国会質問

<第183通常国会 2013年03月15日 経済産業委員会 2号>




○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。お世話になります。
 きょうは、電気料金問題についてお尋ねをいたします。
 昨年は、原発事故を起こした東京電力が大幅な値上げをしたことに、消費者や中小企業から厳しい批判の声が上がりました。電気料金値上げ問題について、国民の立場からしっかりと監視、精査をすることが必要であります。
 昨年十一月に、関西電力と九州電力は、規制部門の電気料金値上げのための認可申請を提出しました。総合資源エネルギー調査会総合部会の電気料金審査専門委員会において査定方針案の取りまとめが行われる、そういう段階だと承知しています。
 こういう中で、東京電力と関西電力が発注する送電線設備の談合疑惑が問題となっております。地下にケーブルを通す地中送電線工事をめぐり、談合を繰り返した疑いがあるとして、公正取引委員会は、十三日、独占禁止法違反、不当な取引制限の疑いで、両社の関連会社の関電工、きんでんなど、約三十社に立入検査に入ったとの報道があります。
 公正取引委員会は、既に昨年十一月、山間部などに立てた鉄塔に電線を取りつける架空送電線をめぐり、東電と関電発注の工事で談合があったとして立入検査をしている、このような報道もありました。
 そこで、公正取引委員会の杉本委員長にお尋ねをいたします。
 こういった報道については事実でしょうか。どのような案件なのかについて、説明をいただきたい。

○杉本政府特別補佐人 お答えさせていただきます。
 報道されておりますとおり、東京電力及び関西電力発注の地中送電線工事につきまして、受注調整が行われた疑いがございますことから、三月十三日に立入検査を実施したことは事実でございますが、具体的な調査の内容等については、現在審査中の事案でございますので、お答えを控えさせていただきたいと思っております。
 それから、架空電線に関する工事につきましても、報道されていますとおり、受注調整が行われた疑いがございますことから、昨年の十一月に立入検査を実施して以降、鋭意調査を進めているところでございます。
 この件につきましても、具体的な調査の内容等については、現在調査中の事案でありますことから、お答えを差し控えさせていただきたいと思っております。

○塩川委員 これは、立入検査を行っているということであります。
 そこで、重ねてお尋ねしますが、電力会社に係るこのような不当な取引制限の禁止に違反するような行為、過去事件となったもの、こういうのが戦後においてどれだけあるのかについて、簡単で結構ですから、紹介してもらえますか。

○杉本政府特別補佐人 電力会社関係で過去に法的措置をとった独占禁止法違反事件は、平成二十二年一月の電力会社発注の電力用電線等に関する受注調整事件がございます。

○塩川委員 戦後ずっとありますけれども、一件しかないんですね。
 電力業界というのは、そもそも、地域独占と発送配電一貫体制の巨大な独占企業であります。巨大独占企業グループによる地域の経済シェアを含め、談合体質が指摘をされてまいりました。
 そこで、大臣にお尋ねします。
 関西電力や九州電力などのかかわる談合事件や談合疑惑が起こっております。高値発注などが疑われるわけですけれども、関電、九電に係る今回の電気料金の審査について、このようなことはきちんと反映されているんでしょうか。

○茂木国務大臣 今、公正取引委員会によります立入検査が入っておりますのは関西電力の方だ、こんなふうに承知をいたしております。
 それで、関西電力の料金値上げの申請に係る電気料金審査専門委員会の査定方針案におきましては、送電線工事を含めた工事費用や資材の調達価格につきまして、一〇%のコスト削減目標を関西電力に適用することが妥当であるとされているところであります。

○塩川委員 二〇一〇年の事案については、九州電力も関係者であります。そういう点でも、実態はどうなっているのか、談合が疑われている問題についてきちんと精査することなしに、それが電気料金に反映されているかどうかもわからないわけであります。
 一〇%の話もされましたけれども、そもそも一〇%なのかどうかというところも含めて、実態が非常な独占の中でつくられてきている、そういう癒着の関係が疑われるようなときに、もっとメスを入れるということが必要だ。
 電気事業連合会の電気事業便覧などを見ても、電力業界が発注するような設備工事の費用というのは、年間二兆円を超えると言われています。送電、配電あるいは変電関係の流通関係の設備工事だけでも、そのうちの六割、一兆二千億円に上るわけですから、大変巨額な金額に上るわけです。
 その点でも、電力独占のもとで談合が構造的な問題となることが問われているわけですから、結果として高値発注によって電気料金に上乗せされているのではないのか、こういう疑念が拭えないときに、抜本的な、根本的な是正こそ求められているということをまず指摘しておくものであります。
 次に、燃料費についてお尋ねをいたします。
 関西電力の今回の申請を見ても、小売対象原価二兆六千七百八十六億円のうち、火力燃料費は九千百二十億円で、三分の一を占めております。燃料費にどれだけ切り込むかが電気料金に直結をいたします。
 配付資料の一枚目をごらんいただきたいんですが、各国の天然ガス価格の推移であります。矢印の下の方で下がっているのがアメリカのガス価格で、一番右端、二〇一二年の十二月の時点では百万英国熱量単位当たり三・四五ドル、一方、上から二番目のグラフ、矢印で上がっているということで、日本のガス価格ですけれども、これが十五・七五ドルとなっています。ですから、アメリカと比べても四、五倍の開きがあるわけです。
 こんなふうになっているのはなぜなのかについて、御説明をいただけますか。

○茂木国務大臣 アメリカの場合、近年、シェールガスの生産拡大ということで、かなり国内の市場価格が落ちてきておりまして、委員の図にありますように、百万BTU当たり大体三・四ドルと低水準であります。国内で出るわけですね。
 一方、日本の場合は、残念ながら国内でそれだけの天然ガスの生産ができない。例えば、アメリカからこの三・四ドルの天然ガスを入れてくる。もちろん、アメリカの承認が必要で、いつから輸出してくれるか、こういう問題もあるわけでありますけれども、向こうから持ってくるわけですから、一旦液化をしなければいけない、そしてかかる輸送価格、こういうことで、この値段とは当然違ってくるんだと思っております。
 それから、これからもそうするのがいいということでは決してありませんけれども、これまで原油価格に連動した価格決定方式に基づいた長期契約となっているケースが多いために、LNG価格、百万BTU当たり十六ドル前後と高水準で推移をしていると思っております。
 ただ、これから原油価格に連動した価格決定だけでいいのかといいますと、そうは思っておりません。また、調達先の多角化を図ることによって低減努力はできるんじゃないかなと思っております。

○塩川委員 アメリカでシェールガスの生産拡大が進んでいる、もちろん、コストの面でも輸送コストや液化コストで六ドルぐらいある、そういうのを見込んでも日本の場合は高い、その点では、原油価格に連動した価格決定方式に基づいた長期契約をしているケースが多いという話がございました。
 日本のガス価格は余りにも高過ぎるということで、これは昨年、この委員会で我が党の吉井英勝議員がこの問題をただしたんです。その際の経済産業大臣は枝野大臣でありましたけれども、枝野大臣はそのときに、総括原価方式と燃料費調整制度が燃料調達及び電気料金高どまりの原因だと答弁しておりますが、茂木大臣の認識はいかがでしょうか。

○茂木国務大臣 我が国は、LNGの輸入、これは先ほども言いましたように、その液化、そして輸送に要するコストがかかるとともに、原油価格に連動した価格決定方式、これに基づいた長期契約となっているケースが多いために、原油価格が高水準で推移しているという背景がありますと、どうしてもLNGの価格が高水準で推移をする。
 そして、電力会社の調達でありますけれども、地域独占の中で費用を積み上げて料金を算定する、いわゆる総括原価方式、そして原油価格の変動等を自動的に価格に転嫁する燃料費調整制度のもとで、これまで電力会社が価格よりも量の確保を重視した燃料調達を行う傾向があった、このことは否めないと思っております。

○塩川委員 そういう点でも、総括原価方式と燃料費調整制度が、燃料調達、電気料金高どまりの原因だということでよろしいんですね。

○茂木国務大臣 全ての原因というわけではありませんで、例えば原油価格が、先ほど申し上げたように、どう変動するか、こういうことによっても変わってきます。原油価格が徹底的に安くなれば、それが安いコストにつながることもある。
 ただ、今後の問題として申し上げますと、やはり、総括原価方式によります料金規制の撤廃も含めて競争による効率化と安定供給を両立する電力システムの改革、こういったことを進めることによりまして、電力会社が燃料費についてもさらなる効率化を追求する環境を実現していくことが重要だと思っております。

○塩川委員 そういう点でも、原因がどうかというところをはっきりさせることなしには今後の改革にはならないわけですから、あれもあるし、これもあるというのではなくて、やはり本質が何かというところが問われているわけで、そういう点でも、今後、その点について改めてただしていきたいと思っております。
 茂木大臣が二月に、電力各社による電気料金値上げ認可申請についてという談話を出されております。そこでは、燃料コストの低減に向け最大限の取り組みを行うことが重要だ、厳正な査定を行っていくとしております。
 シェールガス輸入を一部反映した原価織り込みをしていくことなどを含めて言われていると思いますけれども、関連してお尋ねしたいんですが、実際、その燃料費にかかわるようないろいろな事業がどうなっているのかということなんです。
 配付資料の二枚目に、関西電力と九州電力の主要なLNG長期契約の表があります。これは、電気料金審査専門委員会に提出された資料であります。ここに、それぞれプロジェクトが挙がっているんです。
 それで、お尋ねですが、ここに挙がっているプロジェクトが、関電あるいは九州電力がかかわる全てのプロジェクト、全ての契約となっているんでしょうか。事実関係の確認をお願いします。

○高原政府参考人 お答え申し上げます。
 関西電力につきましては、ここに出ておりますプロジェクトにつきましては、実は契約を締結いたしましたときに、売り主との間で契約の締結を公表いたしております。そのものがここに載っております。
 したがいまして、契約の締結のときに公表していないものはここに載っておりませんけれども、もちろん料金の査定のときにつきましては、審査委員会の委員の先生方あるいは事務局にも、私どもは受け取らせていただいております。
 以上でございます。

○塩川委員 九州電力はどうですか。

○高原政府参考人 九州電力につきましては、契約の全てが公表されておりますので、これにつきましてはここに出ているものが全部だというふうに承知いたしております。
 以上でございます。

○塩川委員 九州電力は全て明らかにしている。東京電力についても、LNGの長期プロジェクトについては、東電の電気料金に係る査定の際には、八プロジェクト全てを明らかにしているわけであります。
 関西電力についても同様に、全てのプロジェクトを明らかにするということを求めることが国民的な理解を得る上でも必要ではありませんか。

○高原政府参考人 LNGの長期契約は、いわゆる商業上の契約として、売り手と買い手の間で私契約として結ばれたものでございます。したがって、公表するかどうかにつきましては、両者、つまり、売り手との間の合意も重要でございますので、このような形で公表させていただいておりますけれども、先ほど申し上げましたとおり、料金の査定に当たりましては、全てのものの開示を受けた上で私どもは審査をさせていただいております。
 以上でございます。

○塩川委員 電力会社が出資するような企業が上流までずっとさかのぼっているということなんかもあるわけですから、そういったことも含めて、実態はどうなっているのかということがわからないと、本当にこの値上げというのは妥当なのかという点について理解が得られないんじゃないのか。専門委員会の方が見ているとかという話ですけれども、どういう形のものを見ているのかということに対して、公開なしに国民的な理解は得られないということを指摘しておかなければなりません。
 それと二つ目に、輸入LNGの受け入れの揚げ地、輸入の基地ですけれども、揚げ地ごとの単価を見ると、これがそれぞればらばらであります。
 二〇一二年の五月のデータでいいますと、例えば首都圏、東電にかかわるようなところで、ロシアからの輸入について、基地ごとに見ると、袖ケ浦基地では一トン当たり三万一千七百十九円なのに、富津の基地では七万四千九百七十五円とか、川崎・扇島は六万一千百四十七円と言われるように、二倍以上の開きがあります。
 関西でも、オーストラリアからの輸入について基地ごとに見ると、堺の基地が六万六千百六十四円に対して、姫路の基地が四万八千七百三十五円。揚げ地によって価格がばらばらです。
 これは、何でこんなふうになるんでしょうか。

○茂木国務大臣 これは、揚げ地によってばらばらというよりも、契約した時期によって変わってくる、これが基本であります。たまたま、着いた時期が一緒でありましても、契約した時期が違ってくれば、価格は当然、長期契約でやっておりますから、そこの中で五年ごとの見直しなんかを行っておりますけれども、違ってくるという事例は出てまいります。

○塩川委員 契約時期の違いによってばらばらだというだけでは、ちょっと納得がいかない。
 重ねてお尋ねしますけれども、配付資料の二枚目の上の段、関西電力の主要LNG長期契約についてのプロジェクト、下から二番目にプルート・プロジェクトというのがあります。
 これは、二〇一二年の四月に生産を開始し、関西電力向けに出荷をされ、昨年五月二十一日に姫路基地に到着をしております。
 姫路基地におけるオーストラリアからの単価の推移について経産省からお示しいただいたんですが、姫路基地におけるオーストラリアからの単価を見ると、昨年の五月で一トン当たり四万八千七百三十五円、それが十二月には五万三千二百九十三円、ことし一月には六万八百六十九円と、違いがあります。
 これは、なぜ違うんでしょうか。

○高原政府参考人 これは、市場価格が、例えば、先ほど申し上げましたとおり、LNGについては原油の価格との連動もいたしておりますので、そういった観点から違うのではないかと思います。
 いずれにいたしましても、契約者、当事者間の交渉によって価格は決められるというふうに認識をいたしております。

○塩川委員 いや、そういう点も含めて明らかにしていただきたいわけですよ。そういう点でも、燃料コストについて、ブラックボックスを開示するということこそ、国民的な信頼の大前提だということを言わなければなりません。
 電気料金の関係で、今、日本原電に支払う購入電力料について疑問の声が上がっております。
 関西電力の原価算定期間中、二十五年から二十七年の期間中に、関電が日本原電から受電する量はゼロであります。それなのに、多額の購入電力料を払うことになっております。国民、消費者から納得がいかないという声が寄せられるのも当然であります。
 そこでお尋ねしますが、東電の会長だった勝俣恒久氏が、現在、日本原電の社外取締役になっております。福島原発事故に責任を負っているのが勝俣氏です。東電は、事故後、会長、社長、副社長は報酬全額カットをしておりました。東電が筆頭株主であり、電力業界が支えているのが日本原電であります。東電から日本原電の社外取締役となった勝俣氏の報酬は幾らなのか、メスが入ったのか、お尋ねします。

○高原政府参考人 勝俣氏に対します日本原電からの役員報酬額でございますけれども、日本原電からは、今年度、つまり三月まででございますけれども、月額十万円というふうに聞いております。

○塩川委員 そういうことを含めて、明らかにしていくことが必要だ。
 そういう点では、東電時代にはそもそも報酬を受け取らないということになっていたわけですから、例えば、こういう月の十万円ということを含めて、国民の理解が得られるのかということも問われなければならない。そういうことについても、きちんと明らかにしていくことが必要であります。
 やはり、東京電力自身が、今、法律と公的資金で支えられている企業であるわけで、その東電の事故の責任者だった勝俣氏の責任も重い、こういう点でも、日本原電、いわば電力業界全体の子会社といいますか、その中心は東電でもありますから、そういう位置づけの原電における役員報酬のあり方ということも厳しく問われなければならないということを言わざるを得ません。
 そういう中で、電気料金の問題と原発の再稼働の関係についてお尋ねします。
 電気料金の値上げ認可申請を行いました関西電力についてですが、この認可申請の中で、関西電力の原発の稼働日の想定はいつになっているんでしょうか、お答えください。

○高原政府参考人 お答え申し上げます。
 関西電力の値上げ認可申請時の原子力発電所の稼働織り込みでございますけれども、高浜の三号機につきまして、平成二十五年の七月一日、そして、高浜四号機につきまして、同じく二十五年の七月二十二日というふうになっております。
 以上でございます。

○塩川委員 大飯の三、四号機についてはどういうふうに出されているんでしょうか。

○高原政府参考人 大飯の三、四号機につきましては、稼働を継続していくという前提になっております。
 以上でございます。

○塩川委員 再稼働そのものがおかしいというたくさんの方の声もあります。同時に、高浜の三号機がことしの七月一日、四号機が七月の二十二日、これはその日に稼働というのは可能なんでしょうか。

○高原政府参考人 いずれにいたしましても、稼働の時期がいつになるかということにつきましては、原子力規制委員会の判断がまず前提になるというふうに考えております。

○塩川委員 いや、ですから、七月というその時期に可能なんですか、原子力規制委員会の判断としても。

○高原政府参考人 新しい基準が実際に発動されて、そして、その審査がいつ行われるか、いつ結論が出るかということとの関係でございますけれども、いずれにいたしましても、これは原子力規制委員会の判断によることでございますので、私ども経済産業省からはコメントは避けさせていただきたいと思っております。
 以上でございます。

○塩川委員 安全基準が策定されるのは七月ということでよろしいですよね。

○高原政府参考人 そのように承知をいたしております。

○塩川委員 そこからですよね、実際の作業が始まるのが。ですから、七月なんかに動かせないんですよ。それなのに、動かせない原発が再稼働することを前提の値上げ申請なんですよ。七月から稼働することはあり得ない原発が再稼働することを前提にした申請が行われている。
 大臣、こんなのを受け取ること自身がおかしいんじゃないですか。

○茂木国務大臣 原発の再稼働につきましては、規制委員会におきまして、新しい安全基準のもとで原発の安全性を確認する、そしてその上で、確認されたものにつきましては、炉の設置者の方で動かすことが可能になる、こういう法律のたてつけであります。
 その上で、原発が稼働することによって、電力料金、恐らく電気事業者にとりましては、そのコストが今の状態より高くなってしまうということはないんだと理解をいたしております。

○塩川委員 いやいや、そもそも、申請そのものが架空のことを前提に行われているという扱いそのものがおかしいんじゃないですかと聞いているんですよ。

○茂木国務大臣 これは、例えばLNGの価格にしても、これから将来的にはシェールガス、こういったものが調達できる、そういった努力も進めていかなきゃならない。今の時点のことじゃないんです。今後のことも含めて、価格というのは、料金申請というのは見ていかなくちゃならない。
 毎日、料金申請について許可するわけじゃないわけです。ある程度の期間についてやるわけでありますから、一定の仮定を置いて申請がなされる。そして、その仮定がある程度妥当であるかどうか、高過ぎないかどうか、基本的には、そういう観点から厳正に審査をしていきたいと思います。

○塩川委員 いや、LNGは、需給関係でそれは変わりますよ。しかし、原発の再稼働というのは、そもそも原子力規制委員会が安全基準を策定して、そこから実際の作業が始まるわけですから、七月に動かないんですよ。それはもうはっきりしていることなんです。将来どうなるかわからないという話じゃないんですよ。
 はっきりしていることであるにもかかわらず、それがあたかも動くかのようなことを前提にした申請が行われているのをそのまま受け取るというのは、これは政府の見識が問われるんじゃないですか。

○茂木国務大臣 原発の再稼働につきましては、法律的に、先ほど申し上げましたように、規制委員会が安全性についてはチェックをします、確認をします。安全性がチェックされた原発につきましては、事業者におきまして再稼働することが可能になるというわけであります。そういった法律の仕組みなんです。
 そして、その時期等々につきましても、予断を与えるようなコメントは、経済産業大臣としては差し控えたいと思っております。
 その燃料費によって、さまざまなものによって発電コストは変わってきます。そういったものも事業者が織り込んで申請をしてくるものだ、こんなふうに承知をいたしております。
 塩川委員のお尋ねを聞いていますと、もっと高い料金で関電は出してくればよかったじゃないか、このようにおっしゃっているように聞こえるんですけれども、私は、できるだけ低く抑える、このことが必要なんじゃないかなと思います。

○塩川委員 このままいけば、この先、再稼働がもしできなかったとしたら、簡素な手続で値上げをしましょうというのを、わざわざ去年、省令改正までやっているわけですよ。国民的な議論が必要な電気料金の値上げについて、簡素な手続で進めるということを織り込んだようなやり方を経済産業省がやっているということでは、国民の理解が得られないだろうということを私は言っているんです。
 そういう点でも、結局は、こういうのを織り込んでいるというのは、再稼働か電気料金値上げかというのを迫るようなやり方であって、電気料金の値上げを使って原発再稼働の圧力をかけているようなものだ、こういうことを言わざるを得ません。
 そういう点でも、そもそも、できもしないような原発再稼働を前提とした電力会社の電気料金改定の申請を受理すること自身がおかしいわけで、差し戻せということを強く言って、質問を終わります。