国会質問

<第183通常国会 2013年03月22日 経済産業委員会 3号>




○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 対北朝鮮輸出入全面禁止措置の延長について、関連して質問します。
 北朝鮮の核実験の強行は、核兵器のない北東アジア、核兵器のない世界を求める国際世論への重大な挑戦であります。被爆国日本の国民として、断じて許すことのできない暴挙であり、厳しく糾弾するものです。
 北朝鮮が二月十二日に三度目の核実験を強行したことに対し、国連安保理は、三月の七日、北朝鮮の核実験を強く非難するとともに、国連憲章第七章第四十一条に基づく制裁の大幅な強化を含む安保理決議二〇九四を採択いたしました。
 こうした北朝鮮の国際社会に対する挑発行為を勘案するならば、政府が独自に実施している対北朝鮮輸出入の全面禁止措置を延長することは、その目的からして、北朝鮮を六カ国協議などの対話のテーブルに着かせ、問題の平和的、外交的解決を図るための手段として引き続き必要であります。
 そこで、この安保理決議二〇九四についてお尋ねをいたします。
 決議を主導したアメリカは北朝鮮に相当の痛みを与える中身だと強調していますが、この安保理決議二〇九四の主な特徴について御説明ください。

○松山副大臣 お答えいたします。
 今回の安保理決議でありますが、北朝鮮による核実験が今までの累次の安保理決議違反であることを強く非難をしまして、北朝鮮によるさらなる挑発行為を禁止しています。また、これまでの決議と比較をして、北朝鮮による核、ミサイル関連活動に関連する金、人、物の動きを強く規制する制裁が含まれています。
 我が国は、一貫して、安保理が断固たる対応をとるように、米国を初めとする関係国と緊密に協力をして、今回の決議の共同提案国というふうになっております。安保理がこのように強い内容の制裁を追加、強化する措置を決定したことを、政府として歓迎し、高く評価しています。
 北朝鮮が国際社会の強い警告と非難を真摯に受けとめて、今般の安保理決議を初めとする一連の安保理決議を誠実に完全に実施していくよう、さらなる核実験や発射を含む挑発行為を決して行わないように強く求めてまいりたいと思います。

○塩川委員 この安保理決議二〇九四は、いずれの措置も国連憲章第七章第四十一条に基づく非軍事で行うということを定めたというふうに承知しておりますけれども、その確認をお願いします。

○松山副大臣 安保理決議第二〇九四号は、前文において、安保理が国連憲章第七章のもとに行動し、国連憲章第四十一条に基づく措置をとることが述べられています。
 四十一条は、安全保障理事会は、その決定を実施するため、兵力の使用を伴わないいかなる措置を使用すべきかを決定することができる旨を定めております。
 よって、安保理決議第二〇九四号の措置は、委員御指摘のとおりに、国連憲章第四十一条に基づく兵力の使用を伴わない措置と位置づけられます。

○塩川委員 この安保理決議二〇九四について、六カ国協議の関係国であります中国とロシアと韓国、それぞれの国の評価と対応についてどうなっているのか、この点についてお答えください。

○松山副大臣 今般の決議の採択に対しまして、米国、中国、ロシア及び韓国ともに、これを積極的に評価しておりまして、決議を履行することが重要である旨の反応を示していると承知しています。
 米国につきましては、例えばライス国連常駐代表が、決議採択後、今般の安保理決議に定められた制裁は効果の極めて高いものであると評価をしていますし、北朝鮮が国際的な義務を履行するよう求める旨の発言をしております。
 また、中国ですが、外交報道官が、安保理の北朝鮮による核実験に対する必要かつ適度な反応を支持するという発言をしておりまして、李国連代表は、決議の完全な実施が重要である旨を発言しております。
 また、ロシアでございますが、チュルキン国連代表ですが、北朝鮮の核実験に対して安保理は迅速な形で適切な対応を行った、北朝鮮が方針転換をして関連する安保理決議を遵守することを望むという発言をいたしております。
 韓国でありますが、外交通商部スポークスマンによって、今回の決議を全会一致で採択したことを歓迎、支持する、制裁の範囲と強度を一層強化したことを評価する旨の声明を発出しています。
 我が国としても、国際社会が一層効果的に北朝鮮問題に対応していくという観点から、今回の決議を踏まえ、関係国と引き続き緊密に連携して協力をしていく考えでございます。

○塩川委員 今、国連安保理決議二〇九四について、その内容と、あと六カ国協議の当事国のそれぞれの評価、対応についてお尋ねいたしました。
 この二〇九四について、大臣としてどのように評価しておられるのか、その点についてお答えいただけますか。

○茂木国務大臣 先ほどから御答弁申し上げておりますように、北朝鮮は、昨年の四月、十二月に弾道ミサイルを発射して、本年二月に核実験を強行ということでありまして、挑発的な行為を繰り返している。これは、我が国の安全のみならず地域そして国際の平和、安定にとって重大な脅威であり、断じて容認できない。
 そして、この国連安保理決議の二〇九四号につきましては、本年の二月の北朝鮮の核実験を強く非難するとともに、人、物、金の流れの規制の強化や貨物検査の義務化など、制裁の追加そして強化措置について、包括的かつ強い内容を含んだものであると承知をしております。
 この決議は決議といたしまして、日本としては独自の、さらに強い輸出入の禁止等々を現在行っております。

○塩川委員 北朝鮮を対話のテーブルに着かせるためには、国際社会が一致して制裁を実効あるものにすることが必要であります。
 その場合に、そうした制裁の強化というのは、制裁のための制裁ではなくて、国際社会が一旦到達した枠組みであります二〇〇五年の六カ国協議の共同声明や、二〇〇二年の日朝平壌宣言や、また二〇〇〇年の南北共同宣言などに復帰をさせて、問題を平和的、外交的に解決する立場に徹することが何よりも重要だと考えますが、この点についての政府の立場をお聞かせください。

○松山副大臣 御指摘のとおりに、我が国は、北朝鮮が累次の安保理決議や六者会合共同声明、あるいは日朝平壌宣言等に基づくみずからの国際的義務あるいはコミットメントを、誠実そして完全に実施することが重要だというふうに考えています。
 我が国としては、関係国と連携をしながら、北朝鮮に対して、これらの国際的義務やコミットメントを誠実、完全に実施をして、いかなる挑発行為も行わずに、拉致問題の解決、非核化等に向けた具体的行動によってみずからの姿勢の根本的変化を示して、国際社会との連携を通じた前向きな対応をとる道を選択するように求めていきたいと思っています。
 国連安保理は、北朝鮮の核実験を安保理決議違反として非難をして、核、ミサイル関連活動に関連する金、人、物の動きを強く規制する二〇九四号を採択しました。我が国としても、引き続き緊密に関係国と連携をして協力しながら、決議の履行のために所要の措置を講じていきたいと思っています。

○塩川委員 安保理決議二〇九四も、対話を通じた平和的で包括的な解決を促進し、事態を悪化させるいかなる行動も控えるよう求めている、こういう立場で臨むということであります。
 そこで、大臣と松山外務副大臣にお尋ねしますが、このような北朝鮮の核実験と核開発の正当化を許さないためにも、今、国際社会が本気になって、核兵器のない世界の実現に向けて具体的な行動に出るときではないのか、こう思いますが、この点についてのお考えをそれぞれお聞かせいただけますか。

○茂木国務大臣 核の拡散を抑止していく、これは国際社会全体として取り組む極めて重要なテーマである、そんなふうに思っております。
 中でも北朝鮮につきましては、今行っている行為、そしてまた挑発的な行為、さらには瀬戸際外交、こういったものが、何ら国際社会から見て効果を持たない、孤立をもたらすだけである、こういったことをきちんと、対話と圧力の中で、違った行動に、正しい道に戻るような対応をさせることが必要だと思っております。

○松山副大臣 委員御指摘のとおりに、関係国と連携して、この核の問題は徹底して不拡散について推進をしていくべきだと思っております。

○塩川委員 北朝鮮に核兵器の開発、核実験計画を放棄させる、こういう立場で国際社会が一致した行動をとるということが重要だということは言をまちません。
 加えて、やはり核兵器のない世界を展望して具体的な行動に踏み出すということが、こういう北朝鮮による核開発、核兵器の保有という無法をやめさせる上でも、道義的にも政治的にも外交的にも大きな力となるんだということが求められている。
 そういう点でも、この全ての核保有国が、核兵器禁止条約の交渉に積極的な役割を果たすこと。その点で、日本政府が、被爆国として核兵器禁止条約の交渉開始へのイニシアチブを発揮する、こういうことが強く求められているんじゃないか、そのように考えますが、いかがでしょうか。

○茂木国務大臣 一つの御意見としては、十分理解できます。
 そういった中で、本当に、対話と圧力、こういったものを実効あらしめるために、全く、アメリカであったりそういった国々が、北朝鮮に対する有効な手段を持たないということでいいのかといいますと、若干委員とは意見を異にする部分もございます。

○塩川委員 踏み込んでおっしゃっておりませんけれども、核兵器保有に走る北朝鮮の口実を封じて核開発計画の放棄を迫る上でも、核抑止論というのが有害だということを改めて指摘しなければなりません。
 次に、米韓原子力協定についてお尋ねをいたします。
 米韓では、二〇一四年に期限を迎える協定の改定協議が続いていると聞きます。この米韓原子力協定において、使用済み燃料の再処理はどのように扱われているのか、この点についてお答えをいただけますか。

○松山副大臣 米韓の原子力協定につきましては、二〇一四年三月に有効期限が終了するというふうに聞いております。二〇一〇年十月以降、米韓の間で改正等の協議も行われているというふうに承知をいたしております。
 再処理につきましては、現行の米韓原子力協定上、米国から移転された核物質の再処理は両国の同意が必要というふうにされておりまして、報道によりますと、韓国はこの規定の改正を求めていると承知をしていますけれども、第三国の我が国としては、協議の具体的な内容につき確定的に述べる立場になく、事実を把握しているわけではありません。

○塩川委員 韓国における使用済み燃料の再処理は、米韓原子力協定において米側の同意が必要となっているということで、この点が協議の焦点となっていると承知をしております。
 一方、日米原子力協定は、三十年の期限で、二〇一八年七月が期限となっていますけれども、包括的合意として再処理が可能となっているという枠組み、この点がどうなのかということが今後問われてくるわけであります。
 核兵器の原料ともなりますプルトニウムの保有については、そのあり方が厳しく問われているところであります。この点につきましても、日本におけるプルトニウムの利用のあり方の問題について、核燃料サイクルのあり方の問題、利用計画の問題について、しっかりと、今、あの福島原発事故を踏まえた再検討、見直しこそ求められているということについては、この後また質問するということで、この時間での質疑は終わりにいたします。