米軍の航空機は、原子力エネルギー施設や民間空港などの場所を安全かつ実際的な形で回避し、人口密集地や公共の安全に係る建造物、学校、病院等に妥当な配慮を払うということで合意をされておりますので、これをこれからもしっかり守っていただくように、我が省としては要請をしていきます。

○塩川委員 公共の安全に妥当な配慮を払うというのを念仏のように繰り返すだけでは住民の生活は守れない、このことを強く言います。
 沖縄の制限空域では、漁民の漁業権が侵害されています。自衛隊訓練空域を使った米軍の訓練は、甚大な爆音被害を生んでいます。
 そもそも、これらの空域は、米軍機が好き勝手に使えるように民間航空機を排除するための仕組みであり、このような米軍の特権的な空域の使用こそなくすべきです。ましてや、何らの地理的制限もなく、米軍機と民間機の空域分離もない低空飛行訓練ルートを使用した米軍の軍事訓練は、きっぱりと中止すべきであり、オスプレイの配備、訓練は、沖縄でも本土でも中止せよ。
 外国では、例えばドイツなどでは、米軍が低空飛行訓練を行う場合は、ドイツ国内法を前提に米独間で個別の協定を結ぶなど、当然のようにやっている。こういうことすらない、今の異常なアメリカ言いなりの仕組みそのものが問われているということを強く求めて、質問を終わります。