国会質問

<第183通常国会 2013年03月27日 経済産業委員会 4号>




○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 省エネ法の質疑であります。
 まず、省エネ法を議論する前提として、福島原発事故に関して、東電による国会事故調の調査妨害問題について質問をいたします。
 茂木大臣にお答えいただきますが、細かい事実関係については、高原長官からお答えいただければと思っております。
 福島原発事故の国会事故調査委員会による原因究明を東京電力が妨げていたということが大きな問題となっております。国会事故調査委員会の委員だった田中三彦氏が、二月七日、衆参議長及び茂木経済産業大臣宛てに文書を提出しました。昨年二月、福島第一の現地調査を計画した国会事故調に対して、東電が虚偽の説明をして調査を妨害したことを指摘し、東電の監督官庁である経済産業省に対しては、東京電力の虚偽説明の検証と現地調査の実現への協力を求めたものであります。
 この問題に関して、茂木大臣はどのように対応されたのか、この点、まずお答えください。

○茂木国務大臣 要請を受けまして、東京電力が何らかの意図を持って虚偽の説明をしたとすれば、断じて許されるものではない、こういう認識のもと、同日、私が指示をいたしまして、東京電力に対して、信頼の置ける形で事実関係を明らかにし、報告するよう指示を出したところであります。
 これを受けまして、二月の十八日に、東京電力は、事実関係を明らかにするため、我々として、信頼が置ける形で、こういうことを申し上げましたので、弁護士三名から成る第三者検討委員会を設置し、本年の三月十三日、同委員会が検証結果の報告書を取りまとめて公表したと承知をいたしております。

○塩川委員 東電に報告するように指示を出したということですけれども、これは、法令に基づく報告徴求、報告徴収ということになっているんでしょうか。

○高原政府参考人 お答え申します。
 これは、法令に基づくものではございません。

○塩川委員 重大な問題ということで、なぜ法令に基づく報告徴収を求めないのか、この点についてはいかがですか。

○高原政府参考人 先ほど委員御指摘のとおり、二月七日に委員からこの文書をいただきまして、信頼の置ける形で事実関係を明らかにし、報告するようにということで、迅速にまず指示をさせていただくということが第一だったと思っております。

○塩川委員 迅速にということで行政指導ということですけれども、誰が誰に対して、つまり、経産省側の誰が東電側のどなたにどのような行政指導を行ったのかについてもお答えいただけますか。

○高原政府参考人 福島第一原発の事故後のいろいろな案件を担当いたしております管理職でございます舟木室長から、東電の担当管理職の方、具体的には経営改革本部の事務局の見学部長に対しまして指示を行わせていただきました。

○塩川委員 先ほど大臣からお答えいただきましたように、東京電力が第三者委員会を設置して、三月十三日に検証結果報告書を取りまとめて、経産省にも報告が出されたということであります。
 この東電の検証結果報告書の結論のポイントについて御説明いただけるでしょうか。

○高原政府参考人 三月十三日でございますけれども、委員会が検証結果報告を取りまとめ、公表いたしました。
 主なポイントでございますけれども、説明者が事実に反する説明をしたのは説明者のいわば勘違いに基づくものであること、直属の上司も関与していなかったということが明らかであること、そして、国会事故調への協力の指示が社員の間に徹底されていなかった印象を受けること、さらに、再発防止策として、上層部の指示が全社員に浸透し、社員が早い段階から上層部に相談することができる組織構築の確立を求めている、こういったところが主たる内容であると承知をいたしております。
 以上でございます。

○塩川委員 事実に反する説明をしたのは担当者の勘違いによるものだった、その説明内容には上司は関与していなかったということであります。
 大臣にお尋ねしますが、この東電の検証結果について、大臣としてはどのように評価をしておられますか。

○茂木国務大臣 先ほど、まずどういうルートで東電に対して要請をしたかとお尋ねがありましたが、私が、資源エネルギー庁の幹部を集めまして、こういう形で指示を出すようにということで、適切な人間が東電側に申し入れを行っております。当然、東電の幹部にもそのことは伝わり、その上で第三者委員会、こういったものが立ち上げられたと私は理解をしておりまして、別に、担当レベルで勝手にやっている、こういう話ではないというのは、まず、ぜひ御理解いただきたいと思っております。
 その上で、我々としては、信頼の置ける形で事実関係を明らかにするように、こういう方針でありました。東京電力が弁護士から成る第三者検証委員会を設置したこと、そして、この第三者委員会の方は、関係者へのヒアリング、福島第一原発への視察等を通じて事実関係を把握し、検証結果報告書をまとめたこと等々の対応は、社会的に関心を集めている企業の透明性の確保という観点から当然行われるべきものであった、こんなふうに考えております。
 また、同報告書には、東京電力が講じるべき再発防止策、今、高原長官の方からもありましたように、上層部に早い段階で相談できる組織構築の確立についての提言等がなされておりまして、東京電力において今後この方向で適切な対応、そして改善がなされる必要がある、そのように考えております。

○塩川委員 手続の話として、信頼の置ける形でやりなさいという指示を踏まえて東電側が第三者委員会を設置し、関係者へのヒアリングや福島第一の視察を行ったということと、対応策についても触れている。
 ちょっと確認ですけれども、そもそも、報告書では、事実に反する説明をしたのは担当者の勘違いに基づくものだ、この点について上司は一切関与していなかったという事実関係の指摘について、大臣としてはどのように評価しておられますか。

○茂木国務大臣 これは、刑事手続の捜査ではありません。ですから、それぞれのアリバイであったりとか、個々にどこか取り調べ室に入って何かをするとか、常務はあの日は何時に出たなんというのを近所に全部聞き込みをするとか、そういう類いのものではないと私は思います。
 その上で、第三者委員会として、責任を持って、それぞれのヒアリングを行った中でそういった結論を出された、そのように理解いたしております。

○塩川委員 ですから、そういう報告が妥当なものだと大臣としては受けとめておられるということですか。

○茂木国務大臣 もし違った方法の調査が必要である、こういう調査が足りなかったのではないかなというのがございましたら、御指摘ください。

○塩川委員 その手続の話ではなくて、そもそも、報告書としての事実関係を明らかにした、特に核心となるところは、担当者の勘違いであり、上司は関与していなかったということについては、それはそうだな、報告書のとおりだなと受けとめておられるということですか。

○茂木国務大臣 繰り返しになりますが、刑事事件ではありません。そこの中で、第三者委員会が客観的に調査の仕事をされた、そんなふうに私は思っております。
 弁護士として、それぞれ独立した立場で、プロフェッショナルとしての仕事をされる方を当然選んでいる、その上でやられた調査の報告だと思っております。

○塩川委員 ですから、こういう事実関係の報告について、それは客観的に行われたものだという評価をしておられるということであります。
 そこで、もう少し事実関係でお聞きしたいんですが、関係者のヒアリングを行ったということなんですけれども、そのヒアリングの対象者に、東電の関係者だけではなく、一方の当事者である国会事故調の関係者というのは含まれているんでしょうか。

○高原政府参考人 含まれていないと承知をいたしております。

○塩川委員 その理由は何でしょうか。

○高原政府参考人 この調査対象に、いわば聞き取り対象に事故調の方々が入っていない理由というのも、ここに明示的に書かれてございます。
 例えば、この方に対しては、完璧な公開のもとでいろいろな調査が行われたこと、あるいは、結果として公表されている以外のものについては守秘義務がかかっているというようなこと、ここも、しなかった理由として、判断理由が述べられているところでございます。

○塩川委員 そもそも、経済産業省に対して、東電の虚偽説明の検証と現地調査の実現への協力を求めた、こういう要請を行った国会事故調の元委員の田中三彦氏にもヒアリングをしていない。これは、国民の常識からいってちょっと信じられないんですけれども、大臣、どのようにお考えですか。

○茂木国務大臣 状況的に整うかどうかは別にいたしまして、事故調が再び東電の現地視察をしたい、それにつきましては全面的に協力するようにということで東電の方には要請を行っております。
 そして、今御指摘の点でありますけれども、東電における内部の意思決定、それにつきまして外部の事故調の方が御存じであるということはないのではないかな、そんなふうに私は思います。

○塩川委員 この東電の担当者が事故調の関係者とやりとりをしているわけです。そのやりとりの事実関係についてというのがいわば前提になるんですけれども、それを一方の東電側しか聞いていないのでは、客観的なものとして示されないんじゃないのかということを当然思うわけで、そういう点でも、国民の常識からいって、一方の当事者だけのヒアリングをもって報告書をまとめている妥当性というのは、私は大いに懸念するところであります。
 もう一つ確認したいんですが、福島第一の視察を行ったというんですが、この該当する一号機が真っ暗だったということが虚偽だったということは東電側も認めていることですけれども、一号機の中に第三者委員会のメンバーというのは入っているんでしょうか。

○高原政府参考人 一号機の中には入っておられないというふうに承知をいたしております。

○塩川委員 現場も確認していないんですよ。
 私が率直に今思うのは、虚偽説明を問題提起した国会事故調の元関係者の方のヒアリングも行わない、一号機内部の現場調査も行わない、こういう報告というのが、問題なし、客観的なものだと率直に言えるのか疑わしいのですけれども、大臣としてはどのようにお考えですか。

○茂木国務大臣 一号機の中は暗くない、暗くなかったということは、東電の側も認めているわけですね。そうしますと、塩川委員、あれだけ放射能の高い一号機の中に、もう明るいというのをわかった上で明るいことを確認に入る意味があるのかどうかといいますと、私は大きな疑問がございます。

○塩川委員 一階から三階についての暗さの問題ですとか、そういうことを含めて、まずは入らないとわからないわけですから、そういう事実関係そのものも本来確認すべきことだと率直に思います。
 事故から三カ月後に、一号機の原子炉建屋カバーの設置の工事を行うということで、東電側は設備構成図というのを作成して経産省に報告しております。これは、東電側の報告と、それに対して経済産業省側から、こういった一号機の原子炉建屋のカバー等の設置に当たって、原子炉等規制法六十七条一項の規定に基づく報告徴収命令を行っているんです。そういう点でいえば、経産省は一号機の原子炉建屋に照明があるということは当然知っていたわけであります。
 告発をした国会事故調の元委員の田中氏は、経産省に対して、経産省が検証してくれというふうに求めているわけですね。ですから、私は、東電任せではなくて、例えば電気事業法の百六条など、法令上の報告徴求も含めて報告を求めて、経産省としてしっかりとした調査を行うべきではないかと考えますが、いかがですか。

○高原政府参考人 これにつきましては、大臣からも先ほど御答弁申し上げましたとおり、信頼の置ける形で事実関係を明らかにするようにという指示を東電に対しても申し上げ、そうした形でこの第三者委員会が設置をされて、ここで調査が行われたというふうに承知をいたしております。

○塩川委員 原発の保安に係る業務の状況に関し報告を求めることができるというのが電気事業法百六条の報告徴求の規定であります。私は、こういうところをしっかり使って、経済産業省としてしっかりとした調査を行うべきだと考えますが、大臣のお考えをお聞かせください。

○茂木国務大臣 事実関係の確認をする、そして調査に妨害があったか等々についてそれを解明する、そのためにどういうやり方がいいかということで、信頼の置ける形での検証を、そういう要請をさせてもらいました。その要請に基づきまして、東電におきまして第三者委員会を立ち上げたということでありまして、その過程において、実際に誰が調査をするかということよりも、その結果が中立的であるかどうか、透明性があるかどうかということが私は重要だ、そんなふうに考えております。
 そして、先ほどから申し上げておりますけれども、例えば、第一号機は明るい、間違って、それが暗いということを言ったわけですよ。明るいということについては、衆目の一致しているところなんですね。それについて、弁護士の方が明るいか暗いかを見に行く必要は私はないんだと思います。その見に行っていないということをもって、調査が不十分だと。みんな明るいと言っているんですよ。明るいと言っているのに、わざわざ放射能の高いところに明るいか暗いか見に行くなんという必要は私はないと思いますよ。

○塩川委員 ですから、建屋のところにカバーがあって、照明までついているんですよ。そういうことについてきちんと確認するということは、私は、やはり本来、ちゃんと調査として行うのであれば、当然の仕事の一つだと言わざるを得ません。
 一号機は、二、三号機と比べても非常に短時間でメルトダウンを起こして水素爆発に至っておりますが、その真相はわかっておりません。地震動によって非常用復水器を破損したのではないかということも焦点となっているわけです。
 原発の安全性について、事故原因の解明がないまま進めるわけにはいかない、エネルギー政策の根幹にかかわる問題だと指摘をし、引き続きこの問題を取り上げることを申し上げて、省エネ住宅の省エネ基準について質問をいたします。
 改正案では、窓や断熱材など建築材料についてのトップランナー制度を導入するとしております。断熱性能の向上は、住宅や建築物の省エネ化にもつながるものであります。しかし一方で、湿気の多い日本の気候風土に適合した木材伝統工法住宅では、土壁やしっくいによる湿度調整や、風通しを考えた家づくりが行われております。
 そこで、国土交通省鶴保副大臣に御質問します。
 この高気密、高断熱という省エネ法に基づく住宅、建築物の省エネ基準ではこういった伝統工法が生かされないんじゃないかと思うんですが、この点についてどのようにお考えでしょうか。

○鶴保副大臣 お答えを申し上げたいと思います。
 委員御指摘のように、住宅の省エネの推進に当たっては、地域の気候や風土に合った住宅への配慮が必要だと考えております。
 その中で、高気密、高断熱の省エネ基準というものに対する懸念がおありのことは重々承知をしておるわけでありまして、その意味におきましては、どういった規制をするか、そしてまた、その規制に対してどういった現場の実力、技術が追いついているか、また、その基準等々についても、地域地域によって異なるわけでありますから、それらにおいて間尺に合ったものをつくっていかなければならないということを考えております。
 現在、省エネ法において、一定規模以上の住宅については、省エネ基準に適合するよう、地方公共団体への届け出の対象となっておりますけれども、戸建て住宅については、こうしたことから、届け出の対象とはさせていただいておりません。
 また、今後、全ての住宅に対して省エネ基準への適合を義務化するに当たっては、施工者の技術の習得、向上に努めるとともに、伝統的木造住宅の特性を踏まえた省エネルギー性能の評価方法の検討を行うなど、円滑に義務化が実現するよう十分配慮してまいりたいと考えております。

○塩川委員 いや、私がお聞きしたいのは、省エネ基準が、住宅、建築物については高気密、高断熱というのが基本となっている、これだと伝統工法が生かされないんじゃないですかということを聞いているんですけれども、どうですか。

○鶴保副大臣 高気密、高断熱の省エネ基準と伝統工法のそぐわない部分というのは、先ほど申し上げましたとおり、それぞれの地域によっても違いますし、また技術によっても違います。また、それらを一律に規制することが正しいかどうかについては、本当にこれから議論をせねばならないというふうに考えておりますから、先ほど申しましたとおり、地方公共団体とのやりとり、そしてまた、各省庁間の連携等々も踏まえて、これから慎重に考えていきたいということでございます。

○塩川委員 考えていくという方向なんですけれども、高気密、高断熱という現行の省エネ基準をもって省エネ適合の有無を判断するということでは、やはり伝統工法の取り組みを阻害することになりかねないんじゃないかというふうに率直に思うんです。
 ですから、私は、そもそも高気密、高断熱というのが寒冷な気候のヨーロッパなどの基準を当てはめた省エネ基準という側面もあり、亜熱帯を含む温暖な気候の日本にそのまま当てはめることにはそもそも無理があるわけで、高気密、高断熱という省エネ基準だけを進めるのを改めて、温暖な地方に対応した、湿気の多いような、そういう条件に合ったような住宅、建築物の省エネ基準をつくる必要があると思うんですが、検討、検討ではなくて、つくるということが必要だと思うんですが、どうですか。

○新原政府参考人 今の点について、国土交通省ともいろいろ御相談をさせていただいております。
 まず、整理させていただきますと、トップランナー、今回御審議をお願いしているものというのはメーカーの規制でございますので、これは建築する際に何かを使わなきゃいけないという規制ではございません。ですから、委員の言われているような問題が生じてくるということは、この法案についてはないと思います。
 問題は、ずっと御審議があるわけでございますが、今の家の基準みたいなものを義務化していくという議論があるわけですけれども、その際に、伝統的な工法のものが建築できるかどうかというところが問題になるわけであります。そこについては、私どもも国土交通省さんも両方とも、伝統的につくってきたものが、義務化することになったら建築できなくなるとか、そういうことはまずいよなという共通認識に立っておりまして、何らか配慮措置を考えなきゃいけないと思っております。その配慮をどういうふうにやっていくかというのは、もうちょっと状況を見て議論をさせていただく必要があると思っております。
 以上でございます。

○塩川委員 最後に大臣に所感を伺って、終わりにします。

○茂木国務大臣 大変いい質問をいただいたと思っております。
 木材、耐熱性能といいますか、すぐれている部分もあります。そして、もともと日本の住宅等と同じような緯度にありますニューヨークなどと比べて耐熱性能が悪いということで、今回の断熱材であったりとか窓を導入させていただきますけれども、それはそれとして進めさせていただきながら、伝統的な日本の建築、こういうことについては柔軟な対応をしていきたいと思っております。

○塩川委員 終わります。