国会質問

<第183通常国会 2013年04月03日 経済産業委員会 6号>




○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 電力ピーク対策について質問をいたします。
 今回の法改正では、エネルギーの使用の合理化に関する措置に加えて、電気の需要の平準化に関する措置が追加をされました。蓄電池やBEMS、HEMSとか自家発電の活用等によって、電力ピーク時に電力会社の系統電力使用量を減らすための措置であります。
 そこで、大臣にお尋ねします。
 ピーク対策として、電気需要平準化時間帯を設けて、電力需要の多い夏場の平日日中の時間帯など指定された時間帯の需要の山をなだらかにするということは、過大な設備投資を抑制することにもつながると考えます。一方で、平準化のための蓄電池や自家発電の活用というのが、エネルギー使用量全体としては増加をしてしまうのではないのかという懸念もあります。
 地球温暖化対策や省エネに逆行するような事態を招かないようにする必要があるのではないかと考えますが、大臣のお考えをお聞かせください。

○茂木国務大臣 日本におきまして省エネの取り組みが本格的に始まったのが、一九七〇年代、二度の石油ショックのころでありました。このころは、全体のエネルギーの使用量を減らすという観点から、省エネのための機器を開発したり、また夜中にテレビの放映をしない、こういったことで、どんな部門においても同じように、どこが減らせるのか、こういう観点から省エネの取り組みをしたわけであります。
 こういった省エネももちろん今も重要でありますが、三・一一以降起こっておりますことは、まさにピーク時にどれだけ需要を減らせるか、こういった観点を加えた省エネということになってくるわけでありまして、昨年の夏は、震災前、二〇一〇年に比べまして、ピーク需要で一〇%の削減となっております。全体の省エネということでいいますと六%であります。
 このため、ピーク対策を進めるため事業者に蓄電池を導入することを奨励してきているわけでありますが、御案内のとおり、蓄電池を使うと、オフピークであります夜間に一〇〇充電しても、一〇〇使えないわけですね。どうしても効率が落ちまして、ピーク時間帯、昼間に使おうとすると八〇前後の電気しか使えない、これが現状であります。
 この結果、電気の購入量自体は増加をしてしまって、省エネ法の努力目標を達成しにくくなる、こういう問題が発生するわけであります。このため、今般、省エネ法の努力目標の算出目標を見直すことにした。
 見直しの仕方につきましては、委員の方からもありましたので、もしよろしければここまでとさせていただきますし、やり方について説明しろということだったら説明もいたします。

○塩川委員 もともと省エネ努力というところからスタートしたのが省エネ法で、今回新たに電力ピーク対策というのを加えるわけであります。
 今、最後に算出方法の見直しの点も触れていただいたわけですけれども、蓄電池を活用して、昼間の時間帯の電力使用量を夜間に充電した電力の放電に置きかえると、全体としては電力の使用量が増加をすることにはなります。そのため、算定方法を変更して、昼間の電力使用量を重みづけることによって、昼間の電力使用量を大きく減少した形にして、結果としてエネルギー消費原単位も改善した形にするという算出方法の見直しです。
 私は、電力ピーク対策を進めるに当たっても、算出方法の変更で省エネになっているかのようなやり方ではなくて、全体のエネルギー使用量も減らすし、地球温暖化対策にも資するような取り組みこそやはり進めるべきではないかと思うんですが、改めていかがですか。

○茂木国務大臣 冒頭申し上げたように、省エネの努力は必要であります。同時に、今の日本はピークコントロールがもう一つ大きな課題になっているわけでありまして、ピークコントロールができなければ、例えば電気事業者は新たな設備を稼働させなければならない。恐らく、今すぐ使おうとすると、老朽型の火力、こういったものをたき増しするということになって、かえって地球環境上は悪い問題が出てくる。
 完全に二律背反している問題ではありません。省エネもできる限り進める、同時にピークコントロールも進める、この中で一番いい方法は何ですかという観点から見直しをさせていただいたところであります。

○塩川委員 省エネの取り組みも進め、地球温暖化対策にも資する、こういうものとあわせて電力ピーク対策を推進するという立場で取り組んでいただきたいと思います。
 次に、製造業における省エネ努力についてですけれども、産業部門はエネルギー消費全体のうち四割以上を占めております。依然として最大の部門で、そのうちの九割以上を製造業が占めております。
 そこで、経産省の方に確認しますが、製造業を中心にした第一種エネルギー管理指定工場において、平成十一年度以降、年一%以上のエネルギー消費原単位の改善、この取り組みが数字でどのようになっているのかをお答えください。

○新原政府参考人 お答え申し上げます。
 御指摘の第一種エネルギー管理指定工場でございますが、平成十一年度のエネルギー使用量が一億六千五百六十八万キロリットル、平成二十二年度の同じく使用量が一億七千九百三十六万キロリットル、これをもとにエネルギー消費原単位を計算いたしますと、仮に平成十一年度のエネルギー消費原単位を一とした場合でございますが、二十二年度では〇・九六七でございますから、この間、三・三%の改善ということになっております。この間、リーマン・ショックの影響で景気後退したことで、売上高が減少して、消費原単位が悪化するとか、乱高下も見られているところでございます。
 恐らくは、この前、石油危機以降、一九七三年以降、十年間で、年率換算で三・五%も急速に改善しておりましたので、産業によってはなかなか厳しくなってきているところもあるのかなというふうに認識しております。

○塩川委員 今お答えいただきましたように、平成十一年度から二十二年度にかけての十一年間で改善が三・三%、三%余り。ですから、中長期的にとはいっても、毎年毎年一%以上の改善ということでいえば、一一%以上の改善ということが努力義務としてはかかっているわけですけれども、それが三%余りというのが現状ということであります。
 こういった現状を見ると、省エネ法の努力義務というのがどんなものなのかなということを率直に思わざるを得ないんですが、大臣としてはどのように受けとめておられますか。

○茂木国務大臣 御案内のとおり、石油危機以降、産業部門が相当な省エネに取り組んできて、これは言ってみますと限界効用逓減の法則ですから、どうしてもそこの部分に限界が来る。そういったことで、今般、省エネにつながる国内の設備投資及び更新を推進するために、平成二十四年度の補正予算の中で二千億円を計上させていただきまして、省エネに資するような設備を入れる、こういったことに対する補助を出す、こういった施策も新たにとらせていただきました。
 一方で、産業部門、これは石油ショック時と比べると九割に落ちている。ところが、住宅とかビル部門は二・五倍になっているんですね。ここの部分に対してはまだ省エネを加速する余地が大きいだろうといったことで、今回、断熱材であったりとか窓、こういったところの省エネに取り組むために改正のお願いをしているところであります。

○塩川委員 民生、運輸での努力が必要だということは当然です。同時に、四割以上を占めるような産業部門、特に製造業部門でより一層の改善の取り組みをどう進めていくのかということが求められているわけで、そういう意味では、省エネ法の趣旨に立った、年一%以上の改善を図る、こういう取り組みについてどのように実際に事業者が行っているかということが、やはり国民的な監視のもとに置かれるべきだと考えます。
 その点では、経産省と事業者の間でいろいろと指導を含めてやりとりがされているようですけれども、中身がなかなか国民的には見えてきておりません。
 そういう意味でも、私は、エネルギー管理指定工場の定期報告が行われているわけですけれども、この定期報告において、経産省がつかんでいる中身を国民に広く公開して、大規模工場などのエネルギー使用の実態を明らかにすることが省エネ推進にも資するのではないかと考えますが、大臣はいかがでしょうか。

○新原政府参考人 御指摘のとおり、情報公開は非常に重要だと思っておりまして、前向きに対応していきたいと思っております。
 ただ一方で、先ほどの指導、勧告等を行うために、これはかなりの件数をやっておるわけでございますが、かなり詳細な個別の企業の情報を定期報告で求めております。
 場合によっては、その工場のエネルギーコスト構造とか省エネルギー水準が他企業から、公開していることによって推計できてしまう場合もございまして、特にエネルギー多消費業種では、それが競争上の地位を害するおそれがある場合がございます。そういう場合については、当該企業とも調整して、一部不開示にしてきたところでございます。
 ここは、一応、最高裁の判決でも、行政のやり方として妥当であると判決をいただいたところでございます。
 ただ、御指摘のとおり、情報公開は非常に重要だと思っておりますので、案件ごとにきちんと見定めて、できるだけ公開の方向でやっていきたいと思っております。

○塩川委員 最高裁判決の話もありましたけれども、これは不利益のおそれの蓋然性があるとしたもので、個々の事業者にとって法的保護に値する不利益というべきかどうかの個別の判断は実際には行われていない中身でもあります。情報の原則公開という情報公開法の制度趣旨にそぐわない内容だと考えております。
 同時に、情報公開が大事という話がありました。
 地球温暖化対策推進法に基づいて、温室効果ガス排出量の報告、公表制度によってCO2量が公表されているということもあります。そういう点でも、ぜひ経産省として、この省エネ法で得た定期報告に基づく情報内容について広く開示するということが省エネ努力を促す上でも重要だと思いますし、そういった立場で事業者への働きかけを行うべきだと考えております。
 それとの関係で、昨年、省エネ部会の議論で、定期報告の内容を簡素化する方向というのが議論として出されました。省エネ部会の委員やパブリックコメントで批判をされたわけですが、それはどのように対処されたのでしょうか。これまでどおり報告を求めるのか、省令の改正などということは行わないということなのか、その点についてお答えいただけますか。

○新原政府参考人 御指摘の点は、私どもとして、委員御指摘の公開とも絡んで、ある程度、行政がとる情報を本当に必要なものに絞って、それ以外については事業者に保存義務をかけて、私どもがとったものについては公開していったらどうかというふうな提案をさせていただきました。
 それについては、委員御指摘のとおりでございまして、審議会に付したわけでございますが、やはり詳細にとるべきだという御意見が多かったわけでございます。その意味は、役所が持っていれば、情報公開請求したときに公開できるからということでございます。
 実際に、例えば平成二十一年ですと、七千件の省エネ法の関係の開示請求を受けております。その九三%は全面開示でございまして、残り七%だけが一部不開示、マジックであれして不開示にしているものがあるということでございまして、そういう情報というのは非常に貴重であるという御意見がございましたので、この辺については改正事項から完全に削除いたしまして、今回の法案を提出させていただいた、こういうことになっております。

○塩川委員 法案化というだけではなくて、省令の改正も行わないということでよろしいんですか。

○新原政府参考人 結構でございます。

○塩川委員 結構というのは、省令の改正も行わないと。もう一回確認します。

○新原政府参考人 行いません。

○塩川委員 法案化は見送ったけれども、簡素化を進めるという意味ではきめ細かな対応ができないということを申し上げて、質問を終わります。